らいむらいと

あの頃/bPのバラード/悪魔に狂って/恋時雨

週末/バス通り/魔女の季節/放課後の並木道

アップルパイ/思春期/吟遊詩人の唄-ONE MAN BAND-

英雄と悪漢

ポップコーンをほおばって/東京の冷たい壁にもたれて/光と影

裏切りの街角/風が唄った日/狂った夜/かりそめのスウィング

昨日のように/一日の終わり/絵日記/(薔薇色の人生)

ガラスの動物園

らせん階段/黒い夏/新宿/テレフォン・ノイローゼ

東京の一夜/昨日鳴る鐘の音/やせた女のブルース

男と女のいる舗道/あの日からの便り/悪いうわさ/ゆきずりの風

この夜にさよなら

最後の夜汽車/そばかすの天使/きんぽうげ/ブラッディ・マリー

この夜にさよなら/8日目の朝/くだけたネオンサイン

スウィート・キャンディ/夕なぎ/氷のくちびる/円舞曲-ワルツ-

サーカス&サーカス

きんぽうげ/吟遊詩人の唄-ONE MAN BAND-/裏切りの季節/昨日のように

裏切りの街角/かりそめのスウィング/7月の便り/円舞曲-ワルツ-

悪いうわさ〜ダニーボーイに耳をふさいで/氷のくちびる/ポップコーンをほおばって

誘惑

カーテン/ちんぴら/悲しき愛奴-サーファー-/からくり/翼あるもの

嵐の季節/バランタインの日々/二色の灯り/シネマ・クラブ/LADY

甲斐バンドストーリー
ベストアルバム

HERO-ヒーローになる時、それは今-/きんぽうげ/ガラスの動物園のテーマ

らせん階段/ポップコーンをほおばって/ダニーボーイに耳をふさいで/裏切りの季節

かりそめのスウィング/メモリーグラス/氷のくちびる/テレフォン・ノイローゼ

マイ・ジェネレーション

三つ数えろ/感触-タッチ-/港からやってきた女/街路/100万$ナイト

異邦人の夜-シスコ・ナイト-/特効薬/噂/グルーピー/熱狂-ステージ-

100万$ナイト

きんぽうげ/感触-タッチ-/テレフォン・ノイローゼ/シネマクラブ/らせん階段/安奈/噂

嵐の季節/港からやってきた女/三つ数えろ/カーテン/氷のくちびる/ポップコーンをほおばって

LADY/HERO-ヒーローになる時、それは今-/翼あるもの/100万$ナイト/最後の夜汽車

地下室のメロディー

漂泊者-アウトロー-/1世紀前のセックスシンボル/ダイヤル4を廻せ/スローなブギにしてくれ

聖夜/地下室のメロディー/街灯/マリーへの伝言-メッセージ-/涙の十番街

流民の歌

翼あるもの/地下室のメロディー/1世紀前のセックスシンボル/カーテン/嵐の季節

ポップコーンをほおばって/氷のくちびる/最後の夜汽車/安奈/二色の灯り/きんぽうげ

涙の十番街/HERO-ヒーローになる時、それは今-/LADY/ビューティフル・エネルギー

汽笛の響き/荒馬/天使-エンジェル-/漂泊者-アウトロー-/100万$ナイト

破れたハートを売り物に

破れたハートを売り物に/ランデブー/ダイナマイトが150屯/どっちみち俺のもの

ジャンキーズ・ロックン・ロール/陽の訪れのように/奴‐ギャンブラー‐/観覧車/冷たい愛情

虜‐TORIKO‐

観覧車'82/無法者の愛/虜/BLUE LETTER/ブライトン・ロック

ナイト・ウェイブ/フィンガー/荒野をくだって/呪縛の夜

GOLD-黄金-

GOLD/ボーイッシュ・ガール/シーズン/マッスル/ムーンライト・プリズナー

MIDNIGHT/危険な道連れ/SLEEPY CITY/胸いっぱいの愛/射程距離

THE BIG GIG

ブライトン・ロック/ダイナマイトが150屯/危険な道連れ/ムーンライト・プリズナー

SLEEPY CITY/GOLD/ボーイッシュ・ガール/荒野をくだって/氷のくちびる

ナイト・ウェイブ/東京の一夜/シーズン/MIDNIGHT

ポップコーンをほおばって/漂泊者-アウトロー-/観覧車'82/破れたハートを売り物に

ラブ・マイナス・ゼロ

野獣/冷血-コールドブラッド-/フェアリー-完全犯罪-/キラーストリート

ラブ・マイナス・ゼロ/デッド・ライン/Try/悪夢/夜のスワニー

ラブ・マイナス・ヴォイス

ラブ・マイナス・ゼロ/フェアリー-完全犯罪-/デッド・ライン/Try

悪夢/冷血-コールドブラッド-/夜のスワニー

Here We Come The 34 Sounds
ベストアルバム

安奈/漂泊者-アウトロー-/HERO-ヒーローになる時、それは今-/地下室のメロディ

BEAUTIFUL ENERGY/破れたハートを売り物に/街灯/BLUE LETTER

シーズン/観覧車'82/マッスル/フェアリー-完全犯罪-

REPEAT&FADE

25時の追跡/ECHOES OF LOVE/JOUJOUKA/ロマン・ホリデー

O'L NIGHT LONG CRUISING/サタニック・ウーマン/レイニー・ドライブ/メガロポリス・ノクターン

FUNKY NEW YEAR/ジェシー-摩天楼パッション-/RUN TO ZERO/悪魔と踊れ

ハート/オクトーバー・ムーン/天使-エンジェル-/ALL DOWN THE LINE-25時の追跡-

THE 甲斐バンド
ベストアルバム

ナイト・ウェイブ/フェアリー-完全犯罪-/BLUE LETTER/感触-タッチ-/裏切りの街角

かりそめのスウィング/冷血-コールドブラッド-/ランデヴー/観覧車'82/レイニー・ドライブ

ラブ・マイナス・ゼロ/安奈/テレフォン・ノイローゼ/ポップコーンをほおばって

ポイズン80'S
ベストアルバム

野獣/呪縛の夜/冷血-コールドブラッド-/ラブ・マイナス・ゼロ/マッスル

ナイト・ウェイブ/観覧車'82/BLUE LETTER/射程距離/シーズン

悪/夜のスワニー/野獣/破れたハートを売り物に

コンプリート・リピート&フェイド

ALL DOWN THE LINE-25時の追跡-/レイニー・ドライブ/O'L NIGHT LONG CRUISING

FUNKY NEW YEAR/ノスタルジア/ジェシー/ハート/RUN TO ZERO

オクトーバー・ムーン/Weekend Lullaby/25時の追跡/メガロポリス・ノクターン

シークレット・ギグ

キラーストリート/SLEEPY CITY/東京の冷たい壁にもたれて/ジャンキーズ・ロックンロール

HELPLESS/港からやってきた女/青い瞳のステラ1962年夏/ランデブー

射程距離/TWO OF US/悪いうわさ/25時の追跡/破れたハートを売り物に

プラス
甲斐バンドシングルコレクションVol.1

バス通り/裏切りの街角/薔薇色の人生/かりそめのスウィング/ダニーボーニに耳をふさいで

テレフォン・ノイローゼ/男と女のいる舗道/氷のくちびる/そばかすの天使

きんぽうげ/ちんぴら/LADY/HERO-ヒーローになる時、それは今-/感触-タッチ-

汽笛の響き/安奈/翼あるもの/ビューティフル・エネルギー/荒馬

マイナス
甲斐バンドシングルコレクションVol.2

漂泊者-アウトロー-/暁の終列車/地下室のメロディー/天使-エンジェル-

離鐘の音/グッドナイトドール/ダイナマイトが150屯/破れたハートを売り物に

無法者の愛/観覧車'82/BLUE LETTER/ナイト・ウェイブ/シーズン

フェアリー-完全犯罪-/野獣/レイニー・ドライヴ/メガロポリス・ノクターン

Big Night

三つ数えろ/一日の終わり/一世紀前のセックスシンボル/漂泊者-アウトロー-

ポップコーンをほおばって/観覧車'96/街灯/氷のくちびる/陽の訪れのように

悲しき愛奴-サーファー-/Lady/安奈/地下室のメロディー/嵐の季節

Singles

バス通り・魔女の季節/裏切りの街角・薔薇色の人生

かりそめのスウィング・ポップコーンをほおばって

ダニーボーイに耳をふさいで・昨日鳴る鐘の音/ 男と女のいる舗道/東京の一夜

テレフォンノイローゼ・風が唄った日

氷のくちびる・メモリーグラス/そばかすの天使・きんぽうげ

吟遊詩人の唄・くだけたネオンサイン/LADY・悲しき愛奴-サーファー

HERO-ヒーローになる時、それは今-・からくり/感触-タッチ-・汽笛の響き

安奈・翼あるもの/ビューティフルエネルギー・荒馬

漂泊者-アウトロー-/異邦人の夜-シスコナイト-

天使-エンジェル-・一世紀前のセックスシンボル/ 地下室のメロディー・離鐘の音

暁の終電車・フィンガー/破れたハートを売り物に・陽の訪れのように

無法者の愛・観覧車'82/BLUE LETTER・ブライトンロック

ナイトウェイブ・破れたハートを売り物に・呪縛-呪い-の夜

シーズン・SLEEPY CITY/GOLD・ムーンライトプリズナー

東京の一夜・胸いっぱいの愛/フェアリー(完全犯罪)・キラーストリート

野獣・Try/冷血-コールドブラッド-・悪夢

ラブマイナスゼロ・夜のスワニー/フェアリー-完全犯罪-・マッスル

レイニードライブ・エコーズオブラブ

メガロポリスノクターン・レイニードライブ・破れたハートを売り物に・ナイトウェイ

メガロポリスノクターン・オクトーバームーン/ちんぴら・シーズン

TEENAGE LAST・港からやってきた女・冷たい愛情

トレーラーハウスで・安奈'99/白いブランケット・ラブマイナスゼロ2000

幻惑されて
KAI FIVE

グッドフラストレーション/幻惑されて/ラブ・シュール

LOVE POTION/悪戯な干渉/ヒーリングタイム/エスカレーション

報酬-わけまえ-(名ばかりで愛しいビッグマウスブルース)/顔役/OH MY LOVE

LOVE JACK
KAI FIVE

ラブ・ジャック/ブラック・パラノイア/四月の雪/シー・スルー/甘い復讐

ブラック・サンド・ビーチ/サーフ・ムーン/TWO/i/ノーヴェンバー・レイン

Histry Live
KAI FIVE

HERO-ヒーローになる時、それは今-/らせん階段/裏切りの街角/ポップコーンをほおばって

吟遊詩人の唄-ONE MAN BAND-/最後の夜汽車/BLUE LETTER/幻惑されて/観覧車'82

RAIN/翼あるもの/漂泊者-アウトロー-/破れたハートを売り物に/安奈

嵐の明日
KAI FIVE

風の中の火のように/落花する月/涙のアドレス/切ない痙攣

影/月に泣く/絶対・愛/嵐の明日

Fever/青二才-ナイーブ-/桟橋の町/都会-まち-のつらら

KAI FIVE Singles

幻惑されて・甘い復讐

ラブジャック・君のいないこの街はまるで名も知らぬ街を歩くようだ

風の中の火のように・Fever/嵐の明日・絆/激愛・君がはいってくる時

翼あるもの
甲斐よしひろ

グッドナイト・ベイビー/えんじ/10$の恋/サルビアの花

喫茶店で聞いた会話/ユエの流れ/あばずれセブンティーン

恋のバカンス/マドモアゼル・ブルース/薔薇色の人生

ストレート・ライフ
甲斐よしひろ

YELLOW CAB/BLUE CITY/電光石火BABY/COOL EVENING

RAIN/夜にもつれて/MODERN LOVE/441 WEST 52nd ST.ECCENTRIC AVE

カオス
甲斐よしひろ

インジュリィタイム/カオス-August in 1998-/WORD/レッドスター/ミッドナイト・プラス・ワン

THANK YOU/コールド・ルーム/不思議な夢/I.L.Y.V.M/家

エゴイスト
甲斐よしひろ

トランスレディー/スウィート・スムース・ステイトメント/NIGHT TRIPPER

無法者の愛/嘘-たわごと-/炎/シンパシー

女たち/エゴイスト/TWO MOON JUNCTION

ダブル・イニシアチブ
甲斐よしのり

インジュリィタイム/WORD/ボーイッシュ・ガール/カーテン

一世紀前のセックスシンボル/ブルーシティー/マッスル/エゴイスト

千鳥橋渋滞/機関車/スゥイート・スムース・ステイトメント/昨日のように/波

太陽は死んじゃいない
甲斐よしひろ

愛とよばれるもの/橋の明かり/渇いた街/GET!/かけがえのないもの

恋愛平行線/アジテイター/ラヴァー・ホリック/光あるうちに行け/火傷

少年の蒼
甲斐よしひろ

破れたハートを売り物に/裏切りの街角/漂泊者-アウトロー-/HERO-ヒーローになる時、それは今

きんぽうげ/BLUE LETTER/観覧車'82/風の中の火のように

レイン/電光石火BABY/THANK YOU/安奈/幻惑されて

GUTS
甲斐よしひろ

レデイ・イヴ/風吹く街角/レッド・シューター/スマイル/時の人

GUTS/Midnight Interval/GO-MEN/放課後/メタモルフォーゼ/マイ・マイ・マイ

PARTNER
甲斐よしひろ

パートナー/は・だ・か/Love is No./ONE/BLUE

I(#2)/クレイジー・レイジー・ラブ/CRY/ティーンエイジ・ラスト/ドキ・ドキ

HIGHWAY25
甲斐よしひろ

ポップコーンをほおばって/裏切りの街角/かりそめのスゥイング/ダニーボーイに耳をふさいで

テレフォン・ノイローゼ/氷のくちびる/そばかすの天使/きんぽうげ/恋のバカンス/LADY/ちんぴら

翼あるもの/HERO-ヒーローになる時、それは今-/感触-タッチ-/安奈/ビューティフル・エネルギー

漂泊者-アウトロー-/天使-エンジェル-/地下室のメロディー/暁の終列車

破れたハートを売り物に/ダイナマイトが150屯/観覧車'82/無法者の愛/BLUE LETTER

ナイト・ウェイブ/シーズン/フェアリー-完全犯罪-/野獣/冷血-コールド・ブラッド-/ラブ・マイナス・ゼロ

レイニー・ドライヴ/メガロポリス・ノクターン/電光石火BABY/レイン/スロー・キス/あり、か

I.L.Y.V.M/ミッドナイト・プラス・ワン/THANK YOU/スイート・スムース・ステイトメント

幻惑されて/ラブ・ジャック/風の中の火のように/嵐の明日

激愛-パッション-/渇いた街/風吹く街角レディ・イヴ

ティーンエイジ・ラスト/LOVE is No.1/霧雨の舗道/Tonight I need your kiss

バス通り/ポップコーンをほおばって/男と女のいる舗道/HERO-ヒーローになる時、それは今-

ビューティフル・エネルギー/ダイヤル4を廻せ/安奈/Jasmine/時雨れて

破れたハートを売り物に/悲しみのイレーヌ/ナイト・ウェイブ/レイン/イエロー・キャブ

フェアリー-完全犯罪-/野獣/デッド・ライン/Weekend Lullaby/モダン・ラブ

電光石火BABY/不思議な夢/トランスレディ/顔役/時の過ぎ行くままに

嵐の明日/渇いた街/ジャックとジル/ブルー・ローズ

Singles
甲斐よしひろ

電光石火BABY・夜にもつれて/レイン・スローキス

IL.Y.V.M/ミッドナイトプラスワン・レッドスター

スウィートスムースステイトメント・ナイトウェイブ〜破れたハートを売り物に・かりそめのスウィング

NIGHT TRIPPER・TWO MOON JUNCTION・ミッドナイトプラスワン

渇いた街・火傷/風吹く街角・メタモルフォーゼ/レディイヴ・らせん階段

LOVE is No.1/Tonight I need your kiss/HEY!MONOCHROME/KI-RA-ME-I-TE

アーティスト一覧

甲斐バンドは1974年5月、甲斐よしひろ・大森信和・松藤英男・長岡和弘の4人で結成され、同年11月、東芝EMIより「バス通り」でデビューする。福岡のライブハウス「照和」を母体とする九州出身アーティストがメジャーシーンに進出を繰り返していた当時、彼らは「九州最後のスーパースター」という鳴り物入りのデビューだったが、フォーク調が勝った切ない楽曲のせいか、今ひとつ盛り上がらないメジャーデビューだった。
ところが世間とは好き勝手なもので、彼らを実質的にシーンの前線に送り出すことになる(何せ75万枚のシングルヒットとなるのだから)7ヵ月後のセカンドシングル「裏切りの街角」では「僕の期待とはうらはらに悪評サクサクで」(「英雄と悪漢」ライナーノーツより)「バス通り」とそれに続くLP「らいむらいと」とのイメージの乖離が取り沙汰された。
リーダーでヴォーカルの甲斐よしひろは同ライナーノーツで雄雄しくも次のように語っている。「本音の前にたてまえがあるんじゃあなくて、たてまえだけを首にぶら下げて訳もわからぬことをわめきちらしそれを押し付ける。(中略)僕は変わりゆく事が望みです。何事にも縛られたくない」
あたしが、なぜ、どのような経路で彼らを知ったんだったか、今となっては判然としないのだが(なぜなら当時、あたしは親の仕事の関係で香港という場所に暮らしており、日本の音楽事情は今ひとつ、つかみきれていなかった)ふと気がつけば毎夜のごとく、甲斐のハスキーな声に酔い痴れていたのだった。「英雄と悪漢」(2ndアルバム)「ガラスの動物園」(3rdアルバム)辺りの収録曲は、今でも殆ど全曲、ソラでフルコーラス唄える。
今や甲斐バンドの伝説を多く排出する70年代。年間100本を越すライブを精力的にこなし、「この夜にさよなら」までの4枚のオリジナルアルバムを世に送り出した彼らは、しかし1979年12月、なんのだったかは忘れたが、とにかくCMソングに抜擢された「HERO−ヒーローになる時、それは今−」で日本全国あまねくしられる存在となる。
しかし同年、ベースの長岡和弘が脱退。しかし、甲斐バンド自体は既に押しも押されもせぬ人気バンドとしてただ突き進んでいく。というよりも、これを機に、甲斐バンドはよりロック色の強いバンドへと自分たちの方向性を決定していく。
70年代が「伝説」なら80年代は「疾走」であったろうか。1980年8月、芦の湖畔で初の野外イベント「100万$ナイトin箱根」 を行い24,000人動員。ライブアルバム「100万$ナイト」には、後に語り草となる甲斐の言葉が収録された。「79年のドラマは全て終わりました。俺達は80年代に行きます」
その言葉通り、彼らが世に送った80年代のアルバム(ニューヨーク3部作といわれた「虜」「黄金」「ラブ・マイナス・ゼロ」に顕著だが)は彼らの「音」が変わったと思わせるに充分であった。より攻撃的に、より硬質に、「男」を匂わせるロックとなる。男性ファンの数が目に見えて増えていったのも、この頃であった。
1984年、それまでもサポートとして参加することがあった元ARB田中一郎が正式メンバーとして参加。ロックバンド甲斐バンドとしての音が、ここで決定する。
しかし、疾走の時には終わりが来る。ギターの大森信和の聴力障害が直接の契機となり、1986年3月3日、甲斐バンド解散発表。6月の武道館での5日連続ライブを持って、彼らはその歴史を自ら閉じる。
その後、甲斐よしひろはソロ、KAIFIVE結成と精力的な活動を展開。しかし、そのアルバムの中でもやはり「甲斐の中の甲斐バンド」は紛うことなく大きな影となってのしかかっている。もしくは甲斐自身が意図的に「甲斐バンドであった甲斐よしひろ」を引きずり続けようとしていたのか。いずれにしろ、甲斐よしひろはバンドというものがあった時から甲斐よしひろその人であり、甲斐バンドは甲斐よしひろが一人になっても甲斐よしひろの甲斐バンドであった。既にして甲斐個人と甲斐バンドとは不即不離のものであった。多分、それを一番、感じていたのも甲斐であったかもしれないが、これはあくまで推測の域を出ない。
1996年4月。劇的な解散ツアーから10年。甲斐バンドは期間限定の復活を果たす。バンド解散を受けて1986年の段階で上梓された、甲斐バンドの(もしくは甲斐よしひろの)熱狂的ファンであった亀和田武の「愛を叫んだ獣」(白夜書房。今は絶版かも?)の中にこんな文章があったのを、あたしは思い出していた。
「ちょうど今夜のコンサートの前と後のように、十年前の自分は現在の自分とは同一の存在ではない。それと同じように、ミュージシャンも十年前の像と今のそれとが重なるわけがないのだ。だが重要なことは―。十年前の自分も、今の自分も、やはり自分自身であるということだ。円環がやっとカチリと音をたてて、閉じた。」これはデビュー当時の甲斐バンドと解散時のそれとについての文であったのだが…。
1999年、甲斐バンドとしてのマキシシングル「トレーラーハウスで」リリース。甲斐よしひろ個人としてのデビュー25周年記念5枚組ボックス「HIGHWAY25」リリース。バンドと個人。両輪の輪は新たなスタートをきった。
しかし、あたし個人は「復活」後の甲斐バンドの音を聴いていない。怖い…のかもしれない。他に理由があるのかもしれない。それは、あたし自身でも分からない。「カオス」…の中にいるのかもしれない。
おれはおめえを愛しているよ、コーラ。だが愛は、その中に恐怖がはいりこむと、もう愛じゃあなくなるんだ。それは憎しみなんだ。(アナログ版(CD番にもあるかもだが)「ラブ・マイナス・ゼロ」の歌詞カード表に引用された「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の言葉)…。別に「恐怖」など感じてなんていやしないんだが。憎んでもいないし…。聴いてみたいんだけどね。