■軌跡の方程式2
【例1】
 複素数z, w|z|=1, w−2i=z+3を満たすとき,wが描く図形を調べてください.
(解答)
 w−2i=z+3zについて解くと
z=w−3−2i
ここで
|z|=1だから
|w−3−2i|=1
ゆえに,wは, 3+2iを中心とする半径1の円を描く.
○ ≪解き方≫
(1) zについての方程式
(2) w=f(z)の形の関係式
が与えられているとき
(2)をz=g(w)の形の関係式に直して,(1)に代入するとwについての方程式が得られる.

○ 複素数の定数をαとするとき
|w−α|=r (r>0)
αを中心とする半径rの円を表す.



○ 複素数の定数をαとするとき
w=z+α
の変換により,各々の点はαだけ平行移動した点に移される.
【例2】
 複素数z, w|z−1|=1, w=2izを満たすとき,wが描く図形を調べてください.
(解答)
 w=2izzについて解くと
z=
ここで
|z−1|=1に代入すると
|−1|=1
|w−2i|=|2i|=2
ゆえに,wは, 2iを中心とする半径2の円を描く.
○ 2つの複素数をz1 , z2とするとき
|z1z2|=|z1||z2|
が成り立つ.すなわち,積の絶対値は絶対値の積に等しい.
(解説)
 各々を極形式で表したとき
z1=r1(cosθ1+i sinθ1)
z2=r2(cosθ2+i sinθ2)
になるとすれば
z1z2=r1r2{cos(θ12)+i sin(θ12)}
となるから,積z1z2の絶対値は,r1r2すなわち絶対値の積になる.(積z1z2の偏角は,偏角θ1 , θ2の和になる.)
⇒ 積z1z2は,複素数平面上で点z1を原点の周りにθ2だけ回転して,r2だけ拡大(縮小)した点になる.
左の【例2】では,2i=2(cos+i sin)だから,w=2izとなる点wzを原点の周りにだけ回転して2倍した点になる.
一般に,複素数αの極形式がα=r(cosθ+i sinθ)となるとき,w=αzとなる変換によって,各々の点zは原点の周りに角θだけ回転してr倍した点に移される.
【例3】
 複素数z|2z−1|=1 (z≠0)で表される円周上を動くとき,w=が描く図形を調べてください.
(解答)
 |2z−1|=1すなわち|z−|=
は,点を中心とする半径の円を表す.
このとき
z=だから
|−1|=1
|2−w|=|w|
|w−2|=|w|
ゆえに,wは, 原点と点2を結ぶ線分の垂直二等分線となる.
すなわち直線x=1となる.
○ 一般にw=となる変換は「反転」と呼ばれ,
|w|=だから,大きさは逆数になる.
したがって,原点を中心とする半径1の円(単位円)の中と外が逆になる.
w=だから,偏角は正負が逆になる.
したがって,上下が逆になる.
【例4】
 複素数z|z|=1 (z≠1)で表される円周上を動くとき,
w=
が描く図形を調べてください.
(解説)
zについて解くと
wz−w=z+1
wz−z=w+1
(w−1)z=w+1
z=
|z|=1の条件をwの式に直すと
||=1
|w+1|=|w−1|
したがって,
1, −1を結ぶ線分の垂直二等分線
すなわち,y軸
(参考)
w==+1
と変形できるので,左の変換は次の4個の変換を順次行ったものとなる.
(1) z−1 :左に1平行移動
(2) :反転
(3) :2倍に拡大
(4) +1 :右に1平行移動
※ 一般に,複素数a, b, c, dを用いて
w=
で表される変換は,「平行移動」「回転・拡大」「反転」を組み合わせたものとなる.
問題各々正しいものを選んでください.
(1) 複素数z|z|=1を満たしながら動くとき,w+i=z−2を満たす点wはどのような図形を描きますか.



(2) 複素数z|z|=1を満たしながら動くとき,w=(1+i)zを満たす点wはどのような図形を描きますか.



(3) 複素数z|z|=1を満たしながら動くとき,w=i(z−1)+1を満たす点wはどのような図形を描きますか.



(4) 青で示した各点z
w=
によって反転させたとき,wの場所を複素数平面上でポイントしてください.
問題は8題あります→
[第1問 / 全8問]



(5) 複素数z|z|=1 (z≠1)を満たしながら動くとき,
w=
を満たす点wはどのような図形を描きますか.



(6) 複素数z|z|=1を満たしながら動くとき,
w=
を満たす点wはどのような図形を描きますか.



(7) 複素数z|z|=1 (z≠1)を満たしながら動くとき,
w=
を満たす点wはどのような図形を描きますか.



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