【公式】 x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b) 〇この公式を丸暗記しても,実際の問題を解けるようにはならないでしょう. ◎積がabとなる数字を先に考えて,その中から和がa+bとなる組を探すのがポイント
和を先に考えると,理論上は無限通りの組合せがあって絞りきれなくなります
〇結果を暗記するのではなく,「やり方が身に着くまで練習する」ことが重要です.
【例1】
(解答)x2+5x+6を因数分解するには 積が6となる数字(1,6),(2,3),(−1,−6),(−2,−3)を先に考えます その中から和が5となるのは2と3の組だから x2+5x+6=(x+2)(x+3)とします. |
【例2】
(解答)x2−5x+6を因数分解するには 積が6となる数字は(1,6),(2,3),(−1,−6),(−2,−3)ですが その中で和が−5となるのは「負の数の組」です. だから(−1,−6),(−2,−3)の組だけを調べます. (−1)+(−6)=−7 → 合わない (−2)+(−3)=−5 → 合う x2−5x+6=(x−2)(x−3)とします. |
【例3】
(解答)x2+2x−8を因数分解するには 積が−8となる数字は,符号の異なる正負の数の組です.
(1,−8),(2,−4),(4,−2),(8,−1)が考えられますが
その中で和が+2,すなわち「正の数」となるのは,正の数の方が『強い』場合です.
ここでは俗世間的に覚えやすいように『強い』と言いましたが,数学的には「絶対値」=「符号を取り除いた数」が大きいということになるのでしょう.
「符号を取り除いた数」で「正の数」が強い方を選べばよいことになります.すなわち, 2と−4では(2)+(−4)=−2となって,−4が強いから負の数になる. −2と4では(−2)+(4)=2となって,4が強いから正の数になると考えると, (4)+(−2)=2 → 合う (8)+(−1)=7 → 合わない x2+2x−8=(x+4)(x−2)とします. |
【例4】
(解答)x2−2x−8を因数分解するには 積が−8となる数字は,符号の異なる正負の数の組です.
(1,−8),(2,−4),(4,−2),(8,−1)が考えられますが
その中で和が−2,すなわち「負の数」となるのは,負の数の方が『強い』場合です.「符号を取り除いた数」で「負の数」が強い方を選べばよいことになります. (1)+(−8)=−7 → 合わない (2)+(−4)=−2 → 合う x2−2x−8=(x+2)(x−4)とします.
【要約】
x2+和x+積
の形(定数項が積,1次の係数は和)から「2つの数」を求めるときの符号一覧
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この頁では,求める2数が整数となる基本の問題を扱っています.分数・小数が含まれる問題は,これよりも後の頁を見てください.
【問題1】 次の式を因数分解してください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
x2−x−6
はじめに,積が定数項の−6に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が負の数−6になるのは,異なる符号の2つの数の組です.
次に,それらの組の中で和がxの1次の係数−1に等しくなるものを探す
1,−6組,2,−3組,3,−2組,6,−1組があります.
和が負の数になるのは,負の数の方が『強い』場合
以上により,積が−6,和が−1となる2数は2,−3の組(1)+(−6)=−5 → 等しくない (2)+(−3)=−1 → 等しい (x+2)(x−3)…(答) |
(2)
x2+x−6
はじめに,積が定数項の−6に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が負の数−6になるのは,異なる符号の2つの数の組です.
次に,それらの組の中で和がxの1次の係数1に等しくなるものを探す
1,−6組,2,−3組,3,−2組,6,−1組があります.
和が正の数になるのは,正の数の方が『強い』場合
以上により,積が−6,和が1となる2数は3,−2の組(3)+(−2)=1 → 等しい (6)+(−1)=5 → 等しくない (x−2)(x+3)…(答) |
(3)
x2−7x+12
はじめに,積が定数項の12に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が正の数12になるのは,同符号の2つの数の組です.そのうちで和が負の数になるのは負と負です.
次に,それらの組の中で和が−7に等しくなるものを探す
−1,−12組,−2,−6組,−3,−4組があります.
(−1)+(−12)=−13 → 等しくない
以上により,積が12,和が−7となる2数は−3,−4の組(−2)+(−6)=−8 → 等しくない (−3)+(−4)=−7 → 等しい (x−3)(x−4)…(答) |
(4)
x2+7x+10
はじめに,積が定数項の10に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が正の数10になるのは,同符号の2つの数の組です.そのうちで和が正の数になるのは正と正です.
次に,それらの組の中で和が7に等しくなるものを探す
1,10組,2,5組があります.
1+10=11 → 等しくない
以上により,積が10,和が7となる2数は2,5の組2+5=7 → 等しい (x+2)(x+5)…(答) |
【問題2】 次の式を因数分解してください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
x2−2x−35
はじめに,積が定数項の−35に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が負の数−35になるのは,異なる符号の2つの数の組です.
次に,それらの組の中で和がxの1次の係数−2に等しくなるものを探す
1,−35組,5,−7組,7,−5組,35,−1組があります.
和が負の数になるのは,負の数の方が『強い』場合
以上により,積が−35,和が−2となる2数は5,−7の組(1)+(−35)=−34 → 等しくない (5)+(−7)=−2 → 等しい (x+5)(x−7)…(答) |
(2)
x2−8x+12
はじめに,積が定数項の12に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が正の数12になるのは,同符号の2つの数の組です.そのうちで和が負の数になるのは負と負です.
次に,それらの組の中で和が−8に等しくなるものを探す
−1,−12組,−2,−6組,−3,−4組があります.
(−1)+(−12)=−13 → 等しくない
以上により,積が12,和が−8となる2数は−2,−6の組(−2)+(−6)=−8 → 等しい (−3)+(−4)=−7 → 等しくない (x−2)(x−6)…(答) |
(3)
x2+2x−8
はじめに,積が定数項の−8に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が負の数−8になるのは,異なる符号の2つの数の組です.
次に,それらの組の中で和がxの1次の係数2に等しくなるものを探す
1,−8組,2,−4組,4,−2組,8,−1組があります.
和が正の数になるのは,正の数の方が『強い』場合
以上により,積が−8,和が2となる2数は4,−2の組(4)+(−2)=2 → 等しい (8)+(−1)=7 → 等しくない (x−2)(x+4)…(答) |
(4)
x2−8x+15
はじめに,積が定数項の15に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が正の数15になるのは,同符号の2つの数の組です.そのうちで和が負の数になるのは負と負です.
次に,それらの組の中で和が−8に等しくなるものを探す
−1,−15組,−3,−5組があります.
(−1)+(−15)=−16 → 等しくない
以上により,積が15,和が−8となる2数は−3,−5の組(−3)+(−5)=−8 → 等しい (x−3)(x−5)…(答) |
【問題3】 次の式を因数分解してください.(選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
x2+11x+28
はじめに,積が定数項の28に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が正の数28になるのは,同符号の2つの数の組です.そのうちで和が正の数になるのは正と正です.
次に,それらの組の中で和が11に等しくなるものを探す
1,28組,2,14組,4,7組があります.
1+28=29 → 等しくない
以上により,積が28,和が11となる2数は4,7の組2+14=16 → 等しくない 4+7=11 → 等しい (x+4)(x+7)…(答) |
(2)
x2+11x−60
はじめに,積が定数項の−60に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が負の数−60になるのは,異なる符号の2つの数の組です.
次に,それらの組の中で和がxの1次の係数11に等しくなるものを探す
ただし,和が正の数になるのは,正の数の方が『強い』場合 60,−1組,30,−2組,15,−4組,12,−5組,10,−6組があります.
(15)+(−4)=11 → 等しい
以上により,積が−60,和が11となる2数は15,−4の組他は等しくない (x−4)(x+15)…(答) |
(3)
x2+2x−48
はじめに,積が定数項の−48に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が負の数−48になるのは,異なる符号の2つの数の組です.
次に,それらの組の中で和がxの1次の係数2に等しくなるものを探す
ただし,和が正の数になるのは,正の数の方が『強い』場合 48,−1組,24,−2組,12,−4組,8,−6組があります.
(8)+(−6)=2 → 等しい
以上により,積が−48,和が2となる2数は8,−6の組他は等しくない (x−6)(x+8)…(答) |
(4)
x2−25x+144
はじめに,積が定数項の144に等しくなる2つの整数の組を考えます.
積が正の数144になるのは,同符号の2つの数の組です.そのうちで和が負の数になるのは負と負です.
次に,それらの組の中で和が−25に等しくなるものを探す
−1,−144組,−2,−72組,−3,−48組,−4,−36組,−6,−24組,−8,−18組,−9,−16組,−12,−12組があります.
(−9)+(−16)=−25 → 等しい
以上により,積が144,和が−25となる2数は−9,−16の組他は等しくない (x−9)(x−16)…(答) |