■媒介変数表示→ 携帯版は別頁
x, y座標がそれぞれ第3の変数tを用いて
x=f(t)
y=g(t)
…(*)
と表されるとき,tが定まると点P(x, y)が定まる.このとき,(*)を媒介変数表示,tを媒介変数という.

※角度を媒介変数に使うときは,媒介変数をθで表す場合も多い.
【媒介変数表示で表される曲線・直線の調べ方】
(1) 媒介変数を消去してx, yの方程式に直す.
x, yの方程式は中学校以来なれているので,x, yの方程式に直せば分かりやすくなる場合があります.
しかし,x, yの方程式に直せない問題も多くあります.
(2) t=0,1,2などいくつかの値に対応する点を調べてみる.
この方法は,原始的なもので,すべてのtの値に対して調べている訳ではないので,軽く見られがちですが,以下で述べる「散布図」の利用はこれを多数の点について行うもので,ほとんどの問題に対して有効です.

■媒介変数表示■
【サイクロイド】
x=a(t−sint)(0≦t≦2π)
y=a(1−cost)

【できること】
 与えられた媒介変数表示から
tについて陽に解くこと,媒介変数tを消去してx, yだけの方程式にすること
yの表示から逆三角関数を使えば,tについて解くことができるが,高校では逆三角関数を使う表示は扱わない.
:コンピュータを使ってグラフを描くこと

【エクセルを使ってこのグラフを描く方法】
 aの値(補助円の半径)に応じて相似的に拡大されるだけなので,a=1の場合のグラフを描くと次のようになる.



※実際には,点の個数が100個もあれば十分正確なグラフができます.(表計算で表題+100行もあれば十分です)
【グラフの概形】
0≦t≦2πの外側では,同じ模様が繰り返される.
【参考:図形的な意味】
 図のように円をx軸に沿って「滑らないように」回転させる.はじめ原点と重なっていた円周上の1点Pの描く軌跡を考える.
 図のように円が角度tラジアンだけ回転したとき,はじめ原点と重なっていた点Pはすこし浮き上がる.このとき,円は「滑らないように」回転することになっているから,線分OMの長さは,弧PMの長さに等しい.
Px座標は
x=OM−PN=a(t)−a(sint)
Py座標は
y=CM−CN=a−a(cost)

※サイクロイド曲線は,最速降下曲線とも呼ばれ,初速度0で落差のある2点間を重力の力だけで転がした時に,最も速く到達できる曲線の形になっています.(上下を逆にしたサイクロイド)
 経路を直線にすれば,距離は最短になるが,加速が緩やかなので遅く進む時間が長くなる.
 これに対して,サイクロイドのように初めを急坂にしておくと,距離は少々長くなっても,高速で進む分だけ速くなる.
 しかし,極端に曲げて直角に近い形にし過ぎると経路の長さが足を引っ張る.

■媒介変数表示■
【トロコイド】
x=at−bsint(b<a)
y=a1−bcost
(1) 基本となるサイクロイド
x=a(t−sint)(0≦t≦2π)
y=a(1−cost)
においては,次の図のように動点Pが円周上にあり,円の中心Oの速度と同じ大きさの回転による速度が合成されるので,
○動点PAの位置(またはCの位置)にあるときは,に対して逆向きのが足されるので,動点Pの速度は差し引き0となって止まる.
○動点PBの位置にあるときは,に対して同じ向きのが足されるので,動点Pの速度は右向けに加算されます.

サイクロイド⇒A, Cの位置で折れ曲がっている
(2) ところが,b<aの場合には
x=at−bsint(b<a)
y=a−bcost
で表される動点Pは円盤の内部にあり,円の中心Oの速度よりも小さな回転による速度が合成されるので,
○動点PAの位置(またはCの位置)にあるときは,に対してこれよりも小さな逆向きのが足されるので,動点Pの速度は差し引き「少し右を向いています」.
○動点PBの位置にあるときは,に対してこれよりも小さな同じ向きのが足されるので,動点Pの速度は右向けに加算されますが「2倍にはなりません」.
○さらに,点A,Cの位置はx軸上ではなく,これよりも上にあり,点Bの位置は円の上端よりも下に来ます.

このグラフはトロコイドと呼ばれます.
b<aA, Cの位置でも右に進んでいる
(3) b>aの場合には
x=at−bsint(b>a)
y=a1−bcost
で表される動点Pは円盤の外部にあり,円の中心Oの速度よりも大きな回転による速度が合成されるので,
○動点PAの位置(またはCの位置)にあるときは,に対してこれよりも大きな逆向きのが足されるので,動点Pの速度はそのあたりで逆向きになります.
○動点PBの位置にあるときは,に対してこれよりも大きな同じ向きのが足されるので,動点Pの速度は右向けに加算されますが「2倍以上になります」.
○さらに,点A,Cの位置はx軸上ではなく,これよりも下にあり,点Bの位置は円の上端よりも上に来ます.

このグラフもトロコイドと呼ばれます.
b<aA, Cの位置で左向きに進み,
ループができます
≪エクセルを使ったグラフの作成≫
※高校の授業では,通常,トロコイドまでは扱いませんが,エクセルを使えば簡単にグラフが描けます.

 次のグラフは
x=at−bsint(b<a)
y=a1−bcost
の例として,a=1, b=0.5の場合にエクセルのグラフを作ったものです.グラフの作り方はサイクロイドのときと同様ですが,x座標を表す式を=A2-0.5*SIN(A2),y座標を表す式を=1-0.5*COS(A2)などに変更します.


 次のグラフは
x=at−bsint(b>a)
y=a1−bcost
の例として,a=1, b=1.5の場合にエクセルのグラフを作ったものです.グラフの作り方はサイクロイドのときと同様ですが,x座標を表す式を=A2-1.5*SIN(A2),y座標を表す式を=1-1.5*COS(A2)などに変更します.



■媒介変数表示■
【アステロイド】(星芒形:せいぼうけい)
x=acos3t
y=asin3t

【できること】
 与えられた媒介変数表示から
tについて陽に解くこと
(逆三角関数を使えば解けるが,高校では逆三角関数は扱わない.)
:媒介変数tを消去してx, yだけの方程式にすること
=cos3t, =sin3tだから
()+()=cos2t+sin2t=1
x+y=a
:コンピュータを使ってグラフを描くこと

【類似の図形との関係1】・・・距離の定義との関わり
k=0.5 x=cos1/2t, y=sin1/2t x4+y4=1- - -
k=1 x=cost, y=sint x2+y2=1
k=1.5 x=cos3/2t, y=sin3/2t x4/3+y4/3=1- - -
k=2 x=cos2t, y=sin2t x+y=1直線(一部)
k=2.5 x=cos5/2t, y=sin5/2t x4/5+y4/5=1- - -
k=3 x=cos3t, y=sin3t x2/3+y2/3=1アステロイド
k=4 x=cos4t, y=sin4t x1/2+y1/2=1放物線(一部)
45°回転
xk+yk=akのグラフ(簡単にするため下の図ではa=1の場合を示す)
kが偶数の整数の場合や,kが分母または分子が偶数となる分数の場合には,x≧0,y≧0の範囲にのみグラフがあります.
kが奇数の整数の場合や,kが分母分子とも奇数の分数となる場合には,x,yが負の場合もグラフがあります.
k=1→x2+y2=1のとき円
k=2→x+y=1のとき直線(一部:線分)
kの大小に応じて図のように曲がり方が変わります.
※今日の数学では,2点間の距離をユークリッドの意味(三平方の定理で求まる斜辺の長さ)だけでなく,他の定義も使われます.
一般に,原点O(0,0)と点P(x,y)の間の距離を
.OP(n)=
と定義したとき,OP(n)=aとなる点,すなわち
.xn+yn=an
となる点の軌跡がこれらのグラフになり,
n=2の場合は,古典的なユークリッドの意味で定義された距離で測ったときに,原点からの距離がaとなる点の軌跡は円になること
n=1の場合は「直交する2辺の和|x|+|y|」として定義された距離で測ったときに,原点から距離がaとなる点の軌跡は直線になること
などが分かります.
【類似の図形との関係2】・・・ハイポ・サイクロイド
 直線の上を滑ることなく円が転がる場合の円周上の1点の軌跡がサイクロイドですが,図のように大きな円の内部を滑ることなく小さな円が転がる場合の小さな円周上の1点の軌跡はハイポ・サイクロイドと呼ばれます.
 ハイポ・サイクロイドの形は,大きな円の半径aと小さな円の半径bの比率によって決まります.
≪数式の変形≫
x=acos3t…(1)
y=asin3t…(2)
を,三角関数の3倍角公式
.sin3α=3sinα−4sin3α → sin3α=
.cos3α=4cos3α−3cosα → cos3α=
を使って変形すると
.x=(3cosα+cos3α)=cosα+cos…(1')
.y=(3sinα−sin3α)=sinα−sin…(2')
≪図形的な意味≫
 図のように,大きい円の半径aとに対して,小さな円の半径b=のとき
 弧PQは弧AQと長さが等しく,中心角が4倍になるから,∠QCD=∠QOA=t, ∠QCP=4t→∠DCP=3tになる.
このとき,Px,y座標は
.x=cost+cos3t
.y=sint−sin3t
(1)(1')(2)(2')により,これはアステロイドの媒介変数表示になっています.
≪一般のハイポ・サイクロイド≫
 上と同様に,一般にb=のとき
x=(a−b)cost+bcost…(A)
y=(a−b)sint−bsint…(B)
は,n=2,3,4,5,..のときハイポ・サイクロイドと呼ばれます.(n=2の場合は直径,n=3の場合はデルトイド,n=4の場合はアステロイドと呼ばれますが,他の場合は尖点何個のハイポ・サイクロイドとよばれます.)
n=2のとき)
 b=
x=cost+cost=acost
y=sint−sint=0
⇒ 直径になる
n=3のとき)
 b=
x=cost+cos2t
y=sint−sin2t
⇒ デルトイド
 (n=4のとき)⇒ 上記のアステロイド
n=5のとき)
 b=
x=cost+cos4t
y=sint−sin4t
⇒ 尖点5個のハイポ・サイクロイド

■媒介変数表示■
【エピ・サイクロイド】
x=(a+b)cost−bcos( t)
y=(a+b)sint−bsin( t)
≪図形的な意味≫
 大きな円(半径a)の外側に小さな円(半径b)を滑ることなく転がしていくときに,小さな円の周上にある点Pの軌跡はエピ・サイクロイドと呼ばれます.
 はじめx軸上の点A(a,0)に動点Pが重なっているとすると,外側の小さな円が回転してOCx軸のなす角がtになったとき
OM=(a+b)cost
次に,滑らずに転がると弧QPの長さと弧QAの長さは等しいから,中心角∠COA=t∠PCQの比はa:bになるから
∠PCQ=t
また,∠DCQ=∠QOA=tだから∠DCP=t+t=t
∠ECP=π−t
MN=bcos(π−t)=−cos(t)
したがって,点Px座標は
x=(a+b)cost−cos(t)
y座標についても同様にして示される.
≪エクセルを使ったグラフの作成≫
 ここまでと同様の方法でエクセルを使ってグラフを作ることができます.
a=1, b=1:2つの円が同じ大きさのとき)

x=2cost−cos2t
y=2sint−sin2t

 このグラフは,極座標表示で登場するカージオイド(心臓形)と一致します.(ただし,x軸方向にaだけ平行移動されています)

a=1, b=0.5:小さな円が2回転します)

x=1.5cost−0.5cos3t
y=1.5sint−0.5sin3t

 

a=1, b=1/3:小さな円が3回転します)

x=cost−cos4t
y=sint−sin4t

 
≪軽い応用≫
 サイクロイドに対するトロコイドの関係と同様にして,ハイポ・サイクロイドに対しても,角の取れた曲線やループのある曲線を考えることができます.
 式だけを見ても,なかなか難しく思えますが,図形的な意味を考えるとわかります.
 b=に対して,円盤の内部:c<bとなる点,円盤の外部:
c>bとなる点を動点に選べば
x=(a−b)cost+ccost…(A)
y=(a−b)sint−csint…(B)
の軌跡は次のようなグラフになります.
 左側はa=1 , b=, c=の場合のグラフ
 右側はa=1 , b=, c=の場合のグラフ
 エピ・サイクロイドに対しても,角の取れた曲線やループのある曲線を考えることができます.
 式だけを見ても,なかなか難しく思えますが,図形的な意味を考えるとわかります.
 b=に対して,円盤の内部:c<bとなる点,円盤の外部:
c>bとなる点を動点に選べば
x=(a+b)cost−ccos( t)
y=(a+b)sint−csin( t)
の軌跡は次のようなグラフになります.
 左側はa=1 , b=, c=の場合のグラフ
 右側はa=1 , b=, c=の場合のグラフ

■媒介変数表示■
【インボリュート】(円の伸開線)
x=a(cost+tsint)(0≦t)
y=a(sint−tcost)

【できること】
 与えられた媒介変数表示から
×tについて陽に解くこと
×:媒介変数tを消去してx, yだけの方程式にすること
:コンピュータを使ってグラフを描くこと

【エクセルを使ってこのグラフを描く方法】
 aの値に応じて相似的に拡大されるだけなので,a=1の場合のグラフを描くと次のようになる.
※この方法は上記の(A)で述べた点をつないでいく方法ですが,必要に応じてtの値を細かく(0.001, 0.0001刻みなど)することによりいくらでも(!?)精密なグラフにできます.
 (!?)⇒コンピュータの画面は1000×1000ドット程度の解像度なので,実際上は折れ線をつないだものとなりますが,全体の特徴が分かるような範囲を選ぶことが重要
【グラフの概形】
2π≦tのときは2周目に入り,螺旋は限りなく広がっていく.
【参考:図形的な意味】
 図のように,円周に巻きつけられた糸の糸口Pが円周上の1点Aに重なっているときに,この糸をたるまないように引っ張りながらほどいていくときの点Pの軌跡を考える.
 弧AQの長さはat(半径×角度[ラジアン])だから,PQ=at
 PQは接線だからPQ⊥OQ∠PQN=∠QON=t
このとき,Px座標は
x=ON+N'P=a(cost)+at(sint)
Py座標は
y=QN−QN'=a(sint)−at(cost)

※インボリュート歯車
 インボリュート曲線は歯車に使われている.

≪簡単チェックテスト≫
◇この頁に登場した媒介変数表示とグラフを対応させる問題です.(無理に覚える必要はなく,上の解説を読み直しながら解ければよいでしょう.)
◇はじめに左欄の媒介変数表示を1つ選び,続けて右欄のグラフを選んでください.
◇間違ったときにやり直すには,問題を選び直すことから始めてください.
【問題1】





1. 2.
3.
4. 5.

≪応用力テスト≫
全然習っていない問題でも,この頁で解説した「エクセルグラフで散布図を作る方法」が習得できれば,グラフを調べることができます.
 各自でエクセルグラフの散布図を作って,次の問題に答えてください.
◇はじめに左欄の媒介変数表示を1つ選び,続けて右欄のグラフを選んでください.「この問題を解くには,1問当たり少なくとも10分程度の時間が必要です.」・・・まぐれで当たっても意味がありません.
◇間違ったときにやり直すには,問題を選び直すことから始めてください.

【問題2】






≪エクセルワークシト上の演算≫
例えばエクセルのセルA4に媒介変数tの値があるとき
○セルB4t2−1の値を書き込むには,=A4^2-1とします.
○セルC4t2+3tの値を書き込むには,=A4^2+3*A4とします.
○セルB4t+の値を書き込むには,
=A4+1/A4とします.
○セルB4cos3tの値を書き込むには,=COS(3*A4)とします.

※5行目以下のセルの値は,式のコピー&貼り付けで行います.
1. 2.
3.
4. 5.

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