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No.101

 パソコンを仕事に活かす!

     監修 野口 悠紀雄(東京大学教授)NTTタウンページ情報から

        スキャナー読込み後、文字認識させたので読み間違いがあります。

 

 パソコンを苦手と思っていませんか?

 1995年暮れ,パソコンは一大ブームを起こしました。

 『ウィンドゥズ95日本語版』が発売され、その使いやすさや利用性が一段と高まったため、普及に拍車がかかったのです。

 しかし,パソコンはそれを導入し、操作や使い方を覚えただけでは、仕事の能率が上がるとは限りません。大切なのは「仕事にどう使うか」なのです。

 その目的をしっかりと持ち、自分のパソコン活用法を身につけていけば、必ず大きな財産となるはずです。

      パソコン嫌いの理由は本当?

 もし,あなたがまだパソコンを使っていないか、十分に使っていないとすれば、きっと次のような理由からでしょう.しかし,本当にそうでしょうか。

     @パソコンなんて,たいしたことない

「パソコンなど知らなくても,どうということはない。雑誌や新聞は騒ぎすぎている。そのうちプームは冷める」こう考えるのは,認識不足です.

 パソコンやコンピュータをめぐる状況は,最近,急速に変わりつつあります,昔からいわれた商売上手になるための「読み書きそろばん」が,いま「読み書きパソコン」に変わろうとしているのです。

 一例を挙げると,コンピュータが導入されて図書館が便利になったのをご存知でしょうか。あなたが仮に,何かの本を借りたくて図書館のホームページへ接続したとします.その本の名前か著者名を検索すれば,恐らく瞬時にその本があるか答えてくれます.貸出中でその図書館になくても,他の図書館にあれぱそれをすぐ教えてもらえます.これはコンピュータに最新情報が常に入っていて,他の図書館のコンピュータともリアルタィムでつながっているからです.紙やカードに記録する方法では,こんな芸当はとてもできません。

 これは図書館の例ですが,パソコンも同じようなことができ,他にもいろいろな利用法があります。いずれにしてもパソコンが作っていくと思われる変化は着実に進んでおり,そこにまたビジネスの大きな可能性があるのです。

     Aパソコンは人から仕事を奪う道具か?

 パソコンはこれまで人間が行ってきた作業のうち,コピー,清書計算などの単純作業を代行してくれる道具です.もちろん,そのた,めの指示は人が行うものですし,人はこうした仕事をパソコンにまかせながら,判断,発想,交渉など,より人間的な仕事に集中できるようになるのです.

     B文系だから

 コンピュータという名称からかパソコンは理系の守備範囲と考える人がいます.確かにパソコンを,作るためには理系の知識は必要ですが,使うには必要ありません.

 パソコンは「計算機」というよりは,「データ処理機」です.実際に扱うデータは文字〈場合によっては画像〉がほとんどで,作業の多くは,書類や文章作成など文系向きの仕事です.

     C上司の威厳が保てない

 「若い部下が得意げに操作している.自分は出遅れた」こうした気持ちはよくわかりま

す.いままで視野の外にあったものが,突然オフィスの主役になつてしまうということは,これまでになかったことです.

 しかし,新しい機械ですから,知らなくて当然なのです.部下に操作法をたずねても,恥ずかしくありません.堂々と聞きましょう.

 また,中高年の管理職は必ずしもパソコンの操作すべてに熟達する必要はありません.

 「パソコンは何ができ,仕事の中のどの部分に使うとよいか」ということを知っていればよいのです.ただし,そのためには自分で操作してみることが必要です.

     Dパソコンは機械的で温かみがない

 「パソコン〔ワーブロ〉で印刷した文字は,人工的で,人間的な温かみがない.パソコンを使うと人問的な感受性が薄れ,機械的になる」新しい技術が登場して時代が変わるとき,変化を嫌う人からは,いつもこのような意見がでます.パソコン〔ワーブロ〉の文字が味気ないというのは,一面真実かと思いますがビジネスでは,文字はなによりも判読できることが大切です.読みづらい字というのは,相手にとっては不親切となります,以上,@からDのパソコンのいわれなき偏見について,その誤解がとけたでしょうか.

 パソコンを使うためには,まず慣れることが一番です.そのためには次の三つの原則を実行しましょう.

1「パソコン』の側に立つ

 パソコンに背を向けていては,いつまでたってもパソコンに近づけません.まずはパソコンの側に立って「パソコンは白分の味方だ」と感じることです.

 しかし,パソコンは必ずしも簡単に覚えられるものではないというのも事実です。初心者が抱く「パソコンはむずかしい」というこの心のハードルを乗り越えるには,第1に,キーボードの操作法〔十本指人力とローマ宇入力〉を覚えること,第二に,何かひとつの機能について使いこなせるまで熟達することをお勧めします.

 パソコンで使使頻度が高く,最も親しみやすいのはワーブロ機能ですので,これから習熟するのがよいでしょう〔ですから,ワーブロ専用機を使ってきた人は,すでにパソコンの入口に入っているのです)

2便い切ろうと思わない

 パソコンは様々なことができます.しかし,そのすべてを使い切ろうと思う必要はありません,パソコンを使うことそれ自体が目的ではありません.白分の会社の仕事にパソコンの何が必要か,どんな利用価値があるか,を判断し,その機能からマスターするとよいでしょう。

3「パラシュー卜勉強法』で進む

 「パラシュート勉強法」とは,マニュアルを読んで基礎から一歩一歩進むのでなく,当面必要な操作を誰かに教えてもらってとにかく習得する方法です,つまり、自分の足で山に登ろうとするのではなく,飛行機で高いところまで連れていってもらい,目的地にパラシュートで降下するのです.ここで「飛行機」というのは,パソコンに詳しい人を指します.ある程度の規模の職場なら,このような人が一人や二人いるものです.

 パソコンに付いているガイドマニュアルの基本的な操作法などはよく見る必要がありますが,パソコン参考書を買ってひとりだけで学ぶのは,むずかしいものです.

 わからないところがあって,メーカーのサポートサービスに電話で問い合わせても,いつも話し中でめったにつながりません。

 こんなときは,パソコンのことをよく知っている近くの人に聞くのが一番です.近くに適当な人がいなけれぱ,パソコン、スクールに行くという方法もあります.講座にはまったくの初心者向けから,ひとつのソフト〔機能)を使いこなせるようになるための講座など,いろいろあります。

 前のページで述べたように,パソコンは,いろいろなことができる多芸な機械です.この中でも「パソコンによって能率が飛躍的に向上する仕事」があります.それは,パソコンの機能として分類すると,ワープロ,通信,表計算の三つです.この三つの機能を使い

こなせれば,パソコンの仕事ヘの活用は十分といえます。

1ワープロ

「パソコンは触ったことはないが,ワープロ専用機なら使った」という人はかなり多いはずです.

 パソコンを使うにしても,その大部分はワープロ〔文章作成〉機能です.ですからこのワープロをマスターすれば,パソコンの第一関門はまず突破です.

 ワーブロの大きな利点は,自在な「編集機能」にあります.この編集機能を使って,文章のある部分を切り取って(カット)、別の箇所に貼りつけること〔ペースト〉が自由にできます.

 さらに最近のソフトでは,文字の大きさや書体が自由に変えられ,デザィン性のある文面が楽に作れるようになりまLた.

 また,雛形の文書を活用して別の文書に加工できる点もメリットです,今やビジネス文書は手書きではなく,ワーブロ文字が当たり前になってきている時代です。パソコンのワーブロ機能を使って,きれいでわかりやすい文書を作れば,いろいろな面で役に立つはずです。

2通信

 パソコン通信やインターネットという言葉はよく聞きますが,それぞれのパソコンを電話線でつないで共有(ネットワーク〉したものが,ここでいう通信です.

 電子メール〈Eメール〉はファクスと同じように相手が不在でも,また相手がその場にいても電話のように音で呼ぴ出すのではなく,黙って通信文書を届けます.つまり,相手の時間の邪魔をしない通信方法です。ファクスと違うことは,送られてきた文書は自分のパソコンに保存されるので,それをそのまま利用したり,再度加工して使えるということです.

 また,相手にパソコンがない場合でも,ファクスがあれぱ自分のパソコンから直接送ることができます.この場合,文字は通常のファクスの不鮮明な文宇ではなく,プリンタから出るきれいな文宇として相手に届きます。ですから,そのままお客さまヘの提案資料と

しても使えるのです.

 通信機能のもうひとつの大きなメリットは,データの収集です.商用のパソコン通信ネットや個別のデータベース送信サービスを利用すれぱ,ほぼ,二四時間,新聞記事の検索や人物情報,企業情報などの収集が可能となります。それもキーヮードから調べられるの

で非常に便利です.ただし,それなりの費用はかかりますが・・・

 インターネットからも,世界中の情報を集められますが,情報を発信するコストが低いので,パソコン通信ほどの有効情報は得にくいようです.

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 パソコンの概略について,おわかりいただけましたでしょうか,次号では,入門編に続き〈パソコンの三つめの機能「3表計算じとパソコン活用の実践編をお届けします。