=== 増減表の作り方 ===

■解説

<元になる考え方>
y ' は接線の傾きを表わすので,y’ の符号の変化を見れば,増加・減少が分かる.
y’>0 のところでは,グラフは増加となる.
y’<0 のところでは,グラフは減少となる.

例1
 y=x2−2x の増減表を求めるには:
■微分して y’ を求める ■
 y’=2x−2=2(x−1) となる

y’=0 となる x の値を求める ■
 y’=0 となる x の値は 2(x−1)=0 より x=1

y’ の符号を求める ■
  x<1 のとき,例えば x=0 のとき y’=−2 だから
 y’ の符号は−になる.
  x>1 のとき,例えば x=2 のとき y’=2 だから
 y’ の符号は+になる.

■ 増減を矢印で表わす ■
  y’ の符号が−のときは,y は減少.これを記号で表わす. y’ の符号が+のときは,y は増加.これを記号で表わす.

■ 極値を求める ■
 増加から減少に変化する場所を「極大」といい,そのときの y の値を「極大値」という.
 減少から増加に変化する場所を「極小」といい,そのときの y の値を「極小値」という.
 極大値と極小値をまとめて極値という.
 極値を表に書き込む.
 この問題では,x=1 のとき,極小値 y=−1 となる.
 以上の結果を表にすると,次のようになる.このような表を増減表という.
x
 x<1 
1
 1<x 
y’
0
+
y
- 1

 x の値は,左に小さな値,右に大きな値があるものとする(数直線と同様)ので,この表の1行目は次のように省略してよい.
x
  
1
  
y’
0
+
y
- 1

例2
  y=−2x2+3x の増減表を求めるには:

■微分する ■
 y’=x2−4x+3
y’=0 を解く ■
 y’=0x2−4x+3=0(x−1)(x−3)=0x=1,3
y’ の符号を求める ■
x<1 のとき,例えば x=0 のとき y’=3 だから y’ の符号は +
1<x<3 のとき,例えば x=2 のとき y’=−1 だから, y’ の符号は−
3<x のとき,例えば x=4 のとき y’=3 だから y’ の符号は+
■ 極値を求める ■
x=1 のとき, y=

x=3 のとき, y=0
x
    
1
    
3
    
y’
+
0
0
+
y
0


■■ 増減表の作り方(要点) ■■

(1) y’ を求める.
(2) y’=0 となる x の値を求める.==>x の方程式を解く.
(3) y’=0 となる x の値を区切り目として表を書く.

上の行は x の値、次の行は y’ の符号、一番下の行は y の値を表すものとして,表は上から下へ,左から右へ見ていく.
(4) y’ の符号は,その区間にある x の一つの値を代入して判断する.
(5) y’ が+ならば y は増加(),y’ が−ならば y は減少()

■問題1 次の各関数について,増減表を完成しなさい.
 (左から空欄を一つ選択し,続いて右からその欄に入るものを選択しなさい.正しければ確定し,間違っていれば元に戻ります.)

(1)
 y=x3−3x2
 y’=3x2−6x=3x(x−2) 
x      
y’
y
     
       
     
(2)
 y=−x3+3x
 y’=−3x2+3=−3(x+1)(x−1) 
x      
y’
y
     
       
     
(3)
 y= x2−4x
 y’=2x−4= 2(x−2) 
x    
y’
y
     
       
     

■解説

(備考)
平成11年告示の高等学校学習指導要領では,数学II で扱う微分は3次関数までとなっていますが,以下の解説においては,数学III や高校卒業後の数学も視野に入れて,この制限を外しています.


y’=0 が虚数解をもつ場合
 右の例1のように,y’=0虚数解を持つときは,その虚数解はy’ の符号の変わり目とはならないので,y’=0実数解から増減表を作ればよい.

例1
y’=(x2+1)(x−1) のとき,y’=0 の実数解はx=1 ,他の2つの解は虚数
 このとき,因数 x2+1 の符号はつねに正で,y’ の符号に影響していない.
 したがって,y’ の符号は
  y’=2(x−1)
  y’=3(x−1)
などと全く同じになる.
(これらと元の関数を比較すると,y’ の値は少し異なるが,符号は全く同じ.増減表においては,y’ の値には興味がなく,正,負,0 の符号のみに興味があるから,x2+1 を無視して増減表を作ることができる.)
○ 増減表は次のようになる.
y=···
y’=(x2+1)(x−1)
x   1  
y’ - 0 +
y  
y’=0 が重解,3重解をもつ場合

 右の例2のように,y’=0 が(2)重解をもつ点においては,接線の傾きは一度 0 になるが,増減は変化しない.
y’ の符号は2回変わる=変化しない)

 右の例3のように,y’=0 が3重解をもつ点においては,接線の傾きは一度 0 になり,増減は変化する.
y’ の符号は3回変わる=1回変る)


※ 例2のような場合,y’=0 が重解をもつ点は,極値とならない.

 y’ の符号が,  + → 0 → +
 y’ の符号が,  - → 0 → -

は,崖に道路の図・・・極値でない.
例2
y’=(x−1)(x−2)2 のとき,y’=0 の実数解はx=1x=2(重解)
となるが,
 x=2 では y’=0 となるが,x=2 の前後で符号は変化していない.
 符号が2回変化すると考えてもよい.
 (x−2)2 は,2乗だから,つねに ≧0 と考えてもよい.

 ただし,x=2 では y’=0 となるので,接線の傾きは一度 0 になる.
○ 増減表は次のようになる.
y=···
y’=(x−1)(x−2)2
x   1   2  
y’ - 0 + 0 +
y    
例3
y’=(x−1)(x−2)3 のとき,y’=0 の実数解はx=1x=2(3重解)
となるが,
 x=2 では y’=0 となって,x=2 の前後で符号は変化する.
 符号が3回変化する(1回と同じ)と考えてもよい.

 ただし,x=2 では y’=0 となるので,接線の傾きは一度 0 になる.
○ 増減表は次のようになる.
y=···
y’=(x−1)(x−2)3
x   1   2  
y’ + 0 - 0 +
y    

■問題2 次の各関数について,増減表を完成しなさい.
 (左から空欄を一つ選択し,続いて右からその欄に入るものを選択しなさい.正しければ確定し,間違っていれば元に戻ります.)

(1)
 y=x4+2x2
 y’=4x3+4x=4x(x2+1) 
x    
y’
y
     
       
     
(2)
 y=−(x+1)3
 y’=−3(x+1)2
x    
y’
y
     
       
     
(3)
 y=3x4−4x3
 y’=12x3−12x2=12x2(x−1) 
x      
y’
y
     
       
     
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