文字式を用いて数についての,いろいろな性質を調べることができます.
【用語】
「偶数」とは,他の整数の2倍になっている整数をいいます.
n を整数とするとき, m=2n と書ける整数 m は偶数です.
m を偶数とするとき,m=2n となる整数 n が必ずあります. |
例 8=2×4 ,10=2×5,12=2×6,1024=512×2
注 それぞれの偶数について上の n の値は変わります.
「奇数」とは,偶数−1(または 偶数+1)の形に書ける数のことです.
n を整数とするとき,m=2n−1 と書ける整数 m は奇数です.
m を奇数とするとき,m=2n−1 となる整数 n が必ずあります. |
例 9=2×5−1 ,11=2×6−1,13=2×7−1,
999=2×500−1
注 それぞれの奇数について上の n の値は変わります.
【解説】
奇数+奇数が偶数になることは,どのようにすれば調べられるのでしょうか.
まずい方法:
1+1=2 , 1+3=4 , 1+5=6 , 1+7=8 , ··· (終わるまでする?)
次に 3+5=8 , 3+7=10 , 3+9=12 , 3+11=14 , ··· (終わるまでする?)
さらに 5+7=12 , 5+9=14 , 5+11=16 , 5+13=18 , ··· (終わるまでする?)
このような方法ではいつまでたっても「全部調べる」ことはできません.
かなりがんばって調べた人でも 1415926535897932684617264171+141421356173205089316227
は調べていないでしょう.
よい方法:
文字式を利用すると,「1つずつの数字について調べなくても」,文字式が「代表して」調べてくれます.
例 (奇数)+(奇数)が必ず偶数になることの説明
「奇数は 2a−1 と書けます.( a は整数)
もう1つの奇数は 2b−1 と書けます.( b は整数)
ここで (2a−1)+(2b−1)
=2a+2b−2=2(a+b−1)
a+b−1 は1つの整数だから
2(a+b−1) は偶数になる.」
なぜ2a−1と2b−1と書くのか
【問題】
次の各式は,右のどの性質の説明になっていますか.
(※ 文字式の展開を習っていないとき、元の式と結果の式だけを見てください。)
(2)
(2a−1)(2b−1)
=4ab−2a−2b+1
=2(2ab−a−b)+1 |
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(※ 文字式の展開を習っていないとき、元の式と結果の式だけを見てください。)
(3)
(2a−1)2−(2b−1)2
=4a2−4a +1−4b2+4b−1
=4(a2−a−b2+b) |
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【用語】
各位の数の和とは,例えば次のようなものです.
例1 456 すなわち 4×100+5×10+6 では
100 の位の数は 4 ,10 の位の数は 5 , 1 の位の数は 6 です.
このとき 456 の「各位の数の和」は 4+5+6=15 とします.
例2 27 すなわち 2×10+7 では
10 の位の数は 2 ,1 の位の数は 7 です.
このとき 27 の「各位の数の和」は 2+7=9 とします.
例3
100 の位の数が a ,10 の位の数が b ,1 の位の数が c であるような数は
100a+10b+c と書けますが,各位の数の和はa+b+c です.
(ただし,a は1〜9,b , c は 0〜9 の数字です.)
【問題】
次の各式は,右のどの性質の説明になっていますか.
(5)
(10a+b)+(10b+a)
=11(a+b) |
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