■まえがき
整数係数の方程式の作り方


 x=2+√3 が1つの解となる2次方程式を作るとき,この式の両辺を2乗してしまうと
=4+4√3+3=7+4√3 
となって,√3が残ります.
(参考)
=7+4√3 の解は,x=−2−√3,2+√3です.
 x=2+√3 が1つの解となる整数係数の2次方程式は次のように作ることができます.
x=2+√3 
(移項)→ x−2=√3
(両辺を2乗する)→x−4x+4=3
−4x+1=0
(参考)
−4x+1=0 の解は,x=2−√3,2+√3です.
【要点】  √n だけを右辺に残して2乗する. (参考)
 x2=(m+√n)2=m+2m√n+n では√が残ります.

■本題
式の値(複雑な無理数の代入)


 「x=2+√3 のとき, x−2x+3x−13 の値を求めなさい」というような問題において,xに 2+√3 を直接代入すると,計算が大変で計算間違いも多くなります.
 このような問題においては,−4x+1 が 0 となることを利用して,式を簡単にしてから(次数を下げてから)代入するのが普通です.
(答案例)
x=2+√3 のとき,−4x+1=0・・・(1)
(参考)
<1次式>  <定数=0次式>
x のかわりに 2+√3 を代入すると,次数が1次下がります.
<2次式>  <定数=0次式>
−4x+1 に 0 を代入すると,次数を一度に下げることができます.
 なお,x=4x−1 となるので,
<2次式>  <1次式>
 のかわりに 4x−1 を代入すると,次数は1次だけ下がります.
−2x+3x−13
=(−4x+1)(x+2)+10x−15・・・(2)だから
−2x+3x−13
=10x−15
=10(2+√3)−15
=5+10√3・・・(答)


(よくある質問)
−4x+1=0 なのに,x−4x+1 で割るのは0で割ることにならないのか?

(回答)

の割り算は,−4x+1が0以外のときに成り立ちますが
−2x+3x−13
=(x−4x+1)(x+2)+10x−15
は,x=2+√3 のときも含めて,すべてのxについて成り立ちます.
 したがって,答案の本文では0を掛けていることとなり,答案にはまちがいはありません.
 なお,x−2x+3x−13=10x−15
となるのはx=2+√3,2−√3のときだけで,他のxの値に対しては,この変形は成り立ちません.

(参考)
x=2+√3・・・(1)
=4x−1・・・(2) を繰り返し適用すると,何次式でも1次または定数まで下げることができます.
=x・x=x(4x−1)
=4x−x
=4(4x−1)−x=15x−4

=x・x=x(15x−4)
=15x−4x
=15(4x−1)−4x
=56x−15

−2x+3x−13
=(15x−4)−2(4x−1)+3x−13
=10x−15
 左の答案では,少しずつ次数を下げる代わりに,「まとめて」下げていることになります.


【要点】

 複雑な無理数を,次数の高い式に代入するには


x=2+√3 のとき, x−2x+3x−13 の値を求めなさい.
(1) √nだけを右辺に残す.  (1) x−2=√3
(2) 2乗する.  (2) x−4x+4=3
(3) =0 の形の方程式にする. (3) x−4x+1=0
(4) 求める式を,方程式の左辺で割る. (4) 
(5) 商と余りの関係に直す. (5) 
−2x+3x−13
=(−4x+1)(x+2)+10x−15
=10x−15 (なぜなら,−4x+1=0)
(6) xの値は,余りに代入する.
次数を下げてから代入するところがポイント)
(6) 
10x−15=10(2+√3)−15=5+10√3
※ どうしても,単純に代入する方に魅力を感じる人へ:
以上に紹介した方法は,単に計算を楽にするだけのものでなく,この方法により「様々な問題に対する応用の道が開けてくる」と考えてください.

《問題》
 
 x=2+√5のとき,x3−4x2-x+3の値はとなる.

2
 x=1−√5のとき,x4-5x2-14x+3の値はとなる.

3
 のとき,x−2x+3の値はとなる.
 
 

4
 x=5−√7のとき,x−8x+x+35の値は

 x-3 x+3 3x-1 3x+1 の値に等しい.

ヒント
 

5
 x−x=1のとき,x−2xの値はとなる.
 
 


←メニューに戻る