■三角関数の合成公式
【三角関数の合成公式】
 a sinθ+b cosθの形の式は一つの三角関数にまとえることができます.これを三角関数の合成公式といいます.
a sinθ+b cosθ=sin(θ+α)
(ただし,αcosα=, sinα=となる角)
(解説)
○ 三角関数の加法定理sinαcosβ+cosαsinβ=sin(α+β)により,sinθcosα+cosθsinα=sin(θ+α)となります.

○ たまたまa, bが,ある一つの角度αの三角関数cosα, sinαに等しいとき,たとえば
a==cos60°, b==sin60°
のようになっているとき
sinθ+ cosθ=sinθ cos60°+cosθ sin60°
=sin(θ+60°)

と書けることになります.

○ しかし,一般にはa·sinθ+b·cosθのように与えられた係数,a, bがそのままで一つの角度αの三角関数cosα, sinαに等しいことはめったにありません.
 右図のようにa, bが2辺となっている直角三角形を考えると,
cosα=, sinα=
が成り立ちますので,この形が使えるように与えられた式をうまく割り算して調整します.
a sinθ+b cosθ
=sinθ+cosθ
= (sinθ +cosθ )



図のような直角三角形の角度をαとすると,
=cosα, =sinαとなるから
(sinθ +cosθ )
= (sinθcosα+cosθsinα )
= sin(θ+α)
と書けることになります.



a sinθ−b cosθ (a,b>0)
(sinθ·cosα+cosθ·sinα)
=sin(θ+α)
cosα=
sinα=
の式を使って合成するときは,右図のような第4象限の角αを考えていることになります.

a sinθ−b cosθ (a,b>0)
(sinθ·cosα−cosθ·sinα)
=sin(θ−α)
cosα=
sinα=
の式を使って合成するときは,右図のような第1象限の角αを考えていることになります.
※ 紛らわしい公式との区別
○関数が同じ,角度が違う⇒公式あり
○関数が違う,角度が同じ⇒公式あり
×関数も角度も違う⇒公式なし
(1) 係数と関数が同じなら,角度が違ってもよい
sinA±sinBcosA±cosB
⇒和積の公式

(2) 角度が同じなら,係数と関数が違ってもよい
asinθ+bcosθ
⇒合成公式

(*) 関数も角度も違えば公式がない
sinA+cosB
⇒対応する公式はない
(*) 係数と角度が違えば公式がない
asinA±bsinBacosA±bcosB
⇒対応する公式はない

【例題1】
 次の三角関数を合成してください.
sinθ+cosθ
(解答)
右図のように斜辺の長さが==2となる直角三角形を考えると
cos60°=, sin60°=
となるから
sinθ+cosθ
=2(sinθ+cosθ)

=2(sinθ·cos60°+cosθ·sin60°)
=2sin(θ+60°)

 理論上は,余弦の加法定理
cosθcosα+sinθsinα=cos(θ+α)
を使って,次のように変形することもできますが,一つできれば十分なので,余弦を使った合成の方はあまり見かけません.
sinθ+cosθ
=cosθ+sinθ
=2(cosθ+sinθ)
=2(cosθcos30°+sinθsin30°)
=2cos(θ+30°)


−a sinθ+b cosθ (a,b>0)
(sinθ·cosα+cosθ·sinα)
=sin(θ+α)
cosα=
sinα=
の式を使って合成するときは,右図のような第2象限の角αを考えていることになります.

−a sinθ+b cosθ (a,b>0)
(sinθ·cosα−cosθ·sinα)
=−sin(θ−α)
振幅を正の値にする必要があるときは
sin(α−θ)
cosα=
sinα=
の式を使って合成するときは,右図のような第1象限の角αを考えていることになります.
【例題2】
 次の三角関数を合成してください.
3sinθ+4cosθ
(解答)
右図のように斜辺の長さが==5となる直角三角形を考えると
cosα=, sinα=
となるから
3sinθ+4cosθ
=5(sinθ +cosθ )

=5(sinθ·cosα+cosθ·sinα)
=5sin(θ+α)
ただし,αcosα=, sinα=となる角
※このように,角度αを具体的な数値としてでなく,cosα, sinαの値で表す方法も可能です.
【例題3】
 次の三角関数を合成してください.
2sinθ−cosθ
(解答)
右図のように斜辺の長さが=となる直角三角形を考えると
cosα=, sinα=
となるから
2sinθ−cosθ
=(sinθ −cosθ )

=(sinθ·cosα−cosθ·sinα)
=sin(θ−α)
ただし,αcosα=, sinα=となる角
この問題では,sin(θ−β)の式を使って合成しましたが,sin(θ+β)の式を使って合成するときは,
cosβ=, sinβ=−となる角β(第4象限の角)
を用いて,sin(θ+β)と表してもよい.
【問題1】
 次の三角関数を合成してください.
sinθ+cosθ
(空欄に入るものを右から選んでください)
=だから
sinθ+cosθ=(sinθ·+cosθ·)
cosα=?

1

1


30° 45° 60° 90°
【問題2】
 次の三角関数を合成してください.
3sinθ+2cosθ
(空欄に入るものを右から選んでください)
=だから,右図のような直角三角形を考えると
cosα=?

2 3





【問題3】
 次の三角関数を合成してください.
3sinθ−4cosθ
(空欄に入るものを右から選んでください)
=5だから,右図のような直角三角形を考えると
cosα=?





【例題4】
  0°≦θ<360°のときy=sinθ+cosθの最大値,最小値及びそのときのθの値を求めてください.
(解答)
右図のように斜辺の長さが=2となる直角三角形を考えると
cos60°=, sin60°=
となるから
sinθ+cosθ
=2(sinθ +cosθ )

=2(sinθ·cos60°+cosθ·sin60°)
=2sin(θ+60°)

0°≦θ<360°のとき60°≦θ+60°<420°だから
−1≦sin(θ+60°)≦1
−2≦2sin(θ+60°)≦2
θ+60°=90°θ=30°のとき最大値2
θ+60°=270°θ=210°のとき最小値−2
※教科書や参考書では,右図のように三角関数のグラフを描いて問題を解く方法が示されていることもあります.

実際に生徒の手の動きを観察していると,グラフを描く方法では
  • 30°,60°などの目盛りを打つためにかなりの時間を掛けてしまう生徒が多い.このため,制限時間内に解答にたどりつけないことがある.
  • y=rsin(θ+α)のグラフを描くことはハードルが高い.
このような事情が考えられますので,筆者は左図のように(ヘッドホン=耳あて)の図をお薦めします.この図を利用するときに,重要な事は「定義域の変換」だけです.



○ヘッドホン=耳あての図がお薦め
○定義域(θ+α°の取り得る値の範囲)に注意すること
0°≦θ<360°のときα≦θ+α°<360°+α
【問題4】
0°≦θ<360°のときy=sinθ−cosθの最大値,最小値及びそのときのθの値を求めてください.
(空欄に入るものを右から選んでください)
=だから,右のような図を考えると
sinθ−cosθ=sin(θ−45°)
ここで0°≦θ<360°のときθ−45°の値の範囲は?

0°≦θ−45°<360° −45°≦θ−45°<315°
45°≦θ−45°<405° 0°≦θ−45°<315°



【問題5】
0°≦θ<360°のときy=sinθ+cosθの最大値,最小値及びそのときのθの値を求めてください.
(空欄に入るものを右から選んでください)
=2だから,
y=2(sinθ·+cosθ·)
=2(sinθ·cos30°+sinθcos45°)
=2sin(θ+30°)

ここで0°≦θ<360°のときθ+30°の値の範囲は?

0°≦θ+30°<360° −30°≦θ+30°<330°
0°≦θ+30°<390° 30°≦θ+30°<390°



【問題6】
0°≦θ<360°のときy=4sinθ−3cosθの最大値,最小値を求めてください.
(空欄に入るものを右から選んでください)
=5だから,右図のような直角三角形を考えるとy=5sin(θ−α)
ただし,αcosα=, sinα=となる第1象限の角
ここで0°≦θ<360°のとき
0°−α≦θ−α<360°−α
θ−α=90°すなわちθ=90°+αのとき,最大値 ?

1 1+α 5 5+α


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