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【剰余の定理 I 】(要点)
多項式P(x)を1次式x−aで割った余りはP(a)に等しい。 【例 】 1. 多項式P(x)=x2+x+3を1次式x−1で割る計算は右のようになるが、このときの余りはP(x)のxに1を代入するだけで求めることができる。P(1)=12+1+3=5 2. 多項式P(x)=x2−3x+4を1次式x+2で割る計算は右のようになるが、このときの余りはP(x)のxに−2を代入するだけで求めることができる。P(−2)=(−2)2−3(−2)+4=14 【この定理を理解するために必要な予備知識 】 (1) 1次式で割った余りは定数 多項式をn次式で割ったときの余りは、割る式よりも次数が低い。上の例1では1次式x−1で割っているから余りは0次(定数)になる。 もし2次式で割っていれば、余りは1次式または定数になる。 もし3次式で割っていれば、余りは2次式、1次式または定数になる。 多項式の割り算では、割る式よりも次数が低くなったときに余りとする。割る式よりも次数が高いときや割る式と次数が同じときはまだ計算の途中だと考えなければならない。例1の計算で、右のような段階では2x+3は割る式x−1と同じ次数の1次式だから、この割り算はまだ終わっておらず計算の途中である。したがって、2x+3は余りではなく、上の例のように求めなければならない。 (2) A÷B=Q···R ⇔ A=BQ+R この関係式は「割り算の原理」(商と余りの関係)と呼ばれる。 A÷B=Q余りRのとき、A , B , Q , RはA=BQ+Rを満たす。(商Qは掛け算に参加するが、余りRは掛け算に参加しない。) 右図1のようにA÷B=Q余りRのときに「割り算の中身は引き算」であることに注意すると A−BQ=R となるから、移項すれば A=BQ+R が成り立つ。
例1のような割り算では、割り算が1階建てで終わるとは限らず2階建て以上になることがある。このような場合には、右図2のように預金を2回以上に分けて引き出しているだけだから、商としてxと2に分けて計算せずにQ=x+2でまとめて計算すると、残高RがA−BQで求められる。
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■剰余の定理で注意すべき点
※ 剰余の定理を初めて学ぶとき、「速く理解しよう」とか「能率よく理解しよう」などと考えると、おそらく身に着かない。少なくとも30分はこの定理を牛のように反芻する必要がある。特に、鉛筆やマウスを持ってスラスラと片付けようなどと考えるのは無理。 この定理は抽象的な論理でできているので、これを理解するには鉛筆もマウスも離して「腕組みをする」のが一番 図1 ![]() ![]() |
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【剰余の定理 I の証明】 多項式P(x)を1次式x−aで割ったとき、商をQ(x)、余りをRとおくと、割り算の原理(商と余りの関係)により P(x)=(x−a)Q(x)+R …(1) が成り立つ。 P(a)=(a−a)Q(a)+R すなわち P(a)=R …(2) になり、余りRがP(a)に等しいことが示される。■証明終り■
この定理はx−aで割ったときの余りを与えていることに注意しなければならない。
例えばx+1で割ったときの余りを求めるためには、 x−(−1)と考えてP(−1)を計算するとよい。 |
左の式(1)において与えられた多項式P(x)から余りRを求めるために R=P(x)−(x−a)Q(x) を使おうとしても、商Q(x)が分からないため、立ち往生してしまう。 この商Q(x)は正体がつかめないお化け(お化けのQ太郎・・・昭和の時代の有名キャラクター)なので、値を求めようとしても無駄である。 ところが、Q(x)の値が全く分からないときでも、これを「消す」方法が1つある。それは0を掛けるのである。すなわち、 0×Q(x) の形になるようにうまくxの値を選べば、Q(x)が分からなくてもこれを消すことができる。 (x−a)Q(x)の式の形に注意すると、そのようなxの値が1つだけあることが分かる。x−aが0となる値、すなわちx=aを代入するのである。 P(x)=(x−a)Q(x)+R xにx=aを代入すると P(a)=(a−a)Q(a)+R (1)式にx=aを代入すると両辺のxはすべてaに変わるので、P(x), Q(x)は各々P(a), Q(a)になる。
P(a)=0×Q(a)+RP(a)=R となって分からない値Rが与えられた式P(x)の値で表される。 |
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例 (1) P(x)=x2+2x+3をx−1で割ったときの余りは、 P(1)=12+2×1+3=6 (2) f(x)=2x3−x+5をx−2で割ったときの余りは、 f(2)=2×23−2+5=19 多項式に名前を付けて使うときは多項式polynomialの頭文字を使ってP(x)が使われることが多いが、一般の関数と同じようにf(x) , g(x)などもよく使われる。
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(3) P(x)=x2+2x+3をx+1で割ったときの余りは、 P(−1)=(−1)2+2×(−1)+3=2 (4) f(x)=2x3−x+5をx+2で割ったときの余りは、 f(−2)=2×(−2)3−(−2)+5=−9 |
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【剰余の定理 II 】(要点)
多項式P(x)を1次式ax+bで割った余りはP( − )に等しい。 ※ 定理I と比較すると見かけの符号が逆になっていることに注意
【例 】1. 多項式P(x)=2x2−3x+4を1次式2x+1で割ったときの余りはP(x)のxに − を代入すると求めることができる。 P(− )=2( − )2−3( − )+4=6 2. 多項式P(x)=2x2−3x+4を1次式2x−3で割ったときの余りはP(x)のxにを代入すると求めることができる。 P( )=2( )2−3( )+4=4 |
この定理II は上に述べた定理I が1次式x−aで割ったときの余りしか求められない(すなわちxの係数が1のときしか対応できない)のに対して、xの係数が1でないときにも適用できるように拡張したものである。
【剰余の定理II の証明】 多項式P(x)を1次式ax+bで割ったとき、商をQ(x)、余りをRとおくと、 P(x)=(ax+b)Q(x)+R …(1) が成り立つ。
この式において、値が分からないQ(x)を消すためには、Q(x)にかけてあるax+bの値が0となるようなxの値を代入すればよい。
(1)式にx= − を代入するとax+b=0を解くとx= − P( − )=(a( − )+b)Q( − )+R P( − )=(−b+b)Q( − )+R P( − )=0×Q( − )+R すなわち P( − )=R …(2) になり、余りRがP( − )に等しいことが示される。■証明終り■ |
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※ かなり難しい話(参考) 剰余の定理I において
「P(x)をx−aで割ったときの余りはP(a)に等しい」
というとき、aが整数という前提はどこにも使っていない。したがって、正確に言えば剰余の定理I はaが分数や無理数であっても成り立つことになる。そうすると、
「P( − )はP(x)をx+で割ったときの余りに等しい」
ことになる。このように考えると、剰余の定理II においてはP( − )はax+bで割ったときの余りを表すことになり、剰余の定理I においてはP( − )はx+で割ったときの余りを表すことになる。 これらの話は矛盾しない。(右の解説を見よ→) |
(左欄から続き) 上の例1において、P(x)=2x2−3x+4を1次式2x+1で割ったとき余りはP( − )=6となるが、実際に割り算をしてみると 2x2−3x+4=(2x+1)(x−2)+6 になる。 他方で、P(x)=2x2−3x+4を1次式x+ で割ったとき余りはP( − )=6となるが、これは 2x2−3x+4=(x+ )(2x−4)+6 を表している。 一般に、多項式の割り算において割る式を定数倍したとき、商はその定数で割ったものになるが余りは変わらない。 したがって、P( − )を剰余の定理II の内容として「ax+bで割ったときの余り」と考えてもよく、剰余の定理I の内容として「x+で割ったときの余り」と考えてもよいことになる。 (他の例) 2x2−x+1=(2x−3)(x+1)+4 2x2−x+1=(x− )(2x+2)+4 となるから、2x2−x+1を2x−3で割ったときの余りとx− で割ったときの余りは等しい。 |
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【2次式で割ったときの余り】 剰余の定理は1次式で割ったときの余りを与えるものなので、そのまま使えば2次式で割ったときの余りは求められない。 例えば、多項式x3−2x3+x+7を2次式x2−3x+2で割ったときの余りを求めるためには、剰余の定理の結果を覚えているだけでなく剰余の定理の証明の仕方に立ち返って式を組み立てる必要がある。
(A) 右の答案において、「2次式で割ったときの余り」を求めているのだから、余りは割る式(2次)よりも次数が低く1次または定数になる。したがって、余りはax+bとおける。(このa,bの値を求めるとよい。もしa=0なら、余りは定数になる。)
(B) 右の例のように、割る式が(x−1)(x−2)のように因数分解できるときはQ(x)に掛けてある式が2つあることになるから、0×Q(x)のようにQ(x)に0を掛けて消すことのできる値が2つ見つかる。(この例ではx=1とx=2) 割る式が(x−1)2のような重解型であったり、x2+1のような虚数解型であるときはやっかいな問題になるが、この例のように異なる2つの実数解がある型のときは、2つの値を代入することによって、(2)(3)のように連立方程式が得られる。(未知数が2個だから方程式が2個作れれば、連立方程式として解ける。) |
例1
多項式P(x)=x3−2x2+x+7を2次式x2−3x+2で割ったときの余りを求めよ。 (答案) 2次式x2−3x+2で割ったときの余りは1次式(以下)になるから、求める余りをax+bとおく。 …(A) P(x)=(x−1)(x−2)Q(x)+ax+b …(1) (1)式にx=1を代入 …(B) P(1)=a+b a+b=7 …(2) (1)式にx=2を代入 …(B) P(2)=2a+b 2a+b=9 …(3) (2)(3)をa,bの連立方程式として解くとa=2 ,b=5 ゆえに、余りは2x+5 …(答) |
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例2
多項式x3−x2+ax+bをx−1で割ると2余り、x−2で割ると3余るとき、a, bの値を求めよ。 (答案) x=1を代入 a+b=2 …(1) x=2を代入 8−4+2a+b=3 …(2) (1)(2)よりa=−3 , b=5 …(答) |
例3
多項式P(x)をx−1で割ると2余り、x+3で割ると−6余るとき、P(x)をx2+2x−3で割ったときの余りを求めよ。 (答案) P(x)=(x−1)(x+3)Q(x)+ax+b …(1) とおく。 x=1を代入(剰余の定理からx−1で割った余りはP(1)に等しいが、問題文からこれは2になる) a+b=2 …(2) x=−3を代入(剰余の定理からx+3で割った余りはP(−3)に等しいが、問題文からこれは−6になる) −3a+b=−6 …(3) (2)(3)よりa=2 ,b=0 ゆえに、余りは2x …(答) |
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例4
多項式P(x)を(x−1)(x+2)で割ると3x−1余るとき、P(x)をx−1で割ったときの余りを求めよ。 (答案) P(x)=(x−1)(x+2)Q(x)+3x−1と書ける。 ゆえに、P(1)=2 …(答) |
例5
多項式P(x)をx2−3x+2で割るとx+1余り、x2−4x+3で割ると3x余るとき、P(x)をx2−5x+6で割ったときの余りを求めよ。 (答案) P(x)=(x−2)(x−3)Q(x)+ax+bとおく。…(1) P(x)=(x−1)(x−2)Q’(x)+x+1によりP(2)=3…(2) またP(x)=(x−1)(x−3)Q"(x)+3xによりP(3)=9…(3) (1)にx=2, x=3を代入 P(2)=2a+b=3…(4) P(3)=3a+b=9…(5) これより、a=6 , b=−9 ゆえに、余りは6x−9 …(答) ■読み終わったら→ ここ ←をクリック■ |