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== 一次方程式 ==(解き方と検算の仕方)

■普通の文字の等式と方程式の違い

※この頁では,一番よく登場する文字xで説明しますが,他の文字a, b, yなどが登場する場合でも同様です.
○ 右の表1(1)の例を見てみると,普通の文字の等式ではxがどんな値であっても等号= イコールのこと)が成り立ちます.
• 例えば,x=1のとき,(1)式は
2+3=5
を表しており,x=1のとき,(1)式は成り立ちます.
• また,x=2のとき,(1)式は
4+6=10
を表しており,x=2のときも,(1)式は成り立ちます.
• さらに,x=−3のとき,(1)式は
−6+(−9)=−15
を表しており,x=−3のときも,(1)式は成り立ちます.
○ 右の表1(2)の例でも同様にxがどんな値であっても等号が成り立ちます.
• 例えば,x=−1のとき,(2)式は
2(−1+3)=4=−2+6
を表しており,x=−1のとき,(2)式は成り立ちます.
• また,x=4のとき,(2)式は
2(4+3)=14=8+6
を表しており,x=4のとき,(2)式は成り立ちます.
• さらに,x=5のとき,(2)式は
2(5+3)=16=10+6
を表しており,x=5のとき,(2)式は成り立ちます.
○ このように,文字式ではxがどんな値であっても等号が成り立ちます.
 この等号は,xの値を考えなくても「変形するだけで,左辺が右辺になる」ような場合に使われます.
同類項の係数を集めたり,かっこを外したりするような,
式の変形だけで
左辺から右辺が得られる場合
文字xの値がどんな値であってもその等号は成り立ちます.




○ 表1(3)の例では,xが特定の値の場合だけ等号が成り立ちます.
• 例えば,x=1のとき,(3)式は
左辺は1+3,右辺は8
なので,等号は成り立ちません.
• 同様にして,x=2, 3, 4のとき,(3)式はそれぞれ
左辺は2+3,右辺は8
左辺は3+3,右辺は8
左辺は4+3,右辺は8
なので,等号は成り立ちません.
• ところが,x=5のとき,(3)式は
左辺は5+3,右辺は8
となって,等号が成り立ちます.

x=5以外のどんなxの値を持ってきても,この等号が成り立つことはありません.
 ところで,ここで行った代入の方法を振り返ってみると,方程式が成り立つようなxの値を求めるための「原始的な」方法を思い付きます.すなわち,「総当たりで値を代入」して行って,「まぐれ当たり」をねらう方法です.
(他の例)
x−4=2 …(3’)の場合
xの値 左辺 右辺 等号は成り立つか?
x=1 1−4=−3 2 ×
x=2 2−4=−2 2 ×
x=3,4,5 3−4=−1
4−4=0
5−4=1
2 ×
x=6 6−4=2 2
x=7,8,9,... 7−4=3
8−4=4
9−4=5
2 ×
表1

単なる文字の等式方程式
2x+3x=5x …(1)
2(x+3)=2x+6 …(2)
x+3=8 …(3)
3x=4 …(4)
特徴 xがどんな値であっても等号が成り立つ 特定のxの値に対してだけ等号が成り立ち,他のxの値では成り立たない




 このようにして,どうしても分からないときは,まぐれ当たりをねらって,総当たりで調べる方法でもxの値は求まることがあります.ただし,総当たりで調べる方法は最後の切り札として使うことはありますが,中学生が普通に問題を解くときは,この方法はお薦めできません.
 中学校1年生では,「移項や割り算を使って方程式を解く」方法を必ず身に付けてください.
    (≪総当たりで≫xに値を代入する方法の短所)
  • 「かっこが悪い」「能率が悪い」です.
  • 例(4)のようにxの値が分数になるときは,x=1,2,3,4,...とどこまで調べても,答にたどりつかないことがあります.
    (答が出てから≪検算として1つの値だけ≫をxに代入する方法の長所)
  • 検算は,問題を解く経過とは別ルートで行う方がよく,その別ルートが代入です
  • 代入は,簡単で確実な計算です
  • 答が出てから検算するときは,「調べるのは1つだけ」なので,能率がよい


○ 表1(4)の例ではx=のときだけ等号が成り立ちます.
x=のとき,
左辺は,右辺は4
になって(4)式は成り立ちます.他のxの値では成り立ちません.




【文字の等式と方程式】(まとめ)
○ 単なる文字の等式(*)も方程式も同じ等号(= イコール)を使いますので,使われている記号だけでは見分けがつきません.
(*) 中学校1年生の教科書では,上で解説した「単なる文字の等式」のことを示すうまい用語が見つかりませんが,どんなxの値に対してでも成り立つような文字の等式のことを高校では恒等式こうとうしき(つねに・ひとしい・しき という意味)といいます.ここでの解説は恒等式と方程式の違いについて述べたものです.
単なるxの文字の等式 xの方程式
xどんな値であっても等号が成り立ちます ある特定のxに対してだけ成り立ちます
単なる文字の等式を,方程式だと思って解こうとすると「xはどんな値でもよい」という結果になります.
≪例≫
x+2x=3x
→ 0x=0
→ xはどんな値でもよい
中学校1年生で登場するxの方程式を解くと,xの値はただ1つに決まります.(中学校3年生では,xの値が2つあるような方程式も登場します)
≪例≫
x+2x=12
→ 3x=12
→ x=4
係数を集めて簡単にしたり,かっこをはずすような変形によって,左辺から右辺ができます xに値を代入しない限り,左辺を変形しても右辺にはなりません
○ 方程式を満たすxの値を求めることを,「方程式を解く」といいます.

※以下の問題では,正しい選択肢をクリックしてください.
解答すれば,採点結果が表示され,HELPが選べて解答も出ます.
[問題1]
次の等式のうちで,左辺を変形していけば右辺になるものを選んでください.

(1)2x+3=x−5
(2)2(x−1)=x+5
(3)(3x+1)+(−x+2)=2x+3
(4)5x−2x=3x+1


[問題2]
次の等式のうちで,方程式(特定のxの値に対してだけ成り立ち,それ以外の値に対しては成り立たないもの)を選んでください.

(1)3(x+1)−2=3x+1
(2)2x+3=x−3
(3)2(3x+1)=6x+2
(4)2x+3x=5x



■方程式の解き方

方程式
3x−1=x+5
から(正しい変形をして)
x=3
のように変形することを,方程式を解くといいます.(得られた結果を方程式の解といいます)

○ 方程式を解くために使うことのできる(正しい変形)は,次の(1)〜(4)です.これらを組み合わせて使います.
(1)両辺に同じ数や同じ式を足してもよい.
[例]
方程式
x−3=2
の両辺に3を足すと
x−3+3=2+3
ここで−3+3=0, 2+3=5だから
x=5
となって,方程式が解けます

[例]
方程式
−x=−2x+4
の両辺に2xを足すと
−x+2x=−2x+2x+4
ここで−x+2x=x, −2x+2x=0だから
x=4
となって,方程式が解けます
[#よくある間違い#]
(元の方程式)x−3=2
x=2−3
x=−1

[#よくある間違い#]
−2x−2×xです.このうちの−2だけとかxだけを足したり引いたりすることは,できません.
(元の方程式)−x=−2x+4
−x+x=−2+4
0x=2
???

[問題3]
次の方程式を解いてください.
x−5=3

(1)x=−2 (2)x=2
(3)x=−8 (4)x=8


[問題4]
次の方程式を解いてください.
−3x=−4x+2

(1)x=−2 (2)x=−1
(3)x=1 (4)x=2



(2)両辺から同じ数や同じ式を引いてもよい.
[例]
方程式
x+5=9
の両辺から5を引くと
x+5−5=9−5
ここで+5−5=0, 9−5=4だから
x=4
となって,方程式が解けます

[例]
方程式
3x=2x+6
の両辺から2xを引くと
3x−2x=2x−2x+6
ここで3x−2x=x, 2x−2x=0だから
x=6
となって,方程式が解けます
[#よくある間違い#]
この問題でも,「移項」を中途半端に覚えて(符号を変えることを忘れて)5をそのまま右辺に持ってくる答案が多く見られます.
(元の方程式)x+5=9
x=9+5
x=14



[#よくある間違い#]
(元の方程式)3x=2x+6
3x−x=2+4
???
 2x2×xです.このうちの2だけとかxだけを足したり引いたりすることは,できません.
 横断歩道=を渡るときは,
係数と文字とが離れ離れにならないように,しっかりと手をつなごう.

[問題5]
次の方程式を解いてください.
x−3=−4

(1)x=−7 (2)x=−1
(3)x=1 (4)x=7


[問題6]
次の方程式を解いてください.
4x=3x−3

(1)x=−3 (2)x=−2
(3)x=2 (4)x=0



(3)両辺に同じ数を掛けてもよい.
(正確に言えば,同じ式も掛けてもよいが,中学校1年では分母に文字式が来ることはないので,両辺に同じ文字式を掛けなければならないことは起りません.)
[例]
方程式
=2
の両辺に3を掛けると
×3=2×3
ここで左辺の分母と分子(横にあるのは上にあるのと同じ)
×=2×3
3は約分で消えるから
x=6
となって,方程式が解けます

[#よくある間違い#]
分母の3をそのまま右辺に持ってくる答案が多く見られます.
(元の方程式)=2
x=

[#よくある間違い#]
マイナスがあると「移項の話」と「掛け算・割り算」で迷ってしまい,頭が真っ白になることがあるようです.
(元の方程式)=2
x=2+3
x=5
(この問題の場合は,正しくはx=−6になります)
[問題7]
次の方程式を解いてください.
=6

(1)x=3(2)x=
(3)x=8 (4)x=12


[問題8]
次の方程式を解いてください.
=12

(1)x=−24 (2)x=−12
(3)x=−6 (4)x=8
(5)x=10 (6)x=14



(4)両辺を同じ数で割ってもよい.(ただし,0で割ることを除く)
(正確に言えば,同じ式で割ってもよいが,中学校1年では両辺を同じ文字式で割らなければならないことは起りません.)
[例]
方程式
3x=2
の両辺を3で割る(を掛ける)と
3x×=2×
ここで左辺の分母と分子の3は約分で消えるから(横にあるのは上にあるのと同じ)
×=2×
x=
となって,方程式が解けます
[例]
方程式
=
の両辺にを掛けると
×=×
ここで左辺の分母と分子の3, 2は約分で消えるから
x=
となって,方程式が解けます
[問題9]
次の方程式を解いてください.
4x=−20

(1)x=−80 (2)x=−24
(3)x=−5 (4)x=5



[問題10]
次の方程式を解いてください.
x=

(1)x= (2)x=
(3)x= (4)x=




■方程式の解き方(ここまでのまとめ)

(1)(2)
○ x−a=bから−aを取り除くには,両辺にaを足します.
その「結果を見ると」と
x−a=bx=b+a
となり,左辺の−aを「符号を変えて右辺に持ってくる」ことになります.
○ x+a=bから+aを取り除くには,両辺からaを引きます.
その「結果を見ると」と
x+a=bx=b−a
となり,左辺の+aを「符号を変えて右辺に持ってくる」ことになります.
◎ どちらの場合でも,定数項−aまたは+aは,
「符号を変えて他方の辺に動かしてよい」
ということになります.(符号を変えて他方の辺に移動させることを「移項」といいます.)
【例】
x−3=2x=2+3
x+3=2x=2−3
(3)(4)
○ =dからcを取り除くには,両辺にcを掛けます.
=dx=cd
○ cx=dからcを取り除くには,両辺にを掛けます.
cx=dx=
◎ さらに,一般に
x=eからを取り除くには,両辺にを掛けます.
x=ex=e×
右辺が分数の場合でも,同様です
x=x=×

■方程式の解き方…(1)(2)(3)(4)が組み合わされている問題

【例1】
方程式2x−5=4x+7を解いてください.
(解説)
文字xと定数項とが左辺と右辺の両方にあるときは,「移項」によって
⇒ 文字の部分を左辺に集め,定数項を右辺に集めます.
 4xの符号を変えて−4xにして,左辺に持ってきます.
 −5の符号を変えて+5にして,右辺に持ってきます.
2x−4x=7+5
係数を計算して簡単にします.
−2x=12
(3)で説明した「係数を掛ける」話と,(4)で説明した「係数で割る」話は,「逆数を掛ける」とまとめることができます
文字xの係数−2を取り除くには,両辺にその逆数を掛けます.
−2=12×
答が出たら「ゆだん」してしまうのが普通の生徒の甘さ⇒「検算」を忘れないようにしましょう.
2×(−6)−5→−17←4×(−6)+7
だからOK〜♪
−2x=12
x=−6
【例2】
方程式5(x+3)=3(x−1)を解いてください.
(解説)
かっこ(  )があるときは,はじめにかっこ(   )をはずすと分かりやすくなります
両辺のかっこ(   )をはずします
5x+15=3x−3
3xの符号を変えて−3xにして,左辺に持ってきます.
15の符号を変えて−15にして,右辺に持ってきます.
5x−3x=−3−15
係数を計算して簡単にします.
2x=−18
文字xの係数2を取り除くには,両辺にその逆数を掛けます.
「検算」をします
5(−9+3) → −30 ← 3(−9−1)
だからOK〜♪
2=−18×
x=−9
【例3】
方程式=を解いてください.
(解説)
分数をいつまでも引きずっていると計算間違いが起りやすいので,「分数があれば,はじめに分母を払う」と決めるとよい
左辺の分母を払うには2を掛ける必要があり,右辺の分母を払うには3を掛ける必要があります.
両方とも払うには,両辺に6を掛けます

×6=×6
3(x−3)=2(x+2)
かっこ(  )をはずします
3x−9=2x+4
「検算」をします
→ 5 ←
だからOK〜♪
文字に関係している項を左辺に集め,定数項を右辺に集めます
3x−2x=4+9
x=13
【例4】
方程式x+5=−3を解いてください.
(解説)
 分数をいつまでも引きずっていると計算間違いが起りやすいので,「分数があれば,はじめに分母を払う」と決めるとよい
 左辺の分母を払うには3を掛ける必要があり,右辺の分母を払うには4を掛ける必要があります.
 両方とも払うには,両辺に12を掛けます
 このとき,定数項5−3にも12を掛けることを忘れないようにします.
 正確に,左辺の全体,右辺の全体に12を掛けるためには,かっこ(  )を付けて掛けます

(x+5)×12=(−3)×12
かっこ(  )をはずします
8x+60=3x−36
文字に関係している項を左辺に集め,定数項を右辺に集めます
8x−3x=−36−60
5x=−96
文字xの係数5を取り除くには,両辺にその逆数を掛けます.
5=−96×
x=−
「検算」をします
(左辺)=×(−)+5=−+5=−
(右辺)=×(−)−3=−−3=−
だからOK〜♪

[問題11]
次の方程式を解いてください.
5x+3=2x−9

(1)x=−12 (2)x=−4
(3)x=6 (4)x=9



[問題12]
次の方程式を解いてください.
4(2x+1)=5(x−1)

(1)x=−3 (2)x=−2
(3)x=2 (4)x=3



[問題13]
次の方程式を解いてください.
=

(1)x=−3 (2)x=−2
(3)x=2 (4)x=3



[問題14]
次の方程式を解いてください.
+2=3−

(1)x=− (2)x=
(3)x=− (4)x=




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