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 この頁では高校物理の力学や電磁気学でしばしば登場する定数係数の2階線形常微分方程式の解き方を扱います.
 通常,高校の数学(数学V)では2階微分方程式の解き方は扱われませんが,重要な物理学の法則は2階微分方程式で表され,2階微分方程式の解き方を学ぶとそれらを深く理解することができます.
 2階以上の微分方程式は変数分離形1階微分方程式の場合のような,移項や割り算などの変形による形式的な処理で解くことはできませんが,以下に述べるように指数関数の特徴を手掛かりとして解くことができます.
■定数係数の2階線形微分方程式(同次)
【準備1】
  1. 2階微分方程式の一般解は2つの任意定数を含んだ形になります.
  2. 2階微分方程式の2つの1次独立な解をy1, y2とするとき,それらの1次結合
    y=C1y1+C2y2
    も解となります.
  • 2階斉次微分方程式に対して2つの1次独立な解y1, y2を見つけると,一般解は
    y=C1y1+C2y2
    の形で表すことができます.
(解説)
1. 1回の積分で任意定数が1つ登場しますので,2回積分すると任意定数は2つ登場します.
【例】
y”=0y’=C1y=C1x+C2
このように2階導関数を含む微分方程式から関数yを求めると2つの任意定数を含む式になります.

2. 2つの関数y1, y2が一方が他方の定数倍になっているときは
それらは1次従属と呼ばれ,そうでないとき1次独立と呼ばれます.
【例】
2つの関数y=2xy=3xとは1次従属です:3x=(2x)
しかし,2つの関数y=e2xy=e3xとは1次独立です:
y=e2x=(ex)2=exex
y=e3x=(ex)3=exexex
一方が他方の定数倍では表されません.
斉次方程式
y”+ay’+by=0 (a, bは定数)
の異なる2つの1次独立な解をy1, y2とするとき
y1”+ay1’+by1=0
y2”+ay2’+by2=0
だから
(C1y1+C2y2)”+a(C1y1+C2y2)’+b(C1y1+C2y2)
=C1(y1”+ay1’+by1)+C2(y2”+ay2’+by2)
=0

が成り立ちます.
○ 微分方程式中の最高階の導関数の階数を微分方程式の階数といいます.
第1階導関数までが含まれる微分方程式y’+f(x)y=g(x)
あるいは=f(x, y)
は1階微分方程式と呼ばれます.
第1階導関数y’をさらにもう一回微分した第2階導関数は,記号y”
あるいはで表されます.
()と書きます.
ではないことに
注意してください.
第2階導関数までが含まれる微分方程式y”+f(x)y’+g(x)y=h(x)
あるいは=f(x, y, y’)
は2階微分方程式と呼ばれます.
○ 独立変数が1個のときは常微分方程式,2個以上のときは偏微分方程式と呼ばれます.この頁では独立変数がxあるいはtのように1つの場合を扱うので,以下に述べるのは常微分方程式です.
○ y, y’, y”, ...などの積や商を含まない
y”+f(x)y’+g(x)y=h(x)
のような形の微分方程式は線形微分方程式と呼ばれます.
○ y”+f(x)y’+g(x)y=h(x)の形の微分方程式のうちでh(x)=0の場合を斉次(同次)方程式といいます.
この頁では
y”+ay’+by=0 (a, bは定数)
の形の微分方程式を扱います.この形の微分方程式は,上記の約束に沿って言うと,定数係数の2階線形斉次常微分方程式ということになります.


【準備2】
定数係数の2階線形斉次常微分方程式を解く上では,指数関数の次の特徴が鍵になります.
y=erxrは定数)のとき
y’=rerx
y”=r2erx
したがってy=erxrは定数)のとき
y”+ay’+by=0 …(1)
r2erx+arerx+berx=erx(r2+ar+b)=0
は,erx>0, ≠0に注意すると,次の2次方程式と必要十分になります.
r2+ar+b=0 …(2)
(2)の2次方程式の解を使えば(1)の微分方程式の解が求められます.
(2)を微分方程式(1)の特性方程式といいます.
【例1】
 微分方程式
y”−4y’+3y=0 …(1)
に対して,y=erxrは定数)の形の解を求める場合,rは次の2次方程式の解となります.
r2−4r+3=0 …(2)
特性方程式(2)を解くと
(r−1)(r−3)=0
r=1, 3
したがって
y=ex, e3x
が(1)の2つの解となります.
したがって
y=C1ex+C2e3x …(3)
が一般解になります.
【要点】
 微分方程式
y”+ay’+by=0 (a, bは定数)…(1)
の一般解は,2次方程式
r2+ar+b=0 …(2)
の解によって表すことができ,
  1. (2)式が異なる2つの実数解p, qをもつとき
    y=C1epx+C2eqx
  2. (2)式が異なる2つの虚数解h±kiをもつとき
    y=ehx(C1coskx+C2sinkx)
  3. (2)式が重解pをもつとき
    y=epx(C1+C2x)
となる.
(解説)
1. ←上記の準備2の通り
2. 高校では指数が複素数になる形や複素数の微分積分は習わないが,途中経過が複素数になるだけで結果は実数に戻すことができるので,難しく感じるときは結果だけを利用すればよい.
(2)式が異なる2つの虚数解h±kiをもつとき,(1)の解は
y1=e(h+ki)x, y2=e(hki)x
となります.
これらは
y1=ehxekxi, y2=ehxekxi
と書けます.
オイラーの公式
eix=cosx+i sinxiは虚数単位)
を用いると
ekxi=cos kx+i sinkx
ekxi=cos(kx)+i sin(−kx)=coskx−i sin kx
だから
y1=ehxekxi=ehx(coskx+i sinkx)
y2=ehxe−kxi=ehx(coskx−i sin kx)
実数のみで表すためには,次のy3, y4を2つの解とすればよい.
y3==ehxcoskx
y4==ehxsinkx
これらを使って一般解は
y=C1ehxcoskx+C2ehxsinkx
と表せることになります.
3. 2次方程式が(実数の)重解を持つときは,そのままでは一般解を表すための2つの異なる解が得られませんが,(なぜ思いつくのかは別として)解y1=epxxを掛けた関数y2=xepxを考えると,y2も微分方程式の解になることを確かめることができます.
x=pが2次方程式x2+ax+b=0の重解であるとき,解と係数の関係から
2p=−a, p2=b
これにより,微分方程式をpで表すと
y”−2py’+p2y=0…(1)
関数y2=xepxの導関数,第2次導関数を求めると
y2’=epx+xpepx=epx(1+px)
y2”=pepx(1+px)+epx·p=epx(2p+p2x)
このとき
y2”−2py2’+p2y2
=epx(2p+p2x)−2pepx(1+px)+p2xepx
=epx(2p+p2x−2p−2p2x+p2x)=0

※ オイラーの公式はべき級数展開を用いて証明することができます.
eix=1+(ix)+++++...
=1+ix−−i++i...
=(1−+...)+i(x−+...)
=cosx+i sinx
y=eixのような複素数で表される関数もiを普通の文字式と同様に扱えば微分・積分することができます(ただし,i2=−1).
y’=ieix
y”=i2eix=−eix
したがって
y=eixy”=−y
つまり,2階微分方程式y”=−yの1つの解はy=eixであると言えます.
(ただ,このままでは関数が複素数で表されているので,これを実数値をとる関数に直すために,前述のy3, y4で表すようにします.)



【例1】
 微分方程式y”−5y’−6y=0の一般解を求めてください.
(解答)
 特性方程式r2−5r−6=0を解くと
(r+1)(r−6)=0より
r=−1, r=6
 微分方程式の一般解は
y=C1e−x+C2e6x…(答)
【例2】
 微分方程式y”+2y’+5y=0の一般解を求めてください.
(解答)
 特性方程式r2+2r+5=0を(解の公式で)解くと
r=−1±=−1±2i
 微分方程式の一般解は
y=e−x(C1cos2x+C2sin2x)…(答)
【例3】
 微分方程式y”−6y’+9y=0の一般解を求めてください.
(解答)
 特性方程式r2−6r+9=0を解くと
(r−3)2=0より
r=3(重解)
 微分方程式の一般解は
y=e3x(C1+C2x)…(答)

【問題】次の微分方程式の一般解を求めてください.
(はじめに問題を選び,続けて右欄の中から一般解を選んでください.)


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■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/18.9.12]
非常に丁寧に解説されており理解しやすい内容になっています。 今後もさらに高度な内容を判りやすく提供お願いいたします。       69歳の数学好きです。
=>[作者]:連絡ありがとう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/18.7.26]
dx^2/dt^2=-a^2xとなっているときに解がx=Ccos(at+δ)と表されることについても書いてほしい
=>[作者]:連絡ありがとう.【要点】2の場合で
すなわち
に対応する2次方程式は
解は
次に数学Uの三角関数の合成公式により
と変形します
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/17.10.27]
要点より解が異なる実数解をもつときそれを、A,Bとしたときy=C1epx+C2eqx の式に代入するのはA<Bの場合pにはA、qにはBですか?
=>[作者]:連絡ありがとう.

は任意定数倍の和なので,どちらが前でも順序に影響されません.
例えば,例1の場合,が解だから
…(1)
…(2)
のどちらでもよい.(の役割が入れ代わるだけです)
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/17.9.27]
一般解にはどうして三角関数が登場するのですか。
=>[作者]:連絡ありがとう.まさにその説明が書いてあるのに「どうして」と尋ねるということは,オイラーの公式とかド・モアブルの定理が分からないのでその部分を読み飛ばしているということじゃないのか?
複素数を習っていない場合,その説明は無理ですが,一般解になっているかどうかは,逆算としてその解を2階微分,定数項消去で微分方程式を満たしていることを確かめることができます.- - 微分方程式の話では,答を知っていないと問題が解けないというのは「よくある話」だと考える人も多い.
※ほんとのことを言ったらよい子になれないのを覚悟で言えば:三角関数は指数関数だからです.
■[個別の頁からの質問に対する回答][について/17.9.24]
定数係数の2階線形微分方程式(同次)
=>[作者]:連絡ありがとう.内容的には高卒程度なのですが,初めに教材を作ったときに,高卒程度という分類がなかったので,とりあえず高校に入れておいたようです.高卒程度は後から足していってできたもの.そんな訳で了解しました.
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/17.8.22]
準備1の1と2から、「y=c1y1+c2y2が解になる」という命題の十分性は理解しましたが、必要性が分かりません。つまり、ある解として方程式を満たすことは分かっても、なぜそれが一般解にもなるのか、他に解は無いのかが分かりません。
=>[作者]:連絡ありがとう.確かにそのページには,解の一意性が書いてありませんが,それは次のような考えによります.
Web教材では,読者はいつ何時でも学習を放棄して逃げる準備ができていると考えられます(戻るボタンを押すだけで放棄完了).そうすると,このページのような入門的な内容を扱っている場合に,無駄なく厳密に・正確に記述しても理解の助けにはなりません.(どちらかと言えば,伝統的な数学の教科書の無駄なく厳密に・正確に書かれた記述で分からなかったから,Web上で調べている人がほとんどです.)
このような状況では,簡単な例を多用して具体的なイメージをつかんでもらう方が分からない読者に手がかりを与えることになると考えています.論理的に正確な証明に踏み込んだときに学習を放棄する人が多いと予想されるときは,別ページに参考として記述するかまたは何も書かない方がよい.
あなたの知りたいことは,ほとんどの入門書に書かれていますが,その要点は次の通りです.
一般に,xのある値に対するyとy’が与えられた2階常微分方程式の解はただ1つ存在します.(解の存在と一意性の定理)
そこで,x=pのとき,y=q, y'=rという初期条件を満たす2階の常微分方程式の解 yが存在したとすると,そのページに書かれた2つの特別解 y1,y2を用いて,y=C1y1+C2y2となる定数 C1,C2が定まることを述べます.
ここで,y1,y2は一次独立な2つの解です.

だから

すなわち,

このとき,連立方程式は係数行列の行列式が0でないから,C1,C2がただ1通りに定まり,これにより,どんな解 y もの形に書けることになります.
(一般にはロンスキアンを使って示されます)
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/17.6.20]
特性方程式の重解になる場合の一般解の形と、xの関数を掛けたものものが解の一つになると言う点がどうしても理解できません。こうなる的に覚えて過ごしてきました。何か補足説明を頂けたら幸いです。
=>[作者]:連絡ありがとう.そこに書いてあります.
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/17.6.20]
特性方程式の重解になる場合の一般解の形と、xの関数を掛けたものものが解の一つになると言う点がどうしても理解できません。こうなる的に覚えて過ごしてきました。何か補足説明を頂けたら幸いです。
=>[作者]:連絡ありがとう.そこに書いてあります.
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/17.5.9]
1階微分方程式の場合、例えばy'-y=xのようなものは解が1つしかないので重解と考え、y=e^px(C1+C2x)と考えるのですか。
=>[作者]:連絡ありがとう.その頁は2階微分方程式の頁です.1階微分方程式と2階微分方程式とでは解き方が違いますので,1階微分方程式の頁を見てください.その頁の【例題1】にほぼ同じ(係数が2になっているだけ)問題がありますので見てください.なお,あなたの問題の解はy=−x−1+Cexになります.(1階微分方程式の一般解の任意定数は1つです).
その教材は,分類の都合で高校数学の応用のような箇所に置いてありますが,もしあなたが高校生なら1階線形微分方程式も2階微分方程式も範囲外です.
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/17.4.26]
大学の授業でわからなかった内容がとてもわかりやすく書かれていたので、とても助かりました。
=>[作者]:連絡ありがとう.
■[個別の頁からの質問に対する回答][定数係数の2階線形微分方程式(同次)について/17.1.10]
助かりました(`_`)
=>[作者]:連絡ありがとう.