薄畳/糸掛自在の秘密

@ 縫いの構造
2本糸釜掛縫いの仕組みは簡単で、針の動きに連動して釜が回転し、針糸が回転する釜糸をくぐる事で糸を掛ける運動を繰り返します。
この運動を続ける中、針釜全体が上下し、針が床に入って釜糸を掛ける運動と、床の外で掛ける運動を繰り返すことで、畳表や畳縁の縫着をしていきます。
この上下運動と機械の送りを組み合わせることで色々な糸掛パターンの縫着が可能となります。
機械を送らずに針釜を上下のみさせた場合は止め縫い(仮止め)、上下運動毎に機械を送った場合は千鳥縫い、上で2回縫う間にのみ送りをかける垂直縫い(はしご縫い)、一度のみ上に上げ1針毎に送りをかける直線仮縫い等が代表的なパターンです。
A 針釜自在の機械構造
久保式のサーボ採用返し/框機においては、機械の送り及び針釜の上下をそれぞれ専用のサーボモータで駆動、この二つのモータの運動をプログラム制御することで、糸掛パターンと糸掛高さを自由自在に操ることができるのです。
特許公開2002−292170
B 薄畳自在の秘密
たとえ縫着中であっても床厚ダイアルを回せば、糸掛高さがリニアに変わりますので、13mm薄畳での微妙な針位置はもちろん、畳縁の幅に合わせた糸掛高さ調整も自由自在です。
RIV−ATS型(自動反転返しロボット)においては、畳厚を読み取り、糸掛高さを自動に合わせる機構を採用していますので、2寸厚〜13mm厚も、畳を置いてスイッチを押すだけで両縁自動縫着が可能となっています。もちろん床厚ダイアルでの微調整機構も有効です。
C 糸掛自在の秘密
スイッチを切り換えることで、あらかじめ組み込まれたプログラムに従い各種の糸掛パターンを簡単に切り換える事ができます。標準で組みこまれている糸掛パターンは下記の4通りです。もちろん各パターンとも糸掛の高さ調整は自由自在です。
1. 千鳥縫い:一般的な返しの糸掛です。
2. 垂直縫い:主に框縫いに使用しますが、返しに使用すると、より上質な畳に仕上がります。
3. 台形縫い:主に薄畳の框縫いに使用します。横糸が畳表に食い込みますので、敷き込み時に横糸がのぞく心配がありません。
4. 直線縫い:縁無しひげ部仮止めに使用します。畳表幅が短い場合でも、真横に糸をかけていきますので、垂直或いは千鳥、台形縫いを重ねることで糸が引き下がらず、しっかり表を縫い付けることができます。
その他の糸掛パターンも、御要望に応じプログラム製作による対応が可能です。
直線縫い 台形縫い 垂直(梯子)縫い 千鳥縫い