【要約】
【例】2つのベクトルの成分がのように与えられているとき,内積の定義 において, のように求めることができるから,これらを使って …(1) のように角θの余弦を計算することができる. ○さらに,次の角度については筆算の場合でも,cos θの値から角θが求まる.
と計算できれば(またはθ=60°)と答えることができる.
この角度は「結果を覚えているから答えられる」のであって,次の例のように結果を覚えていない角度については,このようには答えられない.
【例】となった場合,高校では逆三角関数を扱わないのでθ=...の形にはできない.
そもそも,ベクトルの成分と角θをつなぐ公式(1)は
このような問題では,必要に応じて「θはとなる角」などと文章で答えます.
ではなく の形をしており,cos θの値までしか求まらない.
【例題1】
(答案)のとき2つのベクトルのなす角θを求めなさい。(度で答えよ) だから θ=60° …(答)
【例題2】
(答案)のとき2つのベクトルのなす角θを求めなさい。(度で答えよ) だから θ=45° …(答)
【例題3】
(答案)のとき,2つのベクトルのなす角をθとするとき,の値を求めなさい. だから …(答) |
【問題】 ,だから θ=45°…(答) ,だから θ=60°…(答) ,だから θ=135°…(答) だから θ=90°…(答) ,だから …(答) (※この問題では,角度までは求まりませんが,cosθの値は求められます) |
【ベクトルの垂直条件】…(直交条件)
のとき,
※垂直(直角,90°)は1つの角度に過ぎませんが,実際に出会う問題は垂直条件(直交条件)を求めるものの方が多いので,この公式は重要
(解説)
(参考)
大学では,内積が0になる場合はの場合も含めて,「垂直」「直交」と定義しますが, 高校では零ベクトルの向きは考えないことになっていますので,「2つのベクトルが垂直である」というためには だけでなく も示すことになっています. ただし,として(0 , 0)以外の定数の成分が与えられているとき,それが零ベクトルでないことは自明ですので,「」の断り書きは省略できます.
【例題4】
(答案)のときが垂直となるように定数tの値を定めなさい.
よりt=−2…(答)
|
【問題】 より x=−6…(答) より x=±1…(答) |
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■[個別の頁からの質問に対する回答][ベクトルのなす角について/17.1.8]
図形など図があればもっといいと思う
=>[作者]:連絡ありがとう.現在筆者は次のように整理しています. (1) 高校数学で習うベクトルには,図形で表される「矢印ベクトル」と成分で表示される「成分ベクトル」とがあります.ベクトルのなす角というのは図形的な意味ですが,実際には成分計算だけでできることに慣れるというのが第1の目標です. (2) 3次元,4次元,5次元・・・今日では中学生でも多次元のデータを扱っていますが,そう言わないだけです.
このようにして,実生活で扱うデータのほとんどは多次元ベクトルに対応しており,図を使わずに大きな数値の表だけを見て「ベクトルのなす角」という夢を見る能力が必要となります.(この頁参照) (3) ご質問の頁は2次元ベクトルを扱っていますので,図を描こうと思えば描けますが,図があっても問題が解けるわけではありません.次のような意味合いで,1つや2つは図があってもよいとは思います. 3.1) 答が2つあって迷うような場合とか,方程式で求めた値に対して実際には図が描けないような場合に,図で検証することができる. 3.2) 文字ばかりの教材では暑苦しいが,ワンポイントの図があればリラックスでき,結果的に学習が進む. |