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== 零因子 ==

[解説]
● 数については,
ab=0ならば,a=0またはb=0です。
(対偶で言えば,a≠0かつb≠0ならばab≠0です。)
2次以上の方程式を因数分解で解くことができるのは,この性質によります。
ab=0ならば,a=0またはb=0
の性質を用いて,
(x−a)(x−b)=0
ならば
x=a または x=b
が言えます。

● 行列については,

AB=0であっても,A=0またはB=0 とは限りません。
(対偶で言えば,A≠0かつB≠0でもAB=0となることがあります。)
※ 教科書では,「A≠0かつB≠0でAB=0となる行列A,Bを(単に)零因子という」とされています。教科書としては,これ以上深入りしにくいと思いますが,授業で解説するには,逆に次のように踏み込んだ方が(少なくともこのページの作者には)概念的に分かりやすい.
「A≠0かつB≠0でAB=0となるときAをBの左零因子,BをAの右零因子という。」

※ある行列Aに他の行列Bを右から掛けた結果と左から掛けた結果は一般に異なり,AB=0であってもBA=0になるとは限らず,逆も同様です.
このように,普通の文字式と比べると行列はとても「気むずかしい」ので,確実に成り立つと言える変形だけを使うことが重要です.

ここで述べる「零因子の存在」「積の計算において交換法則が成立しないこと」は,行列計算における代表的な落とし穴になっています.

A=,B=のとき,
A≠0かつB≠0であるが,
AB==
になります。
ただし,
BA==
は零行列にはなりません。
● 行列については零因子が存在するため,次のような変形はできません。
(X−A)(X−B)=0 → x=AまたはX=B
2=0 → X=0
--
【零因子の作り方】
A=,B=のとき,
AB=
だから,AB=0となるためには,
ap+br=0・・(1),aq+bs=0・・(2)
cp+dr=0・・(3),cq+ds=0・・(4)
(1)はベクトル(a,b)とベクトル(p,r)が垂直であればよく,
(2)はベクトル(a,b)とベクトル(q,s)が垂直であればよい。
したがって,まず(a,b)に対する関係から(p,r)と(q,s)は平行です。
次に,
(1)はベクトル(a,b)とベクトル(p,r)が垂直であればよく,
(3)はベクトル(c,d)とベクトル(p,r)が垂直であればよい。
したがって,(p,r)に対する関係から(a,b)と(c,d)は平行です。

(a,b),(c,d)の傾きをkとすると,これらは(a,ka),(c,kc)とおくことができ,これに垂直な(p,r),(q,s)の傾きは-1/kですが,右下図のようにx軸に垂直なものもありえますので,(p,r),(q,s)を(−kr,r),(−ks,s)とおけば,
(a,ka)//(c,kc)⊥(−kr,r)//(−ks,s)となります。



【問題】
各々正しいものを選んでください.

【問題】
≪1≫
 行列の右零因子を一つ求めなさい。(文字でなく数値で答えなさい。)
=
[ア]=,[イ]=,[ウ]=,[エ]=
≪2≫
 行列の左零因子を一つ求めなさい。(文字でなく数値で答えなさい。)
=
[オ]=,[カ]=,[キ]=,[ク]=
≪3≫
 (少し考える問題:上の解説を参考に考えなさい。)
行列A=が行列B=に対して左零因子かつ右零因子になっているような例を一つ求めなさい。(文字でなく数値で答えなさい。)
(この場合,行列Bも行列Aに対して,右零因子かつ左零因子となります。)
=
かつ
=
[ケ]=,[コ]=,[サ]=,[シ]=
[ス]=,[セ]=,[ソ]=,[タ]=

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■[個別の頁からの質問に対する回答][零因子について/17.6.1]
採点できませんでした。
=>[作者]:連絡ありがとう.2000年ごろに当時全盛期だったIEでエラーが起こらないようにテストしたものですが,現存するブラウザ(Chromeも含む)では文法が合わなくなっているようですので,訂正しました.・・・このプログラム,変化の速い業界で10年以上持ちこたえたようなのでご容赦を.