高校〜大学基礎の数学用語.公式.例

合成関数
conposite function
用語
 関数に対して,関数の合成関数といい,またはで表す.
話題
の合成関数」という場合の名前の順序()は,の記号の順序ではなく,に対して関数が作用する順序を表す.[右図参照]
記号
 の合成関数が,を表し,で表すことについては,教科書による違いはない.
 関数の変数(引数)を入れる括弧の書き方としては,という書き方とという書き方がある.
 どちらが正しいかということではなく,どちらでもよいが,2019年現在,高校数学Vの教科書・参考書ではの方が多い.
重要
 合成関数は,という文字に依存しているのでなく,「どの関数の変数の代わりに,どの関数を代入するか」に着目したものなので,変数を両方ともで書いた場合
の合成関数は
の合成関数は
ということになる.
• 関数の合成関数は,の変数の代わりに,関数を代入したものと考えて

文字を使って2段構えで考える場合は



• 関数の合成関数は,の変数の代わりに,関数を代入したものと考えて

文字を使って2段構えで考える場合は



重要
 2か所以上に変数が見えている場合は,その全部に代入しなければならない.
関数の合成関数

関数の合成関数

関数の合成についての結合法則,交換法則
定理
 関数の合成については
(1) 結合法則が成り立つ.(次の関係がつねに成り立つ)

(2) 交換法則は成り立たない.(次の関係は,つねに成り立つとは限らない=成り立たない場合がある)

(証明)
(1) 各々の関数はその定義域において考えるものとするとき,関数の合成について「結合法則が成り立つ」とは,の合成関数にを合成した場合

の合成関数を合成した場合

とが「つねに等しい」ことをいう.(どちらの合成を先に行うかによって,3つの関数を合成した結果が変わらないというのが結合法則)
に代入すると

に代入すると

これらは等しいから,結合法則が成り立つ.
(2) 交換法則が成り立たないことを示すには,1つでも成り立たない例[反例]があることを示せばよく,つねに成り立たない[全否定]ことを示すのではない.
 例えば,とすると


となるから,これらの関数は恒等的には一致しない.
話題
 高校数学で,「結合法則が成立し,交換法則が成立しないもの」の例として,他に行列の積がある.
 例えば,2×2の行列があるとき,
はつねに成立する
は成立するとは限らない
話題
 中学高校では,括弧が二重,三重になる場合に,内側から順に小括弧,中括弧,大括弧を使って入れ子にすることが多いが,このように決めてしまうと,四重以上になる場合に記号がなくなって困る.
 大学やコンピュータ関連では,何重になっても( )の1種類だけで表す場合が多い.これで何も混乱は起こらない.
 おそらく関数はf(x)のように( )で書くことになっているらしく,関数の合成に関して,h[g{f(x)}]などと書かれたものを見たことがない.
 なお,括弧の読み方も様々である.
( ) → 括弧,小括弧,パーレン
{ } → 中括弧,波括弧,ブレース
[ ] → 角括弧,大括弧,ブラケット

合成関数の定義域と値域
話題
 関数の定義域は,指定がある場合はそれに従い,特に指定がない場合は,関数が意味をもつ限りでなるべく広い範囲をとります.
 関数の定義域がで,これに対応する値域が,関数の定義域がで,これに対応する値域がのとき,合成関数の定義域と値域は次のように決まる.
 まず,関数の定義域がになり,値域はその像
 次に,関数の値域がになり,定義域はその原像
 理屈や用語がややこしいですが,実際には問題を見れば分かります.
関数の合成関数の定義域と値域を求める.
 の定義域がで,値域がの定義域が全実数で値域が全実数だから, 合成するときのの定義域はと全実数の共通部分で,,値域は
 値域に対応するの定義域は
 以上から,合成関数の定義域はで値域は
ただし,「関数が意味をもつ限りでなるべく広い範囲をとる」ことに注意すると,定義域がで値域がとなることは,合成関数の形を見たら分かるようになっている.
関数の合成関数の定義域と値域を求める.
 の定義域が全実数で値域が全実数,の定義域がで,値域がだから, 合成するときのの定義域はと全実数の共通部分で,,値域は
 値域に対応するの定義域は
 以上から,合成関数の定義域はで値域は
ただし,「関数が意味をもつ限りでなるべく広い範囲をとる」ことに注意すると,から定義域がで値域がとなることは,合成関数の形を見たら分かるようになっている.

用語
 集合XからYへの対応について
の値域がY全体であるとき,はXからYの上への写像(または全射)という.
• 異なるの値には異なるの値が対応するとき

対偶で言えば

となるとき,1対1の写像(または単射)であるという.
• 全射かつ単射(全単射)であるとき,逆写像が存在する.
• 写像の内で,定義域と値域がどちらも実数の集合であるものを関数という.
• 関数の内で定義域と値域が同じ集合であるものを変換という.
逆関数
inverse function
用語
 関数が各々のの値に対しての値を対応させるとき,各々のの値に対して元のの値を対応させる関数をの逆関数といい,で表す.
関数を変形して,の値に対しての値を対応させる関数にすると,

となる.
 したがって

からへの対応を示す逆関数であるが,関数を文字に依存せずに考えて,独立変数をで,従属変数をで表す習慣に従って書き,逆関数は

と書くのが普通である.
記号
 ここでは,におけるという記号を「逆の」ということを表すための専用の記号として使っていることに注意.
 すなわち,数学の他の分野でなどと分数を表すのとは異なり,のことではない.また,などの意味が自動的に定まるわけではない.
 高校以上の数学で,このという記号を「逆の」ということを表すための専用の記号として使う例として,他の分野には行列がある.行列ではは行列の逆行列を表すが,を表さず,そもそも行列の割り算というものを考えない.

重要
 ある関数に対してその逆関数が存在するためには,元の関数は1対1対応の関数(単射ともいう)でなければならない.
(解説)
 図1,図2のように,異なるには異なるが対応しているとき,これらの関数は1対1対応の関数であるという.
 1対1対応の関数では,の値を定めると,これに対応するがただ1つ定まる.

- 図1 -

- 図2 -


- 図3 -
 これに対して,図3のようなグラフでは,異なるに同じが対応しているので,の値を定めたときに,これに対応する元のの値はただ1つに定まらない.
 図1,図2と図3を比較すると,図1は単調増加関数,図2は単調減少関数になっていて,の値を定めたときに,これに対応する元のの値はただ1つに定まるのに対して,図3は減少の区間と増加の区間とがあって,全体が谷形になっている.図3のようなグラフでは,の値を定めたとき(軸に平行な直線を引いたとき),グラフと2か所で交わるので,対応するの値が2つあるところが違う.この事情は山形(増加の後に減少になる)のグラフでも同様である.そこで,次のことが言える.
重要
 区間において連続な関数に逆関数が存在するためには,はこの区間において単調な関数(単調増加関数または単調減少関数)でなければならない.
(解説)
 連続という条件を外せば,例えば右図の関数
が無理数のとき
が有理数のとき
という関数を考えると,同じの値は登場しないから,逆向きの対応を作ることができる.
が無理数のとき
が有理数のとき
 このように,逆関数の存在条件として,単調増加または単調減少という条件が付くのは,連続関数の場合です.

 集合から集合への対応を表す右図のグラフにおいて,上の数字0, 1, 2はそのの値に対応しているの値の個数とする.
 右の関数に逆関数が存在しない理由は2点に分けて示すことができる.
(1) の値の内で赤字で0と書いた区間には,対応するの値がない(の「上への写像」「全射」になっていない)から,この区間のの値に対する元のの値がない.
(2) の値の内で濃い青字で2と書いた区間には,対応するの値が2つある(「1対1の写像」「単射」になっていない)から,この区間のの値に対する元のの値が1つに定まらない.
 このように「上への写像」でない場合や「1対1の写像」でない場合には,の値に対する元のの値が決まらないから,逆関数が決まらない.
 これに対して,「上への1対1の写像」「全単射」になっている場合には,どのの値に対しても元のの値が決まるから,逆関数が定まる.
※ただし,「1対1の写像」については厳格に考えるが,「与えられた関数が意味を持つ範囲で,なるべく広い範囲で定義域を考える」という立場をとおて,「上への写像」「全射」については緩やかに考えてよいことが多い.
 という関数は,となる値をとらず,実数全体の「上への写像」「全射」になっていないから,逆関数はないと切り捨てたりはしない.
 この関数が意味を持つなるべく広い範囲を考えて,としてからへの写像と解釈する.このように定義域と値域を限定すると,からへの対応,が得られます.
 を独立変数,を従属変数とする習慣に従って,文字を入れ換える場合は,になります.
 という関数は,のとき定義されないから関数ではないと切り捨てたりはしない.
 この関数が意味を持つなるべく広い範囲を考えて,としてからへの写像と解釈する.このように定義域を限定すると,からへの対応,が得られます.
 を独立変数,を従属変数とする習慣に従って,文字を入れ換える場合は,になります.
 という関数は,の値に対応するの値を求めようとしても,となって,値を1つに定められません.このままでは逆関数は決まりません.
 という関数も,の値に対応するの値を求めようとしても,となって,値を1つに定められません.このままでは逆関数は決まりません.

重要
 ある関数に逆関数が存在するとき
(恒等写像)
(恒等写像)
が成り立つ.



が成り立つとき,の逆関数(の逆関数)と定義してもよい.
用語
 (定義域に属する)すべてのの値に対して,となる写像を恒等写像という.(自分自身に等しい関数のこと)
(解説)
 行ってから戻れば,元に戻るから明らか
の逆関数は


の逆関数は



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