== 対数の計算公式 ==
○ 高校の教科書程度の対数計算では,以下に述べる「対数を数値に直す公式」が使える場面が多く登場します.
•真数が特別な値になっているときは,計算機や数表を使わなくても対数の値が求められます.
•一般の場合には,対数の値は計算機や数表がなければ求められません.
底がa>0, a≠1の条件を満たしているとき
(1)
loga1=0
≪例≫
log21=0
log31=0
(1)←(証明)
指数の形対数の形
ax=ylogay=x
 対数の定義として,指数の形と対数の形は次の表のように対応します.
 ところで,どんなa>0, a≠1についても
a0=1
が成り立つから,
loga1=0
になります.

(2)
logaa=1
≪例≫
log22=1
log33=1
(2)←(証明)
 どんなa>0, a≠1についても
a1=a
が成り立つから,
logaa=1
になります.

※この頁に登場する基本的な問題は,社会生活で登場する実用的な計算と比較すると,「めったに登場しない特別な値」を扱っていることになります.
 社会生活で登場する統計データについて対数の値を求めるには,この頁で述べる程度の基本が分かった上で,Excelなどを用いて計算します.Excelなどで求められる値は近似値です.

≪参考≫Excelの表計算関数
底がa,真数がxのときの対数の値
=log(x, a) ←数学での記号と順序が逆になっていることに注意
常用対数(底が10のときの対数)
=log10(a)
自然対数(微分積分などを行うときに使う e=2.718...を底とする対数)
=ln(a)

ABC(式→値)
1真数対数の値
223=log(B2,A2)→1.585
3105=log(B3,A3)→0.699
41.453.72=log(B4,A4)→3.536
5 2=log10(A5)→0.301
6 3.14=ln(A6)→1.144


#よくある間違い#
公式(1)は
loga00になると言っているのではない.
loga10になるということ.

例 log20←こんなものはない.
問題次の値を求めてください.
(右の欄から正しいものを選んでください.)
(1)log55
(2)log51
a>0, a≠1, M,N>0のとき
(3)
logaM+logaN=logaMN

≪例≫
log102+log103=log10(2×3)=log106
log26+log27=log2(6×7)=log242
(4)
logaM−logaN=loga

≪例≫
log512log53=log5 =log54
log1050log105=log10 =log1010=1

#よくある間違い#
公式(3)は
logaM+logaNlogalogaNになると言っているのではない.
logaM+logaNlogaMNになると言っている.

例 log102+log103log10log103に等しくない.
 log102+log103log10(2×3)に等しい.
公式(4)は
logaM−logaNになると言っているのではない.
logaM+logaNlogaになるということ.

例 log102−log103に等しくない.
 log102+log103log10 に等しい.
(3)←(証明)
指数の形
対数の形
M=ax, N=ay
とおく
x=logaM, y=logaN …(A)


MN=axay=ax+yx+y=logaMN …(B)
(A)(B)よりlogaM+logaN=logaMN


(4)←(証明)
指数の形
対数の形
M=ax, N=ay
とおく
x=logaM, y=logaN …(A)


==ax−yx−y=loga …(B)
(A)(B)よりlogaMlogaN=loga

変形は「分ける」のでなく「集める」方が多い
(3)(4)(5)
  通常の教科書、歴史上の意義:右辺→左辺
  高校生が出会う問題:    左辺→右辺

 通常、教科書や参考書においては(3)(4)(5)は、左辺と右辺が逆になっています。しかし、高校レベルの対数計算、対数方程式、対数不等式などを解く上では、左辺を右辺に変形する場面の方が多く、このページでは、通常の書き方と左右を逆にしています。

 対数の歴史から言えば、かけ算、割り算(累乗)の計算が足し算、引き算などに直せること、すなわち、右辺を左辺に直して計算できることが重要でしたが、今日では対数を用いずに、電子計算機で多きな桁数のかけ算、割り算などができます。

数値計算の変形例
log62+log63→ log66 → 1

対数方程式の変形例
log2x+log2(x-1)=1→ log2x(x-1)=log22

(例外)
log518log52log53で表せ」というような問題では「分ける」方向で変形しますが、高校生が出会う問題の中ではわずかな量です。
問題次の値を求めてください.
(右の欄から正しいものを選んでください.)
(3)log102+log105
(4)log412−log43
(5)log46−log430+log45
(6)log215−log26−log210
a>0, a≠1, M>0のとき
(5)
logaM n=n logaM
このlogaM nloga(M n)の略です.
(logaM )nを表すときは( )を省略しません..

≪例≫
log102 3=3 log102(指数から係数へ)
log35=log35 =log3(係数から指数へ)
(5)←(証明)
指数の形
対数の形
M=ax
とおく
x=logaM …(A)


M n=(ax)n=anxnx=logaM n …(B)
(A)(B)よりlogaM n=n logaM

#よくある間違い#
公式(5)は
(logaM) nn logaMになると言っているのではない.
loga(M n)すなわちlogaM nn logaMになるということ.

例 (log23) 44 log23になると言っているのではない.
log2(3 4)すなわちlog23 44 log23になるということ.
問題次の値を求めてください.
(右の欄から正しいものを選んでください.)
(7)log525
(8)log5
(9)log7 7
(10)log6
(11)log10 +log10
(12)log3 −3log3
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