■英語の例文について,このページの作者の考え

◇ Google を用いた例文作り ◇

はじめに
 次のジレンマの解決策を考える:「他人の物まねでない方が著作権的にはクリーンなのだか,語学教育用の例文では使われていないものは役に立たない.むしろ,よく使われているものほどよい.」
著作権法の条文から分ること
 「他人の作品をまねして,自分の作品として公表してはいけない」というのが著作権保護の初歩的な解釈です.ただし,英語や日本語の単語や文法そのものは,個々の筆者の「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは考えられないので,誰でも自由に使えます.

 個々の単語や熟語,文法には著作権は及ばないとしても,読者が学びやすいようにこれらを並べたものは,その「素材の選択又は配列」について編集者の創作性が認められるので,辞書や問題集を丸写ししたものを他人が公開することは「編集著作物」に対する権利侵害となります.

 なお,学校の授業の中では緩和されている部分がありますが,Web上に公開すると不特定多数の人が見ることができるので,学校教育の目的であってもなくても同じ扱いになります.

 著作権の存続期間を過ぎた作品は自由に引用でき,gutenberg.org などから探すことができます.

 公開されている文書を,出所を明示して引用することは可能です.
 ここまでは,著作権法の条文から分ることなので,ほとんどの人が認めます.ここから先は,明文がないので人によって,判例によって解釈が変る可能性がありますが,できるだけ安全な方法を考えます.

解釈で行う部分
 辞書や問題集に登場する「短文・例文」は著作物として保護されるか?という問題を考えてみると,少々長くても,言い回しとして完結したものは,個々の著者の創作性が認められないので,だれでも自由に使えるはずです.
 例 ○ 「What time is it now?」

 しかし,もう少し長いものとなると,いささか問題があります.その辞書などの執筆者が苦心して創作した可能性が否定できないからです.

 自動翻訳のソフトやwebツールの利用も選択肢としては考えられますが,いまのところあまり気に入ったものに出会えていません.

 そこで,A , B , C の3つの辞書から,これらに共通に含まれる X という抽象構造を推定し,これに名詞や動詞を代入した D を1つ作成します.世界中のすべての文書を調べることは不可能なので, D に一致する著作物が既に存在するかどうかはあらかじめ分りませんが,独立して別の著作物ができた場合は,時期的な前後にかかわらず,それぞれ別の著作物として保護されるので,問題は生じません.
 しかし,このようにして機械的に合成してできた文の中には,実際には使われない組合わせが含まれます.

 例 × 「I am knowing him.」 (この例ははっきりダメと書かれていますが,複雑な組合わせの個々の例について必ずしも判断できるものばかりではありません.)
 
 語学教育の入り口で読者に示す例文は,よく使われる言い回しであるのが望ましく,誰も使わない表現では役に立ちません.そこで,上記の D をGoogleの「フレーズ検索」でチェックし,数千〜数万件ヒットすれば,そこそこ使われているということが分ります.(単語レベルなら,数千万〜億のオーダーになります.A , B , C 自体でも数十万件もヒットするものは,誰でも使う言い回しと考えられ,ほぼ問題ないでしょう.ただし,教材の選択だけでなくその配列も編集著作権の内容となるので,その著者独自の工夫が見られる並べ方は,そのまま使うことはできません.)

 以上の方法で,なるべくたくさんヒットするもので例文を作ります.
運用の実際
 上の要領で,例文ができますが,次のような傾向がありますので,最終的には勘と経験で決めます.(作者は英語がいまいちなので,そのいまいちの勘と経験をGoogle頻度数で補うところがみそです.)
 自分のタイプミスと同じタイプミスでヒットするものもかなりありますが,タイプミスにヒットするものは格段に少ないので分かることが多い.(正しい単語にヒットする方が圧倒的に多い.単語の綴りの間違いは,「もしかして:」と出るので分ります.)

 英語を使用する人は,英米に限られません.Webでは世界中からヒットするので,外国語として使用している人の文も,ある国独特の英語なども公平にヒットします.よく使われる言い回しは国によって違うことを認めた上で,その全部を英語と考えます.
 高校に入ったときに修学旅行が海外という場合,アジア〜オセアニアが多いと思います.

 中学校で習う程度の限られた単語の組合わせで短文を作ると,似たようなものができてしまうことが多くなります.(ある簡単な構文やフレーズを解説するために,周辺に用いるものが難しければ,元の解説が吹き飛んでしまいます.)特に,日本語で書かれた英文法解説サイトによくヒットします.日本の教育用英語のくせが,お互いに文化的なDNAとして引き継がれていて重なる可能性がありますが,これも歓迎します.

 日本語の乱れという文脈の中では,日本で使われる日本語もあやしいものですが,英語も同様の事情にあるはずで,英米で使われる英語もあやしいものはあるでしょう.特に,若者が掲示板で使う言葉は,仲間内でしか通じない用語・言い回しを含んでいますが,これらも含まれます.

 曲や映画の題名が文になっているものは,独特の言い回しであっても多数ヒットします.独特の言い回しは作者の創意工夫なので,著作権を尊重すべきですが,他国の若者文化に詳しくなくても,検索画面上位の雰囲気が違うのでなんとなく分ります.

○===戻る