【例題1】
(解説)1から100までの整数のなかで,2または3で割り切れる整数は何個ありますか. 2で割り切れる数をM=2mとおくと 1≦M=2m≦100 1≦m≦50 だから,2で割り切れる整数は50個(⇒ 3で割り切れる数をN=3nとおくと 1≦N=3n≦100 1≦n≦33 だから,3で割り切れる整数は33個(⇒ 2でも3でも割り切れる数,すなわち6で割り切れる数をP=6pとおくと 1≦P=6p≦100 1≦p≦16 だから,6で割り切れる整数は16個(⇒ 2または3で割り切れる数は =50+33−16=67(個)・・・(答) |
【例題2】
(解説)3桁の正の整数のなかで,3または5で割り切れる整数は何個ありますか. 3で割り切れる数をM=3mとおくと 100≦M=3m≦999 34≦m≦333 だから,3で割り切れる整数は300個(⇒ 5で割り切れる数をN=5nとおくと 100≦N=5n≦999 20≦n≦199 だから,5で割り切れる整数は180個(⇒ 3でも5でも割り切れる数,すなわち15で割り切れる数をP=15pとおくと 100≦P=15p≦999 7≦p≦66 だから,15で割り切れる整数は60個(⇒ 3または5で割り切れる数は =300+180−60=420(個)・・・(答) |
【例題4】
(解説)
数式変形だけで押していくのは難しいので,オイラー図(ベン図)で考えるとよい
なお,問題の解答が求まる場合でも,集合の個数が確定しない場合がある.(未知数が4個で,方程式が3個だから) ![]() x+y+z+w=100・・・@ x+y=35・・・A x+y+w=66・・・B @Bから z=34・・・C ABから w=31・・・C |
【例題5】・・・やや難しい
(解説)![]() x+y+z+w=100・・・@ y=23・・・A x+y+z=74・・・B @Bから w=26・・・C
【例題6】・・・やや難しい
(解説)![]() x+y+z+w=100・・・@ x+y+w=73・・・A y+z+w=62・・・B @Aから z=27・・・C @Bから x=38・・・C y+w=35だから 0≦ |
【例題7】
(解説)1以上100以下の正の整数のうちで,2または3または5で割り切れる数は合計何個ありますか. 2で割り切れる数を2aとおくと 1≦2a≦100 1≦a≦50 だから,2で割り切れる整数は50個(⇒ 3で割り切れる数を3bとおくと 1≦3b≦100 1≦b≦33 だから,3で割り切れる整数は33個(⇒ 5で割り切れる数を5cとおくと 1≦5c≦100 1≦c≦20 だから,5で割り切れる整数は20個(⇒ 2かつ3で割り切れる数(6で割り切れる数)を6dとおくと 1≦6d≦100 1≦d≦16
だから,6で割り切れる整数は16個(⇒
3かつ5で割り切れる数(15で割り切れる数)を15eとおくと1≦15e≦100 1≦e≦6
だから,15で割り切れる整数は6個(⇒
右上に続く→
|
2かつ5で割り切れる数(10で割り切れる数)を10fとおくと 1≦10f≦100 1≦f≦10
だから,10で割り切れる整数は10個(⇒
2かつ3かつ5で割り切れる数(30で割り切れる数)を30gとおくと1≦30g≦100 1≦g≦3
だから,30で割り切れる整数は3個(⇒
求める個数は=50+33+20−16−6−10+3=74
【例題8】
(解説)![]() =100−91=9・・・(答) ド・モルガンの法則により =100−14=86・・・(答) |
【集合の要素の個数】(まとめ) 集合の要素の個数に関して,高校数学の教科書,参考書などで必ず登場するのは,次の(1)(2)(3)である.
集合
(1)から右図1のように※俗世間の話でたとえれば,表メニュー( ( |
![]() (
(2)を使って(5)を示す[別の証明]
ド・モルガンの法則により,(1)(4)を用いて第2項,第3項を書き換えると ゆえに ド・モルガンの法則により, ゆえに |
【問題8.1】
解答を見る
【問題8.2】
解答を見る![]() の ・・・(8) |
![]() の ![]() (別の証明) (4)により ここで,(2)により 分配法則により さらに(2)により 以上をまとめると |
■上記の例(5)を文字式の変形で行うと ←[#3]により
元の集合記号に戻すと ■上記の例(6)を文字式の変形で行うと ←[#3]により
元の集合記号に戻すと ■上記の例(7)を文字式の変形で行うと ←[#3]により
元の集合記号に戻すと |
【問題8.3】
解答を見る上記の例(8)を文字式の変形で示してください
【問題8.4】
解答を見る上記の例(9)を文字式の変形で示してください |
【問題8.5】
解答を見る上記の例(10)を文字式の変形で示してください |
【問題8.6】
解答を見る |
【問題8.7】
解答を見る |
【問題8.8】
解答を見る |
【例題9】
(解答)集合3個の場合の個数定理 を用いて,集合4個の場合の個数定理 を証明してください. |
(2)に対して,次の分配法則を用いる (3)に対して,次の分配法則を用いる (4)に対して,次の分配法則を用いる 以上を使って式を整理すると ■証明終わり■
|
【例題10】
(解説)Uを全体集合とし,A, B, C, Dをその部分集合とする.
n(A)=48, n(B)=52, n(C)=50, n(D)=47,
のとき,次の値を求めてください.n(A∩B)=22, n(A∩C)=23, n(A∩D)=21, n(B∩C)=27, n(B∩D)=27, n(C∩D)=24, n(A∩B∩C)=11, n(A∩B∩D)=10, n(A∩C∩D)=10, n(B∩C∩D)=14, n(A∩B∩C∩D)=5, n(U)=100 (1) (2) (3) (4) (5)
このような問題をスラスラと処理できる人には感心する.筆者は,たぶん多くの読者と同様,
ベン図で確かめるのがベストだと考えられるが,以下の答案では,なるべく数式変形で解く方法を考えてみる. ![]() =52−22=30・・・(答)
文字式の展開で解くには
これを元の集合記号に戻すと =52−22=30・・・(答) |
(2) 右図から次の式を考える![]() =100−52=48 =48+27=75・・・(答)
文字式の展開で解くには
これを元の集合記号に戻すと =100−52+27=75・・・(答) ![]() =22+23−11=34・・・(答)
文字式の展開で解くには
これを元の集合記号に戻すと =22+23−11=34・・・(答) |
![]() ここで さらに =48+52+50−22−23−27+11=89 =100−89=11 ゆえに ![]() 右図黄色の部分と桃色の部分に分けて求める 黄色の部分は =100−(52+50−27)=25 桃色の部分は =22+23−11=34 黄色と桃色の合計を求めると 25+34=59・・・(答) |
文字式の展開で解くには
これを元の集合記号に戻すと =100−(50+52−27)+(23+22−11)=59・・・(答) ![]() =11−5=6・・・(答)
文字式の展開で解くには
これを元の集合記号に戻すと =11−5=6・・・(答) ![]() 方程式のようにして一般的に解くよりは,必要な箇所だけ算数的に求めるという考え方が,急ぐときの基本です. |
【追加問題10-2】(高校生には難しい!)
(1)Uを全体集合とし,A, B, C, Dをその部分集合とする.
n(A)=48, n(B)=52, n(C)=50, n(D)=47,
のとき,次の値を求めてください.n(A∩B)=22, n(A∩C)=23, n(A∩D)=21, n(B∩C)=27, n(B∩D)=27, n(C∩D)=24, n(A∩B∩C)=11, n(A∩B∩D)=10, n(A∩C∩D)=10, n(B∩C∩D)=14, n(A∩B∩C∩D)=5, n(U)=100 (1) (2) (3) (4) 解答を見る |
(2) 解答を見る |
(3) 解答を見る |
(4) 解答を見る |
(3) べき集合(部分集合の総数)
【例1】集合A={a, b}の部分集合は { }, {a}, {b}, {a, b} の合計4個ある.
空集合(要素が1つもない集合)
【例2】すなわち,どんな集合Aに対しても,つねに が成り立つ. どんな集合に対しても,その集合自身は部分集合になっているものとします.[そういう約束です] すなわち,どんな集合Aに対しても,つねに A⊂A が成り立つ. 集合B={1, 2, 3}の部分集合は 要素の個数が0個の集合・・・{ }(空集合は部分集合) 要素の個数が1個の集合・・・{1}, {2}, {3} 要素の個数が2個の集合・・・{1, 2}, {1, 3}, {2, 3} 要素の個数が3個の集合・・・{1, 2, 3}(B自身も部分集合) の合計8個ある. |
【べき集合】
(解説)A={a1, a2, a3, … , an}がn個の要素からなる集合であるとき,Aの部分集合は全部で 2n(個) ある. ※集合Aの部分集合全体の集合をAのべき集合という. 各々の要素a1, a2, a3, … , anが「含まれる」「含まれない」によって2通りずつ集合の要素の組み合わせができるから,n個の要素からなる場合は2n(個)の集合ができる. ■証明終わり■
(別解)要素の個数が0個の集合は
{ }(空集合)n0=1個
要素の個数が1個の集合は{a1}, {a2}, {a3}, … , {an}のnC1=n個
要素の個数が2個の集合は{a1, a2}, {a1, a3}, ..., {an−1, an} のnC2個
要素の個数がk個の集合{a1, a2, ..., ak}, … のnCk個
要素の個数がn個の集合{a1, a2, … an}のnCn=1個
したがって,部分集合は全部でこの和は,二項係数の性質の項目で示されるように2nに等しい. ■証明終わり■
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【例題11】
(解説)集合A={a, b, c, d, e}の部分集合は何個ありますか. 25=32(個)・・・(答)
【例題12】
(解説)(1) 集合A={a, b, c, d, e}の部分集合のうちで,特定の要素aが含まれる集合は何個ありますか. (2) 集合A={a, b, c, d, e}の部分集合のうちで,特定の要素bが含まれない集合は何個ありますか. (3) 集合A={a, b, c, d, e}の部分集合のうちで,特定の要素aが含まれ,かつ,特定の要素bが含まれない集合は何個ありますか. (1) 特定の要素aを初めから入れておき,残りの4個の要素{b, c, d, e}を含めるかどうかで考えると 24=16(個)・・・(答)
目で確かめる
{a}, {a, b}, {a, c}, {a, d}, {a, e}, {a, b, c}, {a, b, d}, {a, b, e}, {a, c, d}, {a, c, e}, {a, d, e}, {a, b, c, d}, {a, b, c, e}, {a, b, d, e}, {a, c, d, e}, {a, b, c, d, e}の16個 |
(2) 特定の要素bを初めから外して,残りの4個の要素{b, c, d, e}を含めるかどうかで考えると 24=16(個)・・・(答)
目で確かめる
(3) 特定の要素aを初めから入れておき,特定の要素bを初めから外して,残りの3個の要素{c, d, e}を含めるかどうかで考えると{ }, {a}, {c}, {d}, {e}, {a, c}, {a, d}, {a, e}, {c, d}, {c, e}, {d, e}, {a, c, d}, {a, c, e}, {a, c, e}, {b, d, e}, {a, c, d, e}の16個 23=8(個)・・・(答)
目で確かめる
{a}, {a, c}, {a, d}, {a, e}, {a, c, d}, {a, c, e}, {a, d, e}, {a, c, d, e}の8個 |
(補足説明1)・・・任意の集合Aに対して,空集合{ }およびA自身をAの部分集合とすることについて [そもそもの定義] 集合の任意の要素 [ 例えば, 「 が成り立つのは明かだから,
○数の大小を表す不等号について
a<b
aはbよりも小さい場合だけ成り立ち,等しい場合は含まれない
a≦b
a<bまたはa=bのいずれかが成り立てばよい
○集合の包含関係を表す記号について@)昭和の前半ぐらいまで,日本の高校では, したがって,当時は, しかし,昭和の後半あたりから(世界での使われ方,大学での使われ方に近づけた?),集合については, その結果,真部分集合を表すには,
【今日の高校数学での⊂の使われ方】
《重要》 |
[空集合{ }が任意の集合Aの部分集合であることの解説] (解説1) 命題p ⇒ qの真偽は,次の真偽表によって定められる.(この表がp ⇒ qの真偽の定義です)
ところで,空集合{ }にはどんな要素も属さないから, よって,空集合{ }が任意の集合Aの部分集合であることが示された. ■証明終わり■
(別の解説)「p ⇒ qの真偽」に慣れていない人は,次のように対偶によって証明してもよい.すなわち 「 の証明は,その対偶によって証明してもよい. 「 ところで,空集合{ }にはどんな要素も属さないから,この命題は真である.よって,対偶により示された. |
(補足説明2)・・・有限集合に限定する理由[レベル:難しい] 一番初めに,有限集合 のなどと「有限集合」に限定した話になっている理由 中学・高校までは,有限の話は分かりやすく,無限の話は難しいと考えるのが普通だと思う.これに対して,定義の仕方次第では,無限の方が有限よりも簡単になる場合がある. 【真部分集合とは】 【例】 (なぜなら,
一般に,有限集合Aが有限集合Bの真部分集合であれば,Bの要素であってAの要素でないものがあることになり,Bの要素の個数はAの要素の個数よりも多くなる.
【例】正の偶数全体の集合を (なぜなら, ところが, となる 逆に, となる
このように,ある集合とその真部分集合との間に,1対1の対応が存在するとき,その集合は無限集合であるという.
【無限集合の定義】「ある集合とその真部分集合とに1対1の対応を付けることができるとき,その集合は無限集合であるという.」 「無限集合でない集合を有限集合という.」 さて,個数定理を解説するときに,初めに「有限集合」に限定した理由は次の通りです. 例えば,(自然数の内で)2の倍数全体の集合を であるが であるから などという計算は成り立たない.そのような計算が成り立つのは,有限集合を扱っている場合に限るということです. |
(真部分集合,有限集合,無限集合の他の例) (#1) だから, このとき, (#2) だから, このとき,任意の 任意の のように対応させると, (##) ![]() しかし,純真素朴な村の少年(私)は,イの図が頭から離れないので,先生の主張に不満であった. 正しく理解するには,「1つでも1対1に対応させる方法があれば,同じ個数と見なす」「他に,1対1に対応しない方法が何通りあっても関係ない」という所が重要で,「すべての対応方法について,1対1になる」ことを要求しているのではなく「1対1に対応させる方法が存在する」「ある対応方法では,1対1に対応する」ときに(1つあればよいということ),2つの集合の要素数は同じであるとみなすということ. 上記のA,Bについて,集合の要素数が等しいことを示す数学的な答案としては,次の2つよい. どんな どんな (他の例) ![]() どんな どんな |