基本
【
(解説)定数p, q (p≠1)係数の3項間漸化式が
初項
の等比数列になるので,公比β (I)まず2項間漸化式
1組の定数α, βから得られる2項間漸化式から,さらに数列
(II)
〇上記のα, βが「2組求まる場合(2次方程式が異なる実数解を持つ場合)」は,その2組から元の数列の一般項
〇上記のα, βが「1組の解しかない場合(2次方程式が重解を持つ場合)」は,やむを得ず,さらに2項間漸化式を解いて一般項
(初歩的な解説)
問題が3項間漸化式では,前の項 したがって,3項間漸化式の問題では,漸化式以外に初項と第2項の値も使って問題を解きます. ![]() |
(2) →
この連立方程式は
〇(2’)(3’)を(2’)−(3’)
もちろん,
(2’)×2−(3’)
〇(2’)または(3’)の1つだけを2項間漸化式として解く場合は
(2’)→
n≧2のとき これはn=1の場合にも成り立つから (3’)→から求める場合は |
初歩
![]()
(1)より特性方程式
※素朴に考えると,「特性方程式」とは何なのか?なぜ特性方程式の解を使えば(1’)(1”)のように変形できるのかという疑問がわきます.・・・速く進もうと「この問題はこうするものだ」と丸暗記してしまうと,実際には特性方程式が使えない場面で使ってしまうミスが起ります.・・・だから,最低でもどの形の問題の場合に特性方程式が使えるのかということは理解しておく必要があります.x=1, 2となるから ![]() ▲1 ≪特性方程式の解を極限と見る見方≫ (1)を と変形して,もし,数列 ならば,αは で求められることになります.
ただ,この解釈は簡単には納得しにくい話です.
(理由1)
そもそも,なぜ
(理由2)
極限を求めないのかが分かりにくい.また,もし極限値がなかったらどうなるのか,極限値が存在することを示されていない 結局のところ
(理由3)
と置き換えるということになるが,特になぜ |
●2 ≪ (1)を の形に変形できたらよいのにな〜と考えます.
もし,そのような変形ができなければ以下の方程式が解なしとなるだけだから,試してから判断したらよいと考えます.
もし,(1’)の形に変形できれば,
第n項が
となる数列第n+1項が (1’)のα, βは(1)との係数比較により求めることができます.
(1’)→
(2)(3)を素朴に連立方程式として解けば(1)→ よりα, βは次の連立方程式の解です. ![]() αβ=2…(3)
(2)→
(4)より
これを(3)に代入→ α=1のときβ=2 α=2のときβ=1
(2)(3)からαを消去してβの方程式にした場合は になりますが,(4)(4’)を見比べてみると,α, βはいずれも,2次方程式 の解になっているということです. 通常の解説: ![]() αβ=2…(3) となる2数は(解と係数の関係により),2次方程式 の2つの解だからこれを解きます. この説明が分かりにくい場合は,上記のように はいずれも,2次方程式 にまとめられると考えればよいでしょう. |
要点
【要点】
(A) 異なる2つの実数となる場合 ![]() ![]() ![]() ![]() (1’)−(2’)により ![]() ![]() これを2項間漸化式として解く
実際には(A)と全く同様に解けばよい.虚数・無理数・分数係数の数式となるが,
※通常,この形の問題は高校生向けの3項間漸化式の問題としては出題されない. ※複素数のド・モアブルの定理との融合問題としてなら出題されるかもしれない.また,ここで得られる一般項を題材として,虚数・無理数・分数係数の数式がすべての自然数nに対して整数値となることの証明問題,計算問題などとして出題されることは考えられる.
【例題1】…α, βが異なる2つの実数となる場合
(答案1)![]() で定義される数列 (1)より (2)より これを(1)式と係数比較すると ![]() αβ=3…(4) この解は α=1, β=3…(5)またはα=3, β=1…(6) |
(5)より 数列 数列
ある数列
(7)(8)を未知数
ある人と友達が同じで,そのまた友達も友達と同じ・・・
これより直ちに⇒全員同じ (♪友達の友達は友達だ,そのまた友達も友達だ♪⇒定数項になっている数列) ![]() と見て,x, yについて解くということです.ただし, (答案1’)
簡単な変形の場合,なぜその変形を思いつくのかという理由を説明しなくても構わない.・・・「目の子算」でも分かるような簡単な移項にまで,くどくどと理由を付ける必要はない.
(1)よりだから,α, βを別途求めておいて,答案としては次のようにまとめてもよい. 数列 数列
(参考)
この数列において,特性方程式の解1, 3は数列の極限 本問のように |
重解形
【要点】
(B) 同じ1つの実数αとなる場合 ![]() ![]() これを2項間漸化式として解く
【例題2】…α, βが実数の重解となる場合
(1)より![]() で定義される数列 となるα, βを求める ![]() αβ=1 よりα=1, β=1の重解となる. |
これらの値を代入すると 数列 数列
(2)式以下の変形は,通常は,次のように階差形の漸化式として処理される.
(2)より数列 n≧2のとき これはn=1のときも成り立つ ゆえに, |
無理数.虚数形
【要点】
(C) 無理数や虚数となる場合
〇実際には(A)と全く同様に解けばよい.途中経過が無理数や虚数の数式となり不気味であるが,
〇途中経過が無理数であるにもかかわらず,結果は正の整数となる例として,有名なものにフィボナッチ数列がある. 〇α, βが虚数である場合も,(A)と同様に解けばよいが,この形の問題が高校生向けの3項間漸化式の単元で出題されることはめったにない.むしろ,複素数のド・モアブルの定理との融合問題として出題される可能性がある.また,ここで得られる一般項を題材として(数列とか漸化式という言葉を出さずに)途中経過が虚数・無理数となる数式がすべての自然数nに対して整数値となることの証明問題,計算問題などとして出題されることは考えられる.
【例題3】…α, βが異なる2つの無理数となる場合
![]() で定義される数列 (この数列はフィボナッチ数列と呼ばれる)
この数列を定義に従って順に書き下していくと,
(解答)1 , 1 , 2 , 3 , 5 , 8 , 13 , 21 , ...
となって,何らあやしいところはない.
(1)より (2)より これを(1)式と係数比較すると ![]() αβ=−1…(4) この解は の2数 数列 ここで(3)より1−α=βであるから (5)−(6) |
※最終結果の式が無理数・分数になっており,本当にこれで正しのか不気味な印象を受ける.そこで,各項を調べてみると
■ n=1 → n=2 → α+β=1, αβ=1だから は整数−整数で整数になる.■ (1)式で定義されることを考えると,前の2項が整数であるならば次の項も整数であることは当然であるが,数列・漸化式という枠組みを隠して,次の形で出題されることが多い. 「すべての自然数nについて は整数になることを証明せよ.」 これに対しては上記の■〜■のように答えるとよい. |
【例題4】…α, βが互いに共役複素数となる場合
![]() で定義される数列
この数列を定義に従って順に書き下していくと,
(解答)0 , 1 , 1 , 0 , −1 , −1 , 0 , 1 , 1 , ...
となって,6個周期で同じ値となる.
(1)より (2)より これを(1)式と係数比較すると ![]() αβ=1…(4) この解は の2数 数列 (5)−(6)
※この一般項も虚数のn乗で表されており,すべての自然数nについて
![]() が成り立つから,各々図のような位置にある. 差を取ると実部が消えて,虚部の2倍が残るから, の6個の値を順に繰り返し, |
【⇒とにかく答を出すには】
(解説)
以下を用いれば,異なる2つの解をもつときは,例題3,例題4のような問題のどちらでも解けます.
通常,答案を書くときに教科書や参考書に広く書かれている事柄は省略してもよいと解釈されていますが,以下の解き方:特に この項目は「とにかく答を出すには」「検算するには」・・・という話 ![]() ![]() となるA, Bを求めるとよい. とおいたとき,α≠βであれば (2) → (3) → (2’)−(3’) と書ける.ここでα, βが固定されているとき,A, Bは そこで, |
例と答
次の漸化式で与えられる数列の一般項を求めてください.(1)〜(4)はα, βが異なる値となる問題
(1)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() (2)より数列 (3)より数列 (2’)−(3’)
(参考)
この数列において,特性方程式の解1, 2は数列の極限 本問のように |
(2)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() (2)より数列 (3)より数列 (2’)−(3’) |
(3)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() (2)より数列 (3)より数列 (2’)−(3’) |
(4)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() (2)より数列 (3)より数列 (2’)−(3’) |
(5)〜(7)はα, βが重解となる問題
(5)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() ![]() αβ=4 よりα=2, β=2(2次方程式では重解の場合) (2)より数列 (2’)を2項間漸化式として解く 数列
(参考)
普通,参考書では(2’)以下の答案は,次のように書かれるが,かなり長い答案になる:
(2’)のように とおけばよい.これにより,本問では より から
(2’)の両辺を
n=1のときも結果が一致するから したがって |
(6)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() ![]() αβ=9 よりα=3, β=3(2次方程式では重解の場合になっている) (2)より数列 (2’)を2項間漸化式として解く (*)と(2’)を係数比較すると ゆえに 数列
(参考)
普通,参考書では(2’)以下の答案は,次のように書かれるが,かなり長い答案になる:
(2’)のように とおけばよい.これにより,本問では とおくとよい.
(2’)の両辺を n≧2のとき n=1のときも結果が一致するから したがって |
(7)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() ![]() αβ より |
(2)より数列 (2’)を2項間漸化式として解く (*)と(2’)を係数比較すると α=4 ゆえに 数列 |
(8)〜(11)はα, βが異なる2つの無理数または虚数になる問題 ※やや難しい:基本問題とは言えない!
(8)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() (1)の特性方程式 一般項を とおくと これをA, Bについて解くと だから |
(9)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() (1)の特性方程式 一般項を とおくと これをA, Bについて解くと だから |
(10)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() (1)の特性方程式 一般項を とおくと これをA, Bについて解くと だから |
(11)
(解答)![]() (途中経過) ![]() ![]() (1)の特性方程式 一般項を とおくと これをA, Bについて解くと だから |
テスト
【問題】 …(このページで解説した問題と全く同じ問題の再現問題です)次の漸化式で定義される数列の一般項を求めてください. (** HELPが必要なときは,上記の例題などを見てください **) はじめに左欄の定義式を選び,続いて右欄の一般項を選んでください.やり直すときは,右欄を連打するのでなく,左欄の問題を選び直すことから始めてください.
※解説をよく読んだので,身に着いてしまったという場合は構いませんが,普通の場合には別途計算用紙などを使ってよく考えてから選択肢をクリックしてください.
まぐれ当たりでは,身に着いたかどうかは分かりませんので注意しましょう. |