【平均変化率】
(1) xの値がaからbまで変化するときの関数y=f(x)の値の平均変化率は (2) xの値がaからa+hまで変化するときの関数y=f(x)の値の平均変化率は
【例題1】
(解答)関数f(x)=3x2+2x−4について,xの値が1から3まで変化するときの平均変化率を求めてください. ・・・(答) |
【関数の極限値】
(備考)xの値がaと異なる値をとりながら限りなくaに近づくとき,関数yの値が限りなく定数bに近づくとき,xがaに近づくときの,yの極限値はbであるといい で表す. x→aのときf(x)→b と書くこともある. (1) 高校数学では(数学U,数学Vのいずれも),「限りなく近づく」ということの厳密な定義を行わずに,直感的に理解できる範囲の内容を扱う.
「限りなく近づく」ということの厳密な定義は,19世紀になってからコーシーやワイエルシュトラスによりε-δ論法として確立された.
高校では,「限りなく近づく」とか「関数の極限」について厳密な定義を習わないので,例えば,次のような問題は出さない,証明できない.
ε-δ論法は大学で習う・・・高校では扱わない.
×x→0のときx+1→1になることを証明せよ.
しかし,次のような結果は証明なしに答えてよい.答えなければならない.
×x→1のときx2+1→2になることを証明せよ.
〇x→0のときx+1→1
〇 |
【数学Uの答案で黙って使ってよい極限値1】
• x=aのとき関数f(x)の分母が0になるなどの「あやしいこと」がないとき
数学Uに登場する多項式で,分母が0になるなどの心配がないものについては,「極限値」の代わりに,値を代入しただけの「関数値」f(a)を使ってよい.(これらが等しいことが分かっているから)
【例題2-1】
(解答)(1) (2) (3) (1) x=0を代入すると02+2×0+3=3(←関数値)だから (←極限値)・・・(答) (2) x=1を代入すると12−3=−2(←関数値)だから (←極限値)・・・(答) (3) x=2を代入すると2×3×4=24(←関数値)だから (←極限値)・・・(答) |
【数学Uの答案で黙って使ってよい極限値2】
• そのまま代入すると分母が0になるときは, 「約分によって分母が0になる原因を取り除いてから」値を代入するとよい
【例題2-2】
(解答)(1) (2) (3) (1) そのままx=0を代入すると分母が0になって,分数が定義できないが,分母と分子をxで約分すると となって,x=0を代入できるようになる. ・・・(答)
x→0のときに,xで約分するということは,0で割ることにならないか?
(2) そのままx=1を代入すると分母が0になって,分数が定義できないが,分母と分子をx−1で約分すると-------- 最初の定義をよく見ると,「xの値がaと異なる値をとりながら限りなくaに近づくとき」と書いてあるので,x→0のときは,xは0以外の値をとりながら,0に近づくので,xで約分しても,0で割ったことにならないのです. となって,x=1を代入できるようになる. ・・・(答) (3) そのままx=2を代入すると分母が0になって,分数が定義できないが,分母と分子をx−2で約分すると となって,x=1を代入できるようになる. ・・・(答) |
【数学Uの答案で黙って使ってよい極限値3】
(1) 高校数学のやり方としては,少しずつ近づけて,どこへ向かうかが言えればよい.(直感的な考え方)
右図の赤矢印
(2) x=10, 100, 1000, 10000, ・・・のとき =0.1, 0.01, 0.001, 0.0001, ・・・となるから
右図の黄色矢印
(3) x=−10, −100, −1000, −10000, ・・・のとき =−0.1, −0.01, −0.001, −0.0001, ・・・となるから
(x→+0とは,0よりも大きな値をとりながら0に限りなく近づくことを言う.)
右図の青矢印 x=0.1, 0.01, 0.001, 0.0001, ・・・のとき =10, 100, 1000, 10000, ・・・となるから と書いてもよい (4)
(x→−0とは,0よりも小さな値(負の値)をとりながら0に限りなく近づくことを言う.) 右図の緑色矢印 x=−0.1, −0.01, −0.001, −0.0001, ・・・のとき =−10, −100, −1000, −10000, ・・・となるから (参考) の場合は,ア)正の値をとりながら0に近づく場合,イ)負の値をとりながら0に近づく場合,ウ)正負の値を振動しながら0に近づく場合の,いずれかによって、極限値が変わり,どの場合なのかが指定されていないから,極限値は決まらない.極限値なしとする. もともと,∞に近づく場合も,∞が特定の値でないので「極限なし」と書くこともあるが,「極限なし」の中でも「限りなく大きくなって,極限がない場合→+∞」「限りなく小さくなって,極限がない場合→−∞」「絶対値が限りなく大きくなるが,振動して符号が定まらない場合→±∞」のように分けることができ,無限という記号を使って表すことも多い. |
※多項式以外の関数について極限値を求める問題は,数学Vで扱うことが多いが,数学Uの段階でも類似の問題に出遭うことが多いので,一応整理しておく.
【極限値が存在するための条件】
例えば,となるように定数a, bの値を定める問題では, (1) 分母の極限値が0になるとき,分子の極限値が0以外の場合は,式の極限値が有限の値に定まらないから,「分子の極限が0になる」ということが第1の条件になる. 1+a+b=0 (2) 上記の条件を満たすときは,(因数定理により分子がx−1という因数をもつこといなるから),分母と分子はx−1で約分できる.そこで,「式の極限値が3になる」ということが第2の条件になる. 2+a=3 これら2つの条件から,連立方程式を解くと,定数a, bの値が定まる. a=1, b=−2 【要点】 (1) 極限値が定まること,(2) その極限値が与えられた値になること,の2つの条件から連立方程式が解ける.
上記(1)の補足説明
分母→1のときに ア)分子が0以外の有限の値に近づく場合 などは,いずれも式の値が限りなく大きく(符号は正負ともあり)なるので,有限の極限値をもたない. イ)分子が無限大になる場合も,与えられた式が有限の極限値をもつことはない. など • 以上のように,分母が0に近づくときに,分子が0以外の値に近づくと,式全体は有限な極限値をもたないので,式全体が有限な極限値をもつためには,「分子→0が必要条件」になる. • この条件を入れると,分数の約分ができるようになるが,極限値が実際に与えられた値になるかどうかの「十分条件」も調べなければならないということです.
【例題4】
(解答)となるように定数a, bの値を定めてください. x→2のとき,分母→0となるから,与えらえた式の極限値が有限の値になるためには,分子→0が必要条件となる 4+2a+b=0 そこで,b=−4−2aを代入して,極限値を求めると ゆえに,a=−5, b=6・・・(答) |
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