PC用は別頁

== 文字式による説明 ==
■数の性質を説明するときよく使われるもの
I. 偶数、奇数
nを自然数(正の整数)とするとき
(1)偶数(2の倍数)→2nとおける。
(2)2nの「形」で書ける数→偶数といえる。

(3)奇数(2で割り切れない数)→2n−1とおける。
(4)2n−1の「形」で書ける数→奇数といえる。

【例】
「2つの自然数がともに奇数であるとき、それらの和は偶数になる」ことの説明の仕方
2つの奇数を各々2m−1, 2n−1とおく。(m, nは自然数)←(3)
 (3)の字面にこだわって2n−1, 2n−1とおいてはいけない。このようにおくと、2つの奇数が同じという仮定を勝手に持ち込んでしまうことになる。したがって、元の内容を表すには別の文字m, nを使って表さなければならない。このように表しておくと、これらの奇数が「たまたま」等しい場合もm=nとすれば表せる。
 もちろん、2a−1, 2b−1a, bは自然数)とおいてもよいが、異なる文字であることが重要
これらの和は(2m−1)+(2n−1)=2(m+n−1)
 m+n−1は1つの自然数になるからこれをNで表すと、和は2Nになる。
(2)においては、2nnは自然数)ので書ける数は偶数と見なせるという所が重要で、和が2Nの形に書けることから偶数といえる。
 慣れてくれば、2(m+n−1)は2×(整数)の形をしていると言ってもよい。
2(m+n−1)は偶数だから、奇数の和は偶数になる。←(2)
○ 偶数は次のように書ける。
2 4 6 8
2×1 2×2 2×3 2×4
したがって、偶数は2×n (n=1, 2, 3, 4, ···)と書ける。
すなわち、偶数は2n (nは自然数)と書ける。…(1)

逆に、2n (nは自然数)の形で書ける数は、上の表の左からn番目にあるから、偶数であるといってよい。…(2)

○ 奇数は次のように書ける。
1 3 5 7
2×1−1 2×2−1 2×3−1 2×4−1
したがって、奇数は2×n−1 (n=1, 2, 3, 4, ···)と書ける。
すなわち、奇数は2n−1 (nは自然数)と書ける。…(3)

逆に、2n−1 (nは自然数)の形で書ける数は、上の表の左からn番目にあるから、奇数であるといってよい。…(4)


II. 2けたの整数、3けたの整数、···
 2けたの整数の十の位の数をa、一の位の数をbとおくとき、この整数は10a+bと表される。
 3けたの整数の百の位の数をa、十の位の数をb、一の位の数をcとおくとき、この整数は100a+10b+cと表される。

【例】
「2けたの自然数で、18, 27, 36のように各位の数を足せば9になる数は9で割り切れる」ことの説明の仕方
(目標)9で割り切れることを示すには9nnは自然数)の形に書けることを言えばよい。
 十の位の数をa、一の位の数をbとおくとき、この整数は10a+bと表される。
 各位の数を足せば9になるから
a+b=9 …(1)
このとき
10a+b=9a+(a+b)=9a+9=9(a+1) …(2)
9で割り切れる。
(2)の変形を思いつかないという人へ
 仮定の(1)を使わなければ問題は解けない。何とかして(1)を使うにはどうしたらよいかを考えると、普通は(1)を使って「代入(→1文字消去)」を行う。
a+b=9だからb=9−a
これにより、10a+b=10a+(9−a)=9a+9=9(a+1)
 慣れてきたら(2)のような短縮答案がスマートに決まる。
※ 27のように2つの数字を続けて書けば2けたの整数を表すことができるが、abのように2つの文字を続けて書くと、これらは「文字式の約束」によって掛け算:a×bを表してしまう。
 十進法で表された数は、たとえば
27=2×10+7
589=5×100+8×10+9
のように、書くことができるから、2けたの整数の十の位の数をa、一の位の数をbとおくとき、この整数は10a+bと表される。
 3けたの整数の百の位の数をa、十の位の数をb、一の位の数をcとおくとき、この整数は100a+10b+cと表される。


III. 連続する整数
 連続する2つの整数はn, n+1などで表される。
 連続する3つの整数はn, n+1, n+2などで表される。

【例】
2+4+6=12, 4+6+8=18のように連続する3つの偶数の和は6で割り切れる」ことの説明の仕方
 連続する3つの偶数は2n, 2n+2, 2n+4nは正の整数)とおける。
 これらの和は、(2n)+(2n+2)+(2n+4)=6n+6=6(n+1)だから6で割り切れる。
最後の部分をていねいに書くと:
n+1=Nとおくと、この和は6NNは自然数)の形に書けることになるから、6で割り切れる。・・・もっと正確に言えばn+1=N2になるが、「和が12以上になることを示せ」とは書かれていないから、そこまで言わなくてもよい)
※ 2, 35, 6のように連続する2つの整数はn, n+1と表すことができる。
 問題によっては、式が変形しやすいようにm−1, mのように表してもよい。(この場合、もとの数が自然数[1, 2, 3 , ···]という条件があるときは、m2になる)

※ 2, 3, 417, 18, 19のように連続する3つの整数はn, n+1, n+2と表すことができる。
 問題によっては、m−1, m, m+1のように表してもよい。(この場合、もとの数が自然数[1, 2, 3 , ···]という条件があるときは、m2になる)


【問題】 次の空欄に入るものを右の選択肢から選んで、説明を完成しなさい。
はじめに空欄を選び、続いて選択肢を選びなさい。正しければ代入されます。)

(1) ある月のカレンダーで、次の赤字で示したようにある日付から縦横2つずつ連続して合計4個の日付を選んだとき、これらの日付の数の和は4で割り切れることを示しなさい。
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
(答案)
 (ある日付の左上に数字があるとき,つまりある日が日曜日でもなく第1週でもないとき)
左上の数字をnとおくと、
その右隣の数字は?
下隣の数字は?
右下の数字は?
とおける。
 これらの4個の数の和は、
?=4(?)
と書けるから、4で割り切れる。

(2) 3けたの自然数が861のように各位の数が小さくなる順に並んでいるときに、元の数とその百の位の数と一の位の数を入れ替えたもの(168など)のとの差は99で割り切れることを示しなさい。
(答案)
 元の数をn=100a+10b+cとおくと、
その百の位の数と一の位の数を入れ替えたものはn’=?と書ける。
これらの差はn−n’=?=99(?)
と書けるから、99で割り切れる。

(3) 3+5+7=15=3×5; 9+11+13=33=3×11のように連続する3つの奇数の和を計算すると、奇数の3倍になっていることを示しなさい。
(答案)
 連続する3つの奇数を小さいものから順に
2n−1, ?, ?とおくと
 これらの和は?=3(?)
と書けるから、奇数の3倍になる。

(4) (かなりむずかしい!!)
7以上の自然数Nは2×(自然数)+3×(自然数)の形に書けることを示しなさい。
(答案)
 ア)N7以上の奇数のとき、N=2n−1 (n?)とおける。…(A)
 N=2n−1=2(?)+3×1 (ここで(A)により第1項は正)
と書けるから、2×(自然数)+3×(自然数)の形に書ける。

 イ)N8以上の偶数のとき、N=2n (n?)とおける。…(B)
 N=2n=2(?)+3×2 (ここで(B)により第1項は正)
と書けるから、2×(自然数)+3×(自然数)の形に書ける。

以上により、7以上の自然数Nは2×(自然数)+3×(自然数)の形に書ける。

どんな自然数NでもN=3N+(−2N)と書けますが、その表し方では負の整数を使っていることになります。この問題では自然数m, nを使ってN=2m+3nと書けることを示してほしいということです。

≪ミニ実験で見通しを立てる≫
3を奇数個(例えば1個)足せば奇数になり、偶数個足すと偶数になる事に注意すると
7=2×2+3×1 …(i)
8=2×2+3×2 …(ii)
と書けます。(3を先に考えるところがミソ。2は残り。)
9, 11, 13 , ···は(i)に2, 4, 6, ···足せばよく、10, 12, 14, ···は(ii)に2, 4, 6, ···足せばできます。
以上の見通しを式にまとめるとできます。

...(携帯版)メニューに戻る

...メニューに戻る