■累乗根
≪はじめに≫
簡単に言えば,累乗根は累乗の逆を表します.(累乗は2乗,3乗,4乗,…の総称です.累乗根は2乗根,3乗根,4乗根,…の総称です.)

32=9=3 …(*)
53=125=5
24=16=2

は2乗根と呼ばれます.
は3乗根と呼ばれます.

はn乗根と呼ばれます.


※中学校のときには,平方根はプラスとマイナスの2つあるということを強調するために,aの平方根は±aのルートはというように厳格に区別しましたが,高校では単にをn乗根というだけです.

とても珍しい
(*) 累乗根記号で「手のひら」の部分に数値が書かれていないものは,ルート(2乗根のうちの正の値)を表します.

=
 
 これは,中学校で習ったとき以来の約束事ですが,ここでは,のように省略されたら, でもなく でもなく を表すということが重要.

 すぐ後で述べるように,この数字は「分数の指数」に直したときに分母になります.
a>0であってnが正の偶数のとき,
xn=a →2つの実数xがこの方程式の解になります.
そのうちの正の実数はで表されます.
負の値の方はで表されます.
a>0であってnが正の奇数のとき,
xn=a →ただ1つの正の実数xがこの方程式の解になります.
この正の実数はで表されます.
a<0であってnが正の偶数のとき,
xn=−a →この方程式には実数解xはありません.
a<0であってnが正の奇数のとき,
xn=−a →ただ1つの負の実数xがこの方程式の解になります.
この負の実数はで表されます.
a=0のときは,nが偶数であっても奇数であっても
xn=0x=0です.
=0(1つの値になります.)

以下においては,累乗根の根号内は正の数だけを考え,その正の累乗根だけを考えます.
したがって,nが偶数でも奇数でも各々のa, nに対しては,ただ1つの正の実数を表します.
(右図の青で示した○の部分)
次の図から分かるように,y=xnのグラフは,nが偶数の場合と奇数の場合で違う形になります.このため,y=xnの逆(a=xnとなるようなxの値を求める操作)は偶数の場合と奇数の場合で分けて考える必要があります.

≪n乗根の計算法則≫
n乗根の根号内がn以上のときは,累乗根の記号を簡単にすることができます.
=a
bが整数のn乗の形に書けないとき
=a
(解説)
累乗根の定義から
xn=ax=
したがって
x=a (a>0)のとき
xn=anx=
=a


(1)==2
(2)==2
(累乗根記号で「手のひら」(♪〜これはこの教材の中だけの言い方.全国共通ではないので注意.)の数字が省略されているものは2乗根を表します)
(3)===2
(4)==5
(5)==2
(6)==2
問題次の累乗根を簡単にしなさい.
※半角(1バイト文字)数字で記入しなさい.
(1) =
採点するやり直す
(2) =
採点するやり直す
(3) =
採点するやり直す
(4) =
採点するやり直す
(5) =
採点するやり直す
(6) =
採点するやり直す
学習意欲をそぐような気の利かない発言で申し訳ないことですが,累乗根の計算規則に深入りする必要はなく,以下の例題程度が分かればOKです.
というのは,学校で教えるときでも,卒業してからでも,累乗根に力を入れることはまれで,別の頁で述べるように,分数(有理数)の指数が使えたら累乗根は不要だからです.
≪累乗根の計算規則≫
a>0, b>0であってm, n, pは正の整数とする
(1)= …(1)
n乗根をまとめたり分けたりしてよい
(2)= …(2)
n乗根をまとめたり分けたりしてよい
(3)( )m= …(3)
n乗根と根号内のm乗はどちらを先に計算してもよい
(4)= …(4)
n乗根のm乗根は1つのmn乗根で書ける
(5)= …(5)
n乗根と根号内のm乗は「約分」と同様の扱いができる
(証明)
(1)←
x=とおく
このとき xn=()n=ab
累乗根の定義によりxn=ax=
x=
したがって=
同様にして(2)も示される.
(3)←
x=()mとおく
このとき xn=()mn=(()n)m=am
累乗根の定義により xn=ax=
x=
したがって ( )m=

(1)=
(2)=
(3)( )4=
(4)=
(5)=



(4)←
x=とおく
このとき xmn=()mn=(()m)n
()m=だから
xmn=()n=a
y=とおく
このとき ymn=()mn=a
したがって x=y (x, y>0)
=
(5)←
x=とおく
このとき xnp=()np=amp
y=とおく
このとき ynp=()np=(()n)p=(am)p=amp
したがって x=y (x, y>0)
=
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