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【漸化式の一般項】(まとめ)
(1) 階差型漸化式 (2) 等比型漸化式 (3) 三項間漸化式 (4) 連立漸化式 ![]() のとき, と書ける.2組求めて, |
** 2項間漸化式 **
【例題1】
(解答)さいころをn回投げたとき1の目が出る回数が奇数である確率をpnとおく.以下の問いに答えよ. (1) p1, p2, p3を求めよ. (2) (3) pnを求めよ. (2011年度奈良女子大理学部)
(1) サイコロを1回投げたとき,1の目が出る回数は0回か1回.奇数回は1回. だから,p1は,「さいころを1回投げたとき,1の目が1回出る確率」を表す. サイコロを2回投げたとき,1の目が出る回数は0〜2回.奇数回は1回. だから,p2は,「さいころを2回投げたとき,1の目が1回出る確率」を表す. サイコロを3回投げたとき,1の目が出る回数は0〜3回.奇数回は1回と3回. だから,p3は,「さいころを3回投げたとき,1の目が1回または3回出る確率」を表す. (2) n回のうちで1の目が奇数回出る確率をpnとすると,偶数回出る確率は1−pn そこで,n+1回のうちで1の目が奇数回出るのは,次のア)イ)のいずれかになる. ア) n回までに1の目が奇数回出て,n+1回目に他の目が出る確率は イ) n回までに1の目が偶数回出て,n+1回目に1の目が出る確率は したがって (3) ![]() この漸化式は,次のように変形できる |
【類題1.1】
[解答を見る]正三角形ABCがあり,点Xは正三角形ABCの頂点を移動する点である.サイコロを投げて5の目が出たとき点Xは時計回りに隣の点に移動し,6の目が出たとき点Xは反時計回りに隣の頂点に移動し,それ以外の目が出たとき点Xは移動しない.はじめに点Xは頂点Aにあるとし,サイコロをn回投げたとき点Xが頂点Aにある確率をPnとする. (1) P1, P2, P3を求めよ. (2) Pn+1をPnを用いて表せ. (3) Pnを求めよ. (2014年度大分大教育福祉科)
(1) P1は「サイコロを1回投げたとき点Xが頂点Aにある確率」だから,「サイコロを1回投げて,1から4の目が出る確率」を求めるとよい.
P2は「サイコロを2回投げたとき点Xが頂点Aにある確率」だから,「サイコロを2回投げて,ア)2回とも1から4の目が出る,イ)5と6が1回ずつ出る確率」を求めるとよい. P3は「サイコロを3回投げたとき点Xが頂点Aにある確率」だから,「サイコロを3回投げて,ア)3回とも1から4の目が出る,イ)5と6が1回ずつ出て,1から4が1回出る,ウ)5が3回出る,エ)6が3回出る確率」を求めるとよい. (2) 次の3つの場合について確率の和を求めればよい. ア)「サイコロをn回投げたとき点Xが頂点Aにあって,n+1回目に1〜4の目が出る確率」 イ)「サイコロをn回投げたとき点Xが頂点Bにあって,n+1回目に6の目が出る確率」
サイコロをn回投げたとき点Xが頂点Aにない確率が,
ウ)「サイコロをn回投げたとき点Xが頂点Cにあって,n+1回目に5の目が出る確率」
n回投げたときCにある確率はBと同様
以上から, (3) |
【類題1.2】
[解答を見る]1つのサイコロを何回か投げる場合を考える.4回投げたとき,「1または2の目」が奇数回出る確率は である.また,n回投げたときに「1または2の目」が奇数回出る確率をpnとするとき,pnをnの式で表すと である. (2016年度早稲田大国際教養学部)
1回投げたとき「1または2の目」が出る確率は
4回投げたとき「1または2の目」が3回出る確率は これらを加えると 「1または2の目」が出た回数を,n回目までに出た回数とn+1回目に出た回数に分けて考えると ア)n回目までに「1または2の目」が奇数回出て,n+1回目に「1または2の目」が出ない確率は イ)n回目までに「1または2の目」が奇数回出ずに(偶数回出て),n+1回目に「1または2の目」が出る確率は 上記ア)イ)の和から この漸化式から一般項を求める のように変形すると,数列 また,サイコロを1回投げて「1または2の目」が奇数回出る確率は だから |
【類題1.3】
[解答を見る]2つの粒子が時刻0において△ABCの頂点Aに位置している.これらの粒子は独立に運動し,それぞれ1秒ごとに隣の頂点に等確率で移動していくとする.たとえば,ある時刻で点Cにいる粒子は,その1秒後には点Aまたは点Bにそれぞれ (2014年度京都大理科系)
1秒後に2つとも点Bにいる確率は
1秒後に2つとも点Cにいる確率は したがって,1秒後に同じ点にいる確率は n+1秒後に同じ点にいる確率p(n+1)を,n秒後に同じ点にいる確率p(n)を用いて表すには,次の3つの場合が考えられる. ア)n秒後に同じ点にいて,2つとも右に回る場合 イ)n秒後に同じ点にいて,2つとも左に回る場合 ウ)n秒後に異なる点にいて,次に第3の点で一致する場合 ア)イ)ウ)を加えると 次の漸化式の一般項を求める ![]() のように変形すると,数列 |
【類題1.4】
[解答を見る]数直線上を動く点Pが,最初原点の位置にある.1個のさいころをくり返し投げ,1回投げるごとにさいころの出た目に応じて次の操作を行う.
• さいころの出た目が奇数のときは,点Pを+1だけ移動させる.
さいころをn回投げた後に点Pが原点にある確率をpnとする.• さいころの出た目が2または4のときは,点Pを動かさない. • さいころの出た目が6のときは,点Pが原点の位置になければ点Pを原点に移動させ,点Pが原点の位置にあれば動かさない. (1) p1とp2をそれぞれ求めよ. (2) n≧1のとき,pn+1をpnを用いて表せ. (3) pnをnの式で表せ. (2016年度青山学院大経営学部)
(1) 1回投げて原点にあるのは2,4,6の目が出る場合だから
2回投げて原点にあるのは,次の場合になる
(2) n+1回投げた後に原点にあるのは,「n回投げた後に原点にあって,n+1回目に2,4,6が出る場合」「n回投げた後に原点になくて,n+1回目に6が出る場合」だから (3) のように変形すると,数列 |
** 3項間漸化式,連立漸化式 **
【例題2】
あるウイルスの感染拡大について次の仮定で試算を行う.このウイルスの感染者は感染してから1日の潜伏期間をおいて,2日目から毎日2人の未感染者にこのウイルスを感染させるとする.新たな感染者1人が感染源となったn日後の感染者数をan人とする.たとえば,1日後は感染者は増えずa1=1で,2日後は2人増えてa2=3となる. (1) an+2, an+1, an (n=1, 2, 3, ・・・)の間に成り立つ関係式を求めよ. (2) 一般項anを求めよ. (3) 感染者が初めて1万人を超えるのは何日後か求めよ. (2016年度東北大理系)
![]() (1)
a1=1
一般に,a2=a1+2a1=3 a3=a2+2a1=5 a4=a3+2a2=11 an+2=an+1+2anが成り立つ・・・(*1) (2) an+2−αan+1=β(an+1−αan) となるα, βを求める. an+2=(α+β)an+1−αβan) の係数を(*1)と比較すると ![]() αβ=−2 この連立方程式の解は ![]() α=2, β=−1・・・(*3) |
(*2)より 数列 (*3)より 数列 (*4)−(*5) (3) となるnを求める. 214=16384, 215=32768だから nが奇数ならば nが偶数ならば よって,n=14(14日後)のとき初めて10000人を超える. |
【類題2.1】
[解答を見る]A,B,Cの3人が,最初は赤色の箱,B,Cは白色の箱をもって並んでいる.表,裏の出る確率が等しい硬貨を投げて,表が出るとAとBが箱を交換し,裏が出るとBとCが箱を交換するという操作を繰り返す. (1) 硬貨を2回投げたとき,A,B,Cが赤い箱をもっている確率は,それぞれ
(2) 硬貨を3回投げるとき,A,B,Cが赤い箱をもっている確率は,それぞれ
(3) 硬貨を4回投げるとき,Aが赤い箱をもっている
(4) 硬貨を5回投げるとき,Aが赤い箱をもっている
(2016年度青山学院大理工学部)
![]() (1) @)2回目にAが赤い箱を持っているのは 「裏→裏と出る場合」「表→表と出る場合」があるから A)2回目にBが赤い箱を持っているのは 「裏→表と出る場合」だけだから B)2回目にCが赤い箱を持っているのは 「表→裏と出る場合」だけだから (2) @)3回目にAが赤い箱を持っているのは
「2回目にAが赤い箱を持っていて,3回目に裏が出る場合」「2回目にBが赤い箱を持っていて,3回目に表が出る場合」だから
A)3回目にBが赤い箱を持っているのは
「2回目にAが赤い箱を持っていて,3回目に表が出る場合」「2回目にCが赤い箱を持っていて,3回目に裏が出る場合」だから
B)3回目にCが赤い箱を持っているのは
「2回目にCが赤い箱を持っていて,3回目に表が出る場合」「2回目にBが赤い箱を持っていて,3回目に裏が出る場合」だから
(3) 硬貨を4回投げたとき,Aが赤い箱を持っているのは
「3回目にAが赤い箱を持っていて,4回目に裏が出る場合」「3回目にBが赤い箱を持っていて,4回目に表が出る場合」だから
なお,元の問題にはないが「硬貨を4回投げたとき,Bが赤い箱を持っている」確率も,次のようにして計算できる(この値は,次の(4)の問題を求めるときに使う)
(4)「3回目にAが赤い箱を持っていて,4回目に表が出る場合」「3回目にCが赤い箱を持っていて,4回目に裏が出る場合」は 硬貨を5回投げたとき,Aが赤い箱を持っているのは
「4回目にAが赤い箱を持っていて,5回目に裏が出る場合」「4回目にBが赤い箱を持っていて,5回目に表が出る場合」だから
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【類題2.2】
[解答を見る]コインを投げ,点Pを次の規則によって正三角形ABCの頂点A,B,C上を動かす.点PがAにあるときは,表が出たらBに動かし,裏が出たらCに動かす.Bにあるときは,表が出たらCに動かし,裏が出たらAに動かす.Cにあるときは,表が出たらAに動かし,裏が出たらBに動かす. はじめに点PはAにあるとし,コインをn回投げた後にPがAにある確率をan,Bにある確率をbn,Cにある確率をcnとする (1) (2) (@) an+1をan, bn, cnを用いて表せ. (A) bn+1をan, bn, cnを用いて表せ. (B) cn+1をan, bn, cnを用いて表せ. (3) bn=cnであることを示せ. (4) anを求めよ. (2011年度学習院大理学部)
(1)
コインを2回投げた後にPがAにあるのは
「1回投げた後にPがBにあって,2回目に裏が出る場合」「1回投げた後にPがCあって,2回目に表が出る場合」だから
同様にして
「2回投げた後にPがBにあって,3回目に裏が出る場合」「2回投げた後にPがCあって,3回目に表が出る場合」だから
同様にして
「3回投げた後にPがBにあって,4回目に裏が出る場合」「3回投げた後にPがCあって,4回目に表が出る場合」だから
同様にして
(@) (A) (B) (3) 数学的帰納法により証明する. T) 仮定により U) ![]() だから, T)U)により すべての自然数nについて,bn=cnが成り立つ. (4) (2)の結果から,an+1+bn+1+cn+1=an+bn+cn=1 bn+cn=1−an これを(2)(@)に代入すると この2項間漸化式は,次のように変形できる このとき,数列 (参考) 一般の場合,誘導問題の流れとして,(3)のように出題されていればこれを利用して(4)を解くことが多い.上記の答案では,(3)の結果を利用せずに(4)を解いているが,(3)を使って(4)を解く場合は,次のような答案が書ける. bn=cnだから(2)(@)(A)により ![]() この連立漸化式から ![]() これを解くと ![]() β=1 ![]() (*1)から (*2)から (*3)+(*4)×2により |
【類題2.3】
[解答を見る]AとBの2人が,1個のサイコロを次の手順により投げ合う. 1回目はAが投げる. 1,2,3の目が出たら,次の回には同じ人が投げる. 4,5の目が出たら,次の回には別の人が投げる. 6の目が出たら,投げた人を勝ちとしそれ以降は投げない. (1) n回目にAがサイコロを投げる確率anを求めよ. (2) ちょうどn回目のサイコロ投げでAが勝つ確率pnを求めよ. (3) n回以内のサイコロ投げでAが勝つ確率qnを求めよ. (2011年度一橋大)
(1) n回目にAがサイコロを投げる確率をan,Bが投げる確率をbnとおくと
1回目にAがサイコロを投げる確率は 1回目にBがサイコロを投げる確率は 2回目にAがサイコロを投げるのは,1回目にAが1,2,3を出す場合だから 2回目にBがサイコロを投げるのは,1回目にAが4,5を出す場合だから 3回目にAがサイコロを投げるのは,「2回目にAが投げて1,2,3を出す場合」「2回目にBが投げて4,5を出す場合」だから 3回目にBがサイコロを投げるのは,「2回目にAが投げて4,5を出す場合」「2回目にBが投げて1,2,3を出す場合」だから 次の連立漸化式から,一般項を求める ![]() ![]() (*3)(*4)より ![]() (*5)より 数列 (*6)より 数列 {(*7)+(*8)}÷2により (2) n回目にAがサイコロを投げて,6の目が出る場合だから (3) n回で勝つというのは互いに排反事象なので,n回以下で勝つ確率は,それらの和で求められる { }内の第1項は,初項1,公比 { }内の第2項は,初項1,公比 結局 |
![]() xy平面上の6個の点(0, 0), (0, 1), (1, 0), (1, 1), (2, 0), (2, 1)が図のように長さ1の線分で結ばれている.動点Xは,これらの点の上を次の規則に従って1秒ごとに移動する. 規則:
動点Xは,そのときに位置する点から出る長さ1の線分によって結ばれる図の点のいずれかに,等しい確率で移動する.
例えば,Xが(2, 0)にいるときは,(1, 0), (2, 1)のいずれかに 時刻0で動点XがO=(0, 0)から出発するとき,n秒後にXのx座標が0である確率を求めよ.ただし,nは0以上の整数とする. (2016年度京都大理科系)
![]() ![]()
【注意】
(*1)+(*2)+(*3)よりこのような 定数項なしで定数係数の場合は一次変換と呼ばれ,行列で書けて の解は と解けるが,今の学習指導要領では(2021年現在)高校数学に行列はなく,行列のn乗もない.行列を習っていても,行列のn乗を具体的に求めることは,それだけでも骨の折れる問題になる. 入試では「その問題を時間内に解く方法が偶然にでも見つかればよい」と割り切ることが重要・・・以下の答案は,たまたま解けた例を示している したがって (*2)に代入すると また,(*1)−(*3)より (*4)(*5)を(*2)に代入する |