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【内容】
この頁では,次のような問題の解き方を扱う. (1) 2円 (x+3)2+(y−3)2=9 …(1) x2+y2=9 …(2) の2つの交点と点 (0 , 0) を通る円の方程式を求めよ. (2) x2+y2−9+k(x2+y2−2x−6y−10)=0 は,定数 k の値にかかわらず定点を通ることを示し,定点の座標を求めよ. |
【要点】
○ 2つの円 x2+y2+ax+by+c=0 …(1) x2+y2+dx+ey+f=0 …(2) が2点で交わるとき,方程式 x2+y2+ax+by+c+k(x2+y2+dx+ey+f)=0 は,定数 k の値にかかわらず2交点を通る円を表す. ○ ただし,k=−1 のときは,2交点を通る直線を表す. ○ k=0 のときは,円(1)を表す.円(2)はこの形式では表せない. ○ 方程式 h(x2+y2+ax+by+c)+x2+y2+dx+ey+f=0 も同様 ○ h=0 のときは,円(2)を表す.円(1)はこの形式では表せない. |
[解説] ○ 2つの円 x2+y2+ax+by+c=0 …(1) x2+y2+dx+ey+f=0 …(2) が2点で交わるとき,方程式 x2+y2+ax+by+c+k(x2+y2+dx+ey+f)=0…(A) は,定数 k の値にかかわらず2交点を通る円を表す. ![]() この定理を2段階に分けて解説する. (I) まず, 3x2+3y2−2x+4y=0 のような方程式は, 両辺を 3 で割ると x2+y2−x+y=0 ![]() (x−)2+(y+)2= ![]() のように変形できるので「円を表す」. ○ 一般に,Ax2+Ay2+Bx+Cy+D=0 のように x2 と y2 の係数が等しい方程式は,両辺を A で割ると, x2 と y2 の係数が両方とも 1 になるので,(平方完成したときに右辺が正の数になる限り)「円を表す」. ○ したがって,x2+y2+ax+by+c+k(x2+y2+dx+ey+f)=0 は, (k+1)x2+(k+1)y2+ … =0 と変形できるから,k+1 が 0 になる場合を除けば「円を表す」.(*1) (II) 次に,2つの円 ![]() x2+y2+dx+ey+f=0 …(2) の交点の座標を各々 (p ,q) , (r , s) とおくと,これらは(1)(2)を満たすから p2+q2+ap+bq+c=0 p2+q2+dp+eq+f=0 が成り立つ. したがって,p2+q2+ap+bq+c+k(p2+q2+dp+eq+f)=0 …(3) が成り立つ.(0+0k=0 は成り立つ.) 同様にして, (r , s) についても r2+s2+ar+bs+c+k(r2+s2+dr+es+f)=0 …(4) が成り立つ. (3)(4)は,x2+y2+ax+by+c+k(x2+y2+dx+ey+f)=0 が「2交点を通る」ことを示している. 以上の(I),(II) の内容を続けて言うと,「円を表す」「2交点を通る」となり,「2交点を通る円を表す」 |
[補足説明] (*1) ○ 元の2円(1)(2)が共有点を持たない場合や1点で接する場合でも方程式(A)は円になるが,「2交点と・・・を通る円の方程式を求めよ」という問題は作れないから,「2交点で交わる場合しかこの問題は出ない」と考えてよい. ○ 実際に (x−p)2+(y−q)2=R ( R>0 )の形になることを示さなくても,x2+y2+…=0 のグラフが異なる2点 (p ,q) , (r , s) を通っているのなら,虚円でも点でもなく円であると断定してよい. ○ k=−1 のときは,方程式は 0x2+0y2+a’x+b’y+c’=0 ![]() (無限の彼方に中心があって半径が無限大の円を考えるとよい.) (以下の説明はややハイレベルなので,読まなくてもよい) ○ 左図の動画において x2+y2+ax+by+c+k(x2+y2+dx+ey+f)=0 が通過する場所についての目安 ![]() ![]() ![]() k=− の値が「正」になる点は,−正÷負または−負÷正の場合だから,点 (x , y) は右図の灰色の部分にある.同様にして,k の値が「負」になる点は−正÷正または−負÷負の場合だから,点 (x , y) は右図の白色の部分にある. そこで,k>0 のとき,2交点と灰色の部分を通る円は右図の赤で示したような円になり,k<0 のとき,緑で示したような円になる. |
[例題1] 2円 (x+3)2+(y−3)2=9 …(1) x2+y2=9 …(2) について (1) 2交点と点 (0 , 0) を通る円の方程式を求めよ. (2) 2円の交点を通る直線の方程式を求めよ. [答案] (1) 求める円の方程式を (x+3)2+(y−3)2−9+k(x2+y2−9)=0 …(1) とおく. (1)が点 (0 , 0) を通るための条件は 32+32−9+k(0−9)=0 9−9k=0 k=1 このとき,方程式は (x+3)2+(y−3)2−9+(x2+y2−9)=0 2x2+2y2+6x−6y=0 x2+y2+3x−3y=0 …(答) (2) (1)において k=−1 とおくと, (x+3)2+(y−3)2−9−(x2+y2−9)=0 (x2+6x+9)+(y2−6y+9)−9−x2−y2+9=0 6x−6y+18=0 x−y+3=0 …(答) |
[例題2]
x2+y2−8x+4y−5+k(x2+y2−25)=0 は定数 k の値にかかわらず2つの定点を通ることを示し,定点の座標を求めよ. 定数 k の値にかかわらず a+kb=0 が成立する[答案] 定数 k の値にかかわらず x2+y2−8x+4y−5+k(x2+y2−25)=0 が成立するためには, x2+y2−8x+4y−5=0 …(1) x2+y2−25=0 …(2) が必要条件 連立方程式(1)(2)を解く (1)-(2) −8x+4y+20=0 y=2x−5 …(3) (3)を(2)に代入 x2+(2x−5)2−25=0 x2+4x2−20x+25−25=0 5x2−20x=0 5x(x−4)=0 x=0 , 4 x=0 のとき(3)より y=−5 x=4 のとき(3)より y=3 ゆえに (x , y)=(0 ,−5) , (4 , 3) (必要) 逆に, (x , y)=(0 ,−5) , (4 , 3) のとき x2+y2−8x+4y−5=0 …(1) x2+y2−25=0 …(2) が成り立つから 定数 k の値にかかわらず x2+y2−8x+4y−5+k(x2+y2−25)=0 が成立する.(十分) 以上により,定点の座標は (0 ,−5) , (4 , 3) …(答) |
[例題3]
※ 「円」と「直線」の組合せでも同様の性質が成り立つ.円 x2+y2+kx+ky−k−5=0 は定数 k の値にかかわらず2定点を通ることを証明しなさい. 定数 k の値にかかわらず x2+y2+ax+by+c+k(dx+ey+f)=0 が成立 ⇔ x2+y2+ax+by+c+k(dx+ey+f)=0 が k の恒等式 ⇔ x2+y2+ax+by+c=0 …(1) dx+ey+f=0 …(2) ⇒ k に関係のある式と k に関係のない式に分けるところがポイント : x2+y2−5+k(x+y−1)=0 と変形しておく. [答案] 定数 k の値にかかわらず x2+y2−5+k(x+y−1)=0 が成立するならば, x2+y2−5=0 …(1) x+y−1=0 …(2) (1)(2)より,(x , y)=(−1 , 2) , (2 ,−1) (必要条件) 逆に (x , y)=(−1 , 2) , (2 ,−1) のとき, x2+y2−5=0 , x+y−1=0 となるから x2+y2−5+k(x+y−1)=0 は 0+0k=0 となり,定数 k の値にかかわらず成立する.(十分条件) 以上により,2定点 (−1 , 2) , (2 ,−1) を通る. |
[例題4]
[答案]円 x2+y2−2x−4y−5=0 と直線 y=x−1 の2交点と点 (1 , 2) を通る円の方程式を求めよ. 求める円の方程式を x2+y2−2x−4y−5+k(x−y−1)=0 とおく. 点 (1 , 2) を通るから 1+4−2−8−5+k(1−2−1)=0 -10 -2k=0 k=−5 このとき,円の方程式は x2+y2−2x−4y−5−5(x−y−1)=0 x2+y2−7x+y=0 …(答) |
【問題1】
2円 x2+y2−6x+2y+5=0 …(1) x2+y2=5 …(2) について (1) 2交点と点 (0 , 0) を通る円の方程式を求めよ. (2) 2円の交点を通る直線の方程式を求めよ. |
[答案] (1) 円の方程式を x2+y2−6x+2y+5+k(x2+y2−5)=0 …(A)とおく 点 (0 , 0) を通るから 5−5k=0 k=1 このとき方程式(A)は x2+y2−6x+2y+5+x2+y2−5=0 2x2+2y2−6x+2y=0 x2+y2−3x+y=0 …(答) (2) (A)は k=−1 のとき,2交点を通る直線を表す. k=−1 を代入すると −6x+2y+10=0 −3x+y+5=0 …(答) |
【問題2】
円 x2+y2−2y−9+k(x2+y2−4x+2y+3)=0 は定数 k の値にかかわらず2つの定点を通る.この定点の座標を求めよ. (次の空欄において,ア<イとする.) |
x2+y2−2y−9=0…(1) x2+y2−4x+2y+3=0…(2) となる点 (x , y) については,0+0k=0 となるから,定数 k の値にかかわらず方程式が成り立つ. 連立方程式(1)(2)を解く (1)-(2) 4x−4y−12=0 y=x−3 …(3) (3)を(1)に代入 x2+(x−3)2−2(x−3)−9=0 2x2 -8x+6=0 x2 -4x+3=0 x=1 , 3 (3)に代入 (x , y)=(1 ,−2) , (3 , 0) …(答) |
【問題3】
円 x2+y2−2kx+ky+10k−25=0 は定数 k の値にかかわらず2定点を通る.この定点の座標を求めよ. (次の空欄において,ア<イとする.) |
x2+y2−25+k(−2x+y+10)=0 と変形する. x2+y2−25=0 …(1) −2x+y+10=0 …(2) (1)(2)より,(x , y)=(3 ,−4) , (5 , 0) (必要) 逆に (x , y)=(3 ,−4) , (5 , 0) のとき, x2+y2−25=0 ,−2x+y+10=0 となるから x2+y2−25+k(−2x+y+10)=0 は定数 k の値にかかわらず成立する.(十分) 以上により,2定点 (3 ,−4) , (5 , 0) を通る. |
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■[個別の頁からの質問に対する回答][2円の交点を通る円・直線の方程式について/17.1.28]
2円の交点を通る円・直線の方程式の
[解説]
○ 2つの円
x2+y2+ax+by+c=0 …(1)
x2+y2+dx+ey+f=0 …(2)
が2点で交わるとき,方程式
x2+y2+ax+by+c+k(x2+y2+dx+ey+f)=0…(A)
は,定数 k の値にかかわらず2交点を通る円を表す.
ここ、2交点を通る円ではなく、図形ではないですか?
k=-1のとき直線になるので。
=>[作者]:国語表現の好みの話をしておられるのなら対応しません.「ただし,k=−1 のときは,2交点を通る直線を表す」と書いてあるのですから何も問題はありません. これを「(A)は三角形を表すか,四角形を表すか,ただ2点を結んだ曲がった曲線を表すかまったくわかりません.アッハッハー,とにかく図形を表します.」と書けば,この文章は読者に対してほとんど情報を与えません.そんな文章なら書く必要がありません. これに対して,日本国憲法第四十五条「衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。」のように原則を書き,例外を示すと明快になりますが 衆議院議員の任期は、そんなもの決まっていません,アハッハー
衆議院が四年以内に解散されなかった場合は四年とする。
と書く方が好まれるとは限りません.
衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。 |