高校〜大学基礎の数学用語.公式.例

1. 双曲線関数の定義
 次の式で定義される関数を総称して双曲線関数という.
(1.1) 双曲線正弦関数 (ハイパボリックサイン)

(1.2) 双曲線余弦関数 (ハイパボリックコサイン)

(1.3) 双曲線正接関数 (ハイパボリックタンジェント)

なお,三角関数の場合と同様に,これらの「逆数」も定義されているが,「見たことがある」の程度でよい.(先頭から3文字目を見れば,何の逆数であるかが分かる)



2. 双曲線関数の定義域,値域,グラフ
(1.1)

定義域は
値域は
グラフは右図(赤の線)…原点対称[奇関数]
(1.2)

定義域は
値域は
グラフは右図(青の線)…y軸対称[偶関数]
(1.3)

定義域は
値域は
グラフは右図(緑の線)…原点対称[奇関数]

3. 双曲線関数の性質(1)
双曲線関数(参考)三角関数
(奇関数)
(奇関数)
(偶関数)
(偶関数)
(奇関数)
(奇関数)
(解説)




双曲線関数の性質(2)
双曲線関数(参考)三角関数
(*1)
(*2)
(*3)
(解説)



ここで(*1)により,分子は1に等しいから
(*1)の両辺をで割ると,(*3)が示される

双曲線関数の性質(3)
≪加法定理≫
   *** 双曲線関数 *** | *** (参考)三角関数 ***
(#1)
(参考)
(#1)←
(右辺)


(#2)
(参考)
(#2)←
(#1)において,の代わりにを代入し,に注意すると
(左辺)

=(右辺)
(#3)
(参考)
(#3)←
(右辺)


(#4)
(参考)+
(#4)←
(#3)において,の代わりにを代入し,に注意すると
(左辺)

=(右辺)

(#5)
(参考)
(#5)←
(#1)÷(#3)を計算する


分母と分子をで割る

(#6)
(参考)
(#6)←
(#5)において,の代わりにを代入し,に注意すると


双曲線関数の性質(4)
≪2倍角公式≫
   *** 双曲線関数 *** | *** (参考)三角関数 ***
($1)
(参考)
($1)←
(#1)において,とおくと




($2)
(参考)


($2)←
(#3)において,とおくと


(*1)よりを用いると

($3)
(参考)
($3)←
(#5)において,とおくと



双曲線関数の性質(5)
≪3倍角公式≫
   *** 双曲線関数 *** | *** (参考)三角関数 ***
[1]
(参考)
[1]←
(#1)($1)($2)(*1)を用いると



[2]
(参考)
[1]←
(#3)($1)($2)(*1)を用いると



[3]
(参考)
[3]←
(#5)($3)を用いると



双曲線関数の性質(6)
≪積和の公式…積を和に直す公式≫
   *** 双曲線関数 *** | *** (参考)三角関数 ***
(%1)
(参考)
(%1)←
(#1)(#2)を辺々加えると




(%2)
(参考)
(%2)←
(#1)(#2)を辺々引くと




(%3)
(参考)
(%3)←
(#3)(#4)を辺々加えると




(%4)
(参考)
(%4)←
(#3)(#4)を辺々引くと




双曲線関数の性質(7)
≪和積の公式…和を積に直す公式≫
   *** 双曲線関数 *** | *** (参考)三角関数 ***
(&1)
(参考)
(&1)←
(%1)においてとおくと
となるから

で書くと

したがって

(&2)
(参考)
(&2)←
(%2)においてとおくと
となるから
で書くと
したがって
(&3)
(参考)
(&3)←
(%3)においてとおくと
となるから

で書くと

したがって

(&4)
(参考)
(&4)←
(%4)においてとおくと
となるから

で書くと

したがって


4. 逆双曲線関数の定義
 双曲線関数の逆関数を逆双曲線関数といい,で表す.
(4.1)
(4.2)
(4.3)
(解説)
(4.1)←
について解く
とおくと



2次方程式の解の公式により

であるから

両辺の対数をとると

習慣に従って,文字を入れ換えて逆関数を表すと

したがって

(4.2)←
のグラフは,右図のように増減があり,逆関数を定義するには,そのうちの単調増加な区間を選ぶ.


について解く
とおくと


2次方程式の解の公式により

ここで

は不適当

の両辺の対数をとると


習慣に従って,文字を入れ換えて逆関数を表すと

したがって


(4.3)←

について解く
とおくと






だから

両辺の対数をとると

習慣に従って,文字を入れ換えて逆関数を表すと

したがって

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