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== 3項間漸化式の一般項 ==

基本
の形の漸化式】

 定数p, q (p≠1)係数の3項間漸化式が

の形で与えられているとき,
を満たす定数α, βを見つけると,数列は,
初項
公比β
の等比数列になるので,
(I)まず2項間漸化式の一般項を求めることができます.
1組の定数α, βから得られる2項間漸化式から,さらに数列の一般項を求めることもできますが,通常の場合,次の(II)の手順で2組の定数α, βから得られる2項間漸化式から連立方程式を解く方が,手順としては簡単になります.
(II)
〇上記のα, βが「2組求まる場合(2次方程式が異なる実数解を持つ場合)」は,その2組から元の数列の一般項を求めると簡単になります.
〇上記のα, βが「1組の解しかない場合(2次方程式が重解を持つ場合)」は,やむを得ず,さらに2項間漸化式を解いて一般項を求めます.
(解説)
(初歩的な解説)
 3項間漸化式では,前の項と2つ前の項を使ってが定義されるので,初項だけでなく第2項も具体的な値として与えられていなければ数列を確定することはできません.
 したがって,3項間漸化式の問題では,漸化式以外に初項と第2項の値も使って問題を解きます.
 問題が

…(1)
であるとき,
…(2)
または
…(3)
のような変形に気付くと,各々数列,が等比数列となって,3項間漸化式の問題を2項間漸化式の問題に直すことができます.

(2) →
は公比2の等比数列になるから
…(2’)
(3) →
は公比1の等比数列になるから
…(3’)
(2’)(3’)を各々2項間漸化式として,さらに,元の数列の一般項を求めることもできますが,このように未知数2個に対する連立方程式が得られた場合は,これらの未知数について解くことができます.
この連立方程式はについて解いてもについても構いません.・・・について解けば直接的にの式が得られます.について解けば(他の普通の連立方程式とは違って)nn+1を代入した式が得られるので,元に戻す手順が1ステップ必要となります.
〇(2’)(3’)をに対する連立方程式として解くと
(2’)−(3’)
…(答)
もちろん,についても解けますが,当然の結果が得られ,を求めるために1ステップが余計に必要になります.
(2’)×2−(3’)

…(答)
〇(2’)または(3’)の1つだけを2項間漸化式として解く場合は
(2’)→
の階差数列が与えられていることになるから
n≧2のとき


これはn=1の場合にも成り立つから
…(答)

(3’)→から求める場合は
は公比2の等比数列であることを示しているから
…(答)

初歩

…(1)
のとき,通常,参考書などでは答案の流れは次のようになります.
(1)より特性方程式を解くと
x=1, 2となるから
…(1’)
…(1”)
※素朴に考えると,「特性方程式」とは何なのか?なぜ特性方程式の解を使えば(1’)(1”)のように変形できるのかという疑問がわきます.・・・速く進もうと「この問題はこうするものだ」と丸暗記してしまうと,実際には特性方程式が使えない場面で使ってしまうミスが起ります.・・・だから,最低でもどの形の問題の場合に特性方程式が使えるのかということは理解しておく必要があります.

1 ≪特性方程式の解を極限と見る見方≫
 (1)を


と変形して,もし,数列に極限値αが存在したら,すなわち

ならば,α

で求められることになります.
ただ,この解釈は簡単には納得しにくい話です.
(理由1)
そもそも,なぜの極限なのか,なぜ
極限を求めないのかが分かりにくい.また,もし極限値がなかったらどうなるのか,極限値が存在することを示されていない
(理由2)
結局のところ



と置き換えるということになるが,特になぜとおくのかがよくわからない
(理由3)
の間の論理が跳び過ぎていてつながらない


2 ≪の形≫から逆算する見方

 (1)を…(1’)
の形に変形できたらよいのにな〜と考えます.
 もし,そのような変形ができなければ以下の方程式が解なしとなるだけだから,試してから判断したらよいと考えます.
 もし,(1’)の形に変形できれば,
n項が
n+1項が
となる数列が公比βの等比数列になって,とりあえずが求まるからです.
 (1’)のα, βは(1)との係数比較により求めることができます.
(1’)→
(1)→
よりα, βは次の連立方程式の解です.
α+β=3…(2)
αβ=2…(3)
(2)(3)を素朴に連立方程式として解けば
(2)→
これを(3)に代入→
…(4)
(4)より

α=1のときβ=2
α=2のときβ=1
(2)(3)からαを消去してβの方程式にした場合は
…(4’)
になりますが,(4)(4’)を見比べてみると,α, βはいずれも,2次方程式
…(5)
の解になっているということです.
 通常の解説:
α+β=3…(2)
αβ=2…(3)
となる2数は(解と係数の関係により),2次方程式
の2つの解だからこれを解きます.
この説明が分かりにくい場合は,上記のように
…(4)
…(4’)
はいずれも,2次方程式
…(5)
にまとめられると考えればよいでしょう.

要点
【要点】
 となるα, βを求めたとき
(A) 異なる2つの実数となる場合
…(1)
…(2)

…(1’)
…(2’)

(1’)−(2’)によりを消去する
(B) 同じ1つの実数αとなる場合



これを2項間漸化式として解く
(C) 虚数となる場合
実際には(A)と全く同様に解けばよい.虚数・無理数・分数係数の数式となるが,が整数ならばすべての自然数nに対して整数値となることは証明できる.
※通常,この形の問題は高校生向けの3項間漸化式の問題としては出題されない.
※複素数のド・モアブルの定理との融合問題としてなら出題されるかもしれない.また,ここで得られる一般項を題材として,虚数・無理数・分数係数の数式がすべての自然数nに対して整数値となることの証明問題,計算問題などとして出題されることは考えられる.


【例題1】α, βが異なる2つの実数となる場合

…(1)
で定義される数列の一般項を求めてください.
(答案1)
 (1)より…(2)となるα, βを求める.
 (2)より
これを(1)式と係数比較すると
α+β=4…(3)
αβ=3…(4)
この解は
α=1, β=3…(5)またはα=3, β=1…(6)

(5)より

数列は公比3の等比数列になるから
…(7)
(6)より

数列は公比1の等比数列になるから
…(8)
ある数列が公比1の等比数列であれば
となり
ある人と友達が同じで,そのまた友達も友達と同じ・・・
⇒全員同じ
(♪友達の友達は友達だ,そのまた友達も友達だ♪⇒定数項になっている数列)
これより直ちにがいえる.
(7)(8)を未知数に関する連立方程式として解く.


と見て,x, yについて解くということです.ただし,を求めるにはyだけ求めればよくの方はn+1を代入すれば自動的に得られます.
(7)−(8)

…(答)
(答案1’)
 簡単な変形の場合,なぜその変形を思いつくのかという理由を説明しなくても構わない.・・・「目の子算」でも分かるような簡単な移項にまで,くどくどと理由を付ける必要はない.
 だから,α, βを別途求めておいて,答案としては次のようにまとめてもよい.
(1)より

数列は公比3の等比数列になるから
…(2)
また(1)より

数列は公比1の等比数列になるから
…(3)
(2)−(3)

…(答)
(参考)
この数列において,特性方程式の解1, 3は数列の極限を表していると言うよりは,隣の項との比の極限と考えた方が分かりやすい.
本問のようにの場合はになり,本問とは異なる初項と第2項で問題が作られていてとなっている場合はとなる.

重解形
【要点】
 となるα, βを求めたとき
(B) 同じ1つの実数αとなる場合



これを2項間漸化式として解く


【例題2】α, βが実数の重解となる場合

…(1)
で定義される数列の一般項を求めてください.
(1)より

となるα, βを求める
と(1)の係数を比較して
α+β=2
αβ=1
よりα=1, β=1の重解となる.

これらの値を代入すると

数列は公比1の等比数列(実際には全部等しい数列)になるから
…(2)
(2)より

数列は公比1の等比数列(実際には全部等しい数列)になるから

…(答)
 (2)式以下の変形は,通常は,次のように階差形の漸化式として処理される.
 (2)より数列の階差数列を数列とすると数列だから
n≧2のとき

これはn=1のときも成り立つ
ゆえに,…(答)

無理数.虚数形
【要点】
 となるα, βを求めたとき
(C) 無理数や虚数となる場合
〇実際には(A)と全く同様に解けばよい.途中経過が無理数や虚数の数式となり不気味であるが,が整数ならばすべての自然数nに対してが整数値となることは証明できる.
〇途中経過が無理数であるにもかかわらず,結果は正の整数となる例として,有名なものにフィボナッチ数列がある.
α, βが虚数である場合も,(A)と同様に解けばよいが,この形の問題が高校生向けの3項間漸化式の単元で出題されることはめったにない.むしろ,複素数のド・モアブルの定理との融合問題として出題される可能性がある.また,ここで得られる一般項を題材として(数列とか漸化式という言葉を出さずに)途中経過が虚数・無理数となる数式がすべての自然数nに対して整数値となることの証明問題,計算問題などとして出題されることは考えられる.
【例題3】α, βが異なる2つの無理数となる場合


…(1)
で定義される数列の一般項を求めてください.
(この数列はフィボナッチ数列と呼ばれる)
この数列を定義に従って順に書き下していくと,
1 , 1 , 2 , 3 , 5 , 8 , 13 , 21 , ...
となって,何らあやしいところはない.
(解答)
 (1)より…(2)となるα, βを求める.
 (2)より
これを(1)式と係数比較すると
α+β=1…(3)
αβ=−1…(4)
この解は

の2数

数列は公比の等比数列になるから

ここで(3)より1−α=βであるから
…(5)
同様にして
より
…(6)
(5)−(6)

…(答)

※最終結果の式が無理数・分数になっており,本当にこれで正しのか不気味な印象を受ける.そこで,各項を調べてみると
n=1:整数
n=2:整数

が整数であるならば



α+β=1, αβ=1だから

は整数−整数で整数になる.■
(1)式で定義されることを考えると,前の2項が整数であるならば次の項も整数であることは当然であるが,数列・漸化式という枠組みを隠して,次の形で出題されることが多い.
「すべての自然数nについて

は整数になることを証明せよ.」
これに対しては上記の■〜■のように答えるとよい.

【例題4】α, βが互いに共役複素数となる場合


…(1)
で定義される数列の一般項を求めてください.
この数列を定義に従って順に書き下していくと,
0 , 1 , 1 , 0 , −1 , −1 , 0 , 1 , 1 , ...
となって,6個周期で同じ値となる.
(解答)
 (1)より…(2)となるα, βを求める.
 (2)より
これを(1)式と係数比較すると
α+β=1…(3)
αβ=1…(4)
この解は

の2数

数列は公比βの等比数列になるから
…(5)
同様にして
より
…(6)
(5)−(6)

…(答)
※この一般項も虚数のn乗で表されており,すべての自然数nについてが整数になるのは奇妙に思えるが・・・
複素数平面上では図のような単位円を6等分する点にある.複素数については,ド・モアブルの定理により


が成り立つから,各々図のような位置にある.
 差を取ると実部が消えて,虚部の2倍が残るから,の取る値は

の6個の値を順に繰り返し,だから
0, 1, 1, 0, −1, −1, ...の値を順に繰り返す.

【⇒とにかく答を出すには】
 以下を用いれば,異なる2つの解をもつときは,例題3,例題4のような問題のどちらでも解けます.
 通常,答案を書くときに教科書や参考書に広く書かれている事柄は省略してもよいと解釈されていますが,以下の解き方:特にとおけるということは広く書かれているとは言えないので,上記の解答のように係数比較から導くなどの根拠も書かないと少しは減点されるかもしれない.
 この項目は「とにかく答を出すには」「検算するには」・・・という話


…(1)


となるA, Bを求めるとよい.
(解説)
…(1)を
…(2)
…(3)
とおいたとき,α≠βであれば
(2) → …(2’)
(3) → …(3’)
(2’)−(3’)



と書ける.ここでα, βが固定されているとき,A, Bで定まる定数.
そこで,の値を代入してA, Bを求めたら答が得られる.

例と答
 次の漸化式で与えられる数列の一般項を求めてください.
(1)〜(4)はα, βが異なる値となる問題
(1)



(解答)

(途中経過)


…(1)

…(2)
…(3)
(2)より数列は公比2の等比数列になるから
…(2’)
(3)より数列は公比1の等比数列になるから
…(3’)
(2’)−(3’)
…(答)
(参考)
この数列において,特性方程式の解1, 2は数列の極限を表しているのではなく,隣の項との比の極限を表しています.
本問のようにの場合はになり,本問とは異なる初項と第2項で問題が作られていてとなっている場合はとなることは(2’)(3’)を少し変形すれば示せます.(以下の問題についても同様です)

(2)



(解答)


(途中経過)


…(1)

…(2)
…(3)
(2)より数列は公比3の等比数列になるから
…(2’)
(3)より数列は公比2の等比数列になるから
…(3’)
(2’)−(3’)
…(答)

(3)



(解答)

(途中経過)


…(1)

…(2)
…(3)
(2)より数列は公比2の等比数列になるから
…(2’)
(3)より数列は公比−1の等比数列になるから
…(3’)
(2’)−(3’)

…(答)

(4)



(解答)

(途中経過)


…(1)

…(2)
…(3)
(2)より数列は公比の等比数列になるから
…(2’)
(3)より数列は公比1の等比数列(すべての項が等しい数列)になるから
…(3’)
(2’)−(3’)

…(答)

(5)〜(7)はα, βが重解となる問題
(5)



(解答)

(途中経過)


…(1)

となるα, βを求める.
と(1)を係数比較すると
α+β=4
αβ=4
よりα=2, β=2(2次方程式では重解の場合)
…(2)
(2)より数列は公比2の等比数列になるから

…(2’)
(2’)を2項間漸化式として解く
…(*)
数列は公比2の等比数列になるから

…(答)
(参考)
(2’)のようにの形をしている漸化式は,通常は
と変形できるが,この問題のようにp=qとなっている場合はαが定まらない.このような場合には,

とおけばよい.これにより,本問では

より

から
が求まる.
普通,参考書では(2’)以下の答案は,次のように書かれるが,かなり長い答案になる:
(2’)の両辺をで割る.

とおくと(このは階差数列ではなく置き換えた式の名前)

の階差数列をとおくと

のとき

n=1のときも結果が一致するから

したがって

…(答)

(6)



(解答)

(途中経過)


…(1)

となるα, βを求める.
と(1)を係数比較すると
α+β=6
αβ=9
よりα=3, β=3(2次方程式では重解の場合になっている)
…(2)
(2)より数列は公比3の等比数列になるから

…(2’)
(2’)を2項間漸化式として解く
…(*)
(*)と(2’)を係数比較すると


ゆえに

数列は公比3の等比数列になるから


…(答)
(参考)
(2’)のようにの形をしている漸化式は,通常は
と変形できるが,この問題のようにp=qとなっている場合はαが定まらない.このような場合には,

とおけばよい.これにより,本問では

とおくとよい.
普通,参考書では(2’)以下の答案は,次のように書かれるが,かなり長い答案になる:
(2’)の両辺をで割る.

とおくと(このは階差数列ではなく置き換えた式の名前)

の階差数列をとおくと

n≧2のとき


n=1のときも結果が一致するから

したがって

…(答)

(7)



(解答)

(途中経過)


…(1)

となるα, βを求める.
と(1)を係数比較すると
α+β=1
αβ
より(2次方程式では重解の場合になっている)
…(2)

(2)より数列は公比の等比数列になるから

…(2’)
(2’)を2項間漸化式として解く
…(*)
(*)と(2’)を係数比較すると

α=4
ゆえに

数列は公比の等比数列になるから


…(答)

(8)〜(11)はα, βが異なる2つの無理数または虚数になる問題
※やや難しい:基本問題とは言えない!
(8)



(解答)

(途中経過)


…(1)

(1)の特性方程式の解は
一般項を

とおくと
よりA+B=0
よりAα+Bβ=1
これをA, Bについて解くと

だから
…(答)

(9)



(解答)

(途中経過)


…(1)

(1)の特性方程式の解は
一般項を

とおくと
よりA+B=1
よりAα+Bβ=2
これをA, Bについて解くと

だから
…(答)

(10)



(解答)

(途中経過)


…(1)

(1)の特性方程式の解はα=1−i, β=1+i
一般項を

とおくと
よりA+B=0
よりAα+Bβ=1
これをA, Bについて解くと

だから
…(答)

(11)



(解答)

(途中経過)


…(1)

(1)の特性方程式の解は

一般項を

とおくと
よりA+B=0
よりAα+Bβ=1
これをA, Bについて解くと

だから

…(答)

テスト
【問題】 …(このページで解説した問題と全く同じ問題の再現問題です)
 次の漸化式で定義される数列の一般項を求めてください.
(** HELPが必要なときは,上記の例題などを見てください **)
 はじめに左欄の定義式を選び,続いて右欄の一般項を選んでください.やり直すときは,右欄を連打するのでなく,左欄の問題を選び直すことから始めてください.
※解説をよく読んだので,身に着いてしまったという場合は構いませんが,普通の場合には別途計算用紙などを使ってよく考えてから選択肢をクリックしてください.
まぐれ当たりでは,身に着いたかどうかは分かりませんので注意しましょう.


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