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== 整数の入試問題1 ==
【例題1】
a3−b3=65を満たす整数の組(a, b)をすべて求めよ.
(京大2005年前期文系)
(解説)
左辺を因数分解し,右辺を素因数分解すると
(a−b)(a2+ab+b2)=5×13…(1)
だからa−b>0となるものを求める.
可能な組み合わせは次の表の通り.

(1)(2)(3)(4)
a−b151365
a2+ab+b2651351
※方針が決まったら,体力勝負になってもやるしかない
(1)の場合,次の連立方程式を解く
a−b=1…(1.1)
a2+ab+b2=65…(1.2)
(1.1)よりa=b+1
これを(1.2)に代入
3b(b+3)=64
と変形して左辺は3の倍数,右辺は3の倍数でないと述べてもよい
(b+1)2+(b+1)b+b2=65
3b2+3b−64=0
この方程式の判別式はD=9+4×3×64=777=3×7×37となって平方数でないからbの整数解はない.
(2)の場合,次の連立方程式を解く
a−b=5…(2.1)
a2+ab+b2=13…(2.2)
(2.1)よりa=b+5
これを(2.2)に代入
a,bは正の整数とは書いてない
次のようなものも解になる
43−(−1)3=65
(b+5)2+(b+5)b+b2=65
3b2+15b+12=0
b2+5b+4=0
(b+1)(b+4)=0
b=−1のときa=4
b=−4のときa=1
よって,(a,b)=(4,−1),(1,−4)

(3)の場合,次の連立方程式を解く
3b(b+13)=−164
と変形して左辺は3の倍数,右辺は3の倍数でないと述べてる方が大きな数字なるのを避けることができる
a−b=13…(3.1)
a2+ab+b2=5…(3.2)
(3.1)よりa=b+13
これを(3.2)に代入
(b+13)2+(b+13)b+b2=65
3b2+39b+164=0
この方程式の判別式はD=392−4×3×164=−447<0となってbの整数解はない.

(4)の場合,次の連立方程式を解く
a−b=65…(4.1)
a2+ab+b2=1…(4.2)
(4.1)よりa=b+65
これを(4.2)に代入
(b+65)2+(b+65)b+b2=1
3b2+195b+652−1=0
3b2+195b+64×66=0
b2+65b+64×22=0
この方程式の判別式はD=652−4×64×22=−1406<0となってbの整数解はない.

(1)(2)(3)(4)から結局,(a,b)=(4,−1),(1,−4)…(答)
【押さえておきたいポイント】
○因数分解と素因数分解により各因数に分けて調べる
○整数でないことの証明には(判別式)が平方数でないことや(判別式)<0も使える
*** この解き方の印象 ***
方針が決まれば,後は理詰めの体力勝負になる.
正解できても,後に爽快感・充実感はあまり感じられない.・・・得点したければ突き進むしかないという感じ

※(3)(4)の判別式の計算は相当な難行苦行になる.これを避けるには,次のような方法も考えられるが,試験会場の現場対応でどちらが早いかは微妙.
M(=65)が与えられたとき


のとき,a,bが実数になるためのkの値の範囲を求めておくと


から,bが実数であるためには判別式が0以上でなければならない


のとき,次の関係を満たすことがbの実数条件になる(aから計算しても同じ)

(3)では
だからbの実数条件を満たさない
(4)では
だからbの実数条件を満たさない

このようにk3−4Mの符号を調べると,酷な計算を逃れられる
→右上に続く
(図解)
a−b=k
すなわち
b=a−k
のグラフは右図の赤で示したように傾き45°の直線を表し,切片が−k (k>0)のとき,原点からの最短距離は


もう一方の

により極座標表示に直すと


図の緑で示したように傾き45°の直線に垂直な傾きのときはとなるから



これら2つのグラフが交点(共有点)を持つには


すなわち

が条件となる.
kの値があんまり大きいとこれらのグラフは交わらない(共有点を持たない)ということです
【類題1】
a3−b3=217を満たす整数の組(a, b)をすべて求めよ.
(京大2005年前期理系)
参考答案を見る

【例題2】
p3以上の素数とする.4個の整数a,b,c,dが次の3条件
a+b+c+d=0, ad−bc+p=0, a≧b≧c≧d
を満たすとき,a,b,c,dpを用いて表せ.
(京大2007年理系)
【考え方】
pが素数なのだから
(因数分解)=(素数)
の形を目指せば左辺の因数に分けて考えられます
(解説)
d=−a−b−cを代入すると
a(−a−b−c)−bc+p=0
−a2−ab−ac−bc+p=0
a2+ab+ac+bc=p
a(a+b)+c(a+b)=p
(a+b)(a+c)=p
ここで,右辺は素数で,a+b≧a+cだから次の組合せが可能

(1)(2)
a+bp−1
a+c1−p
(1)のとき
a+b=pb=p−a
a+c=1c=1−a
d=−a−b−c=−a−(p−a)−(1−a)=a−p−1
a≧bだから
a≧p−a2a≧p
b≧cだから
p−a≧1−ap≧1 (仮定によりこれは成立する)
c≧dだから
1−a≧a−p−12a≦p+2
したがって

pが奇数で,aは整数だから





(2)のとき
a+b=−1b=−a−1
a+c=−pc=−a−p
d=−a−b−c=−a−(−a−1)−(−a−p)=a+p+1
このときd=a+p+1>aとなって仮定を満たさないから,この場合分けからは解は出ない
以上により
…(答)
【押さえておきたいポイント】
○素数pを含む式が主役:(因数分解)=(素数)の形にする
○脇役a+b+c+d=0は変数を減らす材料に使う
a≧b≧c≧dは順序を入れ換えた組を重複して数えなくてもよいようにするための親切
これがないと1組の解に対して,順序を入れ換えた4!通りの答えを書かなければならない
p3以上としたのは何の役に立っているか
pが奇数になるからが整数と言えるようになる
※図形的な意味などを深く考えず,式の変形だけの問題と割り切る方がよい

【類題2.1】
pを素数とする.3個の整数a,b,cが次の3条件
a+b+c=0, ab+c+1=p, a≧b≧c
を満たすとき,a,b,cpを用いて表せ.
(上記の例題を書き換えたもの)
参考答案を見る
→右上に続く
【類題2.2】
(i) a+b≧a2−ab+b2を満たす正の整数の組(a, b)をすべて求めよ.
(ii) a3+b3=p3を満たす素数pと正の整数a, bは存在しないことを示せ.
(早稲田大1999年)
参考答案を見る
【類題2.3】
a4+a2b2+b4=pを満たす素数pと正の整数a, bをすべて求めよ.
(筆者作成)
参考答案を見る

【例題3】
三角形ABCにおいて,∠B=60°Bの対辺の長さbは整数,他の2辺の長さa, cはいずれも素数である.このとき三角形ABCは正三角形であることを示せ.
(京大1990年前期)
≪具体例でイメージ作り≫
(a,b,c)の順に書くものとして,
(A) 3辺が素数となる正三角形の例としては
(2,2,2), (3,3,3), (5,5,5), (7,7,7), (11,11,11), ...
がある.これは明らか.

(B) a<cのときb2=c2+a2−caとなる三角形の例としては
(3,7,8), (5,7,8), (5,19,21), (7,13,15), (7,37,40), (11,31,35), (13,43,48), ...
があります.

(B)グループの三角形では,aを素数とすると,cは素数にならない.(a, cの立場を入れ換えても同様.)
したがって,a, cの両方とも素数とすれば(A)グループしかない.
(解説)
∠B=60°だからcosB=1/2
余弦定理により
b2=c2+a2−ca…(1)
b2−a2=c2−ca
(b+a)(b−a)=c(c−a)…(2)
(A) c=aのとき
(2)式の右辺は0になるから,
(b+a)(b−a)=0
ここでb+a>0だからb=a
したがって,a=b=cとなり,正三角形になる.
(B) c>a…(3)のとき
b+a, b−aのどちらもcの倍数にならないことを示せばよい
(2)式の右辺でcは素数だから
b+a, b−aの少なくとも一方はcの倍数でなければならない.
三角形の成立条件から
c<b+a…(4)
b−a<c…(5)
(2)より
b>a…(6)
(3)(4)(6)より
c<b+a<a+a<c+c
よってb+acの倍数でない.
(3)(5)より
0<b−a<c
よってb−acの倍数でない.
以上により,c>aのとき(1)が成り立つことはない.
(B') c<aのときも上記の(B)の場合と同様にして示される.
結局,(1)が成り立つのは(A)の場合だけであるから,正三角形になる.
【押さえておきたいポイント】
○因数分解すると素数の倍数になっているかどうかを各因数に分けて調べることができる.
○三角形の成立条件など使えるものは何でも使う.
→右上に続く
類似問題を解く中で,どれだけ身に付いたかチェックしてみましょう.
上の具体例で
(a,b,c)=(3,7,8), (5,7,8), (5,19,21), (7,13,15), (7,37,40), (11,31,35), (13,43,48), ...
を見てみると
aが素数ならば,辺の長さはaが最小…(*1)
になるのではないかと想像できます.
aが最小ならば,aは素数(**1)
と述べているのではありません.(**1)が成り立たないのは,次の例を見れば明らかです.
(a,b,c)=(6,14,16), (10,14,16), (10,38,42), ...

※「aが素数ならば,辺の長さはaが最小になることを証明せよ」という問題にすると
cが素数という条件をなくしたことになります.
a=b=cの場合(正三角形)もあるので,a≦b≦cとなることを証明すればよいことになります.

【類題3.1】
三角形ABCにおいて,∠B=60°b, cは整数,aは素数である.このときaは3辺の長さ中で最小となることを示せ.
(上記の例題を書き換えたもの1)
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(a,b,c)の順に書くものとして,
b2=c2+a2+ca
が成り立つ例として
(3,7,5), (5,19,16), (7,13,8), (7,37,33), (11,31,24), (13,43,35), ...
があります.
bが最大になりますが,a,b,cとも素数となる組は先頭の1組だけのように見えます.そこでこれを証明しようという問題です
【類題3.2】
三角形ABCにおいて,∠B=120°Bの対辺の長さをb,他の2辺の長さを整数a,b,c(ただしa≦c)とするとき,a,cがいずれも素数となるものをすべて書け.
(上記の例題を書き換えたもの2)
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【例題4】
2以上の自然数nに対し,nn2+2がともに素数となるのはn=3の場合に限ることを示せ.
(京大2006年前期理系)
≪小さい方から幾つか試して規則性をつかむ≫
n235711131719232931
n2+26112751123171291363531843963
上の表のようにn=3の場合以外はすべてn2+2が3の倍数になると予想できるので,それを証明すればよい.
(解説)
(1) n=3kkは整数,k≧1)の場合
nは素数だからn=3
このときn2+2=11も素数になる
(2) n=3k+1kは整数,k≧1)の場合
n2+2=(3k+1)2+2=9k2+6k+3
=3(3k2+2k+1) (≧18)は3の倍数で18以上だから素数でない
(3) n=3k+2kは整数,k≧0)の場合
n2+2=(3k+2)2+2=9k2+12k+6
=3(3k2+4k+2) (≧6)は3の倍数で6以上だから素数でない
以上により(1)のn=3だけが題意に適する
【押さえておきたいポイント】
○小さい方から幾つか試して規則性をつかむ.
○ある整数pの倍数になることを証明するには,pの剰余類(pで割ったときの余りで分類したもの)を使って
n=kp, kp+1, kp+2, ...
に分けて調べるとうまくいく
【類題4.1】
2以上の自然数nに対し,nn2−2n+3がともに素数となるようなnの値をすべて求めよ.
(上記の例題を書き換えたもの1)
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【類題4.2】
2以上の自然数nに対し,nn2+3n+5がともに素数となるようなnの値をすべて求めよ.
(上記の例題を書き換えたもの2)
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