== ベクトルの差 ==
【考え方1】・・・「ベクトルの差」は「逆ベクトルの和」と考える方法
2つのベクトル , の差 −は、次の図のように、ベクトル にベクトル の逆ベクトル
−を加えたものと定義します。
[注意] −
と − は別のものです。(向きが逆になります。)
[要点] 「ベクトルの差は、逆ベクトルの和で定義する」
ベクトル \( \vec{a} \)
にベクトル \( \vec{b} \)の逆ベクトル
\( -\vec{b} \)を「接ぎ木」のようにつないで,
\( \vec{a} \)の始点から
\( -\vec{b} \)の終点を結んだものを,ベクトルの差
\( \vec{a}-\vec{b} \)と決める.
【例1】

右上の図において(1)の問題に対して, \( \vec{a}-\vec{b} \)を作図するには,初めに(2)のように逆ベクトル \( -\vec{b} \)を作り,次に(3)のように接ぎ木するとよい.
右下の図も同様
※ベクトルは「大きさ」と「向き」だけで決まるので,『どこに描いてあるか』は関係ない.そこで,(2)で逆ベクトル \( -\vec{b} \)を作図してから(3)で接ぎ木するときに, \( -\vec{b} \)を自由に平行移動できる.
【考え方2】・・・2つのベクトルの始点がそろっている場合
原点Oを始点とする2つのベクトル \( \overset{\longrightarrow}{OA} \)を
\( \vec{a} \),
\( \overset{\longrightarrow}{OB} \)を
\( \vec{b} \)で表す場合,2点A, Bを結ぶベクトル
\( \overset{\longrightarrow}{AB} \)は, \( \overset{\longrightarrow}{AB}=\vec{b}-\vec{a} \)
で表される.
(解説)
\( \overset{\longrightarrow}{AB}=\overset{\longrightarrow}{AO}+\overset{\longrightarrow}{OB}=-\vec{a}+\vec{b} \)
だから
\( \overset{\longrightarrow}{AB}=\vec{b}-\vec{a} \)
になります.

【注意】
1.この関係は2つのベクトル \( \vec{a},\vec{b} \)の始点がそろっている場合だけ成り立ち,右図のように始点がそろっていない場合には \( \overset{\longrightarrow}{AB}=\vec{b}-\vec{a} \)とはなりません.

2. \( \overset{\longrightarrow}{AB}=\vec{b}-\vec{a} \)です. \( \overset{\longrightarrow}{AB}=\textcolor{red}{\vec{a}-\vec{b}} \)ではありません.
危険な落とし穴
「漫然と矢印の流れに目がついて行くためか」
\( \overset{\longrightarrow}{AB}=\textcolor{red}{\vec{a}-\vec{b}} \)という間違いがビックリするほど多い!
覚え方としては
(終点)−(始点)
の形になると考えます.
【例2】

(1) 右図において2点 A, Bを結ぶベクトル \( \overset{\longrightarrow}{AB} \)は,
\( \vec{b}-\vec{a} \)で表される.
(2) また2点 A, Bを結ぶベクトル \( \overset{\longrightarrow}{AB} \)は, \( \vec{q}-\vec{p} \)と表すこともできる.
(2)は次のように示すことができます.
\( \overset{\longrightarrow}{AB}=\overset{\longrightarrow}{AC}+\overset{\longrightarrow}{CB}=-\vec{p}+\vec{q} \)
だから
\( \overset{\longrightarrow}{AB}=\vec{q}-\vec{p} \)
※始点がそろっていれば,始点が原点以外の1点(C)であっても,(終点)−(始点)になります.
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