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== 根号計算の入試問題 ==
*** 目次 ***(クリックすればその項目にジャンプします)
[1] 分母の有理化
[2] 対称式の値
[3] 逆数の和の値
[4] 二重根号
[5] 整数部分,小数部分
[1] 分母の有理化
【例題1】
(解説)
このような式を簡単にするとき
「通分する」
と分母は3つの式の積になり,分子は2つずつの積の形になります.(これは不利です)
しかし
「1つずつ有理化する」
と残りの2つの式とは無関係にできます.(この方が有利です)
【要点1】
根号を含む分数が幾つもある場合,通分よりも分母の有理化の方が有利
【類題】
を計算せよ.
解説
やり直す
(原式)
引用元の問題は記述式の問題ですが,以下の問題ではWeb画面上での操作性をよくするため,選択問題に変えています.
まぐれ当たりでは力が付きませんので,計算用紙を使って,よく考えてから選択肢の内の1つをクリックしてください.解答すれば解説が出ます.
なお,答案はこの教材の筆者が作成したものです.間違い等がありましたらお知らせください.
【問題1】
を計算せよ.
(尾道大2005年度)
解説
やり直す
1
2
3
5
6
(原式)
※
などと変形すると,分母が2項になり不利です.ここでは
をうまく使えるように,上記のように
の組と
の和差になるように組み合わせるのが有利です.
[2] 対称式の値
【例題2】
とする.このとき
の値をそれぞれ求めよ.
(埼玉大2001年度)
(解説)
また
だから
【要点2】
のような「対称式」の値は,「基本対称式」
を利用して求める.
【問題2】
(1)
のとき,
の値を求めよ.
(防衛大2016年度)
解説
やり直す
26
30
52
60
64
また
だから
このとき
(2)
のとき,次の式の値を求めよ.
(i)
(ii)
(東北学院大2016年度)
(i)
解説
やり直す
20
21
22
23
24
25
だから
(ii)
解説
やり直す
や
のような式は対称式ではない(入れ換えると値が変わってしまう:交代式).
この式自体は基本対称式
と
では表せないが,その2乗を求めて逆算するとよい.ただし,
だから,
の符号は負になることに注意
とおくと
[3] 逆数の和の値
【要点3】
のように逆数の和になっている式の値は,
で表すことができる.
または
または
※結果を覚える必要はない.次数の低い式で作ってみて,「後出しジャンケン」風に多い分を引けばよい.
【問題3】
(1)
のとき,
ア
,
イ
.
(工学院大2014年度)
(ア)
解説
やり直す
1
2
3
4
5
,
(イ)
解説
やり直す
13
52
56
60
64
(2)
のとき,
ア
である.
(東北学院大2014年度)
解説
やり直す
28
29
30
31
32
※この問題は
の値を直接的に使わなくてもできます.
もっと極端な話として,「
のとき」となっていても問題は同様に解けますが,そのような
の値は虚数で,数学Tの段階ではまだ習っていないのに問題は解けていることになります.
[4] 二重根号
二重根号は,高等学校学習指導要領から一時期消えていて,平成21年改訂後の教科書では発展学習として復活しています.
【要点3】
のとき
だから
です.
【例】
同様にして
のとき
だから
です.
【例】
※いずれも,内側の根号の前に2が付いている場合に,和と積が与えられた2数を求めると二重根号がはずれます.
【問題4】
[1]
とする.この
a
を2重根号を使わずに簡単な形で表すと
a=
カ
と表せる.
また,
a
5
−4a
4
+2a
3
−4a
2
+a−2
の値は
キ
である.
(慶応義塾大2005年度)
(
カ
の値)
解説
やり直す
積が
12
で和が
7
となる2数は
4
と
3
だから
(
キ
の値)
解説
やり直す
−2
−1
0
1
2
を1つの解とする2次方程式を作り,割り算を行って次数を下げてから代入する.
a
5
−4a
4
+2a
3
−4a
2
+a−2=(a
2
−4a+1)(a
3
+a)−2=−2
[2]
のとき,
の値を求めよ.
(岩手大2011年度)
解説
やり直す
2
3
6
12
18
a, b>0
のとき
だから
したがって
※この問題は,高校数学の教育課程に二重根号がなかった時代のものなので,二重根号の計算を行わずに解く方法がある.
において,
だから
[5] 整数部分,小数部分
【要点4】
例えば
の小数部分を
a
とするとき,
a
2
の値を求めよ
という問題において
a
2
=0.41421···
2
=0.1715699···
などという答は近似値に過ぎず,小数を無限に書いていくこともできません.
この問題について正確に答えるには,
から,
初めに整数部分を求めます
.
整数部分は
1
次に,
整数部分を取り除いたものが小数部分
です.
小数部分は
の小数部分を
a
とするとき,
a
2
の値は
【例題5】
の整数部分を
a
,小数部分を
b
とするとき,
a=
である.また,
の整数部分は
である.
(北海道工業大2005年度)
(解説)
だから
の整数部分は
1
【問題5】
[1]
の整数部分を
a
,小数部分を
b
とする.このとき,
a
2
+ab+b
2
と
の値を求めよ.
(琉球大2011年度)
(
a
2
+ab+b
2
)の値
解説
やり直す
6
7
8
9
10
だから
このとき
※
a+b
は元の数
だから,一般的には
(a+b)
2
−ab
と変形するのが有利であるが,上記の単純計算との差はわずかだと思われる.
(
)の値
解説
やり直す
[2]
の小数部分を
a
とするとき,次の設問に答えよ.
(1)
a
の値を求めよ.
(2)
の値を求めよ.
(3)
a
3
+4a
2
+2a−3
の値を求めよ.
(岡山理科大2005年度)
(1)
a
の値
解説
やり直す
の整数部分は
3
だから
小数部分は
(2)
の値
解説
やり直す
だから
(3)
a
3
+4a
2
+2a−3
の値
解説
やり直す
0
1
2
3
4
などの値を3次式などに代入するとき,直接代入すると複雑な3乗の展開計算になって不利です.
このような場合は「=0となる方程式を作って」「割り算で商と余りに分けて」「余りに代入します」.
a
3
+4a
2
+2a−3
を
a
2
+2a−2
で割ると,商が
a+2
,余りが
1
になるから
a
3
+4a
2
+2a−3=(a
2
+2a−2)(a+2)+1
のとき
a
2
+2a−2=0
だから
a
3
+4a
2
+2a−3=1
[3]
の小数部分を
a
とするとき,
a
は2次方程式
x
2
+
ア
x+
イ
=0
の解であり,
a
3
+6a
2
−21a+23
の値は
ウ
+
エ
オ
である.
(早稲田大2014年度)
(
x
2
+
ア
x+
イ
=0
の式)
解説
やり直す
x
2
+2x−3=0
x
2
−2x+3=0
x
2
−8x+8=0
x
2
+8x−8=0
の整数部分は
9
だから,小数部分は
このとき
だから,
a
は2次方程式
x
2
+8x−8=0
の解
(
a
3
+6a
2
−21a+23
の値)
解説
やり直す
a
3
+6a
2
−21a+23
を
a
2
+8a−8
で割ると,商が
a−2
,余りが
3a+7
になるから
a
3
+6a
2
−21a+23=(a
2
+8a−8)(a−2)+3a+7
ここで
のとき,
a
2
+8a−8=0
だから
a
3
+6a
2
−21a+23=0×(a−2)+3a+7=3a+7
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■[個別の頁からの質問に対する回答][
根号計算の入試問題
について/18.7.16]
[4]二重根号の【要点3】の a>0,b>0,a>bのとき の(例)の一行目の右辺√2の符号は-でないでしょうか?
=>[作者]:
連絡ありがとう.間違わなくてもいい所で間違っていますが,別にわざとではない.管理人にも,それなりの事情があるかもしれん.訂正しました.