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== 行列のn乗 ==

◇解説◇
 正方行列(2×2行列,3×3行列,・・・)については行列のn乗が定義できますが,一般にはその成分計算は大変です.ここでは,2×2行列についてn乗が計算できる場合を取り扱います.
(1) 
与えられた行列 に対して,

となる行列が見つかるときは,
を利用して,
を求めることができます.

のときも同様です.

(解説)
○対角行列についてはn乗を簡単に求めることができます.

同様にして

一般に,対角行列のn乗は対角成分を各々n乗するだけで求めることができます.


○次に,P-1AP の形の行列については
 (P-1AP)2 = P-1APP-1AP = P-1A2P
 同様にして (P-1AP)n = P-1An-1PP-1AP = P-1AnP
が成り立ちます.

○そこで,与えられた行列に対して,

となる行列 P が見つかれば,

 この式に左から P を,右から P-1 を掛けると

が求まります.
【例】
とするとき=[ウ]であり,これを用いて行列 An (n = 1, 2, 3, …) を求めると An = [ エ ] である.

( 福岡大−理・工(2005年)入試問題の一部引用 )

(答案)
だから





したがって




(2) 
与えられた行列が,原点の周りの回転を表わす行列

に等しいときは,その n 乗は角度 θn 倍したものだから

になります.
さらに,回転・拡大となっているときも同様にして

ならば

になります.
【例】

についてA2 = [ ア ], A3 = [ イ ] である.また,
E + A + A2 + … + An = 0 となる 100 以下の自然数 n のうちで最小のものは[ ウ ]であり,最大のものは[ エ ]である.ただし,E は単位行列, とする.

( 関西学院大−理工(2005年)入試問題の一部引用 )

(答案)
だから


E + A + A2 = 0 … 最小値2
A3 + A4 + A5 =A3(E + A + A2)= 0
A6 + A7 + A8 =A6(E + A + A2)= 0

も同様にして示せるから
(E + A + A2)+ … + (A96 + A97 + A98) = 0 … 最大値98

(3) 
A2A3A4 程度の簡単な計算をしてみて, 0, kEkA などが登場すれば,その規則性を考えて An が求められます.
【例】
のときAnを求めよ.
(答案)
A2=-Eになるから
A3=-A
A4=-A2=E
4乗で1周するから
ア)n=4k+1(kは0以上の整数)のとき,An=A
イ)n=4k+2(kは0以上の整数)のとき,An=-E
ウ)n=4k+3(kは0以上の整数)のとき,An=-A
エ)n=4k(kは1以上の整数)のとき,An=E

(4)
○1 ケイリー・ハミルトンの定理を変形すると,
A2 = (a + d)A -(ad - bc)E
となり,この関係を繰り返し適用すると,次数を下げることができます.

○2 もっと一般的に,整式の割り算を用いて,次数を下げてから値を代入することができますが,高校では行列の割り算を取り扱わないので,答案にはかけ算で表わした結果のみを残す方がよいでしょう.
【○1の例】
 A2 = A + E ならば A3 = A2 + A = 2A + E

【○2の例】
のときA4 - 2A3 + A2 + Aを求めよ.
(答案)
のときケーリー・ハミルトンの定理により
A2 - A - E = 0 が成り立つから
A4 - 2A3 + A2 + A
= (A2 - A - E)(A2 - A + E) + A + E = A + E


■問題
困ったときはを押せばヒントが出ます.
1.
3つの行列 A, P, B を次のようにおく.

B = P-1AP_
このとき,次の問いに答よ.
(1) P の逆行列 P-1 および B を求めよ.
(2) Bn, An (n = 1, 2, 3, …) を求めよ.

(岩手大−工学部 (2000年) 入試問題の一部引用)
1 2 3
(1)  


B = P-1AP =

(2)  

(P-1AP)n = だから  P-1AnP =

An =

2.
ac ≠ b2 とし,
行列
P の逆行列 P-1 を考える.
(1) P-1AP = B を満たす a, b, c のうちで,正の整数であって最小なものを求めよ.
(2) 正の整数 n に対して,BnAn を求めよ.

(室蘭工大 (2000年後期) 入試問題の引用)
1 2
(1) a = 3, b = c =

(2) Bn =





3.
のとき,A20 を求めなさい.
1 2


A20 =


4.
のとき,A100 を求めなさい.
1 2



したがって A100 =
5.
のとき,
A4 - 29A2 + A + 3E を求めなさい.
1 2
A4 - 29A2 + A + 3E


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