船岡山

 北大路通りを千本から東へだらだらと歩く。
 今宮神社の鳥居の向かいにガソリンスタンドがある。ここの主、熱烈な長嶋フアンらしく巨人が勝つと長嶋デーと銘打ってサービスをしている(長島が巨人を逐われた時には、巨人が負けると長島デーだったものだが)。

 スタンドの蔭には、尊稱皇后の内親王の墓所が訪れる人もなくひっそりと祀られている。

 スタンドの横の道を少し南へ下がった所にある、こんもりとした林に囲まれた丘陵が船岡山だ。
 高さ30m周囲は2kmにも足りない小さな丘で、東の頂には織田信長を祭る建勲神社が建つ。西の頂は広場になっており、木々の間から京の町並みが見渡せなかなかのものである。
 
 船岡山は朱雀大路を真っすぐ北に延ばした所にあり、平安京造営の際の基準点となったところで、枕草子や徒然草にも名を記され、平安貴族の行楽地であったことが偲ばれる。

 丘陵全体が公園になり遊歩道が縦横に通じ、気ままに小道を辿ると思いがけない所に出る。お稲荷さんの祠や石造りのステージ、主の判別すら出来ぬ石碑などがあり、うららかな日の午後の散歩にはお誂えの所である。
 ここがかつて戦場となったことを知る人は少ないが、神社の裏手にある幅2m程の窪地は応仁の乱の頃の壕の跡と云う。

 散策のおりに一度訪ねてみられる事をお勧めする。    TY
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