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■1  双曲線の方程式の標準形
※ 双曲線の方程式は,中学校で反比例のグラフ
y=

において登場するが,そこでは直角双曲線だけを扱った.以下においては,必ずしも漸近線が直角に交わらない一般の場合を扱う.
 c>a>0 , b>0 のとき,方程式
=1 …(1)

で表わされる曲線は,右図1のような双曲線になる.
○ (1)を双曲線の方程式の標準形という.
○ この曲線は「2定点 F( , 0) , F’(− , 0) からの距離の差が一定 2a である点の軌跡」となっている.(解説は次の項目↓)
○ 2点 F( , 0) , F’(− , 0) を双曲線の焦点という.
○ 点 A(a , 0) , A’(−a, 0)頂点という.
○ 2つの焦点の中点を双曲線の中心という.(1)の双曲線の中心は原点 O( 0 , 0 ) にある.
○ (1)の双曲線は x 軸,y 軸,中心に関して対称となっている.
○ x が限りなく大きくなるとき,双曲線は
直線 y=±x

に限りなく近づく.この直線を双曲線の漸近線という.漸近線は2つある.
(漸近線の方程式は(1)の右辺を 0 に変えて,左辺を因数分解したものになっている.
=0

←→(+)()=0

←→y=−x , y=x


=−1

は,右図2のような双曲線になる.
このとき,焦点は y 軸上にあり,焦点の座標は
F(0 , ) , F’(0 , − )
また,主軸は y軸上にあり,頂点の座標は B(0 , b) , B’( 0 ,−b) になる.
※ 中学校で習う反比例のグラフ


図1
○ 以下の考え方において,三平方の定理(ピタゴラスの定理)を用いて「 a , b から c を求める」「 a , c から b を求める」計算がつねに登場し,この図が鍵となる.(図の意味は,■2で述べる.)






図2
《基本事項のチェック》

=1 は,右図3のような形の双曲線で,

焦点の座標は F(5 , 0) , F’(−5 , 0)
頂点の座標は (4 , 0) , (−4 , 0)
中心の座標は (0 , 0) である.
双曲線の任意の1点を P とするとき,|FP−F’P|=8 となる.
図3
 問題 
 次の各方程式で表わされる双曲線の概形を描き,頂点の座標,焦点の座標,漸近線の方程式を求めよ.
(1)
 x2=1
頂点 (± , )
焦点 (±)
漸近線の方程式 y=±x
(2)
 =−1
頂点 ( , ± )
焦点 (,±)

漸近線の方程式 y=±x


採点する やり直す 解説
  

■2  焦点の働きと軌跡

 「2定点からの距離の差が一定の動点の軌跡」が双曲線になる.以下にこれを示す
 c>a>0 のとき,F’(−c , 0) , F(c , 0)から距離の差が 2a である点 P(x , y) の軌跡の方程式は,次のように求めることができる.
(ただし,F’P > FP のときは右側に曲線ができ,F’P < FP のときは左側に曲線ができるので,曲線は2つでき,双曲線(双子の曲線)となる.これらは,左右対称(y 軸に関して対称)なので,以下は右半分だけ示す.)
F’P−FP=2a
←→ =2a
←→ =2a+
両辺を2乗する
(x+c)2+y2=4a2+4a+(x−c)2+y2
←→ 4cx=4a2+4a
←→ cx−a2=a
両辺を2乗する
c2x2−2a2cx+a4=a2{ (x−c)2+y2}
←→ c2x2−2a2cx+a4=a2x2−2a2cx+a2c2+a2y2
←→ (c2−a2)x2−a2y2=a2(c2−a2)
←→ =1

 そこで,b2=c2−a2 とおくと,三平方の定理(ピタゴラスの定理)により b は右図の長さになる.

FP−F’P=2a から左半分が得られる.










※ (1)において x , y 座標を入替えると,
=1

=−1

 (ここに,b2=c2−a2

 a , b の役割を入替えると
=−1

が右図のような双曲線を表わす.
図4
動点 P の所で2本の糸を輪に通しておき,2本から同じ分量の糸が出てくるようにする.頂点 A においては,F’A−FA=2a が成り立ち,P が動いても差は変らないから,F’P−FP=2a が成り立つ.

 左の変形において,の部分は同値関係が崩れている(必要条件だけとなっている)が,これは2乗したためで,変形前の右辺が正であると言えれば,十分条件も成り立つ.
 図より,初めのは両辺とも正だから←も成り立つ.
 ax だから,a2ax<cx になり,2つ目のも←は成り立つ.

《要約》
F(c , 0) , F’(−c , 0)から距離の差が 2a である点 P(x , y) の軌跡の方程式は

=1 (ここに,b2=c2−a2
《要約》
F(0 , c) , F’(0 ,−c)から距離の差が 2b である点 P(x , y) の軌跡の方程式は

=−1 (ここに,b2=c2−a2
■3  コンパスで双曲線を描くには
 F(5 , 0) , F’(−5, 0) , A(3 , 0) とすると,FA=2 , F’A=8
F’A−FA=6 となる.
 F , F’ を中心に半径 1, 2, 3, 4, ....の同心円を描いておき,点 A から格子を対角方向にたどっていくと,
F’P−FP=8−2=6
F’P−FP=9−3=6
F’P−FP=10−4=6
F’P−FP=11−5=6
・・・
だから,2点からの差が一定(6)となり,これらをなめらかに結んでいくと双曲線

=1
ができる.
図5
■4  自然界にある双曲線

○ [図6]
 (太陽系の中にある惑星などは太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描くが)太陽系外から彗星などが高速に近づいて来るときには,双曲線軌道を描き,再び帰ってこない.


○ [図7]
 原子核の近くを正に帯電した高速粒子が通過するとき,原子核と粒子はお互いに正に帯電しているので反発力が働き,粒子の軌道は大きく曲がる.このような場合の粒子の軌道は双曲線になる.(ラザフォード散乱)

■5  漸近線に限りなく近づくことの証明
 標準形で表わされる双曲線は,x 軸,y 軸について対称なので,第1象限について双曲線が漸近線に限りなく近づくことを示せばよい.(他は xy の符号を変えれば示される.)
 第1象限において,変数 x に対応するする漸近線上の点の座標を y1,双曲線上の点の座標を y2 とおくと,y1y20 に近づくことを示せばよい.
  y1=x

また y>0 , x>a のとき,=1y について解くと,
  y2= だから

  y1−y2=x−=(x−)

===

x → ∞ のとき,分母 → ∞ だから,(y1−y2)=0 が示される.  
図6
図7

 問題 
(1)
 2定点 (7 , 0) , (−7 , 0) からの距離の差が 10 となる点の軌跡の方程式を求めよ.
=1

(2)
 2定点 (0 , 4) , ( 0 ,−4) からの距離の差が 6 となる点の軌跡の方程式を求めよ.

=−1


採点する やり直す 解説

■5  原点と異なる点に中心がある双曲線

=1 …(2)

 は,双曲線
=1 …(1)

x 軸の正の向きに py 軸の正の向きに q だけ平行移動した双曲線になる.
○ 頂点の座標は (a+p , q) , (−a+p , q)
○ 焦点の座標 は
F(+p , q) , F’(−+p , q)
○ 漸近線の方程式は y−q=±(x−p)

 【解説】
  (1)の双曲線上の点を (X , Y ) とおくと,
=1 …(A)

x=X+p …(B)
y=Y+q …(C) が成り立つ.
 (B)(C)より,X=x−p , Y=y−q を(A)に代入すると,
 =1 …(2) となる.



《初歩的な注意》
x 軸の正の向きpy 軸の正の向きq だけ平行移動しているときに,
=1

になるので,見かけの符号と逆になる点に注意.
=1

ならば,x 軸の負の向きpy 軸の負の向きq だけ平行移動したものとなる.
 これは,x=X+p , y=Y+q ←→ X=x−p , Y=y−q の関係による.

=1

のように移動前後の座標を重ねてみると,移動前の座標 X , Y についての関係式が浮かび上がる.このとき,移動前の座標は X=x−p , Y=y−q のように引き算で表わされている.
例題
x2−y2−4x−6y−6=0 の概形を描き,頂点の座標,焦点の座標,漸近線の方程式を求めよ.

答案
次のように変形する.
x2−4x+4 - (y2+6y+9)=1
(x−2)2−(y+3)2=1
(x−2)2−(y+3)2=1


対応する標準形は x2−y2=1
  a=1 , b=1c=
  頂点は (1 , 0) , (−1 , 0)
  焦点は ( , 0) , (− , 0)
  漸近線の方程式は y=x , y=−x
(続く→)
(→続き)
これらを x 軸の正の方向に 2 , y 軸の正の方向に −3 だけ平行移動すると,
  頂点は (3 ,−3) , (1 ,−3)
  焦点は (2+ ,−3) , (2− ,−3)
  漸近線の方程式は
  y=(x−2)−3=x−5
  y=−(x−2)−3=−x−1

 問題 
(1)
 双曲線 =1x 軸方向に −3y 軸方向に 4 だけ

平行移動してできる曲線の方程式,頂点の座標,焦点の座標,漸近線の方程式を求めよ.
 方程式 =1

頂点の座標 ( , ) , (−7 , )
焦点の座標 ( , ) , (−8 , )

漸近線の方程式 y= x+ , y=− x+






(2)
 双曲線 4x2 −y2+8x+2y+7=0 の概形を描き,頂点の座標,焦点の座標,漸近線の方程式を求めよ.

頂点の座標 ( , ) , ( ,−)
焦点の座標 ( , +) , ( , )
漸近線の方程式 y=x+ , y=−x−


採点する やり直す 解説

.