【このページの使い方】
• このページの問題を全部解く必要はありません.問題数も多く,時間がかかります. • 「問題の式の形」⇔「グラフの形」の対応関係を一覧で確かめるために使うとよいでしょう. • 漸近線の練習が全然できていない生徒の場合は,(1.x)のような大区分の問題を各2題ずつ解けば,基本練習になります.
• このページでは,グラフの概形と漸近線を扱う.
• はじめに,漸近線の計算によく登場する「重要な極限値」を確認しておく
【重要な極限値】
任意の正の定数nに対して,次の極限が成り立つ …(T)
特に,n=1のとき…(T.1)
分母と分子を入れ替えると,次の極限が成り立つ…(T.2)
特に,n=1のとき…(T.3)
任意の正の定数nに対して,次の極限が成り立つ…(U)
特に,n=1のとき…(U.1)
分母と分子を入れ替えると,次の極限が成り立つ…(U.2) 特に,n=1のとき…(U.3) 任意の正の定数nに対して,次の極限が成り立つ …(V) …(V.2) また,x→+0のとき,次の極限が成り立つ …(W)
特に,n=1のとき…(W.1)
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(証明) 高校数学の教科書には,必ずしも書かれていないが「コーシーの平均値の定理」から導かれる「ロピタルの定理」を使って行うのが楽 (大学入試の記述式答案でも「ロピタルの定理」によりと書けば,答案として成り立つはず)
【ロピタルの定理】
(T.1)←@) x→aのとき,f(x)→0, g(x)→0, (g(x)≠0)のとき A) ロピタルの定理は,x→∞のときも成り立つ ロピタルの定理A)を用いる x→∞のとき,で,分母も分子も微分可能だから ∎∥ (T)← 同様にして,分母がn次式のときは,n回微分すると,分母が定数になる ∎∥ これらの分母分子を入れ替えると(T.2)(T.3)が示される (U.1)← ロピタルの定理A)を用いる x→∞のとき,で,分母も分子も微分可能だから ∎∥
(別の証明)
(U)←(T.1)の結果を用いる.とおくと ∎∥ 同様にして ∎∥ (V)← (T)において,とおくと だから ∎∥ (W)← x→+0のとき,とおくと (T.2)により ∎∥ (W.2)← (W)において,n=1のとき, ∎∥ |
♪〜指数関数のグラフと漸近線〜♠
(1.1)
• • • x→∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散する. • x→−∞のときの極限を求めるとき,(T.3)の公式を使う. これにより
極大値:なし, 極小値:有り●
グラフは,図のようになる変曲点:有り● 横向き漸近線:有り--- 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(1.2)
• x→−∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,(−∞)×∞で発散します. • x→∞のときの極限を求めるとき,(T.3)の公式を使う. これにより
極大値:有り●, 極小値:なし
グラフは,図のようになる変曲点:有り● 横向き漸近線:有り--- 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(1.3)
• x→−∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散します. • x→∞のときの極限を求めるとき,(T)の公式を使う.
極大値:有り●, 極小値:有り●(0, 0)
グラフは,図のようになる変曲点:有り● 横向き漸近線:有り--- 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(1.4)
• 漸近線の方程式は,左右ともy=0
• 統計の分野で重要な正規分布曲線の形になる
極大値:有り●(0, 1), 極小値:なし
変曲点:有り● 横向き漸近線:有り--- 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(1.5)
• 定義域はx≠0 グラフは,右図のようになる • ⇒ 漸近線 y=1 • ⇒ 漸近線 y=1 • ⇒ 白点は,定義されない • ⇒ 漸近線 x=0
極大値:なし, 極小値:なし
変曲点:有り● 横向き漸近線:有り--- 縦向き漸近線:有りx=0, 斜め漸近線:なし |
♪〜対数関数〜♠
(2.1)
• 定義域はx>0 • x→∞のときのロピタルの定理を利用する ⇒ 漸近線 y=0 • とおいて,指数関数の極限に直す ⇒ 漸近線 x=0
極大値:有り●, 変曲点:有り●, 横向き漸近線:有り---
極小値:なし, 縦向き漸近線:あり・・・, 斜め漸近線:なし |
(2.2)
• 定義域はx>0, x≠1 • x→∞のとき,漸近線があるとした場合の傾きmを求める • 次に,x→∞のとき,漸近線があるとした場合の切片kを求める x→∞のときのロピタルの定理を利用する 以上により,x→∞のときの漸近線はない
※傾きが0に収束するが,切片が∞に発散し,結局,漸近線がないという例は,他にもある.
• 定義域は,x>0であるが,x→+0のときの極限値を求めるとおいて,指数関数の極限に直す ⇒ x→+0のときの漸近線なし • x→1のとき,(分母)→0となるので,漸近線を調べる ,x→1,t→0とおいて,指数関数の極限に直す 以上により,x→1のとき,漸近線はx=1
極大値:なし, (変曲点:有り), 横向き漸近線:なし
極小値:有り●, 縦向き漸近線:あり・・・, 斜め漸近線:なし |
(2.3)
• 定義域はx>0 • • • x→∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散する. • x→+0のときの極限を求めるとき,(W.1)の公式を使う.
極大値:なし, 極小値:有り●
グラフは,図のようになる変曲点:なし 横向き漸近線:なし 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(2.4)
• 定義域はx>0 • • • x→∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散する. • x→+0のときの極限を求める x→+0のとき,とおくと
極大値:なし, 極小値:有り●
グラフは,図のようになる変曲点:有り● 横向き漸近線:なし 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(2.5)
• 定義域はx>0 • • • x→∞のときの極限は,不定形でも何でもなく,∞×∞で発散する. •
極大値:なし, 極小値:有り●
グラフは,図のようになる変曲点:有り● 横向き漸近線:なし 縦向き漸近線:有り x=0, 斜め漸近線:なし |
(2.6)
• 「底がeでないとき」や,「指数がxでないとき」には,対数微分法(絶対値の対数をとる)が有効(この問題では,x>0だから,絶対値はなくてもよい) • x→∞のときの漸近線があれば求める ロピタルの定理(U.3)により だから y→1 漸近線の方程式はy=1 • x→+0のときのグラフを調べる だから y→+0
(別の証明)
極大値:有り●, 極小値:なし
変曲点:有り●x≒0.47865…, 31.3384… 横向き漸近線:有り (y=1) 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(2.7)
• 「底がeでないとき」や,「指数がxでないとき」には,対数微分法(絶対値の対数をとる)が有効(この問題では,x>0だから,絶対値はなくてもよい) • となって,このような方程式は容易には解けないが「たまたま」x=1が解になっている. 変曲点は(1, 1) • x→∞のときの漸近線があれば求める だから y→+0 漸近線の方程式はy=0 • x→+0のときのグラフを調べる ロピタルの定理(W.1)により だから y→1
極大値:有り●, 極小値:なし
変曲点:有り●(1, 1) 横向き漸近線:有り (y=0) 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(2.8)
• 対数微分法を使えば,導関数は求められる.(この問題では,x>0, y>0だから,絶対値は付けなくてもよい) • y'=0となるxの値を代数的に解いて,極値を求めることは難しい. しかし,x→∞のとき,漸近線がないことは,次のようにして示せる. 1) のとき,だから,になる.(図の桃色の点) 2) のとき,だから,になる.(図の水色の点) x→∞のとき,1)2)が交互に現れ,どこまで行っても接近しない.(+∞と+0の間の振動となり,収束しない)
※極値や変曲点も計算できないのに「なぜ,グラフが描けるのか?」と疑問をもつ読者がいるかもしれません.
• x→+0のとき,y→1, y'→∞です.
これに対する答えは「あなたの見ているのは,コンピュータの画面ですから,点を細かくつなげばグラフが描ける.」・・・代数的にではなく,数値的に点を結んで行くプログラムが組んである.・・・画面上で1000個の点を折れ線としてつないである.・・・細かいのでそれが曲線に見えるということです.
極大値:有り, 極小値:有り
変曲点:有り 漸近線:なし |
(2.9)
• 対数微分法を使えば,導関数は求められる.(この問題では,x>0, y>0だから,絶対値は付けなくてもよい) • 第2階導関数を計算して,変曲点を求める • x→∞のとき だからy→0(漸近線の方程式はy=0) • x→+0のとき だからy→0
極大値:有り●(1, 1), 極小値:なし
変曲点:有り● 横向き漸近線:有り (y=0) 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
♪〜無理関数〜♠
(3.1)
• 定義域は−∞<x<∞ • y'の符号は,常に正 • x→−∞のとき,漸近線はy=0 • x→∞のとき(y=mx+kの形の漸近線を求める) x→∞のとき,漸近線はy=2x
極大値:なし, 極小値:なし
変曲点:なし 横向き漸近線:有り y=0 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:有り y=2x |
(3.2)
• 定義域は−∞<x<∞ • x→∞のとき,漸近線はy=1 • =−1 x→−∞のとき,漸近線はy=−1 • y'の符号は,常に正 •
極大値:なし, 極小値:なし
変曲点:有り● (0, 0) 横向き漸近線:有り y=1, −1 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(3.3)
• 定義域はx≠0 • x→∞のとき,漸近線はy=1 • =−1 x→−∞のとき,漸近線はy=−1 • x→+0のとき,(分母)→0 (>0),(分子)→1だから (分数)→+∞,漸近線はx=0 x→−0のとき,(分母)→0 (<0),(分子)→1だから (分数)→−∞,漸近線はx=0 • y'の符号は,常に負 •
極大値:なし, 極小値:なし
変曲点:なし(…この問題では,第2次導関数や変曲点を求める必要はない) 横向き漸近線:有り y=1, −1 縦向き漸近線:有り x=0, 斜め漸近線:なし |
(3.4)
• 定義域は−1≦x≦1 •
極大値:有り●
極小値:あり● (−1, −1), (1, 1)
• x=aの近傍で,x≠aならばf(x)≧f(a)が成り立つとき,x=aで極小と言い,f(a)を極小値という.
変曲点:なし(…この問題では,第2次導関数や変曲点を求める必要はない)• このように,極値の定義にとっては,微分可能であることや,f’(x)=0であることは,必要ではない. • 上記のように定義すると,両端を含む閉区間で定義される関数について,端の点が極値になることがある. 横向き漸近線:なし 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(3.5)
• 定義域は−1≦x≦1 • • ここで,つねにだから
極大値:有り●
極小値:有り● 変曲点:有り●(0, 0) 横向き漸近線:なし 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(3.6)
• 定義域はx≦−1, 1≦x • x≧1(>0)のとき,だからy’>0 x≦−1(<0)のとき,x=−t, t>0とおくと ここで,だからy’<0 • x→∞のとき(y=mx+kの形の漸近線を求める) =2 x→∞のとき,漸近線の方程式はy=2x • x→−∞のとき,漸近線を求める x→−∞のとき,漸近線の方程式はy=0
極大値:なし,極小値:"有り" ●(−1, −1), (1, 1)
変曲点:なし 横向き漸近線:有り (y=0) 縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:有り (y=2x) |
(3.7)
奇数乗根の関数は,奇妙なことが起こるので,要注意!
• y’=0 ⇔ x=2 x=0のときは,y’≠0(±∞)であるが符号が変わる • •
極大値:有り●
極小値:有り●(0, 0) 変曲点:有り●
漸近線を求めるためだけなら,変曲点は必ずしも必要ないが,となるので,
横向き漸近線:有りy=0≒0.12, 4.12に変曲点がある 縦向き漸近線:有りx=−1, 斜め漸近線:なし |
(3.8)
奇数乗根の関数は,奇妙なことが起こるので,要注意!
• 積や商の多い関数を微分するには(絶対値付き)「対数微分法」を使うとよい • (符号は常に正になる) •2階の対数微分法は,めずらしいので確かめておく の微分 ⇒ y”は,x=1, 2, 5/3で符号が変わる •x→∞のとき, 漸近線の方程式はy=1 • x→−∞のとき, 漸近線の方程式はy=1 • x→1+ε (0<ε<1)のとき, • x→1−ε (0<ε<1)のとき, =∞ 漸近線の方程式はx=1
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(3.9)
※3乗根,5乗根,・・・奇数乗根のグラフでは,奇妙なことが起こる
• 多くの因数の積・商になっている関数を微分するには,対数微分法(絶対値の対数をとる)が有効 • ,y’の符号が変わる⇔ • 2階導関数を求めるための対数微分法
をxで微分したらになる
(証明) ここで,,はだから,つねに正 y”=0 ⇔ x=1
※傾きは0に近づくが,y切片が限りなく大きくなるので,漸近線は存在しない • x→−∞のときの漸近線も,同様にして存在しない
極大値:有り●
極小値:有り●(2, 0) 変曲点:有り●(1, 0) 横向き漸近線:なし,縦向き漸近線:なし, 斜め漸近線:なし |
(3.10)
※3乗根,5乗根,・・・奇数乗根のグラフでは,奇妙なことが起こる
• 対数微分法を用いて,次の結果が得られる • この問題の,漸近線を求める作業は,計算量が多く大変です.y=mx+kのmはすぐわかりますが,kが激辛です.(問題を作った本人が,なかなか解けなくて困った.) ここで,等比数列の和の公式を思い出す だから とおくと は,いずれも最高次の次数が4で,4次の係数は1になるから,の4次の係数は5 したがって,漸近線の方程式は, • x→−∞のときも,同様
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(4.1)
−5≦x≦5の場合
x=0付近で,密集している
−0.5≦x≦0.5の場合
−0.05≦x≦0.05の場合
• 定義域はx≠0 •x→∞のとき, 漸近線の方程式はy=0 • x→−∞のとき, 漸近線の方程式はy=0 |
(4.2)
x=0付近で,密集している • 定義域はx≠0 • かつ|x|→0だから • また したがって,漸近線の方程式はy=1 |
(4.3)
• 筆者にとって,この結果は,意外です. • 赤線と青線の間にあることは必要条件としてすぐ分かるが,これらは漸近線ではなく,緑線が漸近線になる • 定義域はx≠0 • かつ|x2|→0だから • 漸近線の方程式をy=mx+kの形で求める ここで「ロピタルの定理」を2回続けて用いる したがって,漸近線の方程式はy=x • 同様にして,x→−∞のときの漸近線の方程式もy=xとなる |
(4.4)
• 求める曲線は赤の破線と青の破線に接するが,これらは漸近線ではない • 漸近線はない |
(4.5)
• 定義域は,x≠0 ただし • 求める曲線は赤の破線と青の破線に接する • x→∞のときの漸近線 だから • x→−∞のときも同様 漸近線の方程式は,y=0 |
(4.6)
• 定義域は, • x→nπのときの漸近線 だから 漸近線の方程式は,x=nπ • だから 求める曲線は緑の破線に接し,y=|x|よりも大きい側と小さい側にある |
(4.7)
• x→∞のときの漸近線 だから 漸近線の方程式は,y=0 • だから 求める曲線は赤の破線と青の破線の間および線上にある |
(4.8)
• 高周期関数は,低周期関数を振幅として(下端および上端として),その間を往復する. • 漸近線はない. |
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