■ 関数の連続,極限関数

◇解説◇
 関数のグラフが視覚的には「つながっていて,切れ目がない」ときに,連続であるといいます。
 これを数式を用いて調べるには,次の定義によります。

◇連続の定義◇
 次の関係が成り立つとき,関数 f(x)x = a において連続であるといいます。(連続でないとき,不連続であるといいます。)
f(a) = f(x) ・・・ (1)



(*) 詳しくいえば,
関数値 f(a) が存在し,・・・ (2)
極限値 f(x) が存在し,・・・ (3)

それらが一致するとき,・・・→(1) 連続であるといいます。
 例えば,関数 f(x) = は, x = 0 において,
下図右側のようになり,関数値の存在(2)という条件を満たしていません。 (これだけで不連続がいえますが,さらに,極限値の存在(3)という条件も満たしていません。 x0 のとき「極限」は存在しますが,∞は有限確定の値でないので,正確には「極限値」とはいえません。下の図で「無限遠点でつながっている」とは考えません。)
関数 f(x) = x = 0 のとき不連続ですが
関数
 g(x) = x = 0 のとき不連続です。

(参考)
 教科書や参考書では,[A]「関数が定義されない点については,そもそも連続とか不連続とかの議論ができない」という立場で書かれているものと,[B]他のすべての点で関数が定義されていて,1つの点でのみ関数が定義されていないとき,その点を不連続点として扱う立場で書かれているものとがあります.
 理論上は[A]の立場であるべきかもしれませんが,この頁で取り扱っている極限関数について,多くの問題集・参考書の解答との整合性を図るには,[B]の立場で理解する方がわかりやすくなります.
 [A]の立場から言えば,x = 0で切れているとはいえども,x = 0では関数がないのだから,その点では連続とか不連続といった議論は初めから存在しないこととなります.
 高校の初歩的な演習では「グラフが切れている場所を求めよ」とほぼ同じ意味で「不連続点を求めよ」と問うので,上記の2つの例は,この[B]の立場から見て不連続という例に入れています.
 [B]の立場を採用したからといっても,f(x)=のように広がりのある区間x<0で定義されない関数について,例えばx=−1において連続や不連続の議論はしません.
(*) さらに詳しくいえば,
 xa よりも大きな値をとりながら a に近づくときの極限値(右極限値)と,xa よりも小さな値をとりながら a に近づくときの極限値(左極限値)とが異なる場合,極限値は存在しないといいます。(どんな近づき方をしても1つの有限確定の値に近づくときに,その値を極限値とします。)

上の図は,関数 f(x) =
x ≠ 0 のとき)
0  (x = 0 のとき)
のグラフです。
右極限値は f(x) = = 1

左極限値は f(x) = = −1

これらが一致しないので,x → 0 のとき極限値は存在せず,不連続です。

以上のまとめ

1.[簡単な方]
 関数 y = f(x)x = a における連続性を調べるには,
関数値 f(a) が存在し,・・・ (2)
極限値 f(x) が存在し,・・・ (3)

それらが一致するかどうかで判断します。



2.[詳しい方]
極限値の存在が微妙な判断となるときは(3)を分けて考え
右極限値 f(x) が存在し,・・・ (3-1)

左極限値 f(x) が存在し,・・・ (3-2)

それらが一致するとき : f(x) = f(x)・・・ (3)

その値を極限値 f(x) とします。



◇次の勝ち抜き戦で1つでも負けたらダメということです◇
■例題
(1)
関数 f(x) =
(x ≠ 0 のとき)
0 (x = 0 のとき)
x = 0 における連続性を調べなさい。

(答案)
= = x = 0

= = (−x) = 0

だから f(x) = 0
また,f(0) = 0
f(x) = f(0) が成り立つから x = 0 で連続



※ 極限を用いて定義される関数を「極限関数」といいます。
以下の問題において,必要ならば次の性質を用いて,答えなさい。
(*1)  x > 1 のとき xn = ∞
(*2)  x = 1 のとき xn = 1
(*3)  -1 < x < 1 のとき xn = 0
(*4)  x =−1 のとき xn は 存在しない(±1を振動)
(*5)  x <−1 のとき xn は 存在しない(±∞を振動)
(2)
f(x) = で定義される関数について

x = 1 における連続性を調べなさい。
(答案)
1) x > 1 のとき xn = ∞ だから

 f(x) = = = 1


 よって f(x) = 1(定数値をとる関数の極限値はその定数値)

2) −1 < x < 1 のとき xn = 0 だから

 f(x) = =−1

 よって f(x) =−1(定数値をとる関数の極限値はその定数値)
1)2)より,極限値 f(x) が存在しないから,x = 1 のとき不連続
■問題 (各5分程度が目安)
問題 答案 (なお,「 ∞ 」という記号は「mugen」で漢字変換すれば出るようです。)
(1)
実数 x に対して, x を超えない最大の整数を[x] で表わす.このとき,

=□   =□

(日本大−文理学部 (2000年) 入試問題の引用)

1 2
3 < x < 4 のとき, = =

x < 3 のとき, = =

(2)
f(x) =
5 (x ≠ 0 のとき)
1(x = 0 のとき)

の連続性を調べなさい。
1 2 3
x ≠ 0 のとき,連続は明らか。
x = 0 のときの極限値を調べる.
  =−∞ だから f(x) = =

  = ∞ だから f(x) = =

他の点では連続

(3)
f(x) = で定義される関数について

x = 1 における連続性を調べなさい。
1 2 3 4
1) x > 1 のとき f(x) =

2) -1 < x < 1 のとき f(x) =

3) x = 1 のとき f(1) = =

(4)
f(x) = で定義される関数について

x =−1 における連続性を調べなさい。
1 2
※ x < 0 のとき xn の符号は定まりませんが,x2n は正の数,x2n+1 は負の数になります。
1) - 1 < x < 0 のとき f(x) =

2) x <−1 のとき f(x) =

x =−1 のとき,左右の極限値が一致しないから,極限値が存在せず、不連続

■[個別の頁からの質問に対する回答][関数の連続,極限関数について/18.7.13]
コメント失礼します(m(__)m いくつか改善してほしいところと誤植が見られるところがあるので下に書かさせていただきます。 1つめ、問題(1)のガウス記号を含む関数の極限のところで、数2の微分のこのサイトの教材で、多項式の極限値は関数値と等しいと書いてあったのですが、ガウス記号はこの問題でいうと→3の3をただ代入するわけにはいかないですよね。不定形や発散したり収束したりする関数の極限はこのサイトで扱われていましたが、ガウス記号の関数?は今回が初登場でしたので、説明をくわえてほしいです。 2つめ、(2)の問題で、f(x)={5-1/x (x≠0のとき)とありますが、この-1/xの文字が小さくて、指数を表しているのか、ただ単に項を表しているのかわからないです。レイアウトがちょっと変なので確認して修正して欲しいです。 3つめ、(3)の計算1の2段目の式変形の中辺で、x^nでくくっているはずなのに、くくっているx^nが抜けています。修正してほしいです。 4つめ、(4)の計算1の2行目の計算、lim n→∞ 〔x^(2n+1)+1〕/x^2n-x=1/-xで、nが∞近づいて?いるからか、nに関係ない右辺の1/-xの-xが余ってますが、近づいていく文字に関係ない変数は、極限値をとったときに余るよみたいなことをどこかしらに書いて欲しいです。私の理解不足なのかもしれませんが、ちょっと混乱しました。
=>[作者]:連絡ありがとう.(1)切り上げ,切り捨て,四捨五入などの階段状関数は多項式ではありませんから,極限値と関数値が一致するとは限りません.(2)少し上げました.(3)分母分子の両方にあるので約分しています.(4)において極限を考えるのはnの関係式だけです.
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