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== 二項分布 ==
【復習】(反復試行の確率)
 1回の試行で事象Aが起る確率をpとするとき,この試行をn回繰り返して,事象Aがちょうどr回起る確率は
nCr prqn−r
ただし,q=1−p
r=0, 1, 2, ..., n−1, n
※この定理は,相互に独立なn回の試行を繰り返す場合を想定して「反復試行の確率」と呼ばれていますが,相互に独立なn個の試行を同時に行う場合にも成り立ち,「独立試行の定理」とも呼ばれます.

【例1】
 10円硬貨を5回投げるとき,表がちょうど2回出る確率
(解答)
 10円硬貨を1回投げて表が出る確率はp=
 表が出ない(裏が出る)確率はq=1−p=
 試行を5回(n=5)繰り返して,表がr=2回出る確率は
5C2 ()2()3=10×=
【例2】
 正しく作られたさいころは,6回のうち1回の割合で1の目が出るようになっています.このさいころを6回投げたとき,1の目が1回出る確率を求めてください.
(解答)
 6回投げると1の目が「必ず」1回出るという意味に解釈すると,問題が成り立たなくなります.
 6回投げたときに,1の目から6の目までが完全に1回ずつ出るようなさいころは,正しく作られたさいころではないことは,経験的にも分かるはずです:1の目から5の目までが出たときに,次は「必ず」6の目が出るようになっていれば,それは確率的な動きではなく,「いかさま賭博のさいころ」になります.
 6回のうち1回の「割合」で1の目が出るとは,1回の
試行で1の目が出る確率がp=ということです.
n=6, r=1, p=, q=を代入
6C1 ()1()5=≒0.40 (半分以下になります)
【復習問題1】
 10円硬貨を4回投げるとき,ちょうど2回表が出る確率を求めてください.

1 2 3 4



【復習問題2】
 100円硬貨を10枚同時に投げるとき,少なくとも1枚表が出る確率を求めてください.


(次のうちで最も近い値を選んでください.)

10.9 20.99 30.999 40.9999 50.99999



【復習問題3】
 さいころを3回投げたとき,5以上の目がちょうど2回出る確率を求めてください.

1 2 3 4 5





【用語と記号】
○ 1回の試行で事象Aが起る確率がpのとき,n回の反復試行(独立試行)で事象Aが起る回数をXとすると,その確率分布は次の表のようになります.(ただし,q=1−p
 この確率分布を二項分布といいます.
X 0 1 r n
P nC0 p0qn nC1 p1qn−1 nCr prqn−r nCn pnq0 1

(二項分布という名前)
二項の和のn乗を展開したときの各項がこの確率になるので,上記の確率分布を二項分布といいます.
(p+q)n=nC0 p0qn+nC1 p1qn−1+...+nCn pnq0
○ 1回の試行で事象Aが起る確率がpのとき,この試行をn回繰り返したときにできる二項分布を
B(n, p)
で表します.
この記号は,f(x, y)=x2y5C2=10のような値をあらわすものではなく,単に「1回の試行である事象が起る確率がpであるとき,その試行をn回反復するときに,その事象が起る回数を表す二項分布」ということを短く書いただけのものです.
【例】
 B(5, )は,「1回の試行である事象が起る確率が
であるとき,その試行を5回繰り返したときに,その事象が起る回数の二項分布」を表します.
 B(2, )は,「1回の試行である事象が起る確率が
であるとき,その試行を2回繰り返したとき,その事象が起る回数の二項分布」を表します.

○ 確率変数Xの確率分布が二項分布になることを,「確率変数Xは二項分布B(n, p)従う」という言い方をします.
この言い方については,難しく考えずに慣れればよい.

【例3】
 確率変数Xが二項分布B(5, )に従うとき,X=3となる確率を求めてください.
例えば,10円硬貨を1回投げたときに,表が出る確率は
p=で,この試行をn=5回繰り返してちょうどX=3回表が
出る確率を求めることに対応しています.
5C3 ()3()2=10×()5==
【例4】
 確率変数Xが二項分布B(2, )に従うとき,X=1となる確率を求めてください.
例えば,さいころを1回投げたときに,1の目が出る確率
p=で,この試行をn=2回繰り返してちょうどX=1
回1の目が出る確率を求めることに対応しています.
2C1 ()1()1=2×=
【例4】
 袋の中に赤玉が3個と白玉が2個とが入っている.よくかき混ぜて,1個取り出し,玉の色を調べてから元に戻すという試行を3回繰り返すとき,赤玉が出る回数Xの確率分布を求めてください.
 「確率分布を求めよ」という問題には,確率分布表で答えるとよい.このためには,
n=3
r=0, 1, 2, 3
p= , q=1−=
として,r=0からr=3までのすべての値について
3Cr prq3−r
の値を求めます.
X 0 1 2 3
P 3C0()0()3 3C1()1()2 3C2()2()1 3C3()3()0 1
すなわち
X 0 1 2 3
P 1


…(答)
【問題1】
 確率変数Xが二項分布B(4, )に従うとき,X=1となる
確率を求めてください.

1 2 3 4



【問題2】
 確率変数Xが二項分布B(5, )に従うとき,0≦X≦3
なる確率P(0≦X≦3)を求めてください.

1 2 3 4



【問題3】
 袋の中に赤玉4個と白玉1個とが入っている.よくかき混ぜて,1個取り出し,玉の色を調べてから元に戻すという試行を3回繰り返すとき,赤玉が出る回数Xの確率分布として正しいものを選んでください.

1
X 0 1 2 3
P 1


2
X 0 1 2 3
P 1


3
X 0 1 2 3
P 1


4
X 0 1 2 3
P 1






【二項分布の期待値,分散,標準偏差】
 確率変数Xが二項分布B(n, p)に従うとき
期待値E(X)=np …(1)
分散V(X)=npq …(2)
標準偏差σ(X)= …(3)

ただし,q=1−p

【例5】
 1枚の10円硬貨を5回投げるとき,表が出る回数をX
すると,Xは二項分布B(5, )に従います.
 確率変数Xの期待値はE(X)=5×==2.5
(平均2.5回だけ表が出るということです)
 確率変数Xの分散はV(X)=5××=
 確率変数Xの標準偏差はσ(X)==≒1.12
(平均2.5±1.12回の中に7割程度が入ります)

【例6】
 1個のさいころを10回投げるとき,1の目が出る回数をX
すると,Xは二項分布B(10, )に従います.
 確率変数Xの期待値はE(X)=10×=≒1.7
(平均約1.7回だけ表が出るということです)
 確率変数Xの分散はV(X)=10××=
 確率変数Xの標準偏差はσ(X)==≒1.18
(平均1.7±1.18回の中に7割程度が入ります)
(公式の解説)
≪確率の定理だけを使って,簡単に証明する方法≫
(1)←
 確率変数の和X+Yの期待値については,X, Yが独立であるか否かに関わらずつねに
E(X+Y)=E(X)+E(Y)
が成り立ちます.
 この関係は,3つの確率変数の和の場合にも成り立ちます.
E(X+Y+Z)=E(X)+E(Y)+E(Z)
 さらに,もっと一般的に,n個の確率変数の和の場合にも成り立ちます.
E(X1+X2+...+Xn )=E(X1 )+E(X2 )+...+E(Xn )…(E)
 確率変数Xが二項分布B(n, p)に従うとき,第r回目の試行で事象Aが起る回数をXrとおくと,Xはそれらの合計になります.
X=X1+X2+...+Xn
実際には,Xrは,第r回目の試行で事象Aが起こるときXr=1,起らないときXr=0の2つの値のどちらかになります.

Xr01
Xr20212
Pqp1
 各々のXrについて,起こる:Xr=1,起らない:Xr=0の2つの値があり,その確率分布は右の表のようになるので,
E(Xr)=0·q+1·p=p
 (E)により
E(X)=E(X1)+E(X2)+...+E(Xn)=p+p+...+p=np

(2)←
 V(Xr)=E(Xr2)−E(Xr)2の公式を使って,V(Xr)を求めます.
 上の表により,
E(Xr2)=02·q+12·p=p
V(Xr)=E(Xr2)−E(Xr)2=p−p2=p(1−p)=pq
 ここで,各々のXrは「独立」だから,分散について次の公式が使えます.
V(X1+X2+...+Xn )=V(X1 )+V(X2 )+...+V(Xn )…(F)
したがって
V(X)=pq+pq+...+pq=npq
(3)←
 σ(X)==
(公式の解説)
≪すでに微分を習っている場合≫ 定義に従って,直接計算する方法:
(1)←
 次の展開式においてxr (r=0,1,2,..,n)の係数がnCr prqn−rになることに着目します.
(px+q)n= nC0 p0qnx0 +nC1 p1qn−1x1 +nC2 p2qn−2x2
+...+nCr prqn−rxr+...
+nCn−1 pn−1q1xn−1 +nCn pnq0xn…(A)


○ (A)においてx=1を代入すると,二項分布の確率分布表において計の欄が1になることが示されます.
(p+q)n= nC0 p0qn +nC1 p1qn−1 +nC2 p2qn−2
+...+nCr prqn−r+...
+nCn−1 pn−1q1 +nCn pnq0

ここでp+q=1だから
nC0 p0qn +nC1 p1qn−1 +nC2 p2qn−2
+...+nCr prqn−r+...
+nCn−1 pn−1q1 +nCn pnq0=
1
X 0 1 r n
P nC0 p0qn nC1 p1qn−1 nCr prqn−r nCn pnq0 1

○ E(X)は,次の式で定義されます.
E(X)
=0·nC0 p0qn+1·nC1 p1qn−1+...+rnCr prqn−r+...+n·nCn pnq0


 そこで,E(X)を求めるために,rnCr prqn−rの形の項を作ることを考えます.そのために,まず(A)の両辺をrで微分します.
n(px+q)n−1p= 0 +1nC1 p1qn−1x0 +2nC2 p2qn−2x1
+...+rnCr pr−1qn−rxr−1+...
+(n−1)nCn−2 pn−1q1xn−2 +nnCn pnq0xn−1…(B)


(B)式においてx=1を代入すると,E(X)の式になります.
n(p+q)n−1p= 0 +1nC1 p1qn−1 +2nC2 p2qn−2
+...+rnCr pr−1qn−r+...
+(n−1)nCn−2 pn−1q1 +nnCn pnq0


ここでp+q=1だから
0+1nC1 p1qn−1 +2nC2 p2qn−2
+...+rnCr pr−1qn−r+...
+(n−1)nCn−2 pn−1q1 +nnCn pnq0=np

したがって
E(X)=np


(2)←
 V(X)=E(X 2)−E(X)2の公式を使って,V(X)を求めるために,まずE(X 2)を計算しておきます.
 そのためには
r2nCr prqn−r
の形の式が必要になります.
X 2 02 12 r2 n2
P nC0 p0qn nC1 p1qn−1 nCr prqn−r nCn pnq0 1
 ところが,式(B)は
rnCr prqn−rxr−1になっているので,これをさらに微分すると
r(r−1)nCr prqn−rxr−2
となってしまって
r2nCr prqn−r
の形にもっていけません.
 そこで,(B)の両辺にxを掛けて1次次数を上げてから微分します.

 (B)の両辺にxを掛けると
np(px+q)n−1x= 0 +1nC1 p1qn−1x1 +2nC2 p2qn−2x2
+...+rnCr pr−1qn−rxr+...
+(n−1)nCn−2 pn−1q1xn−1 +nnCn pnq0xn…(C)


 (C)の両辺を微分すると
np{ (n−1)(px+q)n−2px+(px+q)n−1 }=
0+12nC1 p1qn−1x0 +22nC2 p2qn−2x1
+...+r2nCr pr−1qn−rxr−1+...
+(n−1)2nCn−2 pn−1q1xn−2 +n2nCn pnq0xn−1…(D)


(D)式においてx=1を代入すると
np{ (n−1)(p+q)n−2p+(p+q)n−1 }=
0+12nC1 p1qn−1 +22nC2 p2qn−2
+...+r2nCr pr−1qn−r+...
+(n−1)2nCn−2 pn−1q1 +n2nCn pnq0


ここでp+q=1だから
0+12nC1 p1qn−1 +22nC2 p2qn−2
+...+r2nCr pr−1qn−r+...
+(n−1)2nCn−2 pn−1q1 +n2nCn pnq0

=np{ (n−1)p+1 }=n2p2−np2+np

以上により
E(X 2)=n2p2−np2+np
V(X)=E(X 2)−E(X)2=n2p2−np2+np−n2p2
=np−np2=np(1−p)=npq
(3)←
 σ(X)==


【問題4】
 確率変数Xが二項分布B(8, )に従うとき,Xの期待値と分散を求めてください.

1期待値2,分散2 2期待値2,分散4

3期待値4,分散2 4期待値4,分散4



【問題5】
 1個のさいころを60回投げるとき,5の目が出る回数の期待値と標準偏差を求めてください.(最も近い値を選んでください)

1 期待値10回,標準偏差2.89

2 期待値10回,標準偏差8.33

3 期待値50回,標準偏差6.45

4 期待値50回,標準偏差41.7



【問題6】
 10枚の10円硬貨を同時に投げるとき,表が8枚以上出る確率を求めてください.(最も近い値を選んでください)

1 0.1 2 0.07 3 0.05 4 0.01



【問題7】
 二項分布B(n, p)の平均が10以上で,標準偏差が1以下のとき,pはどのような値になりますか.

1 p<0.1 2 0.4<p<0.6

3 0.7<p<0.8 4 p>0.9



【問題8】
 10円硬貨を何回か投げて,少なくとも1回は表が出る確率を90%以上にするためには,何回以上投げることにするとよいか.

1 3回以上 2 4回以上

3 5回以上 4 6回以上



【問題9】
 1個のさいころを18回投げるとき,3以上の目が出る回数の期待値と標準偏差を求めてください.

1 期待値6,標準偏差2 2 期待値6,標準偏差4

3 期待値12,標準偏差2 4 期待値12,標準偏差4



【問題10】
 確率変数Xが二項分布B(100, 0.9)に従うとき,Xの期待値と分散を求めてください.

1 期待値10,分散1 2 期待値10,分散3

3 期待値90,分散9 4 期待値90,分散90



【問題11】
 袋の中に赤玉が3個と白玉が2個とが入っている.よくかき混ぜて,1個取り出し,玉の色を調べてから元に戻すという試行を3回繰り返すとき,赤玉が出る回数Xの標準偏差を求めてください.

1 2 3 4




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