== 文字式の表し方 ==
【要点】
文字を使った式を表すときは,次の約束で書きます. 1. 文字式では,かけ算×の結果(積)は×を省略して書く.
1) 足し算+の結果(和)や引き算−の結果(差)では,+や−を省略できない.
2. 文字と数の積では,数を文字の前に書く.2) 2つ以上の文字の積は,原則としてアルファベットの順に書く(特別な事情があればbaなどと書いてもよい)
これには例外があります
3. 同じ文字の積は,指数を使って書く.1) 1a, 1xは,a, xと書く. 2) −1a, −1xは,−a, −xと書く. 3) 0.1a, −0.01xのように,1を取り除いてしまうと変なものになってしまうものは,そのまま0.1a, −0.01xと書く. 4) 0a, 0xなどは,単に0と書く.どんな数でも0をかけたら0になるからです. 4. 文字式では,割り算÷の結果は分数で表す.
(割られる数)÷(割る数)を分数に直すには,(割られる数)を分子に,(割る数)を分母にします.
例 |
(解説と例)
1.1) 文字式では,かけ算×の結果(積)は×を省略して書く.
【例1.1】[この約束に当てはまる例]
(1)
[この約束に当てはまらない例](2)
(3)
(4) (5) (*) 「ややこしい話」 小学校で習う「帯分数」\(1\frac{2}{3}\)などは,整数と分数の掛け算の省略 \(\color{red}{1\times\frac{2}{3}}\) ではなくて,整数と分数の足し算の省略 \(\color{blue}{1+\frac{2}{3}}\) です |
【※覚えておきたいもの】
(引用:学校図書,数研出版)
「4. 文字式では,割り算÷の結果は分数で表す」に関連するもの
(◎よい例 悪い例×)
(参考)
◎\(\frac{x}{3}\) ◎\(\frac{1}{3}x\)
◎\(\frac{a+b}{2}\) ◎\(\frac{1}{2}(a+b)\)
\(x\div 3\)は\(x\times\frac{1}{3}\)と同じだから,\(\frac{x}{3}\)も\(\frac{1}{3}x\)も使える.
\(\frac{a+b}{2}\)も同様
◎\(\frac{3x}{4}\) ◎\(\frac{3}{4}x\)
\(3x\div 4\)は\(x\times\frac{3}{4}\)と同じだから,\(\frac{3x}{4}\)も\(\frac{3}{4}x\)も使える.
◎\(\frac{5a}{b}\) ×\(5\frac{a}{b}\)
◎\(\frac{5}{3}a\) ×\(1\frac{2}{3}a\)
文字式では,「帯分数」「帯分数風の書き方」は使わない
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【問題1.1】 次のうちで文字式の表し方として,適切なものを選んでください. (選択肢をクリックすれば採点結果と解説が出ます) |
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(解説と例)
1.2) 2つ以上の文字の積は,原則としてアルファベットの順に書く.
「原則としてアルファベットの順に書く」とは,特別な事情がなければ,アルファベットの順(a, b, c, d, …, x, y, z)に書くということです.この約束を絶対に守らければ間違いになるというほどの強いルールではありませんが,文字はアルファベットの順に書いてある方が「見やすく」「間違いにくくなる」ので,このルールに従った方がよいということです. 【例1.2】
(1)
(2)
※特別な事情があって,アルファベットの順に書かない場合とは,例えば次のような場合です.
(1) サイクリックな順(輪のように回る順)に書くとき ♦ ♪ ♫ ♥ ♬ ♣ ∃ ♠ (こぶた)→(たぬき)→(きつね)→(ねこ) (2) 前後の文脈から,並べ替えない方が見やすいもの |
【問題1.2】 2つ以上の文字の積はアルファベットの順に書くとき,適切なものを選んでください. (選択肢をクリックすれば採点結果と解説が出ます) |
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(解説と例)
2. 文字と数の積では,数を文字の前に書く.
【例2】
ただし,1×の1は省略します.
1) 1a, 1xは,a, xと書く. 2) −1a, −1xは,−a, −xと書く.
(1)
≪ただし≫(2)
(3)
≪危険な落とし穴≫(4)
(5)0.1a, −0.01xは,そのまま0.1a, −0.01xと書きます
(6)0a, 0xは,どちらも単に0と書きます |
【問題2】 次のうちで文字式の表し方として,適切なものを選んでください. (選択肢をクリックすれば採点結果と解説が出ます) |
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(解説と例)
3. 同じ文字の積は,指数を使って書く.
【例3】
指数(右肩に付ける数字)は「かけてある同じものの個数」を表します.
(1)
(2) (3) (4) (5) |
【問題3】 次のうちで文字式の表し方として正しいものを選んでください. (選択肢をクリックすれば採点結果と解説が出ます) |
指数は「かけてある同じものの個数」
符号は(−)を「奇数個かけたら−」「偶数個かけたら+」 になります …(答) |
(解説と例)
4. 文字式では,割り算÷の結果は分数で表す.
【例4】
(割られる数)÷(割る数)を分数に直すには,(割られる数)を分子に,(割る数)を分母にします.
例
(1)
2つ以上のかけ算,割り算が組み合わされているとき,かっこがない限り1つの演算はその直後の数字,文字だけに働きます.
(2)
(3)
(4) (5) |
【問題4】 次のうちで正しい変形を選んでください. (選択肢をクリックすれば採点結果と解説が出ます) |
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*** まとめのチェックテスト *** 【問題5】 次の式を文字式の表し方にしたがって書くとき,正しいものを下の選択肢から選んでください. (選択肢をクリックすれば採点結果と解説が出ます)
(1)
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(2)
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(3)
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(4)
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【ややこしい話】 中学1年の段階では,文字式について,次の基本を確実に身に着けることが重要です.
かけ算×の結果(積)は×を省略して書く.
これらの基本が十分身に着いていない場合は,以下の話を読むと混乱するかもしれませんが,十分身に着いたという自信があれば読んでください.[例] 割り算÷の結果(商)は分数で表す. [例] どんな場合でも, これに対して,かけ算の結果(積) \(15\) や \(ab\) は1つの数です. そこで, \(4\div 3\times 5\) や \(c\div a\times b\) のように,他のかけ算や割り算と組み合わされた場合に これに対して, こういうことが起こる原因を考えると,かけ算,割り算は,足し算,引き算よりも優先順位が高く,先に行うことになっていますが,かけ算と割り算は優先順位が同じなので,「2つ以上の演算が並んでいる場合は,前から順に処理する」ことになっているからです.だから, の順に計算を行うのに対して,積 のように だから だから だから だから 【要約】前に割り算が来たら要注意 |
【問題6】 かっこ( )の中は先に計算すること,また \(ab\) や \(\frac{a}{b}\)は1つの数と見なすことに注意して,次の文字式と等しいものを下の選択肢のうちから選んでください. (選択肢をクリックすれば採点結果と解説が出ます)
(1)
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(2)
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(3)
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(4)
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