■複素数の1次結合が表す図形携帯版
【要点1】
 異なる2つの複素数z1 , z2が与えられていて,実数p, q
p+q=1, p≧0, q≧0
の条件を満たしながら変化するとき,
z=pz1+qz2
で示される点は,2点z1 , z2を結ぶ線分になる.
(解説)
 右図1のように,複素数z1に実数pを掛けたものpz1は,z1を同じ方向にp倍した点になります.
p>0のときは同じ向きに,p<0のときは逆向きになります.また,p>1ならば拡大,0<p<1ならば縮小になります.
 右図2のように,2つの複素数z1 , z2の和z1+z2は,ベクトルの和と同様に図示することができます.すなわち,
1) 平行四辺形の対角線で考える方法
原点とz1 , z2から.平行四辺形を作り,その対角線が和になる.
2) 三角形で考える方法
まず,原点からz1まで移動し,z2で表される分の移動を継ぎ足す.
 右図3のように,2つの複素数z1 , z2の差z2−z1は,ベクトルの差と同様に図示することができます.すなわち,z1からz2に向かうものとなります.
z2−z1によってできる複素数は,「(終点)−(始点)」の形になっています.向きを逆に覚えてしまう人が結構多いので,気をつけましょう.
複素数は,ベクトルで言えば「位置ベクトル」に対応しており,得られた複素数z2−z1を表す点は,右図赤丸のように原点からz2−z1だけ移動した点になります.
≪要点1の解説≫
z=pz1+qz2p+q=1, p≧0, q≧0
を書き換えると
z=pz1+qz2p=1−q, 0≦p≦1, 0≦q≦1
z=(1−q)z1+qz20≦q≦1
z=z1+q(z2−z1)0≦q≦1
となるから,右図4のように,まずz1まで進み,次にz2−z10≦q≦1倍だけ足したものになります.q=0のとき点z1を,q=1のとき点z2を表し,その間の値ではz1z2の間の点を表します.
z=pz1+qz2p+q=1, p≧0, q≧0
で表される複素数は,線分z1z2に埋め込まれたものを表しているのでなく,原点から線分z1z2上の1点に向かっていることに注意
なお,
z=pz1+qz2p+q=1, p>0, q>0
となるときは,両端を含まない線分z1z2なります.
z=pz1+qz2p+q=1
だけの場合は,直線z1z2なります.(右図5)
(要点1の別の考え方)
z=pz1+qz2p+q=1, p>0, q>0
のとき,p+q=1だから,
z=
と書ける.これは,z1, z2q:p=q:(1−q)に内分する点を表している.q0<q<1の範囲で変化するとき,この値はz1z2間にある点を表す.q=0, 1のときは,元の式から線分の両端z1, z2になることがわかる.
図1
図2
図3
図4
図5
【例1】
 異なる2つの複素数z1 , z2が与えられていて,実数p, q
p+q=, p≧0, q≧0
の条件を満たしながら変化するとき,
z=pz1+qz2
で示される点は,どのような図形を描くか?
(解答)
p+q= → p=−qを代入すると
z=(−q)z1+qz2=z1+q(z2−z1) …(A)
ただし,
p=−q≧0, q≧0より0≦q≦ …(B)
(A)(B)より,次の図の青で示した線分(両端を含む)
(別解)
z=(p+q)=, p≧0, q≧0
と変形できるから,z1 , z2の内分点(上図の茶色の部分)の絶対値を半分にしたもの.青で示した線分(両端を含む)
【例2】
 異なる2つの複素数z1 , z2が与えられていて,実数p, q
p+q<1, p>0, q>0
の条件を満たしながら変化するとき,
z=pz1+qz2
で示される点は,どのような図形を描くか?
(解答)
z=(p+q), p>0, q>0
と変形できるから,z1 , z2の内分点を縮小(p+q<1)したもの.
すなわち,三角形O, z1 , z2の内部(周上は含まない)
【問題1】異なる2つの複素数z1 , z2が与えられていて,実数p, qが下の問題に示された条件を満たしながら変化するとき,複素数
z=pz1+qz2
が描く図形を求めてください.
 直線や線分については赤で示した部分,領域については桃色で示した部分とし,すべて境界線や端点を含まないものとします.
はじめに問題を選び,続いて右の図形を選んでください.誤答となってやり直すときは,問題を選び直すことから始めてください.











【要点2】
 1直線上にない異なる3つの複素数z1 , z2 , z3が与えられていて,実数p, q, r
p+q+r=1, p≧0, q≧0, r≧0
の条件を満たしながら変化するとき,
z=pz1+qz2+rz3
で示される点は,3点z1 , z2 , z3で作られる三角形の内部および周上になる.
(解説)
z=pz1+qz2+rz3 (p+q+r=1, p≧0, q≧0, r≧0)
だから
z=pz1+qz2+rz3 (p=1−q−r≧0, q≧0, r≧0)
pを消去すると
z=(1−q−r)z1+qz2+rz3 (q+r≦1, q≧0, r≧0)
z=z1+q(z2−z1)+r(z3−z1) (q+r≦1, q≧0, r≧0)
となるから,上の【例2】を参考にすると,まずz1まで進み,次にz2−z1z3−z1を2辺とする三角形の内部および周上を指すことが分かる.
z=pz1+qz2+rz3
(p+q+r=1, q>0)
(p+q+r=1, q<0)
の場合は
z=z1+q(z2−z1)+r(z3−z1)
(q>0)
(q<0)
となるから,各々右図のような領域を表す.
p+q+r=1は,何の役に立っているのか?
一般に,ある複素数zを,与えられた(直線上にはない)3個の複素数z1 , z2 , z3を使って,
z=pz1+qz2+rz3
のように表す方法は,ただ1通りには定まらず,何通りにでも表すことができる.(p,q,rを定めるための方程式と見たときは,不定解を持つ)
すなわち
z1=a+bi, z2=c+di, z3=e+fi, z=g+hi
のとき
pa+qc+re=g …(1)
pb+qd+rf=h …(2)
となる実数p,q,rは,未知数が3個であるのに対して,方程式が2個しかないため,ただ1通りには定まらない.
 例えば,複素数0を3つの複素数1, i , −1で表す方法は
1×1+1×(−1)+0i=0
でも成り立ち
2×1+2×(−1)+0i=0
でも成り立つ.
 これに対して,
p+q+r=1 …(3)
という条件を追加しておくと,自由度が1だけ減って方程式が3個になるので,p,q,rはただ1通りに定まる.
z=pz1+qz2+rz3
(p+q+r=1, r>0)
(p+q+r=1, r<0)
の場合は
z=z1+q(z2−z1)+r(z3−z1)
(r>0)
(r<0)
となるから,各々右図のような領域を表す.
z=pz1+qz2+rz3
(p+q+r=1, p>0)
(p+q+r=1, p<0)
の場合は
z=pz1+qz2+(1−p−q)z3 (r=1−p−q)
z=z3+p(z1−z3)+q(z2−z3)
(p>0)
(p<0)
と変形できるから,各々右図のような領域を表す.
【例3】
 1直線上にない異なる3つの複素数z1 , z2 , z3が与えられていて,実数p, q, r
p+q+r=1, q>0, r<0
の条件を満たしながら変化するとき,
z=pz1+qz2+rz3
で示される点は,,どのような図形を描くか?
(解答)
上記の解説で,q>0r<0の共通部分を求めると,右図の水色の部分(境界は含まない)になる.
【例4】
 1直線上にない異なる3つの複素数z1 , z2 , z3が与えられていて,実数p, q, r
p+q+r=1, p=,q>0, r>0
の条件を満たしながら変化するとき,
z=pz1+qz2+rz3
で示される点は,,どのような図形を描くか?
(解答)
z=z1+q(z2−z1)+r(z3−z1)
q+r=,q>0, r>0
z=z1+(−r)(z2−z1)+r(z3−z1)
0<r<
z=z1+(z2−z1)+r(z3−z2)
0<r<
となるから,順次組み立てていくと,右図の赤線(端点を含まない)になる.
【問題2】1直線上にない異なる3つの複素数z1 , z2 , z3に対して,
z=pz1+qz2+rz3
で定義される複素数が次の図形を描くとき,実数p, q, rが満たす条件として正しいものを右から選んでください.
領域については水色で示した部分,直線,半直線,線分については赤で示した部分とし,すべて境界線や端点を含まないものとします.
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
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