■2次方程式の解き方(まとめ2)
○ 2次方程式の解の公式を用いればどんな2次方程式でも解くことができますが,通常「簡単な方法でも解ける問題は,簡単な方法で解く」ようにし,複雑な方法は必要なときだけ使うようにします. (たとえ話 : 植木鉢をいじるには移植ゴテがあれば十分で,スコップやブルドーザーはいりません.山を削るにはスコップでは無理でブルードーザーがよい.) ○ このように, (A) で解ける問題は,これで解く. (A)で解けない問題は (B) 因数分解で解く. (B)でも解けない問題は (C) 解の公式で解く.
【公式】
(中学校の教科書に登場する (x+a)2=b の形の方程式は,(A)か(C)に吸収されると考えればよく,公式を増やす必要はない.)
(ただし)の解は ○ 実際に2次方程式を解くときは,以上の(A)→(B)→(C)の順に検討し,なるべく楽な方法で解くようにします. |
(*1) 複雑な形になっているときは,展開して係数を整理し,見通しがよくなるように変形してから考えます. (*2) (ただし,中学校では)の形になる方程式は,(A)により直ちにと解けます.
【例題1】
(解答)2次方程式x(x+3)=3x+5の解を求めてください. (*1)により展開して係数を整理します x2+3x=3x+5 x2=5 (*2)により根号を使って直ちに答えられます …(答)
** 注 1.1 **
からのように変形した場合は,この根号はまだ簡単になるので,このまま答にしてはいけません.が答になります. 同様にして,からのように変形した場合は,この根号はまだ簡単になるので,このまま答にしてはいけません.が答になります. ** 注 1.2 ** のように,両辺を4で割れば(*2)の形にできる方程式は,割ってから根号にします. |
※次の2次方程式の解を求めてください.
答は下の選択肢のうちで正しいものをクリック.(暗算では無理です.必ず計算用紙で計算してから答えてください.)
【問題1】
x(x+4)=4x+3
展開して係数を整理します
x2+4x=4x+3 x2=3 根号を使って直ちに答えられます …(答)
【問題2】
(x+2)2=4x+22
展開して係数を整理します
x2+4x+4=4x+22 x2=18 根号を使って直ちに答えられます …(答) |
【問題3】
2x(x−3)=3(1−2x)
展開して係数を整理します
2x2−6x=3−6x 2x2=3 根号を使って直ちに答えられます …(答) |
(*1) 複雑な形になっているときは,展開して係数を整理し,見通しがよくなるように変形してから考えます. (*2) 左辺に集めたときに,xの1次の式が残っているときは因数分解を考えます.
【例題2】
(解答)2次方程式(x+2)2=3x+10の解を求めてください. (*1)により展開して係数を整理します x2+4x+4=3x+10 x2+x−6=0…(#1) xの1次の式が残っているときは,そのまま根号の形にすることはできません. 右辺にある式を全部左辺に移項してから因数分解を考えます. (x+3)(x−2)=0…(#2) x+3=0またはx−2=0…(#3) x=−3, 2…(答)
** 注 2.1 **
左辺の「2次式の因数分解」として (#1)から(#2)に変形するときは 和が1で積が−6となる2つの数は3と−2だから (x+3)(x−2)=0…(#2) になりますが,(#3)から「方程式の解を求める」ときは3と−2をそれぞれ右辺に移項するときに符号が変わって x=−3, x=2 となることに注意しましょう. ※一般に,2次式の因数分解に登場する係数の符号と,その因数分解を使って解いたときの2次方程式の解の符号とは反対になります. ** 注 2.2 ** x(x−2)=0 のように,xと他の式の積になるとき, 解は x=0, 2 になります.このx=0を忘れる答案が多いので注意しましょう |
【問題4】
x2+5=6x
左辺に集めます
x2−6x+5=0 因数分解します (x−1)(x−5)=0 x−1=0またはx−5=0 x=1, 5…(答)
【問題5】
(x+1)(x+2)=2−x
展開して係数を整理します
x2+3x+2=2−x x2+4x=0 因数分解します x(x+4)=0 x=0またはx+4=0 x=0, −4…(答)
【問題6】
x(x−2)=2(x−2)2
展開して係数を整理します
x2−2x=2(x2−4x+4) x2−2x=2x2−8x+8 左辺に移項します −x2+6x−8=0 x2の係数が負の数になるときは,両辺に−1を掛けて符号を変えます x2−6x+8=0 因数分解します (x−2)(x−4)=0 x−2=0またはx−4=0 x=2, 4…(答) |
(*1) 両辺の係数が同じ整数で割り切れるときは,割り算によってなるべく小さな係数になるようにします (*2) 分数や小数の係数になっている場合は,何倍かして整数係数になるようにします
【例題3】
(解答)2次方程式4(x2+3)=16xの解を求めてください. 展開して係数を整理します 4x2+12=16x 4x2−16x+12=0 両辺を4で割ります x2−4x+3=0 左辺を因数分解します (x−1)(x−3)=0 x−1=0またはx−3=0 x=1, 3…(答)
【例題4】
(解答)2次方程式0.01x2−0.02x−0.24=0の解を求めてください. 両辺を100倍して整数係数にします x2−2x−24=0 左辺を因数分解します (x−6)(x+4)=0 x−6=0またはx+4=0 x=6, −4…(答)
【例題5】
(解答)2次方程式の解を求めてください. 両辺を6倍して分母を払います x2−2x−3=0 左辺を因数分解します (x−3)(x+1)=0 x−3=0またはx+1=0 x=3, −1…(答) |
【問題7】
4x(x+2)=12
両辺を4で割ります
x(x+2)=3 展開して左辺に移項します x2+2x−3=0 因数分解します (x−1)(x+3)=0 x−1=0またはx+3=0 x=1, −3…(答)
【問題8】
0.1x2+2=0.9x
両辺に10を掛けて係数を整数にします(2にも掛けるのを忘れずに)
x2+20=9x 左辺に移項します x2−9x+20=0 因数分解します (x−4)(x−5)=0 x−4=0またはx−5=0 x=4, 5…(答)
【問題9】
両辺に6を掛けて係数を整数にします(3にも掛けるのを忘れずに)
x2+3x−18=0 因数分解します (x−3)(x+6)=0 x−3=0またはx+6=0 x=3, −6…(答) |
(*) 1次式「xの項があって」かつ「因数分解できないとき」は,「2次方程式の解の公式」を使うようにします.
【例題6】
(解答)2次方程式2x2+5x+2=0の解を求めてください. 中学校ではx2の係数が1にならないときに使う「たすき掛けの因数分解」には触れないのが普通です.このように因数分解できないときは,「2次方程式の解の公式」で解けます.
【公式】
a=2, b=5, c=2を代入すると(ただし)の解は ここで だから …(答)
** 注 6.1 **
上記の答案で のままで答えにしてはいけません. 上の例のように,±を分ければ簡単になるものは「分けなければならない」と考えてください. [他の例] は×は○ はこのままで○
とに分けても,大した利点はない.
** 注 6.2 ** 「たすき掛けの因数分解」を習っていなくても,分数の係数を使えば因数分解できる.例えば,上記の【例題4】の問題では と変形すると,和がで積がとなる2数を見つければ因数分解できる. であるから (ほとんどの生徒にとって,この因数分解は重労働で「解の公式」に代入する方が楽なので,解の公式がおすすめです)
【例題7】
(解答)2次方程式x2−6x+7=0の解を求めてください. 解の公式にa=1, b=−6, c=7を代入すると …(答)
** 注 7.1 **
この例題のように根号の中はなるべく小さな整数にしておく必要があります. ** 注 7.2 ** のような分数を約分するときに間違いが多いので注意しましょう. は× は× |
【問題10】
x(6x+1)=2 6x2+x−2=0 解の公式にa=6, b=1, c=−2を代入すると ここで だから …(答)
【問題11】
2=x(3x+5) 2=3x2+5x −3x2−5x+2=0…(*) 3x2+5x−2=0…(**) 解の公式にa=3, b=5, c=−2を代入すると ここで だから …(答)
** 注 **
この問題で(*)のようなx2の係数が負の数になる方程式は,両辺に−1を掛けて(**)の形にする方がよい. 実際には(*)のままでもできるが,そのまま解の公式を適用すると,次の変形において符号を間違う生徒が多い.だから(**)の方がおすすめです.
【問題12】
x2+3x+1=0 …(答)
【問題13】
2x2+3=6x 2x2−6x+3=0 解の公式にa=2, b=−6, c=3を代入すると …(答) |