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== ベルヌーイ形 微分方程式 ==

■ベルヌーイ形の微分方程式
 次の形の微分方程式はベルヌーイの微分方程式とよばれ,y1−n=uとおくことにより線形微分方程式に直して解くことができます.
n=0の場合は線形微分方程式になり,n=1の場合は変数分離形になりますので,ここではこれらの場合は考えないことにします.
.+P(x)y=Q(x)yn (n≠0, 1)…(1)
(解説)
 (1)の両辺をynで割ると
.y−n +P(x)y1−n=Q(x)
合成関数の微分法
=
 ここで,u=y1−nとおくと
.=(1−n)y−n
となるから
. +P(x)u=Q(x)
.+(1−n)P(x)u=(1−n)Q(x)
ここで,(1−n)P(x)=S(x) , (1−n)Q(x)=T(x)と見ると
.+S(x)u=T(x)
は線形微分方程式となります.
【例1】
.+y=exy2の一般解を求めてください.
上の公式においてP(x)=1 , Q(x)=ex , n=2となる場合になっています.
(解答)
両辺をy2で割ると
.y−2 +y−1=ex…(1)
u=y−1…(2)とおくと
.=−y−2
となるから
.+u=ex
.−u=−ex…(3)
(3)式はuについて線形微分方程式となるのでこれを解く.
はじめに同次方程式
.−u=0…(3')
を解く
.=u
.=dx
.=dx
.log|u|=x+C1
.|u|=ex+C1=eC1ex
.u=±eC1ex=C2ex
そこで非同次方程式(3)に対して定数変化法により
u=z(x)ex…(4)の形の解を求める.
.u'=z'ex+zexだから
(3)は次の形になる.
.z'ex+zex−zex=−ex
.z'ex=−ex
.z'=−1
.z=−dx=−x+C
(4)に戻すと
.u=ex(C−x)
さらに(2)に戻すと
.y=…(答)
○ 1階の常微分方程式のうちで,初等的に(有限回の変形と積分計算によって)解く方法が解明されているものは限られていますが,この頁に登場するベルヌーイ(Bernoulli)の微分方程式は,変数変換によって線形微分方程式に直して解くことができます.

○ ただし,「理論上は解ける」ということと,実際に多項式や指数関数,対数関数,三角関数などの合成として示すことができるかどうかということの間には大きな溝かあります.左の欄のP(x), Q(x)の組合せによって,例えば次のような積分計算が登場する場合には,その結果を多項式や指数関数,対数関数,三角関数などの合成として示すことはできません.
e−x2dx , dx , , dxなど多数

○ このような関数が必要になるときは,その不定積分(または積分区間の上端または下端をxとする定積分)によって新たに関数を定義して使うことになります.
 次のような関数があります.
.=Li x …(積分対数関数)
.dx=Ei x …(積分指数関数)
. e−x2dx=erf(x) …(誤差関数)
 これらの関数において,それぞれのxに対する具体的な値を求めたいときは,数値積分が利用できます.(必要な精度で求めるとよい)■■
【例2】
.=y3sinxの一般解を求めてください.
上の公式においてP(x)=− , Q(x)=sinx , n=3となる場合になっています.
(解答)
両辺をy3で割ると
.y−3 y−2=sinx
合成関数の微分法
=
により
=−2y−3
u=y−2…(1)とおくと
.=−2y−3
となるから
.u=sinx
.+u=−2sinx…(2)
(2)式はuについて線形微分方程式となるのでこれを解く.
はじめに同次方程式
.+=0…(2')
を解く
.=−
.=−
.=−
.log|u|=−log|x|+C1
.log|u|+log|x|=C1
.log|ux|=C1
.|ux|=eC1
.ux=±eC1=C2
.u=
そこで非同次方程式(2)に対して定数変化法により
.u=…(3)の形の解を求める.
.I=xsinx dx
は,部分積分法により求めることができます.
f=xf '=1
g'=sin xg=−cos x
.I=−x cos x+cosx dx
.=−x cos x+sinx+C3
.u'=だから
(2)は次の形になる.
.+=−2sinx
.=−2sinx
.z=−2xsinx dx
=−2(−x cos x+sinx+C3 )
=2x cos x−2sinx+C
(3)に戻すと
.u=
さらに(1)に戻すと
.=
.y2(2xcosx−2sinx+C)=x…(答)

【問題1】
 微分方程式+2y=exy3の一般解を求めてください.
1y=2e−x+Ce−2x 2y=e−x+Ce−3x

3=2ex+Ce2x 4=ex+Ce4x

【問題2】
 微分方程式+=y4の一般解を求めてください.
1y3=x+Cx3 2y3=x3+Cx

3=x+Cx3 4=x3+Cx

【問題3】
 微分方程式+=y2logx (x>0)の一般解を求めてください.
1={−+C}x 2={ log(logx)+C }x

3={−+C}x 4={log(logx)+C}x

【問題4】
 微分方程式+=y3cosxの一般解を求めてください.
1=sinx−cosx+Ce−x 2=cosx−sinx+Ce−x

3=sinx−cosx+Cex 4=cosx−sinx+Cex


ベルヌーイ型の微分方程式[例と解]

において





のできるだけ多くの組合せで方程式と解を示す.
1.(1)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
元の方程式の解は
…(一般解)

1.(2)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
元の方程式の解は

…(一般解)

1.(3)iii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
元の方程式の解は

…(一般解)

1.(4)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
この中では部分積分を2回行うことにより求めることができる.



元の方程式の解は

…(一般解)

1.(4)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
この中では部分積分を2回行うことにより求めることができる.



元の方程式の解は

…(一般解)

1.(5)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
 この形の積分は初等的に(高校で習う整式,分数関数,指数関数,対数関数,三角関数やそれらの有限回の組合せで)表すことはできない.---敢えて書く場合は不完全ガンマ関数と呼ばれるもので書くことになるが,ここでは積分記号を残したまま解とする--この形なら微分して検算することができる.
元の方程式の解は
…(一般解)
※検算は次のようにして行える(以下の問題についても同様)
とおくと,
のとき




だから解となっている

2.(1)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
元の方程式の解は
…(一般解)

2.(2)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
元の方程式の解は

…(一般解)

2.(3)iii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
 この形の積分は初等的に(高校で習う整式,分数関数,指数関数,対数関数,三角関数やそれらの有限回の組合せで)表すことはできない.---敢えて書く場合は不完全ガンマ関数と呼ばれるもので書くことになるが,ここでは積分記号を残したまま解とする--この形なら微分して検算することができる.
元の方程式の解は

…(一般解)

2.(4)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
 この形の積分は初等的に(高校で習う整式,分数関数,指数関数,対数関数,三角関数やそれらの有限回の組合せで)表すことはできない.---敢えて書く場合は不完全ガンマ関数と呼ばれるもので書くことになるが,ここでは積分記号を残したまま解とする--この形なら微分して検算することができる.
元の方程式の解は

…(一般解)

2.(6)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は


元の方程式の解は
…(一般解)

3.(1)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分は初等的に(高校で習う整式,分数関数,指数関数,対数関数,三角関数やそれらの有限回の組合せで)表すことはできない.---敢えて書く場合は誤差関数と呼ばれるもので書くことになるが,ここでは積分記号を残したまま解とする--この形なら微分して検算することができる.
元の方程式の解は

…(一般解)

3.(2)ii)
ベルヌーイ型の微分方程式
において,が整式の場合,解が初等的に表せることは多くないが,この問題のようにの定数倍のときは,初等的に解ける.(実際には,変数分離型になる)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

この積分はとおく置換積分でできる.

元の方程式の解は

…(一般解)

3.(3)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分は初等的に(高校で習う整式,分数関数,指数関数,対数関数,三角関数やそれらの有限回の組合せで)表すことはできない.---敢えて書く場合は誤差関数と呼ばれるもので書くことになるが,ここでは積分記号を残したまま解とする--この形なら微分して検算することができる.
元の方程式の解は

…(一般解)

3.(4)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分は初等的に(高校で習う整式,分数関数,指数関数,対数関数,三角関数やそれらの有限回の組合せで)表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする--この形なら微分して検算することができる.
元の方程式の解は

…(一般解)

3.(5)iii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

4.(1)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

4.(2)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

4.(3)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
の定数倍のときは,実質的に変数分離型になる


とおく
の置換積分により


元の方程式の解は

…(一般解)

4.(4)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

4.(5)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

5.(1)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

5.(2)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は
 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

5.(3)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

6.(3)ii)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

6.(4)i)
両辺をで割る

とおく


…@は線形微分方程式
@の同次方程式の1つの解は
@の解は

 この形の積分も初等的に表すことはできない.---ここでは積分記号を残したまま解とする.
元の方程式の解は

…(一般解)

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■[個別の頁からの質問に対する回答][ベルヌーイ形 微分方程式について/16.10.12]
詳細な式変形があるので、自分の間違いにすぐ気が付きます。大変に参考になっています。ありがとうございます。
=>[作者]:連絡ありがとう.