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== 逆関数 ==
《要約》
【逆関数の求め方】
  (I) y= … の形の式を x= … の形に解く.
  (U) 独立変数を x で表わす習慣に従って,変数 x , y を入れ換える.
【逆関数の記号,定義域・値域】
  (1) 関数 f(x) の逆関数を f −1(x) で表わす.
  (2) ある関数とその逆関数とでは,定義域と値域が入れ替わる.
【逆関数が存在するための条件】
   関数 y=f(x) の逆関数が存在するためには,関数 y=f(x)1対1の関数でなければならない.
   高校で扱う関数で言えば,「単調増加関数」または「単調減少関数」がこれに対応する.
【逆関数の性質】
   ある関数 y=f(x) のグラフとその逆関数 f −1(x) とは y=x の直線に関して対称になる.
   ある関数 y=f(x) のその逆関数 f −1(x) とを合成すると,恒等関数 I(x)=x になる.

○ 逆関数とは
 関数 y=2x+1 を考えてみると,x の値と y の値は次の表1のように対応している.
表1
x - 2 - 1 0 1 2 3
y - 3 - 1 1 3 5 7

 表1と逆の対応を考えると,表2のようになる.
表2
x - 3 - 1 1 3 5 7
y - 2 - 1 0 1 2 3

 表2の対応を式で書けば y=

 このとき,関数 y= を,元の関数 y=2x+1逆関数という.

○ 逆関数の求め方
図1

 次図1のような対応を考えると,y の値から x の値への対応を求めればよいのだから,
(I) y=2x+1 を変形して x= にする.(形はこれで求まっている)
(U) 通常,独立変数を x で,従属変数を y で表わす習慣に従って,変数 x , y を入れ換えると,

y= (習慣の問題)
 よって,関数 y=2x+1 の逆関数は y=

 【逆関数の求め方】
(I) y= … の形の式を x= … の形に解く.
(U) 独立変数を x で表わす習慣に従って,変数 x , y を入れ換える.


 y=−1 の逆関数を求めるには
(I) x について解くと 3y=x−3x=3y+3
(U) 変数 x , y を入れ替えると y=3x+3 …(答)


(舞台裏1)
 y=2x+1 …(1) と x= …(2) とは同じ関係式である.
 これは,(2)の両辺を2倍して1加えると(1)に戻ることからも分かる.

 では,元の関数とその逆関数の違いが出る鍵はどこから生じたのかと考えると,(U)の変数の入れ換えが原因になっている.

y=2x+1 ←同値→ x=
逆関数 ↓↑
__________________________y=

 しかし,逆関数の「形」は(I)の段階で完全に得られている.

(舞台裏2)
 上記の(I)(U)の順序を逆にしてもよいと考えられるが,実際に高校生が問題を解く場面を考えてみると,(I)(U)の順の方が間違いが少ない.
 すなわち,最後は y= … の形にするとすれば,途中の変形が複雑になる場合に備えて,「初めに (U) x , y を入れ換えて,次に(I) y について解く」と考えれば,同じことになるはずだが,高校生が問題を解くときはスムーズに行かないようである.

例1 y=2x+1 →U→ x=2y+1 →I→ y= はうまく行く.
例2 y=(x−1)2+3 ( x1 )→ x=(y−1)2+3 ( y1←定義域ではない!! ここで混乱!!

○ 逆関数を表わす記号,定義域と値域

(1) 関数 f(x) の逆関数を f −1(x) で表わす.

    f(x)=2x+1 のとき,f −1(x)=

(2) ある関数とその逆関数とでは,定義域と値域が入れ替わる.
    y=2x+11x4 , 3y9 )のとき,

    その逆関数は y=3x9 , 1y4

※ 関数の定義域が明示されていないときは,その関数が定義できる最も広い範囲を考え,対応する値域を値域とする.
 f(x)=2x+1x は全実数,y は全実数
 f(x)=x2 , y0

 f(x)=x2 , y0
(2)について
 y=2x+11x4 , 3y9 )のとき,
これを
 (I) x について解いても, x , y の関係式としては同じもので,定義域,値域が入れ替わる原因はここにはない.
 y−1=2x1x4 , 3y9

 x=1x4 , 3y9

(U)の操作で文字 x , y を入れ替えるから,定義域と値域が入れ替わる.

 y=1y4 , 3x9
 定義域を先に書くと
 y=3x91y4

(舞台裏3)
(1)について
  f −1(x) が1つの記号であって, を表わす訳ではなく,
f −2(x) という記号も高校では使わない.

f(x)=2x+1 のとき,f −1(x)=
 三角関数 y=sin x の逆関数 sin−1x や行列 A の逆行列 A−1 の記号もこれと同様.

(舞台裏4)
(2)について
 (U)の操作で文字を入れ替えるので,その文字に着いている範囲(定義域と値域)も変る.

○ 逆関数が存在するための条件

 関数 y=f(x) の逆関数が存在するためには,関数 y=f(x)1対1の関数でなければならない.(より正確には,「上への1対1の関数」)

 高校で扱う関数で言えば,「単調増加」または「単調減少」の区間を定義域とすれば逆関数が存在する.

 そもそも関数が定義できるためには,各々の x の値に対して対応する y の値がただ一つ定まらなければならない.
xy が,通常の意味での関数でない例)
図2
 逆の対応 yx が定まるためには,1つの y に対して対応する x がただ一つ定まらなければならないが,次図3のような場合, yx は,ただ1つの x に対応していない.
 このように,元の関数 y=f(x) で「異なる2つ以上の x の値が1つの y に対応していると,逆向きの対応がただ1つに定められない.」

逆関数が存在しない例
 次の図3の関数 y=x2 では
逆の対応( x について解いたもの)は  x=±
 y を決めても x がどちらか決まらない.
 図4についても同様

  図3 図4
逆関数が存在する例
 これに対して,次図5 y=x2 ( x0 )では,単調増加の区間だけを定義域としているので,y0 の値に対して,対応する x の値がただ1つ定まるので,逆関数が存在する.
図5

 元の関数全体を扱うと増加の区間,減少の区間があって逆関数が定義できないときでも,単調増加(または単調減少)の区間だけを定義域にすると逆関数が定義できる.
 次の図6では,y=(x−2)2+1 ( x2 )に対して,逆関数が求められる.
 y=(x−2)2+1 ( x2 , y1
 (x−2)2=y−1 ( x2 , y1
 x−2= ( x2 , y1【重要】 x−20 だから
 x=+2 ( x2 , y1
文字を入れ替えると
 y=+2 ( x1 , y2
図6
※ y=(x−2)2+1 ( x2 )の逆関数は次の通り.
 x−2=− ( x2 , y1【重要】 x−20 だから
の文字を入れ替えて y=−+2 ( x1 , y2

○ 逆関数のグラフ
 関数 y=f(x) のグラフとその逆関数 y=f −1(x) のグラフとは,直線 y=x に関して対称になる.
(解説)
y=f(x)x=f −1(y) とは x , y の関係式としては同じもので,書き方を替えただけのものなので,点 (a , b)y=f(x) 上にあれば,x=f −1(y) 上にもある.( b=f(a)a=f −1(b)
 ここで,文字 x , y を入れ替えると次図のように縦横が入れ替わるから,直線 y=x に関して対称な点に移動する.
 すなわち,点 (a , b)x=f −1(y) 上にあれば,a=f −1(b) が成り立ち,点 (b , a)y=f −1(x) 上にある.
 関数 y=ex のグラフと y=log x のグラフは y=x の直線に関して対称
 関数 y=f(x) とその逆関数を合成すると,恒等関数 I(x)=x になる.すなわち,
ff −1=I
f −1f=I
※ この関係を逆関数の定義とすることができる.すなわち,定義域に属するすべての値について
fg=I
gf=I
が成立するとき,g(x)=f −1(x) , f(x)=g −1(x) としてよい.
※ 恒等関数 I(x)=x とは,どんな x の値に対しても,それと同じ値をとる関数で,簡単に言えば y=x の関数のこと.

_______________関数と逆関数を合成すると元に戻る
 関数 f(x)=ex の逆関数は
f −1(x)=log x
ff −1=elog x=x
f −1f=log (ex)=x
 関数 f(x)=x2 ( x0 , y0 ) の逆関数は
f −1(x)= ( x0 , y0 )
ff −1=()2=x
f −1f= =x

例題 関数 f(x)= の逆関数が f(x) と一致するように定数 a の値を定めよ.
(答案)
 ff=I が必要十分条件となるから,

ff====x より

a+1=0a=−1 …(答)



問題1 [基本のチェック]
[ 第1問 / 全6問中 ]  [ Help ] [ 次の問題 ]
 次の関数の逆関数を求めよ.(下の選択肢から選べ.) 

 
問題2 [章末問題レベル]
[ 第1問 / 全3問中 ] [採点する ] [ Help ] [ 次の問題 ]

【類題と答】
 次の関数の逆関数を求め,その定義域,値域を述べよ.
(1)

(解答)
 「関数の定義域が明示されていないときは,その関数が定義できる最も広い範囲を考え,対応する値域を値域とする」から,
元の関数の定義域は,このとき値域は

について解くと

…(T)
(T)の変数を入れ換えると
…(U)
したがって,逆関数はで,その定義域は,値域は…(答)
(2)

(解答)
 「関数の定義域が明示されていないときは,その関数が定義できる最も広い範囲を考え,対応する値域を値域とする」から,
元の関数の定義域は,このとき値域は

について解くと

…(T)
(T)の変数を入れ換えると
…(U)
したがって,逆関数はで,その定義域は,値域は…(答)

(3)

(解答)
 元の関数の定義域はだから値域は

について解くと


だから

変数を入れ換えると

したがって,逆関数はで,その定義域は,値域は…(答)
(4)

(解答)
 元の関数の定義域はだから値域は

について解くと


だから

変数を入れ換えると

したがって,逆関数はで,その定義域は,値域は…(答)

(5)

(解答)
 元の関数の定義域はだから値域は

について解くと


変数を入れ換えると

したがって,逆関数はで,その定義域は,値域は…(答)
(6)

(解答)
 元の関数の定義域はだから値域は

について解くと


変数を入れ換えると

したがって,逆関数はで,その定義域は,値域は…(答)

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基本のチェックの2問目で解答の配置が悪いと思います。 √2xを選んだつもりで(3)を選んだのに…
=>[作者]:連絡ありがとう.謎の暗号のような感想を解読するのにとても時間がかかりました.読者が「基本のチェックの2問目で解答の配置が悪いと思います。」と述べていることから「Edgeというブラウザを使ったら,ほかのブラウザと全く異なる配置になることがある」という意味だと分かって,ようやく訂正できました.⇒ブラウザなどの情報も書いてください.
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テスト前にこのページを見ていたのですが、大変わかりやすかったです。
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