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■「AならばB」の形の命題(1) あるイベントの参加者について次のことが分かっている. ○ 入場料を支払う人は白いリボンを着けておらず,青のチケットも持っていない.このとき,次のうち確実に言えるものはどれか. 1.青のチケットを持っている人は招待客でない. |
※ある条件 A とこれを満たす集合 A は厳密には別の概念であるが,以下においては混乱が生じるおそれがないので同じ記号で表わす. A : 青のチケットを持っている, B :入場料を支払う, C :招待客, D :当日受付, E :白いリボンを着けているとすると,問題文から次の赤の矢印が成り立ち,その対偶として青の矢印が成り立つ. ![]() 3.C → E は成り立たない. 4. → は成り立たない. 5. → は成り立たない. |
(2) ある朝食のメニューについて次のことが分かっている. ○ サラダが付いていないメニューには,トーストが付いている.このとき,次のうち確実に言えるものはどれか. 1. サラダが付いているメニューには,コーヒーは付いていない. |
※ 店独自の考えがあるかもしれないので,常識で組合わせを判断してはいけない. A : トーストが付いている, B :サラダが付いている, C :赤だしが付いている, D :納豆が付いている, E :コーヒーが付いているとすると,問題文から次の赤の矢印が成り立ち,その対偶として青の矢印が成り立つ. ![]() 2. → は成り立たない. 3.E → は成り立たない. 5. → B は成り立たない. |
(3) ある朝食のメニューについて次のことが分かっている. ○ サラダが付いているメニューには,コーヒーが付いている.このとき,次のうち探しても見つかる見込みのないメニューはどれか. 1. トーストが付いていて納豆が付いていないメニュー |
※ 店独自の考えがあるかもしれないので,常識で組合わせを判断してはいけない. A : サラダが付いている, B :コーヒーが付いている, C :トーストが付いている, D :納豆が付いている, E :赤だしが付いているとすると,問題文から図になる. ![]() 2.D∩= ![]() 3.∩= だから,このようなメニューは存在しうる. 4.E∩ を満たすメニューは存在しうる. 5.E∩C を満たすメニューは存在しうる. 以上より,答は2. |
(4) ある朝食のメニューについて次のことが分かっている. ○ 納豆が付いているメニューには,トーストもサラダも付いていない.これらのメニューで,一方が付いていれば他方も必ず付いている組合わせは次のうちどれか. 1. トーストとコーヒー |
※P → Q → R → P のように条件の連鎖がサイクルになるとき,これらは互いに必要十分条件で,これを満たす集合は等しくなる.すなわち, P → Q → R → P ならば P=Q=R A : サラダが付いている, B :納豆が付いている, C :トーストが付いている, D :赤だしが付いている, E :コーヒーが付いているとすると,問題に示された相互関係及びその対偶を図示すると次の図のようになる. ![]() (なお,「付いていない」ものとの組合わせ()は問われていない.また,B== も言えるが,ないもの2つの組も問われていない.) |
《基本の要約》
■集合の包含関係と条件 ○ 2つの条件 A , B について,「A の条件を満たすものは必ず B の条件を満たす」という主張を, ○ 条件 A , B (例えば x>0 , y=x など)と,これを満たす集合とは本来は同じものではないが,前後の文脈から分かるときは同一の記号を用いて表わしてよい.すなわち,条件 A , B を満たす集合を A , B で表わす. このとき,条件の関係 A → B には,集合の包含関係 ※ A や B は条件や集合であるが, A → B や A⊂B は条件や集合の関係についての主張(命題)なので,「正しい」「成り立つ」場合も,「正しくない」「成り立たない」場合もある. そこで,A → B や A⊂B について,成り立つかどうかを問うことができる. ■推移律など A → B → C のとき,A → C が成り立つ.
特に,A → B かつ B → A のとき A=B が成り立つ. A → B → C → A のように輪ができるときは,A=B=C
(証明)A → B → C → A で赤の所を見ると A → B 次に,A → B → C → A で青の所を見ると B → A ゆえに,A=B B=C ,C=A も同様にして示される. |
例 「犬ならば動物である」という主張を,「犬→動物」で表わす. このことを集合を用いて表わすと ![]() これは,「集合 A のどんな要素 x を持ってきても,かならず B の要素になる」ということを表わしている. 要素で書けば : x∈A → x∈B 集合で書けば : A⊂B (*) A⊂B という記号は,数の大小を表わす不等号 x<y とよく似た記号であるが,A⊂B という記号は A=B の場合も含めて用いる.(時代によって変遷があるが,最近の高校の教科書では,A⊆B という記号は使われていない.) 例えば, 例 次の関係が成り立つとき,集合 A , , , C は等しい. すなわち,A===C が成り立つ. ![]() |
■「かつ」「または」「〜でない」に対応する集合 ○ 条件「 A かつ B 」には,集合「 A∩B 」が対応する.
○ 条件「 A または B 」には,集合「 A∪B 」が対応する. ○ 条件「 A でない 」には,集合「 」が対応する. |
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■逆・裏・対偶の真偽 元の命題 A → B が成り立つときに,必ず成り立つのは対偶 → だけで,逆や裏は正しいとは限らない.
元の命題 A → B が与えられたとき,その対偶 → も与えられたものとしてよい. ![]() |
![]() ○逆 : B → A は必ずしも成り立たない. 例えば,上の図で,c∈B であるが c∈A ではないから,B → A は成り立たない. ○裏 : → は必ずしも成り立たない. 例えば,上の図で,c∈ であるが c∈ ではないから, → は成り立たない. ○対偶 :次の図で分かるように ⊂ だから → が成り立つ. ![]() |
■実際の問題を解くときは 問題に応じて,ベン図か矢印図のうち描きやすいものを利用するとよい.
○ ベン図で考えるときは, A → B に対して,A⊂B の図を描いていけばよい. ○ 条件が5個,6個,・・・のように多くなると複雑なベン図が描けないことがある.このとき,右図のように矢印図で考えるとよい.その際 A → B に対してその対偶 → も書き込むとよい. は,他の集合 A , B などと並べられる単なる集合であるが,・・・→ となるときは,A は成り立たない.・・・→ A となるときは, は成り立たない. したがって,もし一つの条件から → をたどっていってA にも にもたどり着くときは,どこかに間違いがある. |
例 次の関係が成り立つとする. A でないならば B も D も成り立つ.このとき,次のような図を描けば,これらの関係が分かる. ![]() ![]() A でないならば C が成り立つ. |