○同じ式が何度も(2回でも!)登場するときは,その式を1つの文字(Aなど)で表すと,見やすく因数分解しやすくなります.
【例1】
(解答)a(x+y)−b(x+y)を因数分解してください. (x+y)が2回登場するからこれを1つの文字Aで表します. aA−bA 共通因数Aでくくります (a−b)A
これでできたと思ってこのまま答えにしてはいけません.(x+y)=Aとしたのは,回答者の都合で他の人は(x+y)=Bとしているかもしれませんし,採点官は(x+y)=Cとしているかもしれません.
Aを元に戻すとだから,最終形は問題文に使われていた文字だけで書きます. (a−b)(x+y)…(答) ※上の解説では,見た通りに(x+y)=Aとしましたが,慣れてくればx+y=Aと書いてもよい. 問題集などの模範解答ではx+y=Aと書く方が多い. ※中学校で式の変形を習ったときに「何でもかんでもバラバラに展開してしまう」くせがついてしまう場合があります.上の問題を ax+ay−bx−by などと展開してしまうと,そこから先をどう変形したらよいのか展望がつかめません. 展開するのではなくて,問題文のままでジロっとにらんで「同じ式が2回登場したら1つの文字(Aなど)に置き換える」のが秘訣です. |
○次の式を因数分解してください.
○各自で計算用紙を使ってゆっくり考えてから,下の選択肢のうちの1つをクリックしてください. |
【例2】
(解答)(a+b)x−2a−2bを因数分解してください. このままでは同じものがないように見えますが (a+b)x−2(a+b)と変形すると(a+b)が2回登場しますので,(a+b)=Aとおきます. Ax−2A 共通因数Aでくくります A(x−2) Aを元に戻すと (a+b)(x−2)…(答) |
見かけ上は共通因数がないように見えますが,少し変形すれば作ることができます.
3(x+2y)−a(x+2y)と変形します. (x+2y)をAとおくと 3A−aA 共通因数Aでくくります (3−a)A Aを元に戻すと (3−a)(x+2y)…(答) |
引かれる式と引く式を入れ換えたものは,全く別のものではなくて符号が変わるだけであることに注意しましょう.
【重要】
そこで,a(x−y)−(x−y)と変形します.y−x=−(x−y) x−y=−(y−x) −a(x−y)+(y−x)でもよい (x−y)をAとおくと aA−A 共通因数Aでくくります (a−1)A
ax−xのような式をxでくくると−1が登場することに注意してください
Aを元に戻すとすなわちax−x=ax−1x=(a−1)xです. (a−1)(x−y)…(答) |
(a+b)をAとおくと
A2+A 共通因数Aでくくります A(A+1)
x2+xのような式をxでくくると+1が登場することに注意してください
Aを元に戻すとすなわちx2+x=x2+1x=x(x+1)です. (a+b)(a+b+1)…(答) |
【例3】
(解答)(a+b)2−2(a+b)−8を因数分解してください. (a+b)が2回登場しますので,(a+b)=Aとおきます. A2−2A−8 Aの2次式として因数分解し,積が−8和が−2となる2つの数を探すと−4と2だから (A−4)(A+2) Aを元に戻すと (a+b−4)(a+b+2)…(答) |
(x−2y)が2回登場しますので,(x−2y)=Aとおきます.
A2+A−6 Aの2次式として因数分解し,積が−6和が1となる2つの数を探すと3と−2だから (A+3)(A−2) Aを元に戻すと (x−2y+3)(x−2y−2)…(答) |
引き算の順序を入れ換えると符号が変わるから
(b−a)=−(a−b) 元の問題は (a−b)2−(a−b)−2になります そうすると(a−b)が2回登場しますので,(a−b)=Aとおきます. A2−A−2 Aの2次式として因数分解し,積が−2和が1となる2つの数を探すと1と−2だから (A+1)(A−2) Aを元に戻すと (a−b+1)(a−b−2)…(答) |
見かけ上は共通因数がないように見えますが,少し変形すれば作ることができます.
−8x−12y=−4(2x+3y) 元の問題は (2x+3y)2−4(2x+3y)+4になります そうすると(2x+3y)が2回登場しますので,(2x+3y)=Aとおきます. A2−4A+4 Aの2次式として因数分解し,積が−4和が4となる2つの数を探すと−2と−2(この因数分解は積と和から考えてもできますが,a2−2ab+b2=(a−b)2の公式で考えてもよい) (A−2)(A−2)=(A−2)2 Aを元に戻すと (2x+3y−2)2…(答) |
因数分解といえるためには「一番大きな区切りが積の形」になっていなければなりません.
(x+y)(x+y−1)←これは因数分解と言える
そこで,元の問題は,そのままでは因数分解できているとは言えませんので,一度展開してから全体を因数分解します.(x+y)(x+y−1)−2←これは因数分解と言えない 他の例 a(x+y)←これは因数分解と言える a(x+y)+1←これは因数分解と言えない ただし,全くバラバラにしてしまうと見通しが効かなくなりますので,2回登場するx+yをAとおきます. A(A−1)−2=A2−A−2 Aの2次式として因数分解し,積が−2和が−1となる2つの数を探すと−2と1 (A−2)(A+1) Aを元に戻すと (x+y−2)(x+y+1)…(答) |
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【例4】
(解答)(a+b)2−(x+y)2を因数分解してください. (a+b)2=(a+b)(a+b)では(a+b)2回登場すると数えます.同様に,(x+y)2=(x+y)(x+y)では(x+y)2回登場すると数えます. そこで「文字を2つ使って」(a+b)=A, (x+y)=Bとおきます. A2−B2 2乗−2乗の因数分解公式 a2−b2=(a+b)(a−b) が使えるから (A+B)(A−B) A, Bを元に戻すと ((a+b)+(x+y))((a+b)−(x+y)) =(a+b+x+y)(a+b−x−y)…(答) |
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引き算の順序を入れ換えると符号が変わるから
(y−x)=−(x−y) 元の問題は (a+b)(x−y)+(x−y)になります (x−y)は2回登場しますので,(x−y)=Aとおきます.(a+b)は1回しか登場しないので特に置き換えなくてもできます.(置き換えてもよい) (a+b)A+A 共通因数Aでくくると (a+b+1)A
ax+xのような式をxでくくると1が登場することに注意してください
Aを元に戻すとすなわちax+x=ax+1x=(a+1)xです. (a+b+1)(x−y)…(答)
(a+b), (x−y)が2回ずつ登場するので「文字を2つ使って」(a+b)=A, (x−y)=Bとおきます.
A(B+1)+A(B−2) 共通因数Aでくくると A(B+1+B−2)=A(2B−1) A, Bを元にすと (a+b)(2x−2y−1)…(答) |
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