■ 分数関数(有理関数)の不定積分 (例題中心)携帯版は別頁

◇◇ はじめに・目次 ◇◇

○ この頁で取り扱う不定積分
 この頁では次の(1)〜(3),(A)(B)について解説と例を示す.実際の不定積分の計算においては(A)(B)を先に考えて,(1)〜(3)で締めくくるという流れになるが,目指すべき目標の形(1)〜(3)をはじめに説明する.
【基本の形】
(1) 分母がxの1次式になるもの
dx
(2) 分母がxの2次式になるもの
 i) 分母が異なる2つの1次式に因数分解できるもの
  (分母=0の2次方程式が異なる2つの実数解をもつとき)
dx 
 ii) 分母が完全平方式( ··· )2になるもの
  (分母=0の2次方程式が実数の重解をもつとき)
dx
 iii) 分母が( ··· )2+A になるもの (ただしA>0
  (分母=0の2次方程式が虚数解をもつとき)
dx

(3) 例外的に,分子が分母の微分になっているときは,直ちに不定積分が得られる.
dx=log|f(x)|+C




【あらかじめ行っておく変形】
(A) 一般に,分数関数は(分子)÷(分母)の割り算によって商と余りに分けると,「分子の次数<分母の次数の形(数研の参考書で「分数式は富士の山」と呼ばれるもの) に変形することができる.この変形により,分数関数の不定積分を求めるときは,分子の次数が分母の次数よりも低い形だけを考えればよいことになる.

(B) また,分母が何次式であっても分母=0のn次方程式は1次式と2次式の積に因数分解することができ (実数解の部分が1次式か重解に,虚数解の2つの組が(2) iii)の形の2次式に対応する) 部分分数分解恒等式の係数比較法により,上記(1)(2)の形に帰着させることができる.
【この頁では既習事項と考えている問題】
(0) 分母がxの累乗になるもの(次の形)
dx (ただし,a>0
は,
k x−adx

の形だから,直ちに不定積分が得られる.
ア) a1のとき
dx= x−adx = x−a+1+C
イ) a=1のとき
dx=log|x|+C

ア) 
dx=3 x−2+1dx = 3 x−2+1+C

=− +C


(初歩的な注意であるが )
+C

ではないかと思う人は数学II「負の指数」の項目を見直しておく方がよい.
イ) 
dx=5log|x|+C

y=log xは真数xx>0のときだけ定義されるが,y=log(−x)は真数−x>0のとき,すなわちx<0のとき定義される.そこで,これらをまとめて
y=log|x|
という関数を考えると,x0において定義される関数となる.
 y=log|x|の微分を確かめるには,次のように2つに分けて考えるとよい.
ア) x>0のとき,(log x)=

イ) x<0のとき,x=−t (t>0)y=log t (t>0)とおいて合成関数微分法によって微分すると
= = − =
となるから
y=log(−x) (x<0)の微分もに等しい.

ア)イ)をまとめると,(log|x|)= が導かれる.
◇◇ 本文・解説 ◇◇
【解き方・公式の解説】
(1) 分母がxの1次式になるもの
dx (ただし,a , b0
(log|ax+b|)=a
だから
dx = log|ax+b|+C

(2) 分母がxの2次式になるもの
 i) 分母が異なる2つの1次式に因数分解できるもの
  (分母=0の2次方程式が異なる2つの実数解をもつとき)
dx 
 【部分分数分解】を用いる.
■ 例えば,
dx

の問題では,被積分関数を変形して
=+
となる定数A , B【恒等式の係数比較法】によって求めると,
A(x+1)+B(x−1)=1より
A+B=0 , A−B=1A= , B= −
となるから
= ( )
これを用いて元の問題を書き換えると
dx = ( )dx

= (log|x−1|−log|x+1|)+C= log||+C
続く↑
(2)続き

■ 例えば,
dx

の問題では,被積分関数を変形して
= +
となる定数A , B【恒等式の係数比較法】によって求めると,
A(x+4)+B(x+2)=x+8より
A+B=1 , 4A+2B=8A=3 , B= −2
となるから
= …(*1)
これを用いて元の問題を書き換えると
dx= ( )dx

= 3log|x+2|−4log|x+4|+C …(答)
さらに変形してlog+Cとするのもよい.

(分母の絶対値記号を書かなかったのは4乗だから負にならないから.分子の絶対値記号を省略できないのは3乗だから負になる可能性があるから.)

※ 高校生によくみられるのは(*1)までの変形で「疲れ果ててしまって」(*1)を答としてしまう初歩的なミスである.(*1)は,まだ積分していない形.・・・基礎「体力」がないと積分までたどりつけないので,ある程度分量をこなして「全体が見える」ようにしておくことが大切.


 数学IやIIにおいては「分母が0になる場合」をていねいに分けなければ減点される危険があるが,数学IIIでは「知らん顔」でよい.ここで扱っているような分数関数については,式が定義されるような値だけを(分母が0にならない値だけを)扱っていることが前提となっているので,何も言わなくてよい.

 ii) 分母が完全平方式( ··· )2になるもの
  (分母=0の2次方程式が実数の重解をもつとき)
dx 

 この形の被積分関数は分子にxの項を含む場合があるので,
Aは定数)

だけで表せるとは限らないが,次の形にすると常に部分分数に分解できる.

+

※ 分母の次数が低い項


も連れてくる
 この形になると
dx = +C1 …(*1)


dx =k2log|ax+b|+C2 …(*2)

のように積分が求められる.

■ 例えば,
dx

の問題では,被積分関数を変形して
= +
となる定数A , Bを求めると,
A+B(x+1)=3x+5より
B=3 , A+B=5A=2 , B=3
となるから
= +
これを用いて元の問題を書き換えると
dx= ( + )dx

= − +3log|x+1|+C …(答)
続く↑
→続き
(備考)
上の(1)で述べたように,分母が1次式のときの不定積分は
dx = log|ax+b|+C …(*2)

また,
y= y’=

これは合成関数微分法によって示される:
y=
t= ax+b
- - - -
=
= a ·(−1) ·
= −a

だから
dx = +C …(*1)

※ この形の不定積分は逆三角関数が登場するので高校では扱わない.ただし,定積分は「定数」になるので高校数学で扱う.(話がややこしいが,なぜそうなるのかはやってみれば分かる.)
 iii) 分母が( ··· )2+A になるもの (ただしA>0
  (分母=0の2次方程式が虚数解をもつとき)
dx (ただし, A>0)

【要約】

= tan−1 x+C …(*)

= tan−1 +C …(**)

dx= log(x2+a2)+C …(***)

(*)←:
 y=tan−1 xの微分

 y=tan−1 xのとき,x=tan yだから,逆関数の微分法を用いると
x=tan y

= =tan2y+1 …(b)

(b)を(a)に代入すると

==

すなわち,y=tan−1 xの微分はになる.
これにより

= tan−1 x+C
が成り立つ.

(**)←:
  (a>0)を求めるには

 ⇒ x=atとおいて置換積分するとよい.
=adx=adt

  = =

= tan−1 t+C= tan−1 +C
ゆえに

= tan−1 +C


(***)←:
 (3)で述べる dx=log|f(x)|+Cを用いる.
(x2+a2)= 2xだから
dx= log(x2+a2)+C
x2+a2>0だから絶対値記号は不要)
ゆえに

dx= log(x2+a2)+C
続く↑
※ 逆三角関数 tan−1 xは,すなわち cot xとは関係ない.
tan xの逆関数を,tan−1 xで表す.
すなわち,
y=tan−1 x とは x=tan y のことを表す
y=tan xは周期関数なので,1つのyの値に対応するxの値がいくつもある.
そこで,逆関数y=tan−1 x すなわち x=tan yにおいて,1つのxの値に対応するyの値を考えるときは「主値」と呼ばれる

<y<
の区間を使うことにする.
このとき,y=tan−1 x <x<)(<y<
例えば
tan = だからtan−1=
tan = 1だからtan−11=

→続き

○  dx → 分母を定数kでくくるとよい.


dx= dx= tan−1 +C

= tan−1 +C


○  dx のように

分母が(ax+b)2+A (A>0)の形になるもの → ax+b=tとおいて置換積分するとよい.

dx= dx

= dt=tan−1 t+C=tan−1(x+1)+C

(3) この形に当てはまると非常に簡単に不定積分が得られるので,上記(1)〜(2) i)-iii)に当てはまるか否かによらずf’(x)/f(x)形でないかどうか瞬間チェックするとよい.
【特急券あり …♪〜いただき〜♪】

dx=log|f(x)|+C

(解説)
f(x)=tとおいて置換積分を行うと
f(x)=t
=f’(x)
dx=
だから
dx= = dt

=log|t|+C=log|f(x)|+C

1)  dx=log|x2+5x−3|+C


2)  dx= dx

= log(3x2+6x+7)+C


(かっこ内は常に正になるから絶対値記号は不要)

(A)
14÷4=32 のとき 14=4·3+2
したがって
= =4+ になる.
このように
【割り算の原理】(商と余りの関係)

A÷B=QR のときA=QB+Rになるから

= =Q+ になる.

Qは分数式から逃げられる・・・多項式になる.
余りRは分数式から逃げられない・・・分子に残る.
例1
dx
において
(2x2+3)÷(x2+1)=2···1
だから
dx=(2+ )dx=2x+ dx
のように変形すると,分子の次数が分母の次数より低くなり,計算が楽になる.
(分子の次数=分母の次数の場合も,割り算によって次数を下げなければならないことに注意.)
例2
dx
において
(x3+x2+x+7)÷(x2−x+3)=x+2···1
だから
dx=(x+2 + )dx

= +2x+ dx
のように変形する.

(B)

dx
の被積分関数を部分分数に分解するには
= +
とおくと( (A)の処理ができている限り,分子の次数は分母よりも低くなる)
A(x2+1)+(Bx+C)(x+1)=x−1の係数を比較して
A=−0 , B=1 , C=0
これにより元の式は
dx=( − +)dx

= −log|x+1|+dx

= −log|x+1|+log(x2+1)+C

dx
の被積分関数を部分分数に分解するには

= + …(*B1)

とおくことができるが,通常これよりも後の処理が簡単になる次の形を考える.

= ++ …(*B2)

(*B1)の形になるときはいつでも(*B2)の形にできる.(比較してみるとCの値が少し違うだけだと分かる.)
(*B2)より
A(x+1)2+Bx+Cx(x+1)=x+2の係数を比較して
A=2 , B= −1 , C= −2
これにより元の式は
dx=( )dx

= 2log|x|+−2log|x+1|+C
◇◇ 【例】 ◇◇ (各問題をクリックすると答に移る)
(1)-1
dx
(1)-2
dx
(1)-3
dx
(2) i)-1
dx
(2) i)-2

(2) i)-3
dx
(2) ii)-1
dx
(2) ii)-2
dx
(2) ii)-3
dx

※ この項目は高校では扱わない
(2) iii)-1
dx

(2) iii)-2
dx

(2) iii)-3
dx
(3)-1
dx
(3)-2
dx
(3)-3
dx
(AB)-1
dx
(AB)-2
dx
(AB)-3
dx
◇◇ 【答】 ◇◇
(1)-1

  dx=3log|x+2|+C
(1)-2

  dx = log|2x−3|+C
(1)-3

  dx = −log|4−x|+C
(2) i)-1

  dx

 被積分関数を変形して
= +
となる定数A , Bを求めると,
A(x+2)+B(x−2)=1より
A+B=0 , 2A−2B=1A= , B= −
となるから
= ( )
これを用いて元の問題を書き換えると
dx= ( )dx

= (log|x−2|−log|x+2|)+C= log||+C …(答)
(2) i)-2

 

 被積分関数を変形して
= +
となる定数A , Bを求めると,
A(x−1)+B(x−2)=1より
A+B=0 , −A−2B=1A= 1, B= −1
となるから
=
これを用いて元の問題を書き換えると
= ( )dx

= log|x−2|−log|x−1|+C= log||+C …(答)
(2) i)-3

  dx

 被積分関数を変形して
= +
となる定数A , Bを求めると,
A(x+2)+B(x−1)=3xより
A+B=3 , 2A−B=0A=1, B=2
となるから
= +
これを用いて元の問題を書き換えると
dx= ( +)dx

= log|x−1|+2log|x+2|+C= log|(x−1)(x+2)2|+C …(答)
(2) ii)-1

  dx

= 4 · (−1)· +C= − +C …(答)
(2) ii)-2

  dx

 被積分関数を変形して
= +
となる定数A , Bを求めると,
A+B(x+2)=x+1より
B=1 , A+2B=1A=−1, B=1
となるから, これを用いて元の問題を書き換えると
dx= (− +)dx

= +log|x+2|+C …(答)
(2) ii)-3

  dx

 被積分関数を変形して
= +
となる定数A , Bを求めると,
A+B(2x+3)=4x+5より
2B=4 , A+3B=5A=−1, B=2
となるから
= − +
これを用いて元の問題を書き換えると
dx= ( − +)dx

= +log|2x+3|+C …(答)
(2) iii)-1

  dx=tan−1 +C


(2) iii)-2

 dx= dx= dx

= log(x2+5)+C


(2) iii)-3

  dx= (+)dx

= dx+4)dx

= log(x2+1)+4tan−1x+C


(3)-1

  dx = dx= log(x2+2)+C

(3)-2

  dx= log|2x2+3x+4|+C

(3)-3

  dx= log|x3−x2+x−1|+C

(AB)-1

  dx=(x+1+)dx

= +x+2()dx= +x+2(log|x−1|−log|x|)+C


(AB)-2

  dx=(+)dx

=log|x−1|++3log|x+1|+C


(AB)-3

  dx=(1− )dx

=(1− )dx

=x−2log(x2+2x+2)+3dx

=x−2log(x2+2x+2)+3dx

=x−2log(x2+2x+2)+3tan−1(x+1)+C





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