《剰余の定理》
◆◆ 例題 ◆◆
 整式f(x)をx−2で割ると4余り,x−5で割ると7余る.このときf(x)を(x−2)(x−5)で割った余りを求めなさい.
(答案)
 f(x)を(x−2)(x−5)で割った余りをax+bとおくと,
 f(x)=(x−2)(x−5)Q(x)+ax+bと表わせる.
f(2)=4 だから 2a+b=4・・・(1)
f(5)=7 だから 5a+b=7・・・(2)
(1)(2)より,a=1,b=2
よって,余りは x+2 ・・・(答)
要点:2次式で割ったときの余りは,1次式(以下)ですから,ax+bとおけます.
   問題文から,条件式が2つ作れるので,a,bが求まります.
 
◆◆ 問題1 ◆◆
 整式f(x)をx−1で割ると8余り,x+2で割ると2余る.このときf(x)をx2+x−2で割った余りを求めなさい.


(次のうちから選びなさい)
  2x+6 2x−6 6x−14
x−2 x+2 −2x+6 −6x+14
◆◆ 問題2 ◆◆
 整式f(x)をx−1で割ると2余り,x+3で割ると−6余る.このときf(x)を(x−1)(x+3)で割った余りを求めなさい.


(次のうちから選びなさい)
2x   −2x  2x−3 
−2x+3 −4x+6 4x−6

◆◆ 問題3 ◆◆
 整式f(x)をx2−3x+2で割ると3余り,
2−4x+3で割ると3x余る.このときf(x)を
2−5x+6で割った余りを求めなさい.


(次のうちから選びなさい)
3x+3  3x−3  6x+9
6x−9  9x+6  9x−6
◆◆ 例題 ◆◆
 整式f(x)をx2−4で割ると3x+2余る.このときf(x)を x−2 で割った余りを求めなさい.
(答案)
f(x)=(x−2)(x+2)Q(x)+3x+2とおく
f(2)=8 だから
余りは 8 ・・・(答)
要点:1次式で割ったときの余りは,剰余の定理で求まります.
◆◆ 問題4 ◆◆
 整式f(x)を(x−1)(x+2)で割ると3x−1余る.このときf(x)をx−1で割った余りを求めなさい.


(次のうちから選びなさい)
−3  −2  −1
      
◆◆ 例題 ◆◆
 整式f(x)をx2+1で割ると2余り,x+1で割ると4余る.
 このときf(x)を(x2+1)(x+1)で割った余りを求めなさい.


 
 

 

(答案)
※ x2+1のように因数分解できない式で割った余りが条件に示されているときは,剰余の定理を使いにくいので原始的に割り算実行で行います.
 (どうしても剰余の定理を使いたければ,i,−iを代入します.このとき係数a,b,cは実数とは限らないのでiと−iで2つの式を作ります.)
◆◆ 問題5 ◆◆
 整式P(x)をx2−2x+3で割ると余りがx+1,また,x−1で割ると,余りが6であるという.このときP(x)を(x2−2x+3)(x−1)で割った余りを求めなさい.


(答案)
2x+

◆◆ 問題6 ◆◆
 整式f(x)をx2+1で割るとx+4余り,x−2で割ると1余る.このときf(x)を(x2+1)(x−2)で割った余りを求めなさい.


(答案)
−x2+x+

◆◆ 例題 ◆◆
 整式P(x)は(x-1)2で割り切れるが,x−3で割ると4余る.このときP(x)を(x-1)2(x−3)で割った余りを求めなさい.

(答案)
(別解)
P(x)=(x-1)2(x−3)Q(x)+a(x-1)2とおく.
P(3)=4だから4a=4
a=1
2−2x+1・・・(答)
※ 完全平方式で割った余りが条件のときも,剰余の定理だけでは条件式が足りませんので,割り算実行が基本です.
◆◆ 問題7 ◆◆
 整式f(x)を(x+1)2で割ると2x+3余り,x−1 で割ると1余る.このときf(x)を(x+1)2(x−1)で割った余りを求めなさい.


(答案)
−x2

◆◆ 問題8 ◆◆
 整式f(x)を(x−1)2で割ると2x+1余り,x+1で割ると3余る.このときf(x)を(x−1)2(x+1)で割った余りを求めなさい.


(答案)
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■[個別の頁からの質問に対する回答][剰余の定理について/17.5.30]
割る式が2次式と4次式で 問題に聞かれるのが3次式の余りという応用の解き方だけ知りたかったです。(3次式は因数分解できないもので、割っている2次式と4次式とは何の因数も持たないパターンです。)
=>[作者]:連絡ありがとう.想像力豊かで物事を深く考える方のようですが,詰めが甘いのが弱点かもしれません.すなわち,アンダーラインをひいた箇所が,問題文を無にしており,そんな問題はありえないのです.・・・仮にそのような問題を出題したとすると,余りが定まらないのです.
【簡単な例】
xで割ると1余り,x+1で割ると割り切れる多項式を,x+2で割ったときの余りを求めよ」という問題があったとすると,仮定として与えられているx, x+1と求めるべきx+2が独立(割っている式と何の因数も持たないパターン)になっているので,答は定まらず,どんな余りでもありえます.
(1) f(x)=x+1とすると,xで割ると1余り,x+1で割ると割り切れる.この式をx+2で割ったときの余りは−1
(2) f(x)=(x+1)2とすると,xで割ると1余り,x+1で割ると割り切れる.この式をx+2で割ったときの余りは1
(3) f(x)=(x+1)(2x+1)とすると,xで割ると1余り,x+1で割ると割り切れる.この式をx+2で割ったときの余りは3
そもそも,条件で示される2つの式x, x+1と余りを求めたい式x+2何の因数も持たないパターンでは,答は定まらないのです.だからそういう問題はないのです.
※3次式が有理係数では因数分解できないが,無理係数,複素係数で因数分解でき,それらの因数が各々与えられた2次式,4次式の因数となっている問題なら解けます.
この頁とかこの頁の問題をやる方がためになるでしょう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][剰余の定理について/16.12.11]
例題の解説の後についている要点で納得することがあったので凄く助かりました! 問題も典型問題が多いし、ページも見やすいです。 難易度の高い問題も1.2題つけてもらえたら嬉しいです。大学の過去問レベルのもの等々……
=>[作者]:連絡ありがとう.