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== 循環小数の計算 ==
《 解説 》
■同じ数字だけが繰り返し現れる小数を循環小数といいます.
 一つの数字が繰り返されるときは,その数字の上のドット(・)を付けて表わします.
 二つ以上の数字のかたまりが循環しているときは,循環する数字の両端(だけ)にドット(・)を付けます.


■循環しない部分(先頭部分だけ)と循環する部分があるとき,小数の循環する部分について循環する数字の両端(だけ)にドット(・)を付けます.(上の例のように循環する小数だけからなるものを純循環小数,この例のように循環しない部分と循環する部分からなるものを混循環小数ということがあります.)


■循環小数は,無限等比級数の和の考え方で分数に直すことができます.
 <例1>
  0.111111・・・・ = 0.1+0.01+0.001+0.0001+・・・ は,初項0.1,公比0.1の無限等比級数だから,
 和は,です.
 <例2>
  0.565656・・・ = 0.56+0.0056+0.000056+・・・ は,初項0.56,公比0.01の無限等比級数だから,
 和は,です.

※ 公式を作ることもできますが,覚えるほどのものでもないでしょう.



■循環小数の和差積商は,分数を経由して循環小数に直すことができます.
 <例3>
 次の値を循環小数で表わしなさい.
 (最後のところで,分数を小数に直すには,割り算によります.)



《問題》 次の値に等しいものを右の欄から選びなさい.



[第1問 / 全16問]





(参考1)
 1=0.9999・・・ です.同様にして,2=1.99999・・・です.
 このようにして,(0以外の)すべての有限小数は,有限小数による表記と循環小数による表記の二つの表記法を持ちます.むしろ無限小数の表記法にそろえれば,有理数、無理数のいずれも末尾に0が並ばない無限小数でただ一通りに表わされることになります.(0だけは末尾に0が並びます.)これにより,すべての桁が同じ小数は同一の数を表わし,一つの桁でも異なるときは異なる数を表わすことになります.
・・・(この原理はカントールの対角線論法にも使われています.)
 循環しない無限小数(=無理数),循環する無限小数(=有理数)いずれの場合でも,すべての位の数が確定すれば,それは一つの数を表わすのは自明あって,そのような数が存在することの証明を高校生に要求するのは酷でしょう.(たとえば,0.101001000100001000001・・・は循環しない無限小数だから,無理数です.しかし,これが「数」であることの証明は必要か?有界かつ単調な数列は収束すると言わせるのは,高校数学の範囲を逸脱すると思われる.)
 そこで,次のような答案を私は正解にしますが,他の先生なら”収束することが証明されていない”という観点から(誤答とはしないまでも)減点の対象とするかもしれませんので,お勧めはしません.
<例1>
0.11111・・・ を分数で表わしなさい.
<答案>
   x=0.11111・・・ (1) とおく.
10x=1.11111・・・ (2) だから,
(2)-(1) より 9x=1
ゆえに x=1/9・・・(答)

<例2>
0.121212・・・ を分数で表わしなさい.
<答案>
     x=  0.121212・・・ (1) とおく.
100x=12.121212・・・ (2) だから,
(2)-(1) より 99x=12
ゆえに x=12/99=4/33・・・(答)


 収束の証明が要求されていないとき,能率よく分数に直すために,この方法を用いることができます.(ヒケツは,循環節の長さだけ「頭出しする」ところにあります.)


(小話)
 どこかの修学旅行で、バスの中で誰かが出したクイズ:
次の記号はある人の仕事を表わしています。何の仕事でしょう?
「2.999・・・」
 出題者の解答は「ほぼ3」→「保母さん」でしたが、数学的には、「2.999」は「ほぼ3」ですが、「2.999・・・」は「正確に3」「きっちり3」「ちょうど3」でしょう。場がしらけるといけないので黙っていましたが、「・・・」を付けると無限小数になるので、「・・・」なしで出題すべきです。
(※今日の用語では保母→保育士)

(参考2:好き者の読み物)
1. 循環節が長い分数の例

は,いずれも循環する部分(循環節)が1桁です.
しかし,分数の中には

のように循環節の長さが6桁もあるような長いもののあります.どのような特徴があるか見てみましょう.
⇒循環節は16桁
なお,2桁の数で割る場合,余りは2桁になることがあります.循環するかどうかは同じ余りが登場するかどうかで判断し,循環小数として見えている部分に同じ数(商)が登場しても,そこから繰り返しになるとは言えません.
この例で言えば,小数第2位に5が登場してから,小数第7位に再び5が登場しても,「ここから繰り返し」とは言えません.
2桁目の5で割ったときの余りは15ですが,7桁目の5で割ったときの余りは5です.余りが等しくないので,まだ循環していません.
3桁目の8,4桁目の8についても同様です.
⇒循環節は22桁
……
0.0103092783505154639175257731958
762886597938144329896907216494845
36082474226804123711340206185567
⇒循環節は96桁
0.0051813471502590673575129533678756
476683937823834196891191709844559585
492227979274611398963730569948186528
497409326424870466321243523316062176
165803108808290155440414507772020725
38860103626943
⇒循環節は192桁

2. 有限小数になる分数の特徴
 整数÷整数(簡単にするために正の整数に限る)の形で表される分数(ここでは既約分数に限る)には,有限小数になるものと無限小数になるものとがあります.
 有限小数になる(小数点以下のどこかの位で割り切れる)分数は,


のように「分母がの形になっている分数」だけです.
 これは次に示す例のように,表記法として10進法で書いているからです.
 例えば,小数の0.23はです
同様にして,小数の0.234はです
 中高の数学では,文字を書き並べると掛け算の省略を表しますが,ここでは0.4567のような各桁の数字をアルファベットで書いて,0.abcdと書くことにすると
この右辺を通分すると

(abcdが2や5で割り切れるときは,約分できます)
 上の例は,小数点以下が4桁の小数でしたが,この桁数を変えれば他のものも同様に考えられます.
 例えば,は分母が2の倍数になっているので,有限小数になりますが,2が3個あるので,とりあえずの上に乗せるとよい.

は分母が2と5だけの倍数になっているので,有限小数になりますが,5が4個あるので,とりあえずの上に乗せるとよい.


3. 無限小数になる分数の特徴
(1) 既約分数で,分母に2と5以外の因数があるときは,無限小数になりますが,その無限小数は必ず循環小数になります.すなわち,整数の部分や初めの幾つかの桁で循環しない部分が含まれる場合がありますが,小数点以下のどこかの桁から先は繰り返しになります.
 右図に示すように,有理数(整数÷整数の分数)であるか無理数であるかの区別は,有限小数になるか無限小数になるかの区別には関係ありません.
 無限小数は,コウモリ軍団のように有理数にも無理数にも入っていることに注意してください.
 有理数と無理数を分けているのは「循環するか,循環しないか」です.
(2) 分母がの既約分数を小数に直したとき,無限小数になる場合でも循環節の長さが以下の循環小数になることは,次のようにして示すことができます.

の例を見てみると,循環節として表で目立っている数字142857は割り算では「商」と呼ばれる部分ですが,ここでは裏で頑張っている余りの数字326451の方に注目します.
 7で割ったときの余り r は0<r<7の6種類だけです.
(余りは割る数よりも小さいからr<7.次に,r=0なら割り切れて有限小数になりますが,ここでは有限小数になるものは扱っていないので r≠0.したがって,1≦r≦6の6種類しかありません)
 ところで,割り算の計算は,出てきた余りに0を付けて,次の桁に入る商の数字を探す作業の繰り返しです.
 初め1があって,0を付けて計算を始めましたが,どこかの段階で余り1が出てきたら,そこまでの作業が繰り返されることは明らかです.
 今,7で割った余りは6種類しかないので,一つも重ならないときでも,7回目には必ず同じ余りが登場します.
 すなわち,循環節の長さは長くても6までです.
 一般に,分母がの既約分数を小数に直したとき,無限小数になる場合,割り算の各ステップに登場する余りは種類だから,異なる余りが登場できるのは最長でも回になる.したがって,循環節の長さは長くても桁になります.

4. 循環節が長い分数のパターン
(1) フルに頑張るタイプ
 ⇒ 分母がで循環節の長さが桁となるもの
初めに例として示した,などがこれに当たります.
 分母が100以下の整数となる既約分数では,分母が次の値nのとき,循環節の長さがn−1桁になります.
これに該当しているのは素数ばかりですが,素数の全部がこれに該当するのでなく,11, 13, 31, 37, ...のように以下の(2)(3)...に登場するものもあります
7, 17, 19, 23, 29, 47, 59, 61, 97の9個
(2) 半分まで頑張るタイプ
 ⇒ 分母がで循環節の長さが桁となるもの

⇒1≦r≦12のうち6種類の余り1,10,9,12,3,4で一巡するので循環節の長さは6桁になります.

⇒1≦r≦30のうち15種類の余り1,10,7,8,18,25,2,20,14,16,5,19,4,9,28で一巡するので循環節の長さは15桁になります.
このタイプになる分母は,100以下では,他に次のものがあります.43,67,71,83,89を含めて計7個
(3) 3分の1まで頑張るタイプ
 ⇒ 分母がで循環節の長さが桁となるもの
このタイプになる分母は,100以下にはありませんが,1000までなら次のものがあります. 103, 127, 139, 331, 349, 421, 457, 463, 607, 661, 673, 691, 739, 829, 967
(4) 他の素数
4分の1まで頑張るタイプとして53, 173, 277, 317, 397, 769, 773, 797, 809, 853があります.
5分の1まで頑張るタイプとして11,251があります.
6分の1まで頑張るタイプとして79,547,643,751,907,997があります.
(5) 合成数でも(2)のタイプ以上に頑張るものがあります.
100以下の整数について,各々分母がで循環節の長さがの何パーセントかを示したもの.
49=7×787.5%
14=2×753.84%
34=2×1751.51%
38=2×1951.35%
46=2×2351.11%
58=2×2950.87%
94=2×4750.53%
例えば

は,49=7×7であって,1から48までの48種類の余りの内で7,14,21,28,35,42の6種類の余りだけはなく,それ以外の余りで循環節の長さ42桁を実現しています.
また

は,14=2×7であって,1から13までの13種類の余りの内で1,3,5,7,9,11の奇数6種類の余りは登場せず,偶数2,4,6,8,10,12だけの余りで循環節の長さ6桁を実現しています.
(7分の1と比べると,循環節に登場する数字の並びは同じで前に巡回しない部分が増えたものになっています.)


5かけて10で割った等しいが,5を掛けると数字を回したものになるので,それを1桁下げたものになる.



を1桁下げたものになる.
以下同様に,つぎの分数も循環しない1桁が先頭に追加されるだけになる.





5. 循環節に登場する数字
 上の4.(1)に登場したフルに頑張るタイプでは,分子が変わっても,「循環節に登場する数字の並びは変わらずに回るだけ」という特徴があります.これに対して,(2)の半分まで頑張るタイプでは,分子が変わったとき2種類の循環節が登場します.11では5種類になります.以下,実際に見てみます.
(1) フルに頑張るタイプ






これらの循環小数では,循環節142857の各数字が1回ずつ先頭になっていることが分かります.
 おっと,これは仕方がない
 整数部分が付くだけ.以下同様


(2) 半分まで頑張るタイプ












赤で示した第1タイプ:076923を回したものと,第2タイプ:153846を回したものが,各々目一杯頑張っていることが分かる.



……



(4)分母が11の場合は,5種類の循環節になります











6. 循環節に登場する数字(その2)
純循環小数の分母は9999…9になるので,あらかじめ9999…9の素因数分解をしておくと見通しがよくなります.
【9999…9の素因数分解】
999=33×37
9999=32×11×101
99999=32×41×271
999999=32×7×11×13×37
9999999=32×239×4649
99999999=32×11×73×101×137
999999999=34×37×333667
9999999999=32×11×41×271×9091
99999999999=32×21649×513239
999999999999=32×7×11×13×37×101×9901

を例にとって,循環小数の分母と分子の関係を見てみますと

したがって,循環節142857は33×11×13×37になります.(分数の約分をみれば,納得します)

を例にとって,循環小数の分母と分子の関係を見てみますと

したがって,循環節2439は32×271になります.

を例にとって,循環小数の分母と分子の関係を見てみますと

したがって,循環節1369863は32×11×101×137になります.

を例にとって,循環小数の分母と分子の関係を見てみますと

したがって,循環節41841は32×4649になります.
4.の循環節が長い分数のパターンで紹介した

では,

だから,これを循環小数に直すには,分母が9999…9の形になるものの内で72で割り切れるものを探さなければなりませんが,それが最初に登場するのが1042−1になります.
1042−1=33 ×72 ×11 ×13 ×37 ×43 ×127 ×239 ×1933 ×2689 ×4649 ×459691 ×909091 ×10838689
=999999999999999999999999999999999999999999
そのとき,33 ×11 ×13 ×37 ×43 ×127 ×239 ×1933 ×2689 ×4649 ×459691 ×909091 ×10838689
=20408163265306122448979591836734693877551 が循環節になります.

[注]直前にPC版から入られた場合は,自動転送でスマホ版に来ていますので,ブラウザの[戻るキー]では戻れません(堂々巡りになる).下記のリンクを使ってメニューに戻ってください.
...(携帯版)メニューに戻る

...(PC版)メニューに戻る


■東京都[TKさん/17.6.19]
純循環小数と、混循環小数について、それぞれの数を分数に直した時に何か規則性はありますか?
=>[作者]:連絡ありがとう.市販の公式集に出ていますが,次のようになるので規則性はあると言えるでしょう.
【純循環小数】小数第1位から循環節が始まり,循環節の長さがn桁であるとき
の場合
両辺に10000を掛けて頭出しをすると


(小数点以下が同じになって,引けば消えるところがミソ)
(約分できるときは約分してまとめる.以下同様)
一般に,循環節の長さがn桁の純循環小数の場合

のように,分子がn桁の循環節になり,分母が9をn個並べた数字になります.
【混循環小数】小数第1位からm桁まで循環しない部分があって,その下に循環節の長さn桁の循環部分が続くとき(循環しない先頭部分には整数があってもかまわないがここでは整数部分のない例で示す)
の場合
両辺に10000000を掛けて頭出しをすると

両辺に1000を掛けて頭出しをすると



一般に,小数第1位からm桁まで循環しない部分があって,その下に循環節の長さn桁の循環部分が続くときの場合

になります.
※これらの計算自体は,無限等比級数の和について詳しく理解していなくても,「頭出しして引くだけでできる」ので,昭和30年代の田舎の公立中学校で普通に習った覚えがある.(教科書には載っていなかったかも)
■[個別の頁からの質問に対する回答][循環小数の計算について/17.3.30]
ある数に属するすべての位の数は確定しません。言い換えると、ある数のすべての位は集合を作りません。(ある数の小数点以下のすべての位は集合を作ります。) 循環する数字の9に対する比ではいけないでしょうか?
=>[作者]:連絡ありがとう.そもそも誰が何を言っているのかが伝わりません.この文章は筆者の言葉ではありません.また,どこかの書物なりWeb記事なりにこのような文章が書いてあるはずがありません.とすると,あなたがそう思うということですか?
質問の仕方が変ですが,たぶんあなたの独自学説だろうと考えて,回答します.
前半の文章は,数学用語を間違った使い方で使っておられるので,支離滅裂で意味をなしていません.最後の「9に対する比」という質問に対しては,あなたの思考に即して循環部分だけについていうと,上の例題で述べているように,循環節のながさが1のときは9に対する比になります(n/9)が,循環節の長さが2のときは99に対する比,・・・循環節の長さがnのときは999・・・9(n桁)に対する比になります.