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== sinx,cosxに関する不定積分 ==

sinx,cosxに関する不定積分≪いくつか≫】
○[積は和に直してから積分する]
sinaxcosbx dx={sin(a+b)x+sin(a−b)x}dx
…(*3.1)
cosaxcosbx dx={cos(a+b)x+cos(a−b)x}dx
…(*3.2)
sinaxsinbx dx=−{cos(a+b)x−cos(a−b)x}dx
…(*3.3)
cosaxsinbx dxの公式も作ってもよいが,(*3.1)を前後
入れ替えて読めばできます.

○[sinxcosxsin2xに直してから積分する]
xsinxcosx dx=−xcos2x+sin2x+C…(*3.4)
exsinxcosx dx=ex(sin2x−2cos2x)+C…(*3.5)
=log|tanx|+C…(*3.6)
○[f(g(x))g’(x)dxf(t)dtに置換積分]
esin xcosx dx=esin x+C…(*3.7)
ecos xsinx dx=−ecos x+C…(*3.8)
cosxlog(sinx) dx=sinxlog(sinx)−sinx+C…(*3.9)
○[sin(奇数)x cos(整数)x→奇数の側を1枚外して置換積分]
[例]sin3x cos6x dx=cos9x−cos7x+C…(*3.10)
○[sin(整数)x cos(奇数)x→奇数の側を1枚外して置換積分]
[例]dx=+C…(*3.11)
sinx, cosxの両方とも奇数乗の場合は,上記のどちらでもできます.
[例]cos3x sin3x dx=cos6x−cos4x+C
=−sin6x+sin4x+C’…(*3.12)
○[sin(偶数)x cos(偶数)x→漸化式により次数を下げる]
Im, n=sinmx cosnx dx (m,n≠0, m+n≠0)とおくとき
Im, n=+Im, n−2…(*3.13)により
Im,0→Im,2→Im,4または
Im,1→Im,3→Im,5の順に求める.
Im, n=−+Im−2, n…(*3.14)により
I0,n→I2,n→I4,nまたは
I1,n→I3,n→I5,nの順に求める.

なお,この公式は次のようなm, n<0の整数の場合(分数関数になる場合)にも成り立つ.ただし,途中経過や結果で係数の分母が0となる組合せには適用できない.
dx (m=−p, n=−q
この場合には,順次次数を上げることによって簡単な式に帰着させるために,上記2つの式を逆に解いた形を使えばよい.
Im, n−2=−+Im, n…(*3.15)により
Im,0→Im,−2→Im,−4または
Im,−1→Im,−3→Im,−5の順に求める.
Im−2, n=+Im, n…(*3.16)により
I0,n→I−2,n→I−4,nまたは
I−1,n→I−3,n→I−5,nの順に求める.
(解説)
(*3.1)←
 2つの関数の積になっている被積分関数を積分するときに,
.f(x)g(x)dx
そのままの形では不定積分が求めにくい場合には,部分積分や置換積分を使って関数形を変えて試みるのが1つの方法ですが,三角関数の積では「積を和に直す公式」を利用することにより,より簡単に不定積分を求めることができます.
 一般に,被積分関数が和になっているとき,その不定積分は分けて求めることができます.
.{ f(x)+g(x) }dx=F(x)+G(x)+C
 三角関数の加法定理を利用すれば,次のように変形できます.
.sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ…(A)
.sin(α−β)=sinαcosβ−cosαsinβ…(B)
(A)+(B)
.sin(α+β)+sin(α−β)=2sinαcosβ
だから
sinαcosβ={sin(α+β)+sin(α−β)}
これにより
sinaxcosbx dx={sin(a+b)x+sin(a−b)x}dx
[例]
sin4xcos2x dx={sin6x+sin2x}dx
={−cos6x−cos2x}+C=−cos6x−cos2x+C
(*3.2)(*3.3)←
.cos(α+β)=cosαcosβ+sinαsinβ…(C)
.cos(α−β)=cosαcosβ−sinαsinβ…(D)
(C)+(D)
.cos(α+β)+cos(α−β)=2cosαcosβ
だから
cosαcosβ={cos(α+β)+cos(α−β)}
これにより
cosaxcosbx dx={cos(a+b)x+cos(a−b)x}dx
[例]
cos3xcosx dx={cos4x+cos2x}dx
={sin4x+sin2x}+C=sin4x+sin2x+C
また
(C)−(D)
.cos(α+β)−cos(α−β)=−2sinαsinβ
だから
sinαsinβ=−{cos(α+β)−cos(α−β)}
これにより
sinaxsinbx dx=−{cos(a+b)x−cos(a−b)x}dx
[例]
sin3xsin7x dx=−{cos10x−cos4x}dx
cos(−θ)=cosθだからcos(−4x)=cos4x
=−{sin10x−sin4x}+C
=−sin10x+sin4x+C

(*3.4)←
2倍角公式によりsin2x=2sinxcosxだから
.sinxcosx=sin2x
これにより,被積分関数を2つの関数の積に直します.
xsinxcosx dx=xsin2x dx=I
多項式(ここではx)を微分する側に選んで,部分積分を行います.
f(x)=xf’(x)=1
g’(x)=sin2xg(x)=−cos2x
I=(−xcos2x+cos2x dx)
=(−xcos2x+sin2x)+C
=−xcos2x+sin2x+C
(*3.5)←
exsinxcosx dx=exsin2x dx=Iとおく
部分積分を2回行って,Iの方程式を作って解きます.
f(x)=exf’(x)=ex
g’(x)=sin2xg(x)=−cos2x
I=−excos2x+excos2x dx
p(x)=exp’(x)=ex
q’(x)=cos2xq(x)=sin2x
I=−excos2x+(exsin2x−exsin2x dx)
=−excos2x+exsin2x−exsin2x dx
=−excos2x+exsin2x−I
I=−excos2x+exsin2x
I=−excos2x+exsin2x+C’
したがって
exsinxcosx dx=I=−excos2x+exsin2x+C
(*3.6)←
=dx=Iとおく
ここで,[→この頁]の結果から
dx=log|tan|+C
が成り立つ.したがって2x=tとおくと
I==log|tan|+C=log|tanx|+C
(*3.7)←
esin xcosx dxについて
t=sinxにより置換積分を行うと,=cosxだから
esin xcosx dx=etcosx =et dt
=et+C=esin x+C
(*3.8)←
ecos xsinx dxについて
t=cosxにより置換積分を行うと,=−sinxだから
ecos xsinx dx=etsinx =−et dt
=−et+C=−ecos x+C
(*3.9)←
cosxlog(sinx) dxについて
t=sinxにより置換積分を行うと,=cosxだから
cosxlog(sinx) dx=cosxlogt
=logt dt=tlogt−t+C=sinxlog(sinx)−sinx+C
(*3.10)←
sin3x cos6x dx=sin2x cos6xsinx dx
=(1−cos2x)cos6xsinx dx=Iとおく
ここで,cosx=tとおく置換積分を行います.
(→f(cosx)sinx形として覚える方法もあります.)
cosx=tとおくと,=−sinx→sinx dx=−dtだから
I=(1−t2)t6(−dt)=(t8−t6)dt=+C
=cos9x−cos7x+C
(*3.11)←
dx=cosx dx=cosx dx=I
ここで,sinx=tとおく置換積分を行います.
(→f(sinx)cosx形として覚える方法もあります.)
sinx=tとおくと,=cosx→cosx dx=dtだから
I=dt=()dt=(t−4−t−2)dt
=t−3t−1+C=−++C=+C
(*3.12)←
cos3x sin3x dx=Iとおく
I=cos3x sin2xsinx dx=cos3x(1−cos2x)sinx dx
=−t3(1−t2)dt=(t5−t3)dt=t6t4+C
=cos6x−cos4x+C…(#1)
また
I=cos2x sin3xcosx dx=(1−sin2x)sin3xcosx dx
=t3(1−t2)dt=(t3−t5)dt=t4t6+C
=sin6x−sin6x+C’…(#2)
sin2=1−cos2の関係を使えば,(#1)と(#2)は等しいことがわかり
ます.ただし, C’Cとは定数項だけの差があります.
(*3.13)←
 まず,次の積分を覚えておきます.
sinmxcosx dx=+C
(証明)
sinx=tとおく置換積分により
=cosx→cosx dx=dtとなるから
sinmxcosx dx=tmdt=+C=+C
Im, n=sinmx cosnx dx (m,n≠0, m+n≠0)とおくとき
cosnxcosn−1xcosxに分けて,次の形で部分積分を行います.
f(x)=cosn−1x f’(x)=(n−1)cosn−2x(−sinx)
g’(x)=sinmxcosx g(x)=
f(x)g’(x)dx=f(x)g(x)−f’(x)g(x)dxにあてはめると
Im, n=cosn−1x +(n−1)cosn−2xsinx dx
=+sinm+2x cosn−2x dx
ここで,sin2x=1−cos2xにより,sinm+2x=sinmx(1−cos2x)
と変形すると
Im, n=+ sinmx(1−cos2x)cosn−2x dx
=+ (sinmx cosn−2x−sinmx cosnx)dx
=+(Im, n−2−Im, n )
したがって
(1+)Im, n=+Im, n−2
Im, n=+Im, n−2
Im, n=+Im, n−2
※途中経過から考えて,m≠−1, m+n≠0でなければなりません.

[例]
 この頁の記述により,
Im,0=sinmx dxとおくと,
Im,0=−+Im−2,0 (n=2,3,4,..)
I0,0=sin0x dx=dx=x+C
I2,0=−+S0=−+x+C
I4,0=−+I2,0
=−+(−+x)+C
=−sinxcosx+x+C
そこで,上記の(*3.13)を用いて
I4,2=+I4,0
=sinxcosx+x+C
(*3.14)も同様にして示される.

 以下の問題は,この頁のどこかに書かれている内容か,または,それを少しだけ変形したものです.正しい番号を選択してください.
[問題1]
次の不定積分を求めてください.
.sin2xsin3x dx

1cosx+cos5x+C
2sinx−sin5x+C
3(cos5x−cosx)+C
4(sinx−sinx)+C



[問題2]
次の不定積分を求めてください.
.cos3xsin5x dx

1sin8x+sin2x+C
2sin8x−sin2x+C
3cos8x+cos2x+C
4cos8x−cos2x+C




[問題3]
次の不定積分を求めてください.
.cos2xcos5x dx
1sinx+sinx+C
2cosx+cosx+C
3sin7x+sin3x+C
4cos7x+cos3x+C



[問題4]
次の不定積分を求めてください.
.
1log|tanx|+C 2log|tan|+C
3+C 4+C




[問題5]
次の不定積分を求めてください.
.xsinxcosx dx
1xcos2x+sin2x+C
2xcos2x−sin2x+C
3xcos2x+sin2x+C
4xcos2x−sin2x+C



[問題6]
次の不定積分を求めてください.
.exsinxcosx dx
1ex(sin2x+2cos2x)+C
2ex(sin2x−2cos2x)+C
3ex(cos2x+2sin2x)+C
4ex(cos2x−2sin2x)+C




[問題7]
次の不定積分を求めてください.
e cos xsinx dx
1e sin x+C 2−e sin x+C
3e cos x+C 4−e cos x+C



[問題8]
次の不定積分を求めてください.
.sin3x cos6x dx
1cos9x−cos7x+C
2sin9x−sin7x+C
3cos4x−cos7x+C
4sin4x−sin7x+C




[問題9]
Im, n=sinmx cosnx dx (m,n≠0, m+n≠0)とおくとき,
次のどの漸化式が成り立ちますか.
1I6,4=+I6,2
2I6,4=−+I6,2
3I6,4=+I6,2
4I6,4=−+I6,2



[問題10]
Im, n=sinmx cosnx dx (m,n≠0, m+n≠0)とおくとき,
次のどの漸化式が成り立ちますか.
1I4,2=+I6,2
2I4,2=−+I6,2
3I4,2=+I6,2
4I4,2=−+I6,2




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このページ含めインテグラルのあるページについて、インテグラルと式の間にかなりスパンがあり、左側の文字に被って見えなくなっているところがあります。
=>[作者]:連絡ありがとう.Chromeで読んでおられるようですが,ブラウザごとバージョンごとに見え方に違いがありますが,目立つところは直しておきます.なおインテグラルと式の間のスパンは積分区間の下端と上端を書き込むために少しは必要です.問題はさじ加減です.