■閉曲線で囲まれた図形の面積3…(媒介変数表示)
【例1】
 a>0, b>0, 0≦t≦2πのとき,x=acost , y=bsintで囲まれた図形の面積を求めてください.
(解答)
[曲線の概形を描く]
(1) tの変化に対応したx, yの増減を調べる.
=−asint, =bcostだから
t 0

π

0 0 + + + 0
+ + 0 0 + +
(x,y) (a,0)
(0,b)
(−a,0)
(0,−b)
(a,0)
向き
次のような図形になります.

(2) [ y dxの形で面積を表す]
青で示した部分の面積は
.y1 dx
ピンクで示した部分の面積は
.(−y2)dx
求める図形の面積は
S=y1 dx−(−y2 )dx

(3) [ 置換積分により変数をtに直して計算する]
(被積分関数) : ybsint
(積分変数) : dx=−asintdt
(積分区間) : 
(上):y1について
x −a a
t π 0
(下):y2について
x −a a
t π

続く→
(参考1)
 左の方程式は,楕円
+=1
の媒介変数表示になっています.

(参考2)
図のような図形の面積は,通常
S={f(x)−g(x) }dx
によって計算しますが,この問題では無理です.
 というのは,この問題では(上)と(下)は関数形によって区別されるのではなく,(上)(下)の関数形は同じになるため,単純に引き算をすれば消えてなくなってしまいます.
 (上)であるか(下)であるかはtの積分区間によって区別されています.だから,左図のようにx軸とで囲まれる図形の面積を2つに分けて計算します.


→続き
S=bsint(−asint)dt−bsint(−asint)dt
=−absin2dt+absin2dt
=absin2dt+absin2dt
=absin2dt
=ab.dt
=ab=πab
a=b(=r)のときは,円になり,S=πr2となります.
【例2】
 a>0のとき,x=a(t−sint) , y=a(1−cost)x軸とで囲まれた図形の面積を求めてください.
(解答)
[曲線の概形を描く]
(1) tの変化に対応したx, yの増減を調べる.
=a(1−cost)≧0, =asintだから
t 0
π
0 + + + 0
+ + 0
(x,y) (0,0)
(πa,2a)
(2πa,0)
向き
右図(参考3)のような図形になります.

(2) [ y dxの形で面積を表す]
S=y dx

(3) [ 置換積分により変数をtに直して計算する]
(被積分関数) : ya(1−cost)
(積分変数) : dx=a(1−cost)dt
(積分区間) : 
x 0 2πa
t 0
続く→
(参考3)
 左のグラフはサイクロイドと呼ばれ,円が直線上を滑らずに回転するときに,円周上の1点が描く軌跡となっています.


→続き
S=a(1−cost)·a(1−cost)dt
=a2(1−2cost+cos2t)dt
=a2(1−2cost+)dt
=a2t−2sint+=3πa2
 面積が円のちょうど3倍S=3·πa2になるのは,興味深いことです.
【問題1】次の途中計算を参考にしてx=sint , y=sin2t(0≦t≦π)で囲まれる図形の面積を求めてください
(途中計算)
=cost , =0t=
=2cos2t , =0t=,
t 0



π
+ + + + 0
+ + 0 0 + +
(x , y) (0,0)
(,1)
(1,0)
(,−1)
(0,0)
向き

y=0t=0,
グラフは次のようになる.
S=y1 dx+(−y2 )dx
=sin2tcost dt+(−sin2tcost)dt
=sin2tcost dt+sin2tcost dt
=sin2tcost dt


【問題2】次の途中計算を参考にしてx=sin2t , y=sin3t(0≦t≦)で囲まれる図形の面積を求めてください
(※暗算ではできません.計算用紙が必要です.)
(途中計算)
=2cos2t , =02t=t=
=3cos3t , =03t=t=
y=03t=0,πt=0,
t 0



+ + + 0

+ 0
(x , y) (0,0)
(,1)
(1,)
(,0)
向き

グラフは次のようになる.


【問題3】x=t2 , y=t3−3tで囲まれる図形の面積を求めてください
(※暗算ではできません.計算用紙が必要です.速い人でも10分はかかるでしょう.)


...メニューに戻る